インフィニット・ストラトス 火力と愛と絆と   作:ディニクティス提督(旧紅椿の芽)

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前回と比べたら短いです。


第十五話 得た物、失った物

「無事、話し合いをやっているよなぁ?」

 

俺は、その事が頭から離れていない。いや、そりゃそうでしょ? だって、長い間話をした事が無い二人を突然二人きりで話し合いをやっているんだ。不安でいっぱいだわ。

まぁ、俺も俺で危ねえ橋を渡るとするか。

 

 

そういう俺がついたところは、生徒会室。企業連のお得意さんがいるところだ。

 

「おい、誰かいないか? いたら開けてくれ」

 

だが、返事は無い。

って、待てぇい‼ いるだろ絶対‼ あの人たらしが‼

 

「おい、あんさんがここにいるのはわかっとんねん。ほな、さっさと開けなはれ‼」

 

借金取り風に言ってみる。だが、返事は無い。

まだ、二つしか手段を使ってないが、最終手段だ。面倒は嫌いだ。

 

「来い、ナーガ」

 

ナーガを展開。

コア反応をステルス。

両腕にLB-66 MOONLIGHTをそれぞれ展開する。

 

「よし、解体‼」

 

と、叫んで月光をクロスに振り下ろす。無論、リミッターが掛かっているから、そんな蒸発はしないけど、わりかた綺麗に切れた。

ナーガを展開したまま、中へ入る。けど、中に入ってから速攻で能力酷使。見事に斬り裂いたドアを再生する。まぁ、こんなもんだろな、ヤニが目立つけど。

 

「おい、生徒会長。いるんだろ? さっさと出て来んかい‼」

 

右手にタンジーを展開。銃口を適当な方へ向ける。左手には、ストレコ。だが、出てこない。

 

「あ、指が滑ったー(棒読み)」

 

やけになった俺は、両方のトリガーを引く。うん、危ねえな。ただでさえゴム弾の五倍の衝撃がある玉が撃たれているのはねぇ。

 

「ちょっと‼ 登場の仕方が物騒過ぎない⁉ 私、死ぬところだったんだけど⁉」

 

ちょうど、瓦礫が散乱し始めた頃にその瓦礫のしたから簪に似た女子生徒が出てくる。違いといえば、髪が内はねと外はねの違い。その手には企業連製対弾シールド(GA製)を構えて瓦礫から身を守っている。

 

「あ、いたんだ」

「いたんだ、じゃない‼ もう、あの弾が当たってたらどうするつもりだったの‼ 死体処理はどうするつもり⁉」

「バーナーでこんがり焼き上げてから、グレネードでぶっ飛ばす」

「相変わらず、えげつないわね…………」

 

この女こそ、俺ら企業連最大のお得意さん、更識家十七代目当主更識楯無。ちなみに繋がりはわりと古い。俺が中一の頃から。

 

「ところであれ(マシンアーマー)どうだった? 使えるだろ?」

「ええ、最高よ。この間も新機体のサレオスだっけ? あれが凄いの。普通に対戦車ミサイル食らってもピンピンしてるの」

「そりゃ、ウッドダウンは装甲重視の設計だからな。あ、試用期間もうすぐきれるから、購入は考えといてね〜」

 

主に更識に卸売してるのはマシンアーマー。あと、専用の武装(ライフル、ナックル、ミサイルランチャーとか)もセットで。

ほかは、試用としてデータ取りも兼ねて実戦評価試験。更識のパイロットはすげえや。データを見る限り限界性能を引き出してくれている。お陰でセダケープやウッドダウン、コンペレット、マウトブックはウハウハ状態らしい。

ちなみに、一番売れてる機種はマウトブックのレライエ型とセダケープのエリゴル型。どちらもトータルバランスに優れた機体だ。ただ、金額は嵩むが…………だいたい一番安いネクストISの半分くらい。

 

「買いたいのはやまやまなんだけどね。本家の予算が、ぎりぎりで…………」

「まぁ、十機もエリゴルとレライエを買えばそうなるわ。購入はおいおい考えておいてくれ。それと、サレオスも高級機種だから」

「…………ちなみにおいくらで?」

「ざっと一億は超えるな」

 

そりゃ、そのくらいするよ。単機でもISと互角の性能を持つんだから、機動性以外ではな。

 

「やっぱ、レンタルでお願い…………」

「いや、まだ決めなくてええわ。てか、それより本題忘れるところだった」

「なに、また商売の話?」

「違う違う。個人的な頼みだ」

「どういう事? あまりきついのは無理よ」

「俺に裏生徒会を作らせてくれ」

 

