インフィニット・ストラトス 火力と愛と絆と 作:ディニクティス提督(旧紅椿の芽)
ーーシステム、起動。パーツチェックを開始します。
[MEIN PARTS]
HADEーー
BODYーー
SHOULDERーー
ARMSーー
LEGSーー
完全ステルス・不可視モードーーシステム異常なし
[ウェポンラック]
[コジマドライヴ]
一号炉ーー稼働率98.9%
二号炉ーー稼働率99.5%
三号炉ーー稼働率98.6%
四号炉ーー稼働率99.2%
プライマル・アーマー展開ーー異常なし
ーーシステムチェック完了。三八式一型、タイプ
(機体チェックは異常なし、と)
俺は、榴雷を展開した状態で機体チェックを行っていた。不可視モード以外使ってないから、外装のダメージは皆無である。ただ、コジマドライヴ三号炉の出力が少し低い。まあ、特に問題はないか。通常の十倍は厚いプライマル・アーマーを展開しているからな。
「その他異常箇所は?」
『無し。一件の未読メッセージが有ります。閲覧しますか?』
メールだと? 送り先は…………
どれ、内容は
『主任、久しぶりにいいシステムを作ったのでインストールお願いします。今回作ったのは『炸薬調節システム』。任意で炸薬を『屑・カス・弱・並・強・馬鹿・キチガイ』の七段階に変換出来ます。なお、『キチガイ』でOIGAMIを撃つと大変な事になるので注意してください。
カラード有澤部署担当綱田』
…………すまん、頭が痛くなってきた。炸薬調節システム⁉ OIGAMIを撃つと大変な事になる⁉ 本っ当に、バカなのか⁉ いや、バカとしか言いようがないな、いい意味で。
「どれ、早速インストール頼むぜ」
『了解、システムインストールモードを起動します』
ちなみにインストールはすぐ終わるぜ。アクアビットが作り上げた魔改造インストーラーのお陰で二秒で完了。さすがアクアビット、そこに痺れる、憧れるゥ‼ わけないか。
「『バレットドラゴン』聞こえるか」
「こちら『バレットドラゴン』、音声良好。で、時間か?」
「ああ、あと一時間で出発する。護衛は任せるぞ」
「あいよ。ま、いざとなれば僚機で連れてきた『ステイシス』と『シュープリス』がいる。不足はない、だろ?」
「確かに、そうだな。おっと、そろそろ通信切るぞ。あとは頼んだからな」
ふぅ、やれやれだぜ。僚機として『ステイシス』ーー無論パイロットはオツダルーーと、『シュープリス』ーーパイロットは『バスター5』、ルクトル・ベルリオーズ(俺と同い年、レイレナード所属。機体はアリーヤフレームに擬似ISコアとコジマドライヴ一基)ーーを連れてきたのはいいが、あんまり意味ないんじゃね?
