インフィニット・ストラトス 火力と愛と絆と   作:ディニクティス提督(旧紅椿の芽)

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第十一話 会社見学って社会科見学と似てね?

「な、なんだ、この武器は? 日本刀のようだが…………」

「それ、触れんなよ。肉体がすっぱり吹っ飛ぶ、レイレナードの没ネタ品だ」

「この、ミサイル…………一級品だよ」

「えぇーと…………カタログには載ってないみたい」

 

俺は現在、企業連の本部にいまーす。ちなみに、箒と簪と静寐がいます。一種の社会見学?なのか。すごい人数がきたもんだ。まぁ、というか、俺が連れてきたんだよな、全員。

 

「しかし、私の父は何を考えているんだ。インテリオルと共同でアームズフォートを開発だなんて…………」

「…………まぁ、自社開発であんな物(ジェット)を作ったレイレナードと比べればマシだと思うが…………」

「…………ラインアークは、ホワイト・グリント以外開発しないのか?」

「レギアのホワイト・グリントがラインアークの最高結晶品なんだよ…………」

 

なお、忘れちゃいけないが、オツダル、ベルリオーズ、レギア、フィオナの面子も帰ってきた。気がついたら大所帯になっていたぜ。まぁ、全員、自社部門の事で頭がいっぱいそうだが…………

 

…………てか、なんでこうなったんだっけ?

 

 

 

 

 

事は昨日に戻る。

 

「うーい、親父聞こえる?」

『ああ、十分聞こえる。で、何のようだ?』

「明日、ちょっと企業連に戻るわ。榴雷のデータ取りもしたいし、それになんか、いろいろと溜まってるようだし、仕事」

 

実を言うと龍之介、いろいろと仕事が溜まっているのだ。書類関連は一通り終わってはいるが、制作云々になれば企業連軍事特殊技術研究部にいかなければならない。それに、以前メイから支援装備の開発を頼まれていたが、一月も経っているのにフレームすら完成していない。

 

『わかった。つまり、雷電で迎えに来いとーー』

「違うわ‼ あれ、俺とかじゃなきゃ死んでるからな‼」

『じゃ、ヘリか?』

「…………最初からそうしてくれ」

『あいよ。それじゃ、グラウンドにーーちょっと待て。…………わかった、そう言って置く』

「どうした? なんかあったんか?」

『いや、なんでもない。とりあえず、迎えに行くからな』

「おう、頼むぜ〜」

 

電話を切った。実の親に迎えをよこさせる、それも企業連の代表に言うなど…………普通の人間ならしないであろう事をいとも簡単にやった。龍之介、やり方が雑。ちなみに龍之介の父ーー有澤隆文は、企業連で名のしれたネクストIS操縦者である。グレネードの命中率は、トップクラスと言う事を書いておこう。

 

「龍之介、どこに電話かけていたんだ?」

 

龍之介に質問をしてきたのは、同室の篠ノ之箒。龍之介の彼女、そして嫁さん候補である。

 

「ん? ああ、企業連にちょっとな」

「やはり仕事関係か?」

「結構溜まってたからな…………そうだ、箒、お前もこないか?」

「つ、つまりそれは、親御さんに顔を合わせると…………」

「そゆこと」

「な、なぁ、簪と静寐も連れていってもらえるか? あの二人も行きたがってたようだし」

「大丈夫じゃね? うちのヘリは十五人まで余裕でのれるから」

 

ちなみに簪と静寐は、箒の親友である。

 

「んじゃ、二人に伝えてきなー。行くのは明日だからな」

「わかった‼ じゃ、伝えてくる」

 

二人に伝えにいった箒と入れ違いで、誰かが入ってきたようだ。

 

「おい、リュウ。一回、企業連に戻っても構わんか、私たち」

 

オッツダルヴァ、ベルリオーズ、レギア、フィオナの四人だ。企業連所属の最高戦力。龍之介を含めて四人のエースに神のオペレーターが一人。…………噂では、一国を滅ぼせるとか、滅ぼせないとか。なんとも物騒な話だ。

 

