インフィニット・ストラトス 火力と愛と絆と 作:ディニクティス提督(旧紅椿の芽)
それでは、ごゆっくりとどうぞ。
(おいおいおいおいおい、ちょっと待て。俺はどうしてこんなところにいるんだ⁉)
それもそのはず、俺がいるIS学園は基本女子校だ。なぜか? そりゃもちろん『ISは原則、男には動かせないからだ』。だが、例外もある。それが、この俺だ。入試の時、部屋さえ間違わなければな…………今思っても無理か。
ふと、窓際を見ると、六年前に別れた俺の幼馴染ーー箒がいるではないか‼ これは好機だ、助けを求めよう。
だが、目線を合わせた瞬間俺の幼馴染は、合掌をした。ひでぇ‼ 俺を見捨てる気かよ。おい、マジかよ夢なら醒め
「あの〜、織斑君?」
「は、はい⁉」
周りから、失笑がでる。くぅ〜っ、これは想像以上にキツイぞ。
「ひゃ、ひゃっ‼ ご、ご、ごめんなさい」
「いや、謝る必要ないです、山田先生」
いや、だってね、目の前で頭下げられると、眼福なスタビライザーが揺れるものだから…………
「そ、そうですか。それじゃ、自己紹介お願いしますね」
これは、予想外だ‼ まずいまずい、何も考えてねぇよ‼
「お、織斑一夏です」
「「「…………(じー)」」」
はっ、なんだこの目線は‼ なんかもっと言ってくれ、だと。うむ、確かにな。ここで黙っては暗い奴のレッテルを貼られてしまう。
一度深呼吸して
「以上です‼」
といった。そしたら、全員ドリフよろしくこけたぜ。なんで?
「全く、お前はまともに自己紹介もできんのか‼」
何処かで聞き覚えのある声とともに、後頭部に激しい痛みが走る。間違いない、この角度、この威力、俺が知っているの人でこれができるのは、一人だけだ。
後ろを振り向くと
「げぇっ、アカムトルム⁉」
「誰が災いを呼ぶ覇竜だ、馬鹿者」
さらにもう一発いただきました。アカムトルムもとい、俺の実姉千冬姉がなんで、ここに?
「諸君、私が織斑千冬だ。私の役目は貴様らを一人前の操縦者に育て上げる事。私についてこれない奴は、死ぬぞ。いいな、私の授業に出るかどうかは貴様ら次第だが、私のいう事にはすべて『はい』答えろ。いいな?」
いつからここは、軍事体制敷くことになったんだよ‼ 日本は戦争やってねぇだろ、まだ。そんなんだと、暴力教師のイメージが植え付くぞ。と、心配した俺が馬鹿だった。
「本物の千冬様よ‼」
「お姉様、愛してます‼」
「私、千冬様に憧れて、南鳥島から来ました‼」
「私、お姉様の命とあらば、この命散らす所存であります‼」
千冬姉大人気だった。むしろ、このキャラで固まっているらしい。
「全く、忌々しい。こんなに馬鹿者を集めて何が嬉しい、変態どもが‼」
「…………千冬姉が、ネタを使った⁉」
周りでキャーキャー女子が騒ぐ中、明らかに違う人工物の音が聞こえた。そして走る、激痛。
「織斑、ここでは織斑先生と呼べ」
問題はそっち⁉ 俺的にネタがどうのこうの言ったから、そっちで叩いたのだと思った。
「あと、このクラスにはもう一人いる。今さっききたところだから、自己紹介でもしてもらおう。入って来い」
「了解」
その声を聞いた時、誰かがピクッと反応した。ちょっと周りを見ると箒の表情が驚いた表情になっている。
俺は、視線を前に戻す。そこにいたのは、
「もう一人の男性操縦者、有澤龍之介だ。よろしく頼む」
八年前に、突然姿を消した幼馴染だった。