『聞こえてるぞ、リュウ』
『全くだ、すべて耳に入ってくる』
「あちゃー…………ま、これから護衛任務だ。気を引き締めていけよ」
『了解した』
『了解だ』
ま、これでいいかな。車両は一台だし、護衛に関しては問題ないはずだ。
「それに、箒。お前には俺たち以外の友達が出来たんだ。お膳立てはした。最後の別れくらいしっかりしろよ」
そう言って、榴雷へとコマンドを送る。
「完全ステルス・不可視モード、起動」
ーー受諾。システム、不可視モードを起動します。
現在時刻は九時。作戦開始まで、あと一時間。
「あ、箒ー‼」
すると、向こうから聞き覚えのある声が聞こえた。声がしたほうを見ると、こちらへ手を振ってる人が二人。
「静寐⁉ それに、簪⁉」
昨日、出来た友達が私のところへきた。ちなみに今日は登校日。すでに時間をすぎている事だから、きっとサボって来たのだろう。制服の姿で来ている。かく言う私も制服だがな。
「ねぇ、今からそっち行ってもいい⁉」
「いや全然構わないけど」
「じゃあ、今からそっち行くね‼」
しばらくして、二人は家に来た。流石に、家の中には入れないが。
「ねぇ、まだ時間ある?」
時間? ああ、引っ越すまでの時間ってことか。
「ああ、まだ大丈夫だが」
「ならよかった…………」
簪は、ホッしたような感じで、鞄からおもむろに何かを取り出した。
「簪、それは、デジカメか?」
「うん。次はいつ会えるかわからないから、せめて写真撮ろうと思って」
なるほど。ということは、そのためだけに学校をサボったのか⁉
「それと、箒に一つ聞きたいことがあって」
「私に…………聞きたいこと?」
「そう。もし不快に思ったら謝る」
「いや、そんな話ならやめようか」
「いや、気になる。言ってくれ」
簪は、そのまま言葉を紡いだ。
「箒って、確か篠ノ之束の妹だよね?」
「っ⁉」
突然、姉さんの名前を出されて強張る私。いきなり何を言い出すんだろうか。
「篠ノ之博士は凄いよね。一人でISを作ったんだから」
「…………」
「でも、箒はその優秀過ぎる姉と比べられてしまった。そうだよね?」
「…………あぁ」
簪、お前は何が言いたいんだ?
「実は、私もそうなんだ」
「えっ…………」
簪が…………私と、同じ? どういう事だ?
「私のお姉ちゃんは、頭もよくて運動もいい。優秀なんだ。でも、反対に私は、どれもこれも平凡。周りの見る目は、私個人じゃなく『優秀な姉の付属品』。そうとしか見てくれなかった」
「…………なんか、わかる気がする」
「でも、静寐は違った。私を付属品じゃなく、一人の人として見てくれた。私にとって、それは一番嬉しかった」
「いや、それ普通の事じゃない? 人を個人以外で見るっていうのは、金と権力に物を言うバカ達よ」
その気持ち、わかるかもしれないな。簪も、私と同じ思いをして来たのか。
「てかさ、大人ってさ、本当にわかってないよね。大人の勝手な事情に巻き込まれた子供が、どんな思いをしているかってね」
「私も同感。結局は、大人が満足しているためだけ。子供は、何も得ていない」
「その中でも、私は特に顕著だと思う。勝手な事情のせいで、私は、失ったものが多かった。でもーー」
そう、勝手な事情に巻き込まれた私は何もかもをめちゃくちゃにされた。生き甲斐も、人生も、心も。すべてぼろぼろ。失ったものが多かった。けれどもーー
「こうやって、二人に出会える事が出来たんだ。それだけで、十分さ…………」
パシャッ
「え?」
「よし」
「ナイス‼」
上から順に、私、簪、静寐。簪の手にはカメラ。そして、それはこちらを向いている。という事は
「か、簪‼ 今、何を撮った⁉」
「何って、滅多に見られなさそうな箒の笑顔」
「だからって、記録に残す必要はないだろ‼」
「まあまあ、落ち着いて。それに、さっきの笑顔は結構よかったしね、簪?」
「そう、やっぱ笑ったときの箒って可愛い」
「〜〜〜〜〜〜っ‼」
恥ずかしい‼ 自分でも少し引け目に思ってるのに〜‼ ああ、枕があったら顔をうずめたい気分だ。
「ねぇ、早いとこ写真撮ろう」
「そうだね。あ、あそこに人がいるから撮ってもらおうよ」
二人はどんどん話を進めてく。全く…………こっちはまだ、恥ずかしい思いでいっぱいなのに‼
『箒って、笑うと凄く可愛いな』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜‼ 何故だ、何故龍之介の声で再生されるのだ⁉ あぁぁぁぁぁぁぁぁ‼ 想像しただけで顔が火照ってきた‼
「んじゃ、俺らが撮りますよ」
「どうせ、仕事もまだだしな」
「ちょっとした、暇つぶしか」
頼んだのは、あの三人組の男らしい。ん? 待て、あの中の一人に見覚えがあるぞ⁉
「箒、早く来てー。写真撮るよー」
静寐に、写真を撮ると言われたので向かった。まだ、さっきの事を許したわけではないので、ふくれっ面ではあるが…………
「箒、笑おうよ、ね?」
「……………………」←ふくれっ面
「さっきはごめん。だから、笑って」
「…………むぅ」
し、仕方ないな。簪に言われるとなぜか逆らえん。何故だ?
