インフィニット・ストラトス 火力と愛と絆と   作:ディニクティス提督(旧紅椿の芽)

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第六話 転校生は超うぜえ

「あ〜、気持ち悪い。飲み過ぎだ、これ」

 

代表就任パーティの翌日、俺は二日酔いになった。あれ、酒飲んでねえよな、俺?

 

「お前…………酔ったとか。緑茶二リットルで酔うはずないだろ」

「どちらかと言えば、胃が死んでるような感じ…………うぷっ」

「とりあえず、これ飲んどけよ」

 

そう言って一夏が渡したのは、ソル○ック。

 

「おお、助かる」

 

俺はそれを一気飲みする。あ、なんか、気分が軽くなったぞ。効果あるな、これ。

 

「はぁ、なんとか持ちなおせたぜ」

「今度からは、飲み過ぎに注意だな」

「ごごっともです」

 

ま、俺の二日酔いは放っておいてと。なんだか、教室が騒がしい。なにがあったんだ?

 

「ねぇ、有澤君知ってる?」

「何を?」

「二組に転校生が来るんだって」

 

転校生か。というとあいつしかいないな。

 

「中国からの奴か?」

「そうらしいよ。なんでも、代表候補生なんだって」

 

ここで、俺の疑念は確信へと変わった。

 

「一夏、お前中国に知り合いっているか?」

「いや、覚えてねえや。誰かはいたような気がすると思う」

 

ま、いいか。

 

「あら、この私を危ぶんでの転入かしら?」

「それはない、あなたはそこまで有名じゃない」

「ま、専用気持ちだから名は知ってると思うよ」

「知ってなかったら、それはただの馬鹿だ」

 

セシリアがなんか、言ったようだが、簪、静寐、箒のコンボで撃沈。

 

「代表候補生ねぇ、クラス対抗戦に出るのか、そいつは」

「さすがにそれはないと思う。二組は代表がもう決まっているはずだから」

「それはそうと、有澤君。クラス対抗戦は絶対優勝してね‼ 応援しているから‼」

「なんで、お前らそんなに気合が入ってんの?」

「だって、優勝したクラスには学食のデザートフリーパス半年分が貰えるんだよ‼」

 

すまん、甘いものには興味ない。てか、苦手。あ、和菓子は別だ。あれほど、素晴らしい菓子はない。

 

「多分余裕だよ。今専用機を持っているのは、一組だけだから」

「そうは、いかないわよ」

 

一組で楽しく盛り上がっているところに水をさした人間が一人。

 

「二組にも専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単に、優勝はさせないわ」

 

ーーシステム、スキャンモード

ーー凹凸なし。砲撃には最適のポイントかと

 

馬鹿野郎、それは貧乳だ。砲撃には最適のポイントじゃねえよ。

 

「ところで、このクラスの代表は誰?」

「俺だ、何のようだ?」

「ふうん、あんたが二人目のレアケースという事ね。ーーんで、なんで、このクラスの人間はこいつを選んだわけ?」

「「「…………は?」」」

「だって、こいつ片目無いし、左手に手袋はめてるし、それになんだか感じ悪いじゃん。こいつのどこがいいわけ?」

「貴様…………‼」

「あなた…………‼」

「鈴、てめえ…………‼」

「あ、一夏ーー」

 

刹那、乾いた音が響いた。

 

「っ⁉」

「お前…………何様のつもりだよ‼ 龍之介のどこが気に食わねえんだよ‼」

「なによ、いきなり叩いて‼ ふざけないでーー」

「ふざけているのはあなたの方ですわ、中国代表候補生、凰鈴音。代表候補生と聞いてもう少し常識人だと思っていましたが、残念ですわ」

「あんた誰よ‼ なんで、私が怒られなきゃならないのよ‼」

「なんで、怒られないか…………教えてやろうーー龍之介をバカにしたからだ‼」

 

その時の箒は、凄かった。身体全体から赤いオーラを放ち(マジで目に見えた)、その手に木刀を持っていたから。そして、三メートルはある距離を一瞬で詰めた事。それは、人の常識を破った瞬間であった。

 

「ふう。箒、危ねえな、もう少しでお前も俺と同じになるとこだったな」

「‼」

 

危ねえ。今回は義手で止められたからよしとして、フレーム曲がってないかな?