「問題ねえよ。どうせ、お前らの機体もデータを取る頃合いだろ?」

「まぁ、そうだが…………本来の目的とは違うな」

「どう言う事だ、おい」

「…………新規パーツのテスト」

「あ、そゆこと」

「あと龍之介さんには、新型機のテストがきています」

「…………俺ばっか試験体に使うなよ。まぁ、わかった、とりあえず次の休日な」

「了解」

「了解」

「…………了解」

「了解です」

「はい、そう言う事で今日は解散」

 

彼らが出て行ったあと、また別の客人が、龍之介の元に訪れた。

 

「ち、ちょっと、龍之介くん‼ 企業連へ招待って本当⁉」

「箒から聞いたんだけど、その話嘘じゃないよね⁉」

 

静寐と簪である。二人は、箒の唯一無二の親友であり、龍之介の友達でもある。

 

「本当だ。そうじゃなけりゃ、箒には言ってねえよ。それに、あいにく俺は嘘がつけない性分なんでな」

「そ、それじゃ、本当の事…………やったー‼」

「そこまで喜ぶ⁉」

「だって、企業連のMSACやインテリオルユニオンやBFF、オーメルと言ったら高性能のミサイルがあるでしょ。それを見られるなんて…………」

「あぁー…………、ちょっとごめんなさい、龍之介くん。簪って、重度のミサイル中毒なの。この間も訓練機に、近接ブレードとライフルに、マイクロミサイルポッドを詰めるだけ詰めてたんだよ」

 

意外と簪、模擬戦の時に全弾ばら撒いていそうだ。インテリオルユニオンのネクストIS操縦者エイ=プールとかと気が合いそうな気がする。

 

「そう言う事ね。なら、企業連は大歓迎だ。自社製品を使ってくれる人がいる限り、うちはなんでも作り上げるからな。あ、ヘリが迎えに来るから、グラウンドに集合な」

「「はーい」」

 

このような流れで、企業連社会科見学コースが完成した。ここまでは、流れ的によかっただろう。だが、問題は翌日に起きてしまった。

 

「お、おい、マジかよ…………」

「な、何故だ…………」

「理解できん…………」

「…………何をやっているんだ…………」

「うわぁ…………」

「「「「「なんで、イクリプスがあるんだよ‼」」」」」

 

そう、迎えにきたのはヘリでもなければ隆文の魔改造雷電でもない。

それは、航空機ではなかった。

特異な形状で丸く、レーザー砲があり、そして非常に大きかった。

それは、アームズフォート[イクリプス]だった。

 

「誰だよ、これを迎えに寄こしたやつは‼ アームズフォートを送迎用に使うんじゃねえ‼」

「…………すまないリュウ。多分、父だ。あの人、『諸君、派手にいこう』って、言ってやがったから」

「お前が気に病む必要はねえ。マクシミリアンのおっさんが悪いんだからよ」

「…………感傷的な場面だが、もう少し良い形の場面で見たかったぞ」

「「てめえは黙ってろ、ベルリオーズ」」

 

みなさん、下手な口出しはやめましょう。ベルリオーズの様な悲惨な事にいつかはなるかもしれません。

 

「…………仕方ねえ。これで行くか」

「そうか…………まぁ、これだけの人数は収容できるだろう、所詮アームズフォートだから」

「まぁ、とりあえず早く乗ろうぜ」

「…………そうするか」

「そうですね」

「わ、私たちも乗るか」

「そ、そうだね」

「う、うん」

 

呆れ顔の第一小隊と、戸惑いまくってる女子高生三名がイクリプスへ乗り込んだ。なお、企業連へ到着したのは三分後だったらしい。感想は『酔う』だったらしい。ちなみに、イクリプスを寄こした元凶人の有澤隆文とマクシミリアン・テルミドールの二人は、それぞれの息子に専用機でボコボコにされた。

 

 

 

 

 

あ、思い出した。そうだった、俺が招待して、他はデータ取りだったな。ちなみに俺たちが今いるのは、企業連倉庫第八棟。いわゆる、兵器庫である。まだテストしてない一般兵装やオーバードウェポン、さらにはテストモデルの機体もある。…………おかしいよ、ここ。

 

「あ、龍之介。こっちきてたんだ」

「お、その声はメイか? そして、その隣にいるのは真改だな?」

「…………応…………」

 