裏生徒会。簡単に言えば、生徒会が会計やその他の部活をまとめる上位者であるのに対して、俺の提案する裏生徒会はその傘下でありながら独立し実動的な行動をする。インテリオルグループのなかにあったアルドラのようなもの。

 

「裏生徒会?」

「一種の部活だな。主に生徒からの依頼をこなすための組織」

「それは、生徒会とどう違うの?」

「私も気になりますね」

 

そう言って、緑茶と紅茶を持ちながら現れたのは布仏虚さん。てか、いたんだ…………フィオナ抜きのレギアレベルに気付かんかった。

 

「お茶をどうぞ」

「あ、すいません」

 

緑茶を虚さんから受け取り、一口含む。うん、いいね。キサラギのよくわかんねえ茶葉とちがって全然いいわ。あれ、何を使ってんだろう?

 

「それで、その裏生徒会と生徒会の違いは?」

「まぁ、実力行使するかどうか。あと、正式に依頼として受け取るかどうかだな」

「つまり、一種の傭兵のようなものですか?」

「金を取らないところを除けばね」

 

さすが虚さん、核心をついてきたぜ。インテリ女子ですわな。

 

「それと、これにはもう一つ目的が」

「その目的とは?」

「どうやらどこぞの生徒会長が書類を溜めているらしく、学園の暗部仕事まで手が回らないと、生徒会第一書記が言っていたので、会長には書類をまとめてもらおうかと」

「本音ちゃん‼ 寝返ったわね、あの子‼」

 

布仏本音、通称のほほんさんからの依頼は完了っと。なんせ内容が『かいちょ〜に書類をまとめさせて〜』だからな。それでいいのか第一書記。書類をまとめんのはお前の仕事だろうよ。

 

「…………まあ、いいわ。裏生徒会を認めるわ」

「あざーす‼」

「ただ、人i「あ、メンバー決まってるんで問題ないっす」あ、あ、そ、そうなの」

「ちなみにメンバーは?」

「俺、箒、簪、静寐だすね。簪も、なんかノリノリでオッケーしちゃったし」

 

なんか、「裏生徒会、やらないか?」と言ったら、皆さんノリノリでオッケーしちゃったんですよ。箒は剣道部との兼ね合いだけど、簪と静寐に関してはとくにする事もなかったらしいので毎日参加。

 

「なに⁉ 簪ちゃんを⁉」

「自ら受け取ったからな。お前があいつの意思を妨げるなら、俺は躊躇いなく管理者権限を行使する」

 

俺は懐から一枚のカードをだす。それは、受付嬢の顔を一瞬にして世界の終わりへと導いた悪魔の産物。

管理者権限強制行使の合図。

無論、それに反する事は企業連全体に反すると言っても過言では無い。修正を加えられる事間違い無し。

楯無さんは、それを見せつけられ言葉を出せなくなっていた。

まぁ、俺のみに許可された最凶最悪のチートだからね。絶句するよね。

 

「い、いや、簪ちゃんが自分から言ってきたのなら、も、問題ないわよ」

「お嬢様、目が泳いでますよ」

「ま、許可は貰ったんだ。これからは生徒会直轄の組織として動くぜ。あ、独断で動くけど止めるなよ」

「はいはい、わかってますよ。どうせ、止めようとしたとこで止められないもの」

「それさえわかっててくれればいいです。では、これにて」

 

そう言って生徒会室をあとにする。これで事がうまい感じに働く。これはただ一つ俺への依頼をこなすために不可欠なのだ。アルクロイドのおっさんからの依頼『シャルロットの保護』。これを完遂するにはこうしないとまずい。特定の個人へ過度の干渉は避けたいのだよ、贔屓目に見られてしまうかもしれないからな。

 

「ふぅ…………裏は完了した。あとは、危険因子を排除するだけか」

「何を言ってるんだ、龍之介」

「うおっ⁉ その声は一夏か?」

 

突然、一夏が話しかけてきた。だがな、後ろからは話しかけてくるな。あれだ、反射的にライフルとグレネードランチャーを展開しそうになった。いや、GANW-GG-08アヴェンジャー30mmガトリングを両手に出しそうになったぜ。あれは危ない。鉄の嵐だ。

 

「…………びっくりしすぎだろ、おい」

「悪りぃ悪りぃ、突然すぎたからな。びっくりしねえ方がどうかしてる」

「それもそうか。って、そうじゃない。龍之介、これから時間あるか?」

「これからか?」

 

えーと、今二時半だから問題はねえな。

 

「とりあえず、今は空いとるよ」

「なら、俺の訓練に付き合ってくれ。セシリアと鈴はいいんだけど、弾幕というほどの弾幕を張らないんだよ。回避しやすいし。それに歩も歩で、火器が火器なだけに弾幕を張れないし、龍之介しかいないんだよ」

 

