インフィニット・ストラトス 火力と愛と絆と   作:ディニクティス提督(旧紅椿の芽)

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…………今回、ちょっと短いです。


第七話 人生、多難な方が多い

クラス対抗戦3日前。

今日がアリーナを使える最終練習日だ。なぜかと言うと、大会用のレギュレーションにアリーナを調整するため、使えなくなるんだ。

ちなみに、今は第二アリーナにいる。俺以外にも一夏やセシリアと言った練習相手(という名の的)や、サポーターとしての箒や簪、静寐もきている。

 

「対抗戦まで、あと3日か…………。一回戦の相手って誰なんだろ?」

「さぁ? でも、龍之介の事だから、火力で封殺して終わりそう…………痛っ」

「まだ痛むのか? ならば休んでいた方がいいだろう?」

「そうはいかねえよ。龍之介が頑張っているのに、俺が手伝えねえのはなんだか虚しいしさ」

「ほんと、まっすぐだよね〜、一夏君って」

「確かに。そういうところは、織斑先生によく似ている」

 

自分が千冬さんに似ていると言われて、嬉しそうな一夏。よかったな、褒められて。だが、まっすぐで何事もいい方向に考えられるのはいい事だと思うぜ。

 

「あ、龍之介さん。対戦表が来ましたわ。こちらのデバイスをご覧になって」

「すまないな。で、対戦相手はーー」

 

「このあたし、中国代表候補生、凰鈴音よ、イレギュラー‼」

 

なに、乱入者だと。おい、誰でもいい、包丁と食材もってこい。料理するから。

 

「ちょっとあんた‼ 今、あたしの事『まな板』って言ったでしょ‼」

「何言ってんのお前? 自意識過剰なんじゃねえの、ヴァーカ」

 

凰の乱入により、ここの空気は一気に低下した。ちなみに、ここにいる全員、一夏が殺されかけた事を知っている。ただでさえ、印象が悪かったのが、さらに悪くなった。さすが、殺害未遂犯。

 

「あんたねぇ…………‼ 絶対、殺してやるわ…………‼」

「おー、こわこわ。殺人予告かい? てかこの間のやつで、一夏が死にかけてたんだけどな〜」

「っ⁉」

「それに、ISの無断展開はたとえ部分展開でも、国際法に引っかかるはずだよなぁ?」

「っち。まぁ、いいわ。どうせ用があるのは一夏だけなんだし。そこの小物には興味ないわよ」

「貴様、何をーー‼」

「はい、落ち着くー。ここは黙って見てろって」

 

どうやら、一夏に用がある代表候補生さん(笑)が何かするようだ。すこし、見届けてやろう。なに、弄るネタを増やすためさ。

 

「お待ちなさい。ここは一組のエリアですわ。あなたは二組でしょう。関係の無い人間は引っ込んでくださいまし」

「あたしは一夏の幼馴染よ。だから、一夏関係者。ほら、問題ないじゃない。あんたこそ引っ込んでなさいよ。外野には興味ないの」

「なっ…………‼」

「まあまあ、とりあえず落ち着いて(後で、この女をボコボコにしやしょうや、セシリア)」

「今は落ち着こう、イギリス貴族の嗜みが崩れる(ねぇ、この女いたぶるのにトラップ使ってもいい?)」

「…………そうですわね。申し訳ありませんわ、静寐さん、簪さん(トラップどころかIS使っても構いませんわよ、みなさんでぼこりましょう)」

 

凰は、余計なところで敵を量産したようだ。何でわかるかって? そりゃ、あからさまに何かを企んでいる表情のセシリアと、その隣で黒い笑みを浮かべている静寐と簪を見りゃわかるわ‼ そして、なんて言うんだろ、質量をもった空気がのしかかってるような感覚がしていた。簡単に言うと、息苦しい。

 

「ところで一夏、あの後反省したんでしょうね?」

 

一夏が反省? 反省するのはお前だろうが。二人しかいない貴重な男性操縦者(あ、企業連のネクストISの操縦者の殆どは男だよ、でもカウントはしないよ、擬似コアだから)の一人を殺そうとしたんだぞ。そして、日が経ったらまた顔を出すんだ。へぇ、随分と態度が大きいねぇ。それに、被害者に謝らせるとか…………呆れて声もでねえよ。

