インフィニット・ストラトス 火力と愛と絆と   作:ディニクティス提督(旧紅椿の芽)

21 / 43
第十三話 デュノア社強襲作戦

『依頼の内容を説明させてください。依頼主は、デュノア・ミリタリー・カンパニー社長、アルクロイド・デュノアです。

単刀直入に申します。私の一人娘、シャルロット・デュノアを保護してください。あの子は、私にとってとても大切な存在なのです。それを失えば、私はどうすればいいのかわかりません…………。

もう一つは、我が社、デュノア社への強襲をしかけてください。そこで私共々、妻を殺害して構いません。それが、贖罪を償えるただ一つだと思っています。

少ないですが、謝礼を用意しました。どうか、この依頼を飲んでいただける事をねがいます』

 

なんだろう。ただの依頼のくせにすごく悲しい想いが伝わってくる。シャルルーー本名シャルロット・デュノアを男装させて転入させてきたのはシャルロットの親父のはずだ。だが、なぜこんな依頼をしてきたのだろうか。

この依頼は少し保留しておこう。もしかすると、大変な事になるかもしれない。

でも、その前に親父に電話いれておこう。

 

「うーい、親父。聞こえる?」

『ああ、何の用だ? 依頼関係か?』

「そう。それでなんだけどな…………俺かなり無理言うかもしれないけど聞いてくれ。…………デュノア社を企業連へ引き込みたい」

『…………お前にもその依頼がきたか。デュノア社の綱紀粛正の依頼が』

「つーことは、親父も?」

『ああ。だが俺は、デュノア社を別に引き込んでもいいと思うんだ。俺とアルクロイドは知り合いだからな、問題ない。それに』

「それに?」

『デュノア社の開発チームの根性はすごいぞ、企業連にも劣らない。アルクロイド側のメンバーはな。逆に妻ケレスティナはカスだ。あいつは自分で物を作らん、発想はすべてアルクロイドの物だ』

「なんだそりゃ? 結局、自分で考えもせず他人から奪ってくようなやつなのね」

『まぁ、そうだ。それに本来ケレスティナの奴は、アルクロイドの妻ではない。本当の妻は、ケレスティナの金に物を言わせたやり口で田舎へ飛ばされた。無論、アルクロイドも反発したが、相手は資本家だ。歯向かった時点で、デュノア社が崩壊するのが見えていた。仕方なく、指をくわえて見ていた挙句の結果がこれと言うわけだ』

「…………オッケー、つまり妻ケレスティナ及びケレスティナ側陣営の連中の殺害、アルクロイド側のメンバーと本人をこちらへ引き込む作戦でいいんだな?」

『うむ。息子よ、頼む。アルクロイドは知り合いだが、俺の友人なんだ。本当だったら、俺が行きたいんだが、無理だ…………だから、任せたぞ‼』

「あいよォ‼ それじゃ、こいつら呼んどいて。カスケード・レインジ、ラ・ルー、ダーティスレイマー、キルドーザー、それと四脚のUNACにキャノン系を積ませた奴十機くらい頼む」

『任せろ。明後日の朝にギガベースと第八艦隊でフランスへ向かう。北極の特殊ルートを通れば、二時間で着く計画だ』

「そこまでおぜんだてしてもらえりゃ、後は俺らが暴れるだけで構わないだろ?」

『ああ。お前の機体に搭載された過剰なまでの暴力的火力を見せつけて来い』

「おう。それじゃ、切るわ」

 

ふぅ…………とりあえず、これだけの戦力がありゃなんとかなるか。今回はネクストISはキルドーザーのみ。それ以外は、コジマドライヴを一基だけ搭載し、ジェネレーターを搭載した『ハイエンドノーマルIS』。こいつらは、ネクストには及ばないが、クレスト、ミラージュ、キサラギの三企業の統制する部隊『グローバルコーテックス』の精鋭。強襲を得意とする彼らにとってこの任務は最適だろう。さらに、キルドーザーの専門は解体である。本社を破壊して、事故に見せかける事もできる。後は俺か。まぁ、問題ないか、どうせUNACと援護祭りだろうから。システムの統制もとれているだろ。まぁ、今日は寝よう。身体が疲れている。俺が、眠りに落ちるまで三分も必要なかった。

 

 

 

 

 

翌日。

今日は土曜日。授業は午前中に終わり、ほとんどの生徒が自分の操縦スキルを磨くため、アリーナで特訓をしている。無論、俺や一夏、箒、簪、静寐、シャルル、その他二名に企業連チームも例外ではない。ただ、驚いたのは、その中に歩の姿がある事だ。一夏が言うには専用機を持っているらしいが…………。

 

「箒、簪、静寐、あれ展開して構わねえよ。ここ貸切にしてきたから」

「貸切? そんな事ができるのか?」

「ああ、学園長に悪覇薙死してきたら、あっさり許可でた」

「…………なんだろう。言葉から、単語の持つ意味以上のナニカを感じるんだが…………」

「…………箒、それ私たちも」

「…………学園長、御愁傷様」

 

む? ちょっと書類書いたら許可されただけなんだけど。なんで、皆お通夜みたいな顔しちゃってるの?