いやいや、あの二人でも十分な弾幕を張ってると思うぜ。それを回避するあんたは何者なんだよ。

 

「つまり、圧倒的な弾幕を避ける訓練をしたいっていうことだな?」

「そう‼ そういうことだ」

「ま、行くか。第三アリーナなら空いてんだろ」

 

こうして、一夏の訓練をする羽目になったのだ。

 

 

そして、第三アリーナ。すでにいつもの専用機持ち、セシリア、鈴、歩が先客としていた。ちなみに企業連メンバーはなんか、オーメルとレイレナード、ラインアークが耐久レースとかと言ってVOBを使っての耐久テストを合同で行うらしく、四人ともいない。

箒、簪、静寐は監視のない第七アリーナで訓練をしている(俺のポケットマネーから捻出して建造させた。ちなみに俺のポケットマネー、1000億ドルでした。建造費は100億ドル)

 

「そういや、一夏。お前の機体って射撃兵装あるんだよな」

「ああ、左手の雪崩と高出力レーザーライフルの雪牙だな」

「あれ? 雪牙って、レーザーキャノンじゃなかったっけ?」

「うーん、気がついたら動きながらも使える少し大きめのレーザーライフルになってた」

 

そんなことあるんかい‼ と、突っ込みたい気分にはなったが、人も多くいる事だ、自重しよう。

 

「なぁ、お前弾幕を避けるとき、回避以外何かしてる?」

「ひたすら避ける事しかしてないぞ」

「ばーか、左手のガトリングガンが泣いてるぞ、あとレザライも」

 

こいつ、射撃兵装使えるのか? いや、避け続ける事が悪いわけじゃないんだが…………少しはダメージを与えられた方がいいだろ?

 

「泣いてるって…………仕方ないだろ。照準合わせようにも、ほぼ近距離じゃないと認識しないんだよ‼」

「ハイパーセンサー逝かれてんじゃねぇの⁉」

 

近距離ーー約50メートル以内か。ハイパーセンサー意味ねえ。何のための高感度センサーだ。てか、近距離専用だからって、近距離専門のFCSを積んだのかよ。倉持は、多分打鉄と同じ奴を積んだはずだから、おそらく兎の仕業。

 

「たまに、雪崩は使うんだけどな…………雪牙だけ使いにくいんだよ、単発だし、チャージの時間長いし」

「まぁ、レザライの運命だな、仕方ねえよ。そうじゃなかったら、下手するとアサルトライフルよりダメージが低くなる事があるぞ」

 

そう、レザライはチャージする事で本来の能力以上の性能を発揮できる。逆に言えば、チャージしなけりゃ威力は…………ご察しの通り。

 

「いいか、ガトリングをばら撒くっていう考えは悪くねえ。だが、レザライを撒くのは考えるな」

「え? おいたてるのに使っちゃダメなのか? ほら、オッツダルヴァはよくやってたじゃん」

「お前…………オツダルと同じ動きができるのか? 状況瞬時判断能力、全スラスターの瞬間制御、お前にはこの二つができるのか?」

「…………ごめんなさい、意味もよくわからない上に、できそうな気がしません」

 

一夏はそう言って頭を抱える。

てか、オツダルを基準に考えたか。あれはダメだぞ、あれは。だって、基本性能がまずかけ離れているからな。

 

「だからだ。お前は武器によって戦法を固めろ。弾幕の中をかいくぐり、一発ずつ確実にレザライを当てながら近距離へ潜り込み、ブレードで斬れ。そしてら、離れつつガトで牽制だ」

「そうか…………‼ つまり、俺は戦い方がうまく固まってなかったって事か‼」

 

当たり前の事にやっと気づいた様子の一夏。それを見て、俺はやれやれと言った感じだ。ま、今までまともな練習してなかったんでしょうね。

 

「何、あれ?」

「え? ドイツの第三世代型⁉」

「まだ、本国でトライアル段階って言う、あれ⁉」

 

なんだか、アリーナが騒がしくなってきたな。そう思って、あたりを見渡すと、その元凶と思わしき物を見つけた。

ドイツ第三世代型IS、強襲型機シュヴァルツェア・レーゲン。登録操縦者、ラウラ・ボーデヴィッヒ。

そいつがピットのカタパルトに佇んでいた。

 

「ふん、どうやら貴様も専用機持ちのようだな。なら早いーー私と戦え」

 

ラウラは、一夏に対して戦いを申し込んできた。その紅い瞳は、まっすぐ一夏を射抜いている。明らかに、俺は蚊帳の外だ。

 

「断る。戦う理由が、俺にはねえよ。少しは、トーナメントまで待てばいいだろ」

 

一夏はそれに対して、正論をぶつけ回避する。

 