 

「反省? なんで、俺が謝らなければならねえんだよ」

「はぁ⁉ それじゃ、女の子が泣いていたらそのまま放って置くわけ⁉ 最っ低‼」

「何言ってんだよ‼ それに、約束だってちゃんと覚えてたじゃねえかよ‼」

「意味が違うのよ、意味が‼」

「あれって、酢豚奢りの意味じゃないだと…………だとしたら、あれか‼」

「やっと思い出したのね」

「…………ああ。だが、あんな意味だったとは…………龍之介のお陰だ」

「なに、あんたが教えてくれたの? へぇ、よくやってくれたわ」

「いや〜、それほどでも」

 

毒を大量に盛ったけどな。抉らせてもらうで、凰の心。

 

「それで、鈴…………約束の事なんだが…………」

「で、どうなの結局」

「はっきり言うぞ…………俺は」

「「「「ごくっ」」」」

「さて、凰のおみくじは…………」

「すまん、お前とはやれん」

「え…………」

((((バッサリいったよアイツ‼))))

「あ、凶がでた」

 

一夏、コジマ弾頭を凰の心に投下。見事直撃したようだ。

ただ、これを吹き込んだのは俺。

二日前

『なぁ、一夏。お前、凰と約束がどうたらこうたらって言ってたけど』

『ああ、それか。それはな、鈴が昔に、大きくなったら酢豚を毎日食わせてくれる、と言って来てな。てっきり、タダ飯を食わせてくれるかと思ったんだが…………』

『…………一夏、それってあれだ。日本では味噌汁でよく言うぞ』

『え? 日本では味噌汁と言う…………毎日味噌汁を飲ませる、毎日味噌汁を…………あっ』

『やっと分かったのか?』

『…………大方は。つまり、あれはプロポーズと言っていいんだな?』

『多分そうだろ。で、どうするんだ? 受け入れんの? 受け入れないの?』

『急いで断ってくる‼ 取り返しがつく内に』

『ちなみに、どこがそう思わせた?』

『なんて言うかあれだ。多分、鈴と付き合ってもろくな事が起きなさそうだし、それに』

『それに?』

『俺、鈴の事好きじゃねえんだ。うざいし』

『…………なるほどね。それだったら、ガツンと言って断ってこい‼』

などと言って、今日核を落としたわけだ。ある意味扇動。てか、凰があかん、白くなってる。

 

「ーーーー」

「…………そう言う事だ、俺の事は諦めてくれ」

 

そのまま、凰は更衣室を後にした。

 

「あ〜、なんかスッキリした。ギャラリーの皆さん、いかがでした?」

「「「「最高‼」」」」

「一夏もガツンと言ったねぇ、気分は?」

「ん? すげえ楽。なんか重石が取れた感じ」

 

その後、訓練をしたわけだが、皆の動きや作業が生き生きしていたのは、言うまでもない。

 

 

 

 

 

「あのイレギュラー…………ぶっ殺す‼ 絶対、あいつが扇動した‼ 後悔させてやるわ、このあたしを怒らせた事‼」

 

二組の代表候補生の叫びが寮内に響き渡っていたが、誰も気にも止めなかった。

 

 

 

 

 

対抗戦2日前。

放課後、俺はグラウンドにいた。理由はあるぞ。いつも通りのあれ。

 

『こちらスカイガード、着陸許可を願います』

「いいよー。そのまま降りて来て」

『了解しました』

 

うん、ヘリがコンテナを運んで来た。つまり、それの受け取り。今回のコンテナに貼られたロゴは、トーラス。と言う事は、あれだ。

 

「どもー、毎度お馴染みのトーラスで〜す」

「お馴染みじゃねえよ」

 

変態がやって来た。それも、超が付くほどの、重度の変態が。

 

「と言う事で主任、早速これを見てください」

 

今回きたトーラスチームの技術者は、コンテナのロックを解除した。

そこにあったのは、異形の物体だった。

右側は何故か三つ折りになった砲身、それに小型のドラム缶状の物体が十個。

左側には絶えず翡翠の光を漏らしている、コジマドライヴが十基。

それが、極太ケーブル二本で繋がっている。

 

「これが、主任のアイデアを受けて完成したコジマキャノン、『ARSENIKON custom』です‼」

「どう考えても、お前ら変態だな、コジマを垂れ流しにするとか」

「最高の褒め言葉です‼」

 

このコジマキャノン、両背部武装じゃん。フルチャージすると、これどんな威力になんの?