「はーい、それじゃ、撮りますよー」
「ほら、箒、笑って、笑って」
「こ、こうか?」
「うん、大丈夫」
うむ…………自信ないな。笑うという事は。
「それじゃ、行きますよー。コジマ粒子+コジマ粒子は?」
「えぇーと、2?」
パシャッ
「なんでコジマが出るんだよ、コジマ汚染者が‼」
がんっ
「機密漏洩する気か、馬鹿野郎⁉」
がんっ
「…………」←気絶
「…………『シュープリス』、やり過ぎたな」
「…………ああ、やり過ぎた、『ステイシス』、これどうする?」
「ドーザーで殴ったからな、しばらくは起きないだろ?」
「仕方ねえ、樹海にでも埋めて来るか」
「だっはぁ‼ し、死ぬかと思った‼ 何するんだよ、『ステイシス』『シュープリス』‼」
「「お前がコジマというからだ」」
なんだか、楽しそうな人達だな。
「箒、見てこの写真」
「な、なんだ? どこか変だったか?」
「全然、むしろ最高」
簪は、写真が映し出された画面を見せて来た。そこには、二人に挟まれて、楽しそうに笑う私の姿があった。
「とりあえず、これはあとで全員のケータイにメールで送る」
「すまないな、簪」
「別に、気にしないで。友達として当然の事だから」
「おい、そろそろ時間だ。名残惜しいと思うがそろそろ行くぞ」
もう、こんなに時間が経っていたか。結構、あっさりとすぎていくものなのだな、時間とは。
「箒、またいじめられたりしたらら、遠慮なく言ってね。絶対力になるから」
「静寐、貴方は箒の母か? またいつか会おう、箒」
たった一日にもみたない時間を過ごした二人から、こんなにも暖かい言葉をかけられた。私も、この二人に応えないと。
「ああ、またいつか会おう。そのときが来なくても、私が無理にでも会いにくる」
「箒、それって本当?」
「ああ、本当だ。
「それじゃ、その日を楽しみしてるよ、約束だからね?」
「わかった、忘れないよ」
なんか、私も龍之介の影響を受けたのかな? 最近、そんな気がしてやまない。
「へっくしょい‼」
「うわ、汚ねえな、おい‼」
「なんだ、花粉症か?」
なぜかバレットドラゴンさんがくしゃみをしたようだ。何故だ?