 

「ま、さっさと始めるぞ。ほら、早よ展開せい」

「それじゃ、来て『神楽』」

「おいで、『打鉄弍式』」

「来い、『ヴァイスハイトΩ』」

 

三人とも展開が完了した模様。ま、問題ないだろ。展開するにもそんなに遅くもねえし。

 

「よし、お前ら、今日は適当に動いていい。あ、武器も使って構わんから」

「なんか説明雑‼」

「しゃーねえだろ、まだ慣れてない機体でなにができるんだ? とにかく慣れろ、いいな?」

「「「…………はーい」」」

 

三人は渋々だが、俺の言う通りに思うように動かす練習を始めた。すると、ここへくる者が一人。シャルルーいや、シャルロットでいいや。彼女も専用機のラファールリヴァイヴカスタムⅡを展開している。

 

「ねぇ、龍之介。模擬戦してくれないかな。その機体と手合わせして見たいんだ」

「あいよ。どうせ、こっちも指示を出したばっかだからな。一戦やるか‼」

 

と言う事で、模擬戦をする羽目になった。まぁ、悪くはないんだけどな。なんかね、武器迷う。何使おう?

 

「龍之介、準備はいい?」

「おう。いつでも来い‼」

「それじゃーー行くよ‼」

 

シャルロットは開幕の合図としてか、俺めがけてアサルトライフル『ヴェント』を放って来た。だが、意味はなかった。プライマルアーマーが減衰されただけであり、弾丸は弾かれている。本当にチートの塊だよな、榴雷。

 

「え⁉ 弾が弾かれた⁉」

「おい、それで呆然として止まっていると、いい的だぞ?」

 

ー右腕武装 NWリニアバズーカ

ー左腕武装 NW60mm電磁投射砲

ー右背部武装 NWチェインガン

ー左背部武装 NWグレネード[OGOTO]

ー左腕接続 NW対弾シールド

 

よし、これだけあれば問題ねえだろうよ。俺は、リニアバズーカを構える。リニアバズーカは、簡単に言うとリニアモーターカーの原理を使い、高火力の多目的榴弾[HEAT-MP]を撃つ兵装である。かなりエグいな、音速に近い速度で多目的榴弾が迫ってくるのは。

まぁ、心の中ではいろいろと言っている俺だが、結局慈悲の欠片などあらず、シャルロットめがけてリニアバズーカを放った。

 

「うわっ‼」

「そらそらそらぁぁぁぁぁぁ‼」

 

リニアバズーカの着弾を確認。爆音が響き渡る。そして、追撃と言わんばかりにチェインガンを放つ。

 

「うわ⁉ まだ、あるの⁉ その機体って武器庫⁉」

「お前も同じだろうが‼ 高速切替使えるんだろ‼ 俺に見せて見ろ‼」

「そう言われたら、やるしかないでしょ‼」

 

シャルロットは持っていたライフルを格納、代わりにアサルトカノンとサブマシンガンを展開した。アサルトカノンから吐き出される爆破弾(多分CEダメージ)が、プライマルアーマーを減衰させ、サブマシンガンの連射がさらに拍車を掛ける。一応シールドを展開しているが、範囲があまり広くない。次は面積の大きい盾を持ってこよう。プライマルアーマーは現在107mm。まだ行けるぜ。

 

「ひゃっはー‼ そろそろ締めるぜ‼」

 

リニアバズーカ、チェインガン、OGOTO、電磁投射砲を一斉起動。それぞれをロックする。アウトリガーと無限軌道ユニットを展開。

 

「何をしようとしてるかわからないけど、させないよ‼」

 

シャルロットは何かを感じ取ったのか俺への連撃の手を止めない。また新たに武装を呼び出す。その手に握られてるのは、デザート・フォックス(五九口径機関銃)⁉ よくあんな代物片手で余裕そうに扱えるよな。その銃口から吐き出される弾丸が俺のプライマルアーマーを削る。それでも、大半は弾き返しているけどな。

 

「さて、ちょっと覚悟しろよ? フルバースト‼」

 

その瞬間、俺の砲口という砲口から吐き出される多種多様な弾丸がシャルロットを襲う。HEAT-MP、徹甲弾、APFSDS、有澤グレネード。耐えられた奴はすごいと思う。だが、そんな事ができるはずもなく

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」

 

シャルロットの叫びがアリーナに響きわたった。

ちなみにその後のアリーナの地面がボコボコになっていたそうだ。

 

 

「どうだ、シャルル。俺の機体の火力は?」

「…………も、もう、バカとしか言いようがないよ」

 

平然とした俺に対して、シャルロットはすでにヘロヘロである。やっぱやりすぎたかなー? 流石に電磁投射砲はまずかったか。あれ、結構エネルギー食うのよね。それに、弾速もノーマル・ウェポン最速だし。避けられるわけねえか。

 

「ま、こんなもんだ。まぁ、うちにはもっとやばい火力の奴がいるけどな」

 

もっとやばい火力の奴=親父と雷電・甲。親父と真っ正面からやりやった奴はみな、顔面蒼白になって帰ってきた。

 

「は、ははは。勝てる要素が見えないよ…………」

「まーまー、そう落ち込むな。あ、一夏の特訓頼むわ。あそこの代表候補生二名の説明はわかる人にしかわからんようだから」

「うん、わかった。じゃ、また後でね」

 

そう言ってシャルロットは一夏達の方へと向かって行った。一方の箒達はといえば、

 

「箒、ミサイルばら撒くよ‼」

「わかった‼ 一時離脱する‼」

「ついでにチェインガンとグレネードも撃つわ‼」

 

…………おい、お前らいつドローンなんてだした? それに、動きも良くなっているじゃないか。連携もいいな。

 

「一気に切り伏せる‼ 援護を頼む‼」

「任せて、VSL発射‼」

「レーザーで追い立てるよ‼」

 

箒を突っ込ませ、簪と静寐が援護をする。うむ、理想的な連携だな。こいつらは、ドミナントか?