 

「ちなみに、これを発表したらGAチームや有澤重工チームが顔を真っ青通り越してコジマカラーに染まってました」

 

わかるぞ、その気持ち。何と無く想像してみよう。

 

『コジマは、まずい…………』←親父

『何これ…………ふざけてるの?』←メイ

『それが、コジマキャノンだと⁉ じゃあ、他のはなんだ⁉』←ドン・カーネル

 

こんなところか。ま、かなり悪い話だろうな。

 

「ちなみに、これをアルギュロスに積んで試射したんですが、直ぐにアルギュロスのプライマルアーマーが消滅しました」

「自社製品でも賄えないんかい‼」

 

ダメだこりゃ、俺のプライマルアーマーも100は持っていかれるんじゃないか? とんでもねえ大飯くらいだ。と言うか、アルギュロスのコジマドライヴ搭載数を増やせ、そして、ジェネレーターの出力も上げろ。

 

「とりあえず、量子化しましょ。ここにおいて置くのも問題ですし」

「そうだな…………じゃ、榴雷起動」

 

とりあえず、榴雷を起動する。

 

「システム、インストールモード」

ーー受託、システム、インストールモード起動。該当パーツ『ARSENIKON custom』を、拡張領域内にインストール開始します。

 

今回は、機体がまるっときたわけじゃないので、インストールするだけだ。それに、これにさほど時間はかからないだろう。アクアビット製のソフトウェアだから。

 

ーーインストール完了。システム、通常モードに移行します。

 

ほらな、ここまでに七秒しかかかってない。真面目にすげえ。

 

「それじゃ、私はこの辺で帰ります」

「あいよ。それと、明後日のクラス対抗戦見に来いよ、これ(コジマキャノン)のテストするから」

「本当ですか‼ 必ずいきます‼」

「お、おう。わかったから、詰め寄るな」

「それじゃ、楽しみにしてますよ‼」

 

そう言って帰って行くトーラス技術者。全く、コジマが絡むと恐ろしく元気になるんだから。

あ、メールきた。差出人は、箒か。内容は

『龍之介、そろそろ寮が閉まる時間だよ。早めに帰ってきてね』

え、もうそんな時間ーーって、やべえ‼ 門限六時半だった‼ とにかく、走らねえと‼

 

なお、俺はギリギリで間に合った。無論、息は絶え絶えだが。でも、グラウンドから寮まで、約二分でこれた俺って人外なんだろうか?とりあえず、さっさと自室に戻る事にした。

 

 

 

 

 

「キュイィィィィィィ(遊ぼうよー)」

「にゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉ なに、この大きな蟲は⁉」

 

どっかの変態(キサラギ)が、でかい蟲(AMIDA)を一匹、中国代表候補生の部屋に撒いたことを、龍之介は知らない。

 

「キュイ、キュキュ(遊ぼ、遊ぼ)」

「にゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉ こ、こっちくんな‼」

「キュッ、キュキュ(早く遊ぼ、遊ぼ)」

「ぁ、これ無理…………」

 

バタン

 

「モキュ? キュキュッ?(どうしたの? 寝ちゃったの?)」

 

そこには、失神した無様な代表候補生と、遊んでもらいたがっている蟲の姿があった。

何度も言うが、龍之介は全く気がついていない。




武装解説

トーラス社製コジマキャノン
『ARSENIKON custom』

企業連軍事特殊技術研究部トーラスチームが開発した、悪魔のようなコジマキャノン。以前のARSENIKONでは、コジマが足りなかったらしく、龍之介のアイデアをえて魔改造された一品。
コジマドライヴ十基から得られる膨大なコジマ粒子を、右背部にあるドラム缶状の圧縮機でチャージし密度を高める。これにより、あり得ないコジマの輝きを見ることができるようになった。なお、チャージ完了時間は5秒である。
現在は、榴雷の拡張領域内にある一丁のみ。再生産の予定はあるらしい。ただ、それを聞いたGAと有澤重工のネクストIS乗りは、顔をコジマカラーに染まっていたとか。
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