 

「ま、仕方ないか。どうせ中国じゃ有名じゃないだろうよ。企業連なんてさ」

「き、企業連⁉」

「多分、お前なら簡単に潰せるな、国ごと」

「なによそれ、脅迫のつもり?」

「いや、本当の事だ、鈴。今からでも遅くない、龍之介に謝れ」

「はぁ? なんで、あたしが謝らなきゃいけないのよ‼」

 

話は平行線で続く。てか、うざい。なんだ、この野郎。いかにも、女尊男卑に染められた人間じゃねえか。ちなみに、企業連は反女尊男卑を掲げており、企業連内で、そんな事はねえよ。みんな平等。

 

「一夏、あとはいい。それと箒、木刀を降ろせ。義手が悲鳴をあげてる」

「す、すまん、龍之介。だけど…………‼」

「龍之介、お前なんで、平気なんだよ…………‼」

 

そりゃねぇ、企業連で鍛えた鉄の心があるからさ‼ それに、中国国内にAMIDAとNEO-AMIDAをぶちまけばそれでいいだろ?

 

「まーまー、気にすんなって」

「あら、この男よくわかってるじゃない」

「黙れよ、小娘が」

 

俺はドスを効かせた声で、凰の野郎を黙らせる。

 

「なぁ、お前はよ、俺をバカにした。それはどうだっていい。でもな、このクラス全員が決めた事に口出しする権利なんざ、てめえにねえんだよ」

 

ナーガを起動。右手にOXEYE HG25を展開、凰の眉間に突きつける。無論、トリガーに指はかけてある。

 

「さぁ、どうする? これ以上言うんだったら、俺はてめえを撃つぜ? このまま立ち去りゃ、何もする事はねえ」

「…………チッ。後で覚えておきなさいよ、二人目のレアケース‼」

 

何処かの悪役的な捨て台詞を吐いて、凰は二組へと戻った。必要が消えたため、ナーガを解除する。

 

「まずい…………」

「ど、どうしたの、龍之介」

「人を脅迫するの、楽しい♪」

「「「だぁぁぁぁぁ‼」」」

 

一夏が、箒(武士モード)が、セシリアが、静寐が、簪が、みんなが、ドリフよろしくずっこけた。なんで?

 

「…………お前、悪人だな、おい」

「そうか? 本気でやったら、ミンチ肉ができるぞ」

「「「それもそれで、危ない(ですわ)」」」

 

ま、いいや。面倒いし。

 

「おい、そろそろショートホームルームの時間だぞ。座れ座れ」

 

全員が席に座ると同時に、千冬さんが入ってきた。ちなみに、入った直後に行ったセリフが

 

「…………酢豚、ぶち殺す」

 

だった。明らかに、明確な殺意であった。

 

 

 

 

 

その昼、俺は食堂のカウンター席にいた。

 

「お、今日も空いてるな。おーい、箒もこいよ」

「う、うん」

 

俺は、手招きして箒(女の子モード)を呼ぶ。

 

「やっぱ、二席分予約席にしておいてよかったねぇ」

「お、毎度お馴染みのおばちゃん。あんたが予約席にしてくれていたのかい?」

「常連客サービスってやつだよ。ほい、お待ちどうさん」

 

おばちゃんから、俺は唐揚げラーメンを、箒はきつねうどんを受け取る。

てか、おばちゃん、めっちゃいい人やん。どっかの誰かさんとは大違いだ。二席分をこうして開けててくれてるのは、すげえ嬉しいわ。いや、と言う事は、情報が漏れている…………?