はい、企業連の熱愛カップル、緑髪の巨乳美少女、GAのネクストIS操縦者メイ・グリンフィールドと黒髪の寡黙な男子、レイレナードのネクストIS操縦者真改です。どちらも、第二小隊所属だ。てか、こいつらのせいで泣き出す男達がいた…………主に、リア充的な意味で。ジェラルドなんか、写真を見つめてたからな。誰だかはわからんかったけど。

 

「おい、龍之介、この人たちは?」

「ああ、紹介がまだだったな。緑髪の方がメイ、その隣にいるのが真改だ」

「…………真改だ、よろしく…………」

「メイ・グリンフィールドよ。あなたとは同年代だから、敬語とかは無しね。ところで、名前は?」

「篠ノ之箒だ。その…………龍之介の彼女です」

「メイ、誤解すんなよ、俺の嫁さん候補や」

「よ、嫁っ…………」

「そうだったの。あ、ところで龍之介、頼んでおいた物は?」

 

頼んでおいた物…………何だっけ? あ、あれだ支援装備だ‼ やばっ、フレームしかできてねえ…………仕方ねえ、能力を酷使して作るか。よし、いつものあそこへいこう。企業連本部地下、企業連軍事特殊技術研究部(カラード)へ。

 

 

 

 

 

と言う事で、現在俺はカラードの方にいます。理由はおわかりですね。

 

「よし、ちょちょっと済ますか‼」

 

えーと、メリーゲート用の支援装備だろ。だとしたらーー

 

〜10分後〜

 

こんなところか。って、俺の苦悩の時間、割愛してんじゃねえよ‼ 俺の出番を返せ‼

 

「龍之介〜、まだ〜?」

「今できた‼ さっさと来い‼ あ、メリーゲートを忘れんなよ」

「は〜い」

 

全く…………俺の苦労を誰かわかってくれよ。

とかとボヤいているうちにメイがメリーゲートを展開してきた。しかし、相変わらずの重量機だこと。ま、これが合うかどうかは別だが。

 

「今来たよーーって、凄いのがあるんだけど⁉」

 

メイは来た途端、驚愕の顔をした。そりゃ、そうなるわ。俺の後ろにあるデカブツをみりゃ。

 

「これか?」

「そう、それ‼ それは一体なに⁉」

「こいつは、お前の注文した品物だ‼」

 

俺はそれにかけてあったシートを外す。そこから現れたのは、余りにも巨大な砲門を二つ構えた装備だった。

 

「型式番号ACOSW《アーマード・コア・オペレーション・サポート・ウエポン》-01、[リコリス]155mmキャノン二門、72連装マイクロミサイルポッド、12連装大型ミサイルポッド、両腕部大型ガトリング、兵装ラック、こんなもんか。キャノンの弾頭は任意で、対IS徹甲弾、対ISキャニスター、有澤グレネード弾に切り替え可能だ。火力については保証する。文句あるか?」

「…………」

 

メイは未だに唖然としている。まぁ、これだけ弾薬を積み、さらに兵装ラックまで搭載した兵器だからな。言っておくけど、大型ブースタ二基、小型ブースタを六基搭載してある。メイン大型一基、両サイド各小型二基、バック小型二基だ。弾薬を積みすぎて旋回性能が最低クラスになったから、VOBのあれを使った。推進力はそれなり。

 

「これは…………」

「どうした? 使うのか使わないのかはっきりしろ」

「使う‼ 喜んで使います‼」

 

メイ、めちゃくちゃ喜んでた。てか、跳ねるな。目に揺れる眼福なスタビライザーが入る。

 

「それじゃ、テストに行かせていただきます、主任‼」

「装備の仕方を説明するぞ。機体ごと背中を預ける様にする、それだけだ」

「超簡単‼」

 

リコリスをメリーゲートに装備したメイは、早速ACのテスト場へオーバード・ブーストで行きよった。てか、速ぇ、メリーゲート自体のブースタにリコリスのブースタの相乗推力か…………化け物だな。

 

「おぅ、龍之介じゃん、何やってんの?」

「これはカラード主任、いかがなさいました?」

「おまいらか…………どうした?」

 