遡ること二十分前
「ちょ、親父‼ 雷電で送ってくってどういう事だよ⁉」
「文字通りの意味だ、息子が高校へ入学するんだ。それくらいはさせろ」
「いや、それなら、榴雷つk」
「ほら、行くぞ」
「マジで勘弁〜‼」
親父のネクスト(原寸大)雷電をタクシー代わりに使うって、やばいだろ‼ てか親父の雷電、魔改造してあるだろ。
ーーオーバードブースト起動
「夢なら醒めてくれ〜‼」
俺は、時速7000キロをたたき出したガチタンの中で寿命を終えかけた。てか、死ぬ‼
ちなみにIS学園に着いたのは、北海道を出て三分後であった。おかしいだろ⁉ あれが、ガチタンの速度だと⁉ じゃ、俺はなんだ⁉
「ほれ、ぼさっとしてないで、早く行け。時間ないぞ?」
「あ、ちょうど教師きたわ。んじゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
挨拶を雷電の中でかわし、親父は北海道へ帰って行った。
「い、今のはなんだ⁉」
「うちの送迎車ですね、千冬さん」
「⁉ なぜ、私の名を⁉」
「忘れちゃいましたか。ま、最後にあったのは、八年前ですからね」
「もしかして、お前龍之介か⁉」
「ご名答」
そう、きた教師はなんと千冬さんだった。懐かしいな、雰囲気変わっとらんけど。
「とりあえず、早く行きましょ。時間ないし」
「そうだな。それと、ここでは織斑先生と呼べ」
「了解」
「あと…………その、なんだ、言いにくいならいいぞ」
「なんですか?」
「…………お前、右目はどうした? それと、左腕が太くないか?」
「あ、これすか?」
千冬さんは俺の眼帯を指差してきた。
「いや〜、俺この下義眼なんで隠してんすよ。結構キショイデザインなんで。それに左腕も義手なんすよ。肩口から丸っとなくなってるんで」
「…………すまなかった」
「気にしない、気にしない。もう八年前のことですから」
何事もなくいう俺に少し安堵感を持ったのか、少し落ち着いた表情をする千冬さん。気がついたら、いつの間にか教室の前に着いていた。
「私が合図したら、入って来い。いいな?」
「了解」
千冬さんが教室に入って三秒後、爆音が響いた。え、グレネードでも撃った?
その後も三発ほど爆音が響いた気がする。あの音は一体?
「入って来い」
「了解」
合図がきたのではいる事にしよう。中にはいると、結構顔見知りがいた。一夏に箒はもちろん、あの時いた鷹月静寐や更識簪もいた。いいねえ、盛り上がってきたねぇ‼
俺は軽く自己紹介をする。
「もう一人の男性操縦者、有澤龍之介だ。よろしく頼む」
さあ、俺の高校生活の幕開けだぜ‼
静寐と簪と
八年前に、一夏を助け出したあと、そのまま行方不明になった、龍之介が生きていた。それは、嬉しい。だが、私は彼の声を何処かで聞いた事がある。いつだったか覚えてない。次の休み時間に聞いてみるか。
そう思っている私だった。
(そうだな、屋上に呼んで話をしながら、ついでに告白ーーってなにを考えているんだ私は‼)
脳内暴走も激しかった。
休み時間を迎えた
「よう、一夏。久しぶりだな」
「ああ、龍之介。久しぶり。だいたい八年ぶりじゃないか?」
「そうだな。八年か…………長かったな」
「でもよ、お前が突然姿を見せなくなるもんだから、みんな心配してたぜ。特に箒は」
箒が俺を心配? 一夏じゃなくてか?