 

「なに、そんな事見てりゃわかるよ。あんたら二人が一緒にいる時ほど、楽しそうにしている時ないもの」

「人の心、読まんでください…………」

 

ま、確かにそうだけど。昔ならあった、心に空いた隙間のようなものが、今は埋まっている。これも、箒のおかげなのかもしれん。

てか、唐揚げラーメンうめえ。そして、量が多い。さらに、安い。唐揚げ系はマジでいい。

 

「しかし、よくこんな席を見つけたね」

「二日目の朝に使っていたのが始まりなんだけどな。割といいの、この席」

「へぇー」

 

俺は先に食い終わったので、いつものメールチェック。今回は…………トーラスかよ。

『主任‼ 聞いてください‼ あのコジマキャノン「ARSENIKON」のコジマパワーが足りないんですよ‼ どうやったら増やせますか⁉ あと、完成次第主任に送っていいですか?』

なるほどね。コジマの増強か。あ、そうか。コジマドライヴに直結すりゃいいんじゃね。どうせ何基も余ってんだろ。

『コジマドライヴに直結して、粒子を供給しろ。コジマドライヴは何基使っても構わんからな。あと、完成品は直ぐに届けろ』

返信完了っと。はてどんなものが仕上がるんだろうな。ま、一週間でできるだろうよ。あいつらの事だからな。

 

「龍之介、何してるの?」

「ん? 仕事仕事。あの変態達のお遊び」

「…………そういう事ね」

「ま、いいか。とりあえず、ごっそさん」

「あ、ごちそうさまでした」

「あいよー。んじゃ、また予約席にしておくよ」

 

俺と箒は、ひとまず教室に戻る。その途中、一夏とセシリアに会った。

 

「龍之介…………鈴に代わって、俺が謝る。すまなかった」

「なぜにお前が謝る?」

「そうだぞ、一夏。お前は何もしてないだろ」

「そうですわよ、一夏さん。 何もそんなに気に病まなくても…………」

「いや、幼馴染の俺がもう少ししっかりしていれば…………」

「一夏、お前は甘いな。少しは非情になって見たらどうだ?」

「そうですわね。少しはきつくなって見てはいかがでしょうか?」

「二人の言う事にも、一理ある。少し、非情になれ」

「わかった…………なんか、三人に励まされてしまったみたいだな」

 

その後、互いに笑いあった。ま、こんな関係が築けたのも、一夏の存在が大きいかもしれん。

だが、それよりまずい事態が発生していた。

 

「なぁ、龍之介…………お前の胸から翡翠色の粒子が出ているんだけど…………」

 

うわ、不吉な言葉を聞いたぞ…………

恐る恐る、ドックタグを見ると…………

 

「アカン、コンデンサーが満タンだ。入り切らんかったコジマ粒子が漏れてる‼」

「お、おい、それ大丈夫なのかよ⁉」

「コジマは、まずい…………」

「そ、それは、人に害がありますの⁉」

「いや、無い。ただ、高濃度圧縮されたコジマ粒子を浴びると、すげえ快楽に浸れるらしい」

「「「いろんな意味で危険だな(ですわ)」」」

 

ま、とりあえず教室へ戻ろう。

ちなみに、その後の授業は千冬さんに怒られました。

 

「なんだ、その健康に悪そうな光は‼ なんとかしろ‼」

「あと一週間待ってください‼ 過剰にエネルギーが溜まってるだけなんで‼」

「どうでもいいが、なんとかしろ‼ 私が授業に集中できん‼」

 

がんっ

 

「ぐはっ‼」

 

頭に、出席簿が飛んできた。なに、それが人間の成せる技だと⁉ じゃあ、俺はなんだ⁉

 

 

 

 

 

その夜

 

「くぅ〜、痛えわ。あれは、人間なのか?」

「少なくとも、人の域にはいないよ…………」

 

部屋で頭の痛みを癒している時だった。

 

「最っ低‼ 女の子の約束も覚えていないなんて、犬に噛まれて死ね‼」

 

二組の馬鹿でかい声が寮の廊下に響いた。てか、一夏の部屋が隣のため、すげえ良く響く。俺は、一夏の部屋へ向かった。

 

「おい、一夏。なんか、すげえ声が聞こえたけど、なんかあったか?」

 

一夏の部屋を覗くと、一夏が腹を抱えて悶えていた。な、何があった?