今度、俺のとこへ来たのは、ミグラント主任ガルシア・ドーリー(愛称は主任)とその補佐のキャロル・ドーリー。共に歳は24歳。結婚はしたが、子供は未だに生まれてない。

 

「いや、ちょっとお手伝いを頼もうとね」

「はぁ…………んで、内容は?」

「はい、重装備タンク型[ジャバウォック]のテストをしてもらいます」

「まじで…………」

 

俺は、そのあと真面目に疲れた。だって、テスト内容がキャノンで高機動型を撃ち落とす事だ。まじやだ、高機動型速い、狙い定まんない。その後しばらく、コンテナの上で寝ていた事を書いておこう。てか、この三つのコンテナの中身って()()だよな?

 

 

 

 

 

龍之介が、ひたすら実験テストに明け暮れている中、箒、簪、静寐はオッツダルヴァ、ベルリオーズ、レギア、フィオナの四人に企業連の中を案内してもらっていた。

 

「全く…………龍之介はどこへ行ったんだ? 何やら緑髪の女に連れていかれた様だが…………」

 

箒は、龍之介が緑髪の女ーーメイに連れていかれた事に、僅かな苛立ちを覚えていた。所謂嫉妬である。

 

「あ、龍之介は今、カラードの方にいるぞ。支援装備の設計だとか」

「仕事なのか…………せっかくの休日なのに」

「龍之介さんは、いつもカラードの方で開発か実験テスト三昧ですから…………心配しなくていいですよ、誰もとったりしません」

 

ベルリオーズの説明により嫉妬は解けたが、龍之介の身を案じ始めた箒。だが、フィオナの言葉によりそれも程なくして消え去るのだった。

 

「そろそろ、昼時か…………よし、食堂でも行くか」

「企業連の食堂って…………なんか拭えない不安が」

「いや、それはない」

 

オッツダルヴァの言うとおり、現在時刻は12時をすぎた頃合いだ。食堂へ行こうと提案した彼だが、静寐の言う事もあながち間違いでない。

 

「簪の言うとおり、心配はいらん。まぁ、IS学園の食堂と似た様な物と思って構わんがな」

「へぇー、そうなんだ。って、あれ? レギアさんは?」

 

レギアがいない事に、箒は気付いた。だが、企業連メンバーは特に態度を変えてない。それよりも、逆に喜びが見えている。

 

「まぁ、食堂にくればわかるさ。ほら、着いたぞ」

 

箒達はその食堂の様子を見て驚いた。まず、圧倒的な広さ。学園の何倍あるのだろうか。次に、入ってるカウンター。各企業の店舗が見て取れる。そして、一番驚いたのはこれだと思う。

 

『喫茶・ラインアーク』

 

ラインアークが店舗として出しているのは喫茶店。だが、そこのマスターとしていた人間は

 

「「「レギアさん⁉」」」

 

レギアだった。ラインアーク指定の制服を着ているが、その姿はまさにプロの佇まいであった。

 

「レギアは、企業連の中で一番こういうのが得意だしね。ラインアーク代表に任されたの」

「なるほど…………」

「おいレギア、今日も豆はいいのが入ったのか?」

 

フィオナの説明に納得する簪。だが、普段のレギアからは想像ができない。ベルリオーズはどこか楽しげな表情をしている。それだけレギアの淹れるコーヒーが楽しみなのだろう。

 

「…………ああ。だが、粗製のブルマンしか入らなかった」

「全く…………メガリスで生産しろよ。少しは楽になるだろ」

「まーまー、せっかくだからみんなで飲んで行こう。ほら、座って座って」

「は、はぁ」

 

粗製のブルマンしか手に入らず嘆くレギアに、オッツダルヴァがラインアークの保有する循環施設メガリスでの栽培を勧める。

フィオナはフィオナで何処か嬉しそうな表情で、箒達に席へ座る様に言っている。

 

「…………今淹れる。時間かかるから、メニューでも見とけ」

 

そういうなり、レギアは豆を挽き始めた。かなり本格的である。先に言っておくが、各企業の店舗の中で一番人気のある店舗は、ここだ。逆に一番人気のない店舗は、トーラスとアクアビットが協力した『ビッグトーラスまん』『アクアビットまん』である。見た目が緑色と青なので不評。味は、それぞれずんだと抹茶、それにブルーハワイ。味だけならずいぶんといけるものだ。…………ブルーハワイ以外は。