そして、箒がサムライソードを振り下ろし、ドローンが二つに切り裂かれて仮想戦闘訓練は終了。

 

「いやー、すげえなお前ら」

「まぁ、私達ならあれくらいは簡単だ」

「うん、それにドローンもそんなに強くなかったしね」

「…………とか言って、最初はすごい苦戦してたじゃん」

「「静寐‼ それは言わないの‼」」

「…………ごめん」

 

静寐、すごい扱いが不当だな。

 

「なにはともあれ、あれくらい動けるんだったら、問題はねえよ」

「今の私達なら、龍之介に勝てると思うぞ‼」

「私も。この子となら勝てる」

 

ほう、そう来たか。なら、応えてやろうじゃないか。

 

「んじゃ、やるか。俺に勝つんだろ、今のお前らなら?」

「「「…………え?」」」

「と言う事で、バトルスタート‼」

 

俺の機体の各所に設けられたハードポイント。そのすべてに、ガトリングとマイクロミサイル、背中にはガトリンググレネード[SHIRABU]を両背部にセット。それをすべて箒達に放つ。その圧倒的な弾幕は俺の視界を埋め尽くした。

 

「無理だ‼ 避けられない‼」

「離脱だ‼ 離脱する‼」

「無理無理無理無理‼」

 

おい、避けられねえとかいいながら、よけてんじゃん。十分だろ。でもな、よそ見してると

 

「「「うわぁぁぁぁぁぁ‼」」」

 

上から垂直発射ミサイルが落ちてくるぞ。

結局、箒達は俺に一撃も当てられず、三分で沈黙した。…………なんか、すまん。

 

「それで、感想は?」

「「ごめんなさい、調子に乗ってました」」

「うむ、それさえわかりゃいい」

「…………なんで、私まで」

「まとめて吹っ飛ばしただけ」

 

どこまでいっても扱いが不当だった、静寐であった。

 

 

 

 

 

 

その夜。

 

「あー、楽しかった」

「…………もう、龍之介には逆らわない」

「何を言ってるんだ?」

 

自室で思いっきり寝っ転がっていた。まぁ、しなきゃならない仕事があるんだけどな。

 

「とりあえず、飯でも食いに行くとしますか。箒、行こうぜ」

「あ、ああ。今行く」

 

そうして、飯を食いに行こうとした時だった。一応、学寮は防音対策がされているので、部屋の中の音が外に漏れる事はない。だが、この時は違った。ほんの僅かに声が聞こえた。それも、悲鳴。

ちょうど、簪、静寐、企業連メンバーが来た。まぁ、これも仕事の一つだ。頼んでおくか。

 

「箒、ちょっと悪りぃ。俺、便所に行ってくるわ。先に飯食っててくれ。簪とかもいるだろうよ。ってことで、スマン‼」

 

その場からオーバード・ブーストよろしく、ダッシュで便所の方ーーてかそっちの方向に一夏の部屋があるーーに向かった。

 

 

一夏の部屋の前に着いたのはいいが、どうするかね。普通に入るか。

 

「おい、一夏。いるんだろ、開けろ」

『げぇっ‼ 龍之介⁉ すまん、今は無理だ‼』

「悪いが正面から行かせてもらうぞ。ドアから離れろよ」

 

俺は、義手にKIKUを展開。ドアを吹き飛ばす。あー、痛ぇ。反動きついわ、パイル。

 

「おい、無理やり入ってくるなよ‼ てか、そんな物騒なもの使うな‼」

「お前が素直にいれさせてくれればこんなことにはならなかったはずだ」

「そんなことできるはずないだろ‼」

「龍之介⁉ なんで、ここに…………?」

「ほう。そういや、お前ら同室だったよな。まぁ、いいや。俺は、お前に用があってきたんだ」

「僕に…………?」

「ああ、そうだ。単刀直入に聞く。何故、男のふりをしていたんだ?」

「‼」

「龍之介⁉ お前知っていたのか⁉」

「いや、知っていたって言うか、あれだ。体つきを見てわかった」

 

そりゃ、男と女とでは骨格も筋肉のつき方も違う。バレるなんてことは当然なんだ

ちなみにオカマ系のACパイロットの奴は、女性の体つきに似せるため肩の骨を削って肩幅を狭くした、と言っていた。男と女とではそれほどまでに違うんだ。

 

「んで、本題に戻るぞ。別に言いにくい理由なら言わなくていい」

「…………いや、すべて話すよ。もう、二人には知られてしまったし。それに、これは僕が受ける罪だと思うから」

 

シャルロット、お前はすごく辛そうな目をしているぞ。なぜ、無理に笑おうとしているんだ。

 

「僕がここにきた理由はね、二人の機体データを盗んでくる事なんだ、父さんからの命令でね」

「なっ…………‼」

「なるほどな」

 

しかし、これには複雑な理由が組み込まれている事を彼女は知らないだろう。いや、知っているやつは彼女の親父だけか。いずれ、聞く必要があるだろう。

 

「男装すれば容易に近づけるし、こういう展開になればどちらかと同室になる事は目に見えているからね。結局、僕は会社のスパイなんだよ」

「…………ふざけている。自分の子供にこんな事をさせて…………‼」

「ううん、一夏。僕は本当の子供じゃない。父さんの愛人の子なんだ」

「…………‼」

「…………」

 