「おい、もう時間だ。早く車に乗れ」
私は急かされて、車に乗る。窓の外には、最高の友達が見送ってくれている。その表情は、今にも泣き出しそうな顔ではあるが、それを堪えて無理無理笑顔にしている。
「なんだよ、そんなに泣きそうな顔して。今生の別れじゃないんだ」
「だ、だって…………」
「次、いつ会えるかわからないんだよ…………」
二人はそう言うと、少しずつ目尻から涙をこぼす。
「全く、忘れたのか? こういうときは、『またいつか会おう』と言って終わる場面じゃないか?」
「っ…………そうだね」
「そうだよ、信じていれば、またいつから会えるんだから」
そう、そうだ。ほら、涙も止まったじゃないか。やっぱり、笑っている方がいいよ、二人は。
しばらくして、車が動き出す。もう、お別れか。私は車の窓を開けて、二人に向かって精一杯の声をだす。
「またいつかきっと会おう‼ 静寐、簪‼ また今度会おう‼」
「うん‼ 箒も元気でね‼」
「その日を楽しみしてるよ‼」
しばらくして、二人の姿は完全に見えなくなった。その少しあとだろうか? ケータイに一通のメールが来た。
送り主は、更識簪。
中には、今日撮った写真が同封されていた。私はそれをしばらく見つめていた。目の端に、何か暖かいものが流れている事を感じながら。
だが、俺には絶賛問題発生中だ。箒が隣にいるって考えただけ動悸が激しくなるんだよ‼ なんで、どうして⁉ 意味わからん‼
「あのー、バレットドラゴンさん?」
「どひゃぁ⁉」
いきなり呼ばれたら、目の前に箒の顔が‼ アカンアカンアカンアカンアカンアカンアカンアカンアカンアカンアカン‼
ーー不明なユニットが接続されました、システムに深刻な障害が発生しています
んな事わかっとるわ‼
「あのー、大丈夫ですか? 顔が赤いですよ?」
「だ、だ、大丈夫だ。心配入らんよ、ハハハ」
『いや、相当パニックになってるだろ』
「(ベルリオーズ、ちょっと黙れ)」
全く、危ねえ危ねえ。でも、なんで箒に反応したんだろ?昔は反応しなかったのに…………
とりあえず、顔の火照りを取るために窓の外へ目を向ける。そこには、海が広がっていた。ここって、湘南だっけ?
(ん? なんだあの光は?)
海をみていると、三つの光点がこっちへと向かって来ている。
「…………仕方ねぇ、眼帯
「え、今なんてーー」
「ドライバー、車を止めろ。まずいことになった」
三つの光点に、眼帯を外した右目を向ける。俺の右目は、義眼だ。そのため、情報解析能力が高い。
(あの光点は…………IS⁉ 機体名、ラファール・リヴァイヴ⁉)
まずい、第二世代最新鋭機を出されてしまった。勝てるのだろうか。
すると、突然、車両から五メートル離れた先が爆ぜた。いや、違う。撃ったのか。
「きゃあっ…………‼」
「ち、仕方ねぇ。『ステイシス』『ベルリオーズ』‼」
「わかってる‼ あいつらを落とせばいいのだろう」
「これくらいの仕事など、楽なもんだ」
「しばらく時間を稼ぐだけでいい。俺が殺る」
「「了解‼」」
外の様子は問題ない。俺は、外へ出ると同時に、かけていたサングラスを外す。俺の義眼が大気に触れる。システムは良好だな。
ーーシステム、最終チェック
ーーシステムオールグリーン
ーーコジマドライヴ、一から四号炉、出力99.7%を維持
ーー全兵装、使用可能
ーー三八式一型、起動準備完了
「榴雷、起動‼」
ーーシステム、戦闘モードに移行します
俺がそう言うと、体に装甲が纏われていく。そして、耳に響くボイスが流れる。
さて、いっちょ派手に行きますか‼
ーー右腕部、
ーー左腕部、
ーー両背部、
ーー炸薬調節システム、[OIGAMI]に適用します
俺は、オーバードブーストを起動する。刹那、閃光が奔った。
辺りには、翡翠の煌めきが飛び散る。
「ちっ、そこをどけろ‼」
「そうはいかない。貴様にはここで朽ちてもらおう」
「私の邪魔をするな‼ イレギュラー共‼」