 

「くっ、大丈夫だ…………」

「全然大丈夫には見えねえ‼ 何があった?」

 

俺は、一夏を抱き上げる。お、軽いな。って、そういう問題じゃねえ。

 

「いや、鈴との約束を覚えていたはずなのに、いきなり鳩尾をISの拳で殴られてな…………龍之介、どうやらここが俺の器らしい。よかったぜ、お前とは…………」

「おい、一夏‼ しっかりしろ‼」

 

そのまま、一夏は俺の腕の中で、力無く腕を垂らした。嘘…………だろ…………

 

「おい一夏‼ 返事しろ、一夏‼」

「龍之介‼ 何があっーー一夏‼ おい、返事をしろ、一夏‼」

 

俺の声に気づいたのか箒が一夏の部屋へきた。

 

「…………箒、千冬さんを呼んでこい。なるべく早く」

「…………わかった」

 

箒に千冬さんを呼びに行かせたあと、俺は一夏の心臓に耳を当てる。心音は…………ある。という事は気絶しただけか…………。ふぅ、びびった。突然死ぬ間際のセリフを言ってくるんだから、心臓に悪い。

とりあえず、一夏をベットの上に寝かせて、顔に白布をかける。

 

「一夏ぁぁぁぁぁ‼」

「ちょ、千冬さん‼ 落ち着いてください‼」

「これが落ち着いていられるか‼ 龍之介、一夏はどうなんだ⁉」

 

暴走状態の千冬さんが来た。さすがブラコン。一夏の事になれば、悪魔をも超える人。

 

「千冬さん、残念です」

「どういう事だ⁉ 一夏は、一夏はどこなんだ⁉」

「一夏なら、そこですよ」

 

俺はそう言って、白布をかぶせた一夏を指す。

 

「嘘だろ…………ぁぁ…………」

「千冬さん⁉」

 

千冬さんは、気を失った。って、織斑姉弟‼ 二人揃って気絶すんな。

 

「千冬さん、目さましてください」

「はっ‼」

「それで、葬儀についてなんですが…………」

「ぶはっ‼ し、死ぬかと思った…………」

 

一夏が目を覚ました。あ、やべ、葬儀って、俺の葬儀になりそう。

 

「龍之介ぇ、いい度胸してんな、貴様…………」

「ちよっと待てーい‼ 龍之介は悪くねえ‼ 悪いのは、鈴だよ、鈴‼」

「…………どういう事だ?」

「説明すると…………」

 

現在説明中。

 

「…………という事っす」

「なるほど。あの酢豚野郎が一夏を殺そうとしたわけか。お、来週は、クラス対抗戦か…………ちょうどいい。龍之介、お前機体にリミッターかかってるよな?」

 

なぜに知っているんですか⁉

 

「お前が言ったからだろう」

「…………そういや、入学した時に言ったっけ」

「それでだ。機体の試験もあるんだろう? 一度リミッターを外してやるのもいいんじゃないか?」

「死人が出ます。俺の機体、軍用機をはるかに越した性能になりますよ」

「だからいいんだ。それで、凰の機体を再起不能になるまでぶっ壊せ。これは、命令だ」

 

うわ、きついね、この命令。リミッターを外すのか。別に、凰が死のうが死ぬまいかどうだっていい。俺が恐れてんのは、各国の代表に榴雷の鬼畜性能を見られる事だ。そうなると、各国が企業連に圧力をかけてくるんじゃないのだろうか?

 

「報酬はいくらで?」

「食券一週間分でどうだ?」

「了解、依頼はこなします」

「頼んだぞ」

 

凰の命<食堂の食券

 

「それじゃ、解散だ。お前らは早く寝ろよ。それと織斑、お前は私の部屋にこい。一時的にこの部屋を貸していたが、何かと不安だ。これからは、私と同じ部屋で生活するように」

「んじゃ、またな一夏」

「また明日、一夏」

「お、おい、待て。まずいぞこれは。離脱だ、離脱する‼」

「だが、断る」

「えげつねえ‼」

 

こうして、一夏は千冬さんの部屋に連れて行かれたのでした。

ちなみに、俺は今日も快眠だったぜ。

 

 

 

 

 

「ギャアアアアアアアアアアアア‼」

 

なお、寮長室から断末魔が聞こえたのは、また別のお話。




最近、文が短い…………
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