俺は、しばらく無言になった。ここで口出しはできない。シャルロットの肩が僅かだが震えている。やめろよ、辛いなら話すなよ。

 

「二年くらい前に母さんが死んでからは、父さんのところで暮らすようになったんだ。でも、初めて父さんの家に入った時に、『この泥棒猫の娘が‼』って本妻の人に殴られたんだ。あの時は痛かったなぁ…………」

「あと、従姉妹なのかな? 結構いじめられていたよ。出かけようとした時に靴を隠されたり、部屋の中をめちゃくちゃにされたり、ひどい時は階段から突き落とされかけ時ともあった」

「それでも、父さんは何も言ってくれなかった。それに、父さんとはあまり話をしたことはないし…………ほんと、なんなんだろうね」

「そのあとだったかな、僕にIS適性が見つかったのは。それからは、テストパイロットとしての日常。毎日の苦しいテスト内容に、本妻の人から虐げられる毎日…………何度も死にたくなったよ」

 

…………やめろよ、やめてくれ。お前の乾いた笑みは見たくない。それに、お前の声は震え始めているぞ。

 

「そうして、今はIS学園でスパイ活動をしようとしていた。これが、僕の過去だよ」

「…………お前はこれからどうするんだ?」

「多分、国に強制送還。よくて牢獄、悪くて極刑かな。どのみち仕方ないんだよ、僕には自由なんてないんだから。でも、これで良かったのかもしれない」

「どういう事だ?」

「だって、二人には何も被害がなかったんだよ。僕だけがその罪を負えるんだ。それに、二人に出会えてよかった。短かったけどありがとう、一夏、龍之介」

 

シャルロット、お前は今にも泣き出しそうじゃないか。辛いんだろ、お前だってそんな事は望んでないはずだ、俺たちと別れるだなんて。

 

「…………けるな」

「え…………?」

「ふざけるな‼ そんな事が許されていいのかよ‼」

「い、一夏、急にどうしたの?」

「愛人の子だからどうした⁉ それだけで愛せないのかよ‼ ふざけているにもほどがあるだろ‼」

「い、一夏、どうしたの。なんか、おかしいよ」

「シャルルの親父‼ 聞こえてるかわからねえけどな、お前のしてきた事は俺や千冬姉のような親から見捨てられた子供達への、最大の侮辱だからな‼」

「え…………一夏…………」

「シャルル…………多分データで見たろ、俺の備考のあたりで『両親不在』ってな。俺と千冬姉は、親に捨てられたんだ…………」

「…………ごめん、嫌な過去を掘り返してしまったね」

「気にするな、俺はもう気にしていない。俺の家族は千冬姉だけだから。それよりも、俺はお前にも怒らなければならない」

「おい、一夏。それはお門違いーー」

「龍之介は黙っててくれ」

「ーーへいへい、そーですか」

「シャルル、なんでお前はそんな簡単に諦められるんだよ。もう少し足掻いて見せろよ‼」

「そんなの無理だよ‼ だって、僕には自由なんてないんだよ‼」

「だったら、ここにいろ‼」

「え…………」

「IS学園特記事項第二十一、本学園における生徒はいかなる国家・組織に委嘱しない。また、在学中は生徒への干渉を禁ずる。少なくとも三年間は、安全だ。その間に考えておけばいいだろ?」

 

おお、一夏‼ そいつはいい考えだ‼ お前にしてはよくやったよ。

 

「すごいね、特記事項なんて五十五もあるのに」

「勤勉なんだよ、俺は」

「…………嘘つけ」

「なんか言ったか、龍之介‼」

「なんも言ってねえよ‼」

 

なんも言ってないったら、言ってない。

 

「でも、いいのかな…………こんな僕がいて…………」

「本音をぶちまけろ。そんな、こり固まった鎖は断ち切れ、お前は首輪を繋がれた山猫(リンクス)(レイヴン)じゃないだろ。自由はあるんだ」

 

シャルロットはしばらくを間を置いてから

 

「ううっ…………僕はっ…………みんなど…………過ごしだいっ…………あぅっ…………笑っていだいよ…………えゔっ…………」

 

泣いた。殺し切っていたであろうその本音をぶちまけながら。それを見た一夏は、シャルロットを自分の胸にだいた。

 

「…………シャルル、今まで辛かったんだろ? 今は思いっきり泣いていいんだ、俺は見てねえから」

「うぅぅっ…………うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………‼」

 

その後もしばらくシャルロットは、一夏の胸の中で泣き続けた。その泣き声は、とても悲しく辛く、胸に突き刺さるような感じがした。

そして、俺は思う。あの依頼を完全に完遂する事を。

 

しばらくしてシャルロットが泣き止んだわけだが、ここで発動するのが俺の常識ブレイカー。

 

「な、なぁ、シャルル? もう少しファスナーを上げてくれないか?」

「なんで?」

「そ、その、目に入ってくるんだ。そのスタビライザーが…………」

「‼ も、もう‼ 真面目な話をしてるってのに…………一夏のえっち‼」

「冤罪ですか⁉」

 

はい、シャルロットの名言(迷言)をいただきました。別にこのタイミングでなくてもいいと思うんだけどな。

 

 

 

 

 