 

「へぇ、メニューも結構あるんですね」

 

メニューを見た静寐はそう言葉を放った。確かに、デザートも多いが、コーヒーのブレンドの種類も多かった。さらに、パスタなどの軽食もあった。

 

「ここのオススメデザートはこれだよ」

 

フィオナが指さしたのは、『白栗(ホワグリ)モンブラン』。値段は240円。

 

「白栗…………ですか?」

「メガリスで栽培した栗の事。普通の栗と違って、真っ白な身に強い甘みが特徴なの。ちなみに、龍之介さんもよく食べてるよ」

「龍之介のイチオシか…………それじゃ、これをお願いします」

 

箒はオススメの白栗モンブランを選んだ様だ。

 

「じゃ、私はこれを…………」

「ほう、『水没王子タルト』か。いいセンスだ」

 

簪は二番人気の水没王子タルト(220円)を選んだ様だ。水没王子タルトとは、簡単に言ってしまえばラズベリーとチョコレートのタルトなのだが、この名前になったのには理由がある。

それは、喫茶店が始まって間もない頃、ラインアークの保有する循環施設メガリスでその事件は起きた。オッツダルヴァの水没。それはレギアとの模擬戦中に、愛機のメインブースタが逝ってしまったことだ。メガリスの周りにあった貯水池に、オッツダルヴァは墜落した。ただ、水深が浅かったのかヘッドパーツは浮き出ていた。それを見たレギアがこの(水没王子タルト)を思いついたらしい。

 

「あ、ちょっとトラウマを思い出した…………」

 

オッツダルヴァは、過去の事を思い出したらしい。彼が別名『水没王子』で呼ばれるのは、この事件があったからだ。

 

「私はこれにしようかな」

 

静寐が選んだのは『本日の海鮮パスタ』(380円)。パスタの中では最も人気のあるメニューだ。

 

「それじゃ、みんな注文は出たね。じゃレギア、後はお願いね」

「…………ああ、わかった。ベルリオーズ、頼みがある」

「はいはい…………それで、何が必要なんだ?」

「…………ホタテと海老」

「了解。じゃ、ちょっと出かけてくる」

 

レギアにホタテと海老を頼まれたベルリオーズは何処かへと向かって行った。何処へ行く気なのだろうか。

そんな事を考えているうちに、レギアが淹れたてのコーヒーを持ってきた。

 

「…………お待ちど」

「ありがと、レギア」

 

トレーをレギアから受けとったフィオナは、みんなへコーヒーを配った。

 

「ん? 粗製でこの味とは…………やるな、レギア」

 

粗製の豆と聞いて肩を落としていたオッツダルヴァも、このコーヒーの旨さに感心している。

 

「こ、これは…………」

「凄い香り…………」

「美味しい…………とても美味しいです」

 

初めて飲む三人は、それぞれ素直な感想を言った。一体、どんな方法で淹れているのだろうかと思ったに違いない。

 

「おいレギア、注文の物獲ってきたぞ」

 

コーヒータイムを楽しむ五人の元へ、レイレナードのアリーヤーーというかシュープリスが機体ごときた。その手にはライフルではなくデカイ網が持たれており、中にホタテが見て取れる。

 

「こんな物で十分か? あんまいいのなかったが」

「…………十分。感謝する、ベルリオーズ」

「いつもの事だ、気にするな」

 

レギアは、そのホタテの入った網をベルリオーズから受け取ると、厨房の奥へと向かって行った。

一方のベルリオーズは、機体を解除、席に座った。そして少し冷めたコーヒーを彼は啜った。

 

「ベルリオーズくん、どこに行ってたの?」

 

ベルリオーズがいった先を、静寐が聞き出そうとしている。

 

「ベルリオーズ、お前また海に行ってたのか?」

「「「海?」」」

「そうか、三人は知らないか。ベルリオーズはレギアの依頼でよく漁に行ってるの。きょうは、ホタテと海老のようだったから、すぐ戻ってこれたようね」

「あ、あれか…………あれはひどかったな。『フカヒレとオコゼ、シャコガイ』はきつかった。まさか、沖縄で漁をするとはな」

「「「遠っ‼」」」

 