「貴様に無くても、私にはある」

 

ラウラは一夏を見る目をさらにひそめ、鋭くする。

 

「貴様が…………貴様さえいなければ…………教官は、二連覇する事ができたんだぞ…………‼」

 

拳を握りしめ、明らかに怒りがあるという仕草をするラウラ。

 

「私は、その理由だけで、貴様を殺せる‼」

 

重低音を響かせ、右肩についていた大型砲が回転、一夏へと照準を合わせる。そのコンマ数秒後、電磁を帯びた砲弾が一夏へ向かって行った。

俺のリニアキャノンと比べると弾速は遅いが、それでもレールガン。俺の機体がそんな瞬発的に反応できるはずがない。だが、

 

「とうりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」

 

イレギュラーなんて、よくあること。一夏の前に歩が出て、自機の膝に取り付けられたシールド的な何かで、砲弾を蹴り飛ばした。…………お前、人間?だって、結構離れたとこからレールガンの弾に追いつくとか…………人外だろ。

 

「全く、人がいるってのに、自分は戦争を始めようだなんて…………ひくわー」

「同感だな。民間人にまで手を出すのが軍人なのかい? 生きやすいものだな、羨ましいよ」

 

俺は適当にガトリング、歩はライフルとバトライを両手に展開している。無論、銃口はラウラを見据えている。

 

「っ‼ 貴様ら…………アンノウンはともかく、企業連の変態試作機で私に楯突こうだなど」

「同じトライアル段階の野郎に言われたかねえ」

「アンノウンねえ…………この子には[ホワイトファング]って名前があるんだよ」

『そこの生徒‼ 何をしている‼ 学年とクラスを言え‼』

 

どうやら、ここの騒ぎが見つかったようだ。厄介だな、反省文。

 

「ふん、興が冷めた。今日のとこは見逃しといてやる。だが、次は無いと思え」

 

ラウラは機体を解除、その場を後にした。それにより、場の空気は幾分か軽くなり、ほどけたようになった。

 

「大丈夫、一夏?」

「あ、ああ。助かったぜ、歩」

 

歩は、一夏が心配なのか、よって行く。まぁ、あやつの行動が無きゃ一夏はやばかったろうな。…………一瞬だが、ラウラはレールガンをミリタリーに設定してやがった。つまり、ISのシールドをぶち抜く気だった。下手すりゃ、一夏であったものがそこに転がることになっていただろう。

 

「…………やはり、か…………」

「一夏?」

「なんか言ったか?」

「い、いや、なんでもない。気にしないでくれ、ははは」

 

助かった本人の一夏は、なぜか心ここに在らずと言った感じであった。そして、あからさまに、何かを否定するような言動。…………引きずってるんだな、一年前の事を、第二回モンド・グロッソを。だが、俺もその事は知らねえ。知ってるのは一夏と千冬さんくらいか。…………触れないでおこう、その方が一夏のためだ。

 

「んじゃ、俺そろそろ切り上げるよ。龍之介、いろいろ参考になったぜ、ありがとな」

「こんくらいいいって事よ。また今度教えてやるよ」

 

そう言って一夏はアリーナを後にする。

いろいろあって、ひっそりとしてしまったアリーナの空を、俺は仰ぐ。そこにはどこまでも澄んだ青空が広がっていた。

 

「…………一夏、お前は過去を忘れられないのか? 悪くはねえと思う」

 

そして、つぶやくように小さな声で、空へ向かって言葉を放つ。

 

「…………でもな、少しは前へ一歩踏み出せよ。過去は過去だ。いまさら変えられねえよ。だから、お前が、見つけた力の答。その可能性と共に、自分の未来を切り開けな。姉さんに守られてきた種なんだ、自分から枯らす真似はするなよ」

 

言葉はすぐ空へ吸い込まれるように消えて行ったが、わずかな響きがアリーナには残っていた。俺も、そのままアリーナを後にした。

 

 

 

 

 

「…………なぁ、一夏。お前は恨むか。あの日、お前たちを守れなかった俺達(・・)を」

 




機体説明

機体名[ホワイトファング]
近中距離戦闘型機

装備
アサルトライフル[狼牙]
バトルライフル [鮫牙]
スナイパーライフル [龍牙]
近接ブレード [白牙]


使用コア不明、製造国、製造企業、すべて不明。軽量二脚の近中距離戦闘型機。念のためスナイパーライフルも装備されている。
近接ブレード[白牙]は、実体ブレードとしては使いにくい仕様の物だが、操縦者の七瀬歩はいとも簡単に扱う。
なお、左膝にはシールドを模したような装甲が取り付けてある。






てこで、久々の投稿です。ああ、文才が欲しい…………
次回は少し早めに書き上げたいなと思います。
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