翌朝。

俺は企業連本部に戻っていた。千冬さんには外出許可証をもらってきた。今日は多分授業欠席ですな。

 

「第一小隊一番機、有澤龍之介ただいま戻りました」

 

その俺を迎えてくれたのは

 

「よく帰ってきた。用意はしてある。急ぐぞ」

 

雷電・甲を纏った親父だった。あんたも行く気なのかよ。まぁ、助かりますけどね、制圧では。

 

「ギガベースはいつでもいけるのか?」

「ああ、すでにあの四機とUNAC十機はな。UNACの装備はスナイパーキャノンとヒートキャノン、レールキャノン、レーザーキャノンで構わなかったか?」

「最高だよ。それなら、支援にうまく使える」

「そうか。ところで量産型VOBを六基使ったが問題ないか?」

「? ああ、問題ないぜ。てか、代表なら、自由に使っていいだろ」

 

そうこう言ってる間に、ギガベースへ到着した。アームズフォートとしては、比較的小型だが、水陸両用のAFのため揚陸艦としても使える。

今回の作戦プランはこうだ。

まず、ギガベースの超長距離砲撃。

次に、実働隊の突入部隊が本社内のアルクロイドを保護回収。そして、ケレスティナの射殺。

最後に、俺とギガベースが本社ビルの破壊。多分これに親父も追加。

作戦プランはこれで構わないと思うが…………一つだけ気になることがあった。…………ギガベースの最後部にVOBが片側三基ずつ着いていたんだが…………まさか

 

「発進するぞ‼ 轟け、我がGAグループ、クーガーの傑作を‼」

「のわぁぁぁぁぁぁ‼ これも飛ばす意味あんのかよ⁉」

 

ギガベース、海上を時速1827キロでフランスへ向かった。てか、死ぬ‼ 任務の前に死んでしまう‼

 

 

 

 

 

太平洋を北上するギガベースは、一時間ほどで北極付近へ到達した。このギガベースは、本来BFF第八艦隊の使用機であるがゆえ速度はあまりでないが(拠点型はたいして速度が出ない)、六基のVOBのおかげで音速と同レベルの速度で動けている。それでも、十分異常なのだが。

 

「なぁ、親父。北極をどうやって突っ切るつもりなんだ?」

「正面から突っ切る。それしか考えつかなかった」

「…………ヴァーカ」

 

さすがは有澤重工社長。どんな時でも社訓をわすれない企業魂。社長の鑑だ。

もちろん、ギガベースは北極の氷に乗り上げ、そのまま突っ切って行く。VOBの速度と、コジマ粒子による重量の軽量化によって成せる技だ。普通に行くと、砕氷船と同じ事になる。

 

「あの氷山邪魔だな。おい、キルドーザーを呼べ」

「へい、呼んできました」

「よし、いいか、あの氷山が見えるな? それを破壊してこい」

「だっしゃぁぁぁぁぁぁ‼ 任せなぁぁぁぁぁぁ‼」

 

ギガベースから飛び立つキルドーザー。向かう先は指示された氷山。そして、

 

「どぉぅりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」

 

両手のドーザーでめちゃくちゃに破壊する。気がつけば、あたりにはダイヤモンドダストが見えたとか。氷山などはなくなり、ギガベースの進路上に障害物がなくなったとか。…………やる事雑だな、GA。

北極を突破し、大西洋へ入ったギガベース。中では、すでに戦闘準備が始まっていた。

 

「総員、カタパルトデッキにいけ‼ 第一種戦闘準備、急げ‼」

「「「「了解」」」」

 

隆文の合図で、ギガベース内のACパイロットはカタパルトデッキに向かう。そして、彼もまた自身のネクストを展開し、メインゲートに降り立つ。

 

企業連と企業の戦争。

この戦いはただ一人の少女とその父親を救い出す、その名の下に動いてた。目標はデュノア・ミリタリー・カンパニー。残り約300キロ。戦いの火蓋がきられるまで、あと少しーー。

 

 

 

 

 

その頃、デュノア社では

 

「婦人、所属不明の艦艇がこちらへ向かっています。このままの速度ですと、こちらへ乗り上げます」

「放っておきなさい。特に問題もないでしょう。それよりもあの娘からの情報はまだなの、アルクロイド?」

 

デュノア社社長アルクロイド・デュノアは、妻ケレスティナに睨まれていた。原因は、彼の娘シャルロットにあった。本当は彼女を逃がすために、ついた嘘であるのだが、ケレスティナはそれを本気にしていた。

 

「いえ、まだきていません」

 

誰が教えてやるものか、貴様ももうじき死ぬのだからな。腹の中ではそう言っていた。

それを聞いたケレスティナは

 

「ふん、使えない娘ね。所詮、泥棒猫の娘と言ったところかしら」

 

貴様よりは、はるかにいいわ‼

アルクロイドの怒りはすでに限界を越していた。なぜ、このような奴が私の妻なんだ‼ 私には、自由もないのか‼ 彼はそう、心の内で叫んでいた。

そんな時だった。

 

「ふ、婦人‼ 社長‼ 例の未確認艦艇が、こちらへ全速力で向かってきています‼ このままだと揚陸されます‼」

「なんですって‼ 今すぐ迎撃しなさい‼」

「りょ、了解しました‼」

 

アルクロイドは、この時を待っていた。ああ、これですべてが終わる。社などどうでもいい、ISがどうなってもいい。あの娘さえ、無事であればーー。

その直後であった。超長距離からの砲撃が始まったのは。

 