ベルリオーズ、侮れないやつだ。北海道から沖縄までの海域を漁場にするとは…………。

 

「…………おい、できたぞ」

 

レギアが注文の品を持ってきたようだ。トレーの上には、白栗モンブランと水没王子タルト、本日の海鮮パスタが乗っている。

箒、簪、静寐はそれぞれ受けとった。

 

「それじゃ、いただきます」

「「いただきます」」

 

口の中にそれぞれ入れた瞬間

 

「「「美味し〜い‼」」」

 

それ以外の言葉が出なかった。

 

「この栗、凄く甘いな‼ 甘露煮か⁉」

「このラズベリーの酸味とチョコの甘味がいい感じに合わさっている」

「具材が新鮮で、風味がいい‼」

 

三人から料理を褒められたレギアは

 

「…………ありがとう」

 

素直に礼を言った。

この後、一行が向かう先はカラードであった。

 

 

 

 

 

ん? 何だが騒がしいな。炸薬でも誤爆したか? ソルディオス・オービットが床を転がってでもいたか?

 

「しかし、広いなここは」

「IS学園の格納庫より大きい」

「これ、東京ドーム何個分なの?」

 

あ、箒、簪、静寐がきたのか。まぁ、この下のコンテナには触れないだろう。てか、そう願いたい。中身がもうレベル的にやばい物しか入ってない。

 

「あれ、龍之介はここにいるんじゃないのか? どこにもいないぞ」

「それはない。リュウなら必ずここにいるはず何だが…………」

 

俺はいるぞ。ちょっと見つけ辛いかな。

 

「ところで、このコンテナって何だろう?」

「ここに、『触ってください』って書いてあるから触ってみようか」

 

いかん、そのボタンに手を出すな‼

 

ポチッ

 

今、簪がおしたと思われるあのボタンは『コンテナ、ハンガーモード』ボタン。企業連のコンテナは、ハンガーモードにすることができる。無論、それに屋根のような物はないので…………

 

「ふぎゃぁっ‼」

 

俺は、寝たまんまの体勢で落ちた。痛ぇ、二m以上上から落とされると、死ぬわ、確実に。てか、俺の背中異常に痛いな。そう思って見てみれば、ミグラントのカラサワがその銃口を俺に向けていた。…………怖っ。

 

「あ、龍之介」

「あ、じゃねーよ‼ 死ぬかと思った‼」

「どこにいたんだ? 探したぞ」

「そのコンテナの上。全く…………誰がハンガーモードに移行するボタン押したんだよ」

「「す、すみません…………」」

 

簪と静寐か…………てか、三つ全部開いたのか。て事は、アレが全部見えているのか。ま、好都合だな。ちょうど搭乗者(・・・)もいるようだしな。

 

「リュウ、その機体はなんだ? 私は知らないぞ」

「俺もだ。まず、その機体があることすら知らなかったぞ」

 

そりゃ、そうだ。俺が一人でアセンブルしたり制作した、ワンオフ機なんだぜ。カラードでもトップクラスの秘匿レベルの代物だ。

 

「そりゃそうだろ。誰にも言ってねえから」

「それじゃ、この機体のパイロットは? まだ決めてないんですか?」

「パイロット? お前らの目の前にいるじゃん、三人」

 

そう言うと企業連チームの視線が、箒達三人に向けられた。

 

「そういうことか」

「え、え、な、なに?」

「なるほどな」

「な、何か?」

「…………納得」

「なるほど」

「…………理解が追いつかない」

 

企業連チームはどうやら俺の意味がわかったようだ。

 

「とりあえず、機体の説明をするぞ。左の重量二脚機は[ネクストIS・アンヴァル]、中央の中量二脚機は[ネクストIS・ストラフ]、右の真紅の機体は[ネクストIS・ヴァイスハイトΩ]。ヴァイスハイトΩだけは、ネクストISというより、俺の機体と似た系統だな」

 

それぞれの機体が特化しているからな。アンヴァルは中〜遠距離の支援型、ストラフは後方からの砲撃、ヴァイスハイトΩは近距離での格闘型。単機でも十分強い機体だが、この三基の連携によって初めてその真価を発揮する機体なのだ。