「貴様らこそ、こちらの邪魔をしないでもらいたい」
先に戦闘を始めた、オッツダルヴァとベルリオーズ。すでに二機で、乱入者であるラファール・リヴァイヴ三機を封じている。
その戦闘機動は、圧巻の一言である。ラファールが銃弾を放つ、そのときには射線上から消えており、自分の真下にいるのだ。また、弾丸が着弾する。ダメージも半端ない。通常のライフル弾が着弾したはずなのだが、シールドエネルギーはスナイパーライフルが着弾したときと同じくらい減少している。
また、たとえこちらのライフル弾が着弾しても、ステイシスとシュープリスが展開している厚さ18mmのプライマルアーマーによって弾かれる。すでに負け戦であった。
「くっ…………‼ 貴様ら何者だ…………」
あまりの鬼畜じみた戦いに、パイロットは声を漏らす。依頼主から聞いていた情報からなら、本来護衛でISが着くなんてことはないはずなのだ。
だが、現実ばどうであろう。目前には二機の黒いISがいる。一機はライフルを両手に持ち、背中に折りたたまれたキャノン砲装備、もう一機はライフルと何か菱形をしたユニット、背中に四つの銃身からなるミサイルランチャー。いくら自分たちが手練れのパイロットであっても、ましてや二対三という圧倒的有利な状況でも、この二機には勝てる気がしてない。三人のパイロットは、絶望という二文字が脳裏をよぎっていた。
『オツダル、こっちは起動完了した。あの三機の動きを一瞬でもいい封じてくれ。瞬殺する』
「了解。聞こえたな、ベルリオーズ?」
「ああ、わかってる。ようは、止めればいいんだな」
ベルリオーズは、何を思ったか背部のキャノンを起動する。それは、世界が誇る炸薬のプロ、有澤重工が生み出した汎用グレネードキャノン[OGOTO]。威力は[OIGAMI]には劣るが、連射が可能である。
ベルリオーズは躊躇わず、ライフルとグレネードで追い立てる。その意図を察したのか、オッツダルヴァも同様にライフルとミサイルで追い立てる。
次第に三機の陣形は、一箇所に固められて行き、そして一つの塊になった。
『よし、オツダル、ベルリオーズ‼ すぐにそこから離脱しろ‼』
「了解、ステイシス撤退する」
「了解、シュープリス離脱する」
二機は龍之介から入った通信に従い、そこから離脱する。
「助かった…………のか?」
「敵は、この空域から離脱した模様」
「ふう、とりあえず帰投ーー」
三人の内、一人は最後まで言葉を紡げなかった。
その瞬間、目の前にキチガイサイズの榴弾が迫っていたためだ。無論、そのサイズのため
ーー普通じゃあり得ない爆発が三人を包んだ。火球の直径は15mを越え、近くの崖を崩壊させてしまった。爆風に至っては、付近の木々をなぎ倒していた。もちろん、火球の中心にいた三人のラファール・リヴァイヴは絶対防御が作動し、強制解除された。浮遊力を失った三人は、海に水没。
後に分かったことだが、三人の内二人は重症であることが確認された。
その火球が発生した二キロ先には、そのグレネードを撃った[OIGAMI]を背中に構えた龍之介の榴雷の姿があった。
ーー全高脅威目標の全滅を確認
ーーシステム、通常モードに移行します
「終わり、か。あっけないものだな、ISも」
炸薬調節システム、レベル『キチガイ』によって撃った[OIGAMI]は、本っ当にキチガイサイズの火球を生み出した。やっぱ、ことさのときいう台詞はこれに限る。
「火力万歳‼ 企業連万歳‼」
この浪漫の塊を生み出した企業連と、有澤重工は素晴らしい。俺、企業連に入ってて良かった。
「お、おい、あれはなんだ?」
「お前、核でも撃ったのか⁉」
あの火球をみて軽いパニックに陥ったオツダルとベルリオーズが俺に問い詰めてくる。
「いや、あれはただのOIGAMIだけど?」
「「どう見てもそうは思えねえ‼」」
ですよねー。てか、どうすんだろこれから。とりあえず、車両に戻るか。