 

 

 

 

「レールガン、リフトアップ‼ 装填急げ‼」

「レールガン、いつでも撃てます‼」

「主砲、発射体勢に入ります‼」

「主砲、装填完了‼ いつでもいけます‼」

「ミサイルランチャー、01から08、用意が完了しました‼」

「よし、砲撃開始‼ 目標、デュノア社‼ ファイアー‼」

 

デュノア社に第一射が着弾する前、ギガベース艦橋では慌ただしく砲撃準備が始まっていた。そして艦橋部分がスライドし、ギガベースに搭載されている兵装が顔を出す。

ーー1600mm長射程電磁投射砲

その射程と装填速度は侮れないものであり、弾速、精度に関してはかのBFFすら凌駕している。…………ただ、デカすぎる事を除けば。

また、カタパルトもそれぞれ、発信準備にかかっていた。

 

「カスケード・レインジ、出る‼」

「ラ・ルー、出るぞ‼」

「ダーティスレイマー、出撃する‼」

「どぉぅりゃぁぁぁぁぁぁ‼」

「榴雷、行くぞ‼」

「雷電・甲、行かせてもらうぞ‼」

 

六機のネクストISとハイエンドノーマルIS。その精鋭たちについで、無骨な佇まいのACが起動する。

 

「フォーミュラブレイン、異常なし。UNAC01から010、全機発進せよ‼」

『了解、システム戦闘モードニ移行シマス』

 

無機質なAIボイス。UNACーー無人ACは、その四本の脚で地面を踏みしめながら、六機のあとをついて行く。そのカメラアイを赤く、悪魔の瞳ように光らせながら。

 

 

 

 

 

「見えました。例の未確認艦艇より、高熱源体が発進しました‼ 数十‼」

 

索敵班の男が現状を報告する。

 

「何を怖気ついている。敵はそれだけなのだろう。我が方の戦力とは比べものにはなりません」

 

現在、デュノア社の戦力は、フランス軍主力戦車『ルクレール』78

輌、その他装甲車輌132。航空戦力、戦闘ヘリ45機。そして、IS『ラファール・リヴァイヴ』5機。敵は未確認ではあるが、これだけの戦力があればどうという事はない、勝敗を分けるのは数の差だ。そう、ケレスティナは思っていた。

だが、彼女は知らない。いや、この世にいる二人を除いて、あの戦争を知らないだろう。

 

たった26機の戦力で、国家が滅んだあの戦争ーー国家解体戦争を。

 

「私は、ちまちまとした事が嫌いです。正面からすり潰してやりなさい、完膚なまでにね」

『『『了解』』』

 

彼女は防衛部隊にそう指示を出した。敵はすぐそこまで近づいてきている。ならば、迎え撃つのみ。そう読んでいたが、突然熱源体が停止した。

なぜ、と思った彼女だったが、その思考はすぐに中断された。突然戦車が一輌破壊されたからだ。

 

『どこからだ⁉ 見えないぞ‼』

『レーダーの範囲外⁉ そんな…………』

 

戦車隊はすでに困惑していた。アウトレンジからの攻撃。それでは、どうしようもない。

 

「なにをしていますか。ヘリ部隊と連携し、攻撃を始めなさい」

『りょ、了解』

 

今度はヘリが先行する事になった。

だが、今度はヘリが落とされた。高出力のレーザーによって。

それでも一瞬だけ、敵の姿をヘリのパイロットは見た。ヒトガタの上半身を持つ、四脚のナニカを。

 

「ダメです‼ このままでは陣形を崩されます‼」

「なにをしている‼ さっさと撃破しなさい‼」

 

もう、彼女の顔は焦りに満ちていた。

 

 

 

 

 

「それじゃ、始めるか。全機、ステルスモード解除‼ 作戦を開始する‼」

 

俺は、ステルスモードを解除し、敵さんの正面に立つ。なるほど、大量の通常戦力による飽和攻撃か…………奴さん、考えたな。

だが、そんな考え通用すると思うのか? 俺のネクストISに。

 

「仕方ねえ。一気にかたづける‼ アセンブルコード『焦土』‼」

ーアセンブルコード『焦土』、適用

ー右背部、NW超大型グレネードキャノン[OIGAMI]装備

ー左背部、NW二連装ロングレンジレールキャノン装備

ー右肩部、NWツインシールド及び二連装小型グレネード、十八連装対ISミサイルランチャー装備

ー左肩部、NW増加装甲装備

ー右腕部、NW四連装ハープーンミサイルランチャー及び七連装対IS中型ロケット装備

ー左腕部、NW四連装ハープーンミサイルランチャー及び七連装対IS中型ロケット及び大型ガトリング砲装備

ー炸薬調節システム、全兵装に適用

ー脛部アウトリガー及び脹脛部無限軌道ユニット展開

ー単一仕様能力[ENDLESS BULLET]、起動

ー炸薬調節システム、[キチガイ]で適用

 

俺のアセンブルコードの中で最も汎用性の高い装備だ。というか、完全なる殲滅兵装。おまけに、単一仕様能力と炸薬調節システムの発動ときた。こうなると、武器庫から要塞に変わるんだよね。

 

「まぁ、いいか‼ さっさと片付けちまおうぜ‼」

 

戦車やヘリがちまちまとプライマルアーマーを削ってくるが知ったものか。

すべてのロックオンシーカーをセット。対象は、すべての敵さんよ。

 