 

「これを、私たちに見せてどうしろと…………?」

「篠ノ之箒、更識簪、鷹月静寐以上三名は現時刻を以って企業連ISパイロットに登録。三機のテストパイロットになってもらおう」

「「「突拍子もないな、おい‼」」」

「まぁ、実質専用機持ちになるからな。無理強いはしねえぞ」

 

三人はしばらく顔を見あって考えた後

 

「私は、その要請を受け入れます」

「私も、箒と同じく受け入れます」

「二人が同意したなら、私も受け入れます」

 

正式にテストパイロットへ登録した。

 

「わかった。それじゃ、お前らの機体を渡すぞ。静寐はアンヴァル、簪はストラフ、箒はヴァイスハイトΩに乗れ」

「これが、企業連のIS…………」

「なんか、ヒロイックなデザイン…………」

「私の、専用機…………」

「あ、機体名自由に変えて構わんよ。そいつらにつけたの、開発コードなだけだし」

「じゃ、私の機体は『神楽』に変更してください」

「私は『打鉄弍式』」

「私はそのままでいい」

「了解、登録のし直し〜っと」

 

一覧表にある機体名が二箇所変わった。

 

「武装は基本装備なら積んであるが、それだけじゃ足りないだろ? 倉庫から好きに選んでこい。オツダル、ベルリオーズ、案内してきてやってくれ」

「任せな、リュウ」

「第六棟と第八棟でいいんだろ」

「そうだ。それじゃ、頼むよ〜」

 

三人の武器選びを二人に任せ、カラードには俺とレギア、フィオナが残った。

 

「しかし、あれで良かったのですか?」

「ん? なにが?」

「箒さんにヴァイスハイトΩを譲渡した事です。あれでは、いつか篠ノ之束の妨害を受けます。それでは、こちらのデータが…………」

「漏洩する事はねえよ。俺が管理する第三世代擬似コア(・・・・・・・・)を搭載させたんだ。それも、オリジナルをはるかに凌ぐ性能のやつを。それに、今の擬似コアでもプロテクトは硬い。わかるだろ、レギア?」

「…………ああ、データをカラードバンクへ移すのに一時間かかる。その大半はプロテクトの一時的解除に取られたからな」

「そうですか…………それなら心配はないんですが…………」

「…………フィオナ?」

「なんだか、変な胸騒ぎがして落ち着きません…………」

 

その言葉が何を示していたのか俺にはわからない。だが、それが繁栄を導く物か、または破滅を呼び寄せる物か、それすらもわからない。だが、これだけは直感でわかる。いずれ、何かが起こる事を…………

 

 

 

 

ただな、俺武器を自由に選んでこいとは言ったが、

 

「なんでお前ら、OWつんでんだよ、おい‼」

 

三人ともオーバードウェポンを搭載しよった。07、08、09…………お前ら、それ没兵器だからな。




機体解説

ネクストIS[神楽]

鷹月静寐の専用機。初期開発コードはアンヴァル。基礎フレームはアルギュロス、頭部のみ霧積。基本兵装はハイレーザーライフル、グレネードライフル、チェインガン、大型ミサイル。
基本的に、万能型の支援型。ただし、火力が凄まじいため、フレンドリーファイアに気をつけなければならない。
OVERED WEAPON07搭載。


ネクストIS[打鉄弍式]

更識簪の専用機。初期開発コードはストラフ。基礎フレームはオーギル、頭部はEKHLZE、腕部はランセル。基本兵装は、両腕のプラズマライフル、背部のミサイルランチャー。砲撃、牽制のどちらにも向いた機体だが、装甲が少し薄い。
OVERED WEAPON08搭載。


ネクストIS[ヴァイスハイトΩ]

篠ノ之箒の専用機。龍之介の榴雷と同系統の開発だが、こちらは機動性を重視した機体。基本兵装は、日本刀型近接ブレード『サムライソード』、『ベリルショットライフル』のみだ。背部にはエクステンドブースターが四基、脚部に二基搭載されている。なお、この機体についての詳細はない。
OVERED WEAPON09搭載。
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