ミッション終了まであと30分。てか72時間経つの早ぇ‼
とりあえず、車両に戻った俺たちは、まあ、あれだ。任務完了の通達を受けた。
「済まなかったな。ご苦労だった」
とりあえず、あのお偉いさんが頭を下げてくる。いやー、なんかこそばゆいなー。
「あと、謝礼なんですがーー」
「いらん。私たちは金が目的ではないからな、そうだろ『シュープリス』」
「同感だ『ステイシス』。それにこの仕事は本来貴様らの仕事だろう」
「そういうことだ。すまねぇが、報酬はいらない。あえて、くれるというのなら、ポケットティッシュで十分だ」
「「「何故、ポケットティッシュ⁉」」」
「え? そりゃ、この年頃だといろいろと必要不可欠ーーふべらっ‼」
「この野郎‼ 少しは場をわきまえろ、コジマ汚染者‼」
「お前はとうとう脳までカビたか。話にもならんな」
「ぐあへっ…………‼」
ぐぁっ‼ 思いっきりボコられました。俺、下ネタ言ってないよ‼ てか必要でしょ、鼻づまりとか鼻づまりと鼻づまりとか。俺、鼻炎だからよ、必要不可欠なんだよ。
「ま、とりあえず帰投するか」
「俺はそうしたいが、構わんな」
「私も構わない」
「この度はありがとうございました。それでは」
俺たちは、オーバードブーストを起動する。スラスターにコジマ粒子が集まり、瞬間的に解放する。
刹那、翡翠の粒子が舞い散った。
俺たちはいつの間にか、企業連本社に併設されたガレージへとついていた。
「お疲れ、主任」
「ああ、今帰投した。てか、あのシステムあかんな。それでOIGAMI撃ったら、ISが一撃で沈んだぞ」
「「「有澤パネェ‼」」」
「てか、プライマルアーマーも厚くて銃弾を弾いていたぞ」
「ISの兵装が弱い。仮にも本物のコアであるものが、擬似コアに負けるとはね」
「「「コジマ粒子パネェ‼」」」
はっはー。どうよ、オリジナルのコジマドライヴは? 最高だろ? ちなみに俺のプライマルアーマーの厚さは150mmだ。四基も積むとそれくらいになるんだよね。それに、OIGAMIも良かったけどな。なんか足りない。てか、榴雷も撃つ度に、脹脛のアウトリガーを作動させなきゃなんないから、厄介だ。よし、改造するか。
ちなみに、俺の魔改造第二弾は次の日の夜まで続いた。気がついたらときには、榴雷が陸上戦艦と化していた。
その夜
(あの人は一体…………)
あの人とは、バレットドラゴンさんのことだ。あの人は傭兵と言いつつも、報酬を得るような真似はしていない。何故か、ポケットティッシュを所望していたような気がする。
(でも、やっぱり似ている、龍之介に…………)
だか、龍之介は右目に眼帯なんてしていただろうか? もし本当に彼だったら…………
(ま、考えるだけ無駄か…………)
とりあえず寝よう。私は暗闇の中に意識を手放した。
それから一年後ーー
企業連では
「おっし、俺IS学園行く」
「構わん、お前がそういうのなら、行け、正面から」
「ああ、んじゃ、行ってくるぜ‼ あとは任せたからな、オツダル、ベルリオーズ‼」
一人の
ある一般家庭では
「そういえば、そろそろか。あの学園へ行くのは」
「篠ノ之様、メールが来ております」
「うむ、すまない。静寐と簪からか…………。内容は、『ねぇー、IS学園受かったけど、箒はどこ受けたの?』と『箒はIS学園とか受けたりした?』か…………。って、えぇ⁉ あの二人も私と同じだと⁉」
一人の少女が数奇な運命を手繰り寄せ、一つの出会いを果たそうとしていた。
ある試験会場では
「なんでこうなったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」
一人の男子が事故でISを起動させていた。
かつて散り散りになってしまった過去の人間たちが再開を果たすのは、もう少し先の話。
ふぅ、やっと消化しました。
次の次からは本編に入りたいと思っています。