「フルバァァァァァァァァァァァスト‼」

 

その叫びと共に放たれる多量のミサイルとリニアキャノン、グレネード、ロケット、ガトリング。そのすべてが、戦車の装甲を穿ち、ヘリを羽虫のように叩き落とした。

すでに陣形は崩れ始めている。UNACの援護もあるが、一番ヤバイのは、親父。

おのOIGAMIが二門だぞ‼ 二門‼ あり得ねえよ、普通。もう、戦車が空中で回転したぞ。常識外だ…………。

とにかく、突破口は開けた。あとは、突っ込ませるのみ‼

 

「カスケード・レインジ、ラ・ルー、ダーティスレイマー、全機デュノア社に突っ込め‼ 目標を抑えて来い‼」

「「「了解」」」

 

そうして、突っ込んで行くプロのレイヴン。最高の戦士たちだ。ただ一つ、カスケード・レインジとラ・ルーがあれを放つと…………なんか、ヤヴァイかも…………。

すでに敵の通常戦力は、半分を切っており、ISも二機が墜ちた。防衛部隊が壊滅するのも時間の問題となった。

 

 

 

 

 

「な、なんなの、あのISは…………化け物なの?」

「…………少なくとも、お前には荷が重いだろうな」

 

ケレスティナのふとした一言に答えたのは、アルクロイドであった。この戦力を呼んだのは彼。無論、自分には到底扱えない、傭兵であると自覚している。

 

「アルクロイド‼ まさか…………あなた‼」

「そうさ、彼らを呼んだのは私だ」

 

ケレスティナはここまできてやっと気づいた。だが、それは遅すぎた。もうすでに、昨日の内に、この戦いが始まる布石が敷かれていた事を、彼女は気づけなかったのだ。

 

「それに、この会社は終わりだ。お前がラファール・リヴァイヴを出した時点でな」

「あら? それはこの会社にとって、有益だったんじゃないの? いつまでたっても、武装しか作らない、いや作れないあなたたちにとってもね」

「なにを言っている? ラファールが開発されなければ、社の開発者達は自由に開発と研究ができたんだ。それに、貴様が来てからというもの、私は愛していたソフィアを失ったんだ‼ それも、お前に蔑ろにされてな‼ それに、愛娘のシャルロットだって…………貴様らのせいで、私は抱きしめる事すらできなかったんだ‼ その苦しみがわかるか‼」

 

アルクロイドの言葉は、もう今までの鬱憤を晴らすかのような言葉であった。妻を愛する事も許されず失い、愛娘もこの胸に抱きしめる事すらできない…………そんな苦痛が誰にわかるのだろうか。

 

「へぇ…………私より、あんな泥棒猫の方がいいっていうの。ならいいわ、来なさいリヴァイヴ。あの男を殺すわよ‼」

 

ケレスティナは自身の機体、リヴァイヴを呼び出す。そのネイビーブルーの機体カラーに、四枚のマルチスラスター、二枚の大型シールド、その手に握られるのは近接ブレード『ブレッドスライサー』。

対して、アルクロイドはと言うと

 

「まぁ、時期が早くなっただけか…………貴様とはいずれこうなるとは思っていたよ」

 

来ていたスーツを脱ぎ捨てる。その下にあったのは、なにやらパワードスーツのようなものだった。

 

ーExtend Operation Seeker

 

国連が開発した、パワードスーツ。その用途は災害救助から、軍用と幅が広い。

だが、そのEOSは異彩をはなっていた。普通は両手にジョイントパーツなどないのだが、このEOSにはついている。

 

「仕方ない。これも運命だ。受け入れろ‼」

 

アルクロイドは何を思ったか、ロッカーの一つに手を突っ込む。そしてその中から引っ張り出したもの、それはーーパイルバンカーであった。ごつい直方体に鉄杭とマガジンを取り付けた無骨なデザイン。デュノア社の誇るボツネタ兵器、XPB-00こと『紅の鱗殻(レッド・スケール)』。ただ、破壊力を求めた故に、反動制御のまずい代物である。

それを、アルクロイドは右手のジョイントパーツに取り付けた。

 

ー規格外の武装が装備されました。

ー機体制御に深刻な障害が発生しています。

ー使用の停止を推奨します。

 

「あら? 随分と悲鳴をあげてるじゃない?」

「…………ほざけ。貴様をすぐに始末してやる…………‼」

「アルクロイド…………‼」

 

二人は、それぞれの得物を構え、突っ込む。だが、リヴァイヴの方が明らかに速かった。量産不可で圧倒的性能のISと、工業生産が可能な汎用のパワードスーツ、その性能差は火を見るよりも明らかである。だからこそ、アルクロイドはその場で止まった(…………)

 

「なに、気でも狂ったの⁉ そのまま餌食になるわよ、あなた」

「俺は至って平常だ。それに、お前こそ覚悟しろ。餌食になるのは貴様だ‼」

 

ケレスティナがブレードを振り下ろし、アルクロイドがパイルバンカーを突き出す。交錯する一瞬、鈍く、何かを貫く音が響き渡った。

みれば、ケレスティナの胸にパイルバンカーが突き立てられていた。無論、パイルバンカーはほぼ通常兵器であるため、ISを破壊することなどできはしなかったが。それでも、解除することはできた。

 

「そんな…………嘘でしょ…………」

「運命だ、受け入れろ」

 

ケレスティナの手からブレードが滑り落ちた。それも、床につく前に粒子となって消える。

この戦いをせいしたのはアルクロイドであった。

そして、彼女はそのまま気絶した。

その直後だった。扉を突き破ってACが出てきたのは。

 

「お前が、アルクロイド・デュノアだな?」

 

右手に大型のライフルを持った機体から質問を受ける。

 

「そうだったらどうするつもりなんだ?」

「代表が会いたがっている。連れて行くぞ」

 

アルクロイドの質問返しに、今度は三又のなんと言ったらいいのかよくわからない銃器を持った機体から返答を受ける。

 

「あの女はどうするんだ? すぐにでも殺せるぞ?」

 

今度は青い色合いの機体が、背中のキャノンを展開して、ケレスティナに照準を合わせる。

 

「そうだな。さっさと始末してもらうことにしよう。あれを消してくれ」

「任せな」

 

そう言うと、青いACはためらいなくキャノンを撃った。撃ち出されるのは、APFSDS弾。あまりにも強い破壊力と衝撃により、ケレスティナの肉体はただの肉片へと変化した。

 

「さぁ、行こうか」

「あぁ、何処へでも連れて行ってくれ」

 

大型のライフルを持ったACに支えられながら、アルクロイドはその場から立ち去った。

 

「あ、一つだけ頼んでもいいか?」

「なんだ?」

「拡声機を使わせてくれ。社員に一言言わなければならない」

「構わん。使え」

 

なぜがハンドマイク型の拡声機を渡されたアルクロイドは、社に残っているであろう社員に向かって一言いう。

 

「諸君、聞こえているか。もしいるなら聞いてくれ。先ほど、私の妻、ケレスティナが死んだ。そして、この損害だ。もうデュノア社は終わりだろう。私はこれから企業連の捕虜になる。君達は、自由に職へついてくれ。それでは、さらばだ」

 

それを聞いた社員達は、

 

『何を言っているんだよ‼ 俺たちはあんたについていくって決めてんだ。今更他の企業につくことなんてできるかよ‼』

『社長‼ 俺は、あんたがいつも頑張っている姿に憧れてきたんだ‼ あのクソ女になんと言われ様とも、たった一人の娘の身の安全を考えていたその姿にな‼』

『俺たちを見捨てんなんてやめてくれ‼ そしたら、俺たちはあんたに恩返しができねえよ‼ 社会の底辺から救ってくれた恩人に‼』

 

一斉抗議した。だが、その不満は別のもの。どこまでも社長について行くという社員の姿勢を表した、頑固で一途な魂。

 

『全く…………俺にはお前を捕虜にする気持ちなどないわ。いい社員を持ったな、アルクロイド』

「その声は…………隆文か⁉」

 

そして、通常回線で入ってくる、渋い声。有澤重工社長にして、企業連の代表、そしてアルクロイドの知り合い、有澤隆文であった。

 

『早く、こっちに来い。お前には一つ話をせねばならん』

「そういう事だ。このままギガベースへ戻るぞ」

 

アルクロイドの返事を待たずにラ・ルーは、ギガベースへと戻る。

 

 

 

 

 

デュノア社の方から三機が無事に出てきたようだ。ラ・ルーが無事にアルクロイドを回収した模様。あと、アルクロイド側陣営の社員達もギガベースへ乗り移った。保護は完了。

一方の地上戦力はあと少しだ。

 

「うらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」

 

両手にガトリンググレネードを呼び出す。そして、すぐにトリガー。弾ける弾丸、吹き飛ぶ戦車の砲塔、千切れ飛ぶ肉片。すでにあんな物量差などなくなり、最後の一両に着弾。盛大に爆ぜた。

 

「地上戦力の排除を確認。あとは頼んだ、親父、キルドーザー」

「合点‼」

「どぉぅりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」

 

親父は雷電の右腕に装着されている武装を展開する。

ー電磁加速狙撃型グレネードキャノン[BEPPU]

ウネウネと動き、雷電の全長をはるかに越す長さの砲身が姿を表す。そして、次の瞬間、激しいフラッシュが起きたと思った瞬間、爆音。よく見ればデュノア社本社ビルが崩壊している。てか、上層階が吹き飛んでいる。

 

「ふぅ…………キルドーザー、解体頼むよ」

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ‼」

 

キルドーザーはオーバード・ブーストで、デュノア社本社ビルの根元へ向かう。そして、めちゃくちゃに両手のドーザーを殴りつける。

 

「どぉぅりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」

 

大穴が空けばグレネードが撃ち込まれ、崩壊。鉄筋が邪魔なら殴り切って、崩壊。気がつけば瓦礫の山ができていた。

 

「…………任務完了。帰還する」

 

親父がそう言う。早くギガベースへ乗り移ろう。俺は第三カタパルトへ乗り移った。親父とキルドーザーも乗り移ったようだ。

よし、帰ろう。東の空が赤い。朝焼けか…………悪くはないな。

俺たちは、企業連本社にむけギガベースを出航させた。多分向こうは夕方くらいだろう。そう思うと、少し眠くなってきた。少し寝るか。意外と俺は早く意識を手放した。目が覚ましたのは、北海道についてからだ。

 

 

 

 

 

作戦結果報告

 

アルクロイド・デュノア、及びアルクロイド側陣営、全員保護

 

ケレスティナ・デュノア、及びケレスティナ側陣営、全員殲滅完了

 

被害報告、企業連の損失無し




あぁ…………なんか詰めすぎて、中身がグダグダだ…………
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。