「マジか〜。っと、悪りいな、俺用事あるんだ。積もる話はまた後で聞かせてくれ」
俺はそう言って一夏の場所から離れると、窓側の席、つまり箒のところへと向かった。ちなみに、俺はここでサングラスを作ってかけている。え、理由? なんとなくさ。
「よっ、箒。八年ぶりだな」
ちょうど静寐と簪と一緒に話しているところに乱入。すんませんね。
「りゅ、龍之介?」
「んだ、俺だ」
「あなた、何処かで会ってない?」
「私、あなたと会った事がある」
静寐と簪はどうやら、俺の姿を見て傭兵の時の俺を思い出したようだ。
「な、なぁ、龍之介」
「んぬ?どうした?」
「もし、違うのならいいんだが、お前『バレットドラゴン』と名乗った事ないか?」
「あ、それ俺」
「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‼」」
静寐と簪の声がシンクロし、教室じゅうの視線が俺たちに集まる。
「ま、さっきのは訂正しておくか。一年ぶりだな、箒」
「あ、ああ、一年ぶりだ」
ところでさ、箒さん。なんで、私の顔見て紅くなってるんですか ね? 私にはわからないな。
「ねぇ、有沢君って」
「ええ、唐変木で間違いない」
「…………なにか、物凄く馬鹿にされた気がする、そう思わないか、鷹月静寐、更識簪」
「「⁉」」
多分、言ったであろう二人がギクッと言った感じに汗を流す。
「ま、どうだっていいんだがね。よろしくな、鷹月さん、更識さん。俺の事は龍之介って呼んでくれや」
「う、うん。よろしくね、私の事は静寐でいいよ」
「私も、名前で呼んでもらいたい」
「あいよ、静寐、簪、よろしくな…………それと箒の友達なってくれてありがとよ」
最後の方は箒に聞こえないような声で二人だけに言う。
「いや、気にしないで。私たちも彼女のことは放っておけなかったから」
「なんでも、イジメを受けてたらしくて」
「そうだったのか。ま、これからも箒をよろしくな」
しばらくして、鐘がなった。おっと、時間じゃねえか。早いとこ席に座ろう。
二時間目が終了したあと、一夏は死んでいた。
「いや、殺すなよ‼」
「お前が馬鹿だからだ」
「理由になってねぇ‼」
仕方ないだろ。電話帳と間違って教本捨てたお前が悪いんだから。てか、必読って書いてあったろうに。
「いや、まずさ、参考書捨てるとかないだろ」
「だって、あれどうみてもあなたの街の電話帳だろ? 覚える方が無理難題だ」
「俺、全部覚えているけど」
「お前人間じゃねえ‼」
「人間だ、馬鹿野郎‼」
と、一夏とじゃれあってるとこにやってくる人影が一つ。
「ちょっとよろしくて?」
「うぬ?」
「全然よろしくない」
上から順に、きた奴ーセシリア・オルコット、一夏、そして俺。
「まあ、なんですの、その態度は‼ この私、イギリス代表候補生セシリア・オルコットに話しかけられるだけで光栄だと言うのに」
「ちょっと待て、質問いいか?」
なんだ一夏、何かわからないところを聞くのか? それはいい心がけだ。だが、一夏の質問は俺の考えを斜め45°上を行くものだった。
「代表候補生ってなんだ?」
「「「「「だぁぁぁぁぁぁ‼」」」」」
おお、みんながドリフよろしくこけた。あ、箒も、こけとる。一夏は将来、お笑い芸人でもなる気か?
まぁいい。この馬鹿に教えておくか。
「一夏、代表候補生ってのは、簡単に言っちまえば千冬さんの量産品。凡人より脳の処理能力の高いエリート(笑)」
「そう、エリートなのですわ‼ って、最後の『(笑)』ってなんですの⁉」
「そりゃ、そうだろ。お前ら実戦にでた事ないだろ。俺あるぞ、殺害経験もな」
うん、ざっと200人は殺したかな? むかーしに。
「くっ、まぁいいですわ。わからない事があれば、このセシリア・オルコットが教えて差し上げましょう。何せ、この私、入試で唯一教官を倒しましたから」
え、入試ってバトれるの? うわ〜やりたかったな〜。
「俺も倒したぞ教官。龍之介は?」
「俺は、特別待遇だったからやってねぇや。てか、バトれるんならやらせてくれよ」
全く、あとでアリーナ貸し切ってフルバーストしてやる。そして、アリーナ一つ潰してやる。あまり私を怒らせない方がいい。
「それは本当ですの⁉」
「倒したと言うか、向こうが突っ込んできたのを回避したらなんか、壁に刺さって犬神家状態になってた」
「何ですって‼ この私だけと聞きましたが」
「女子の中ではってオチじゃないか?」
カチン
なんか、あれだ。リボルバーの撃鉄を起こした時の音がしたぞ。
「つまり私だけではないと…………」
「そう言う事だな」
「認められません‼ 認められませんわ‼」
「お、おい、落ち着けって」
「あなたっ‼ あとで覚えておきなさい‼」
そう言ってセシリアはどっかに消えた。
「なあ、龍之介、あれって」
「「「「負け犬」」」」
うおっ⁉ 声が三種類増えた⁉ っと思いきや、箒と静寐と簪でした。
「って、いつからそこに?」
「ついさっきだ。ここの様子を見てたら、なんだか言いたい気分になってな」
「…………さいですか」
あ、チャイムがなったな。休み時間も終了か。次は、げっ、
ちなみにこの時間が始まった時、誰一人として立っていなかったと言う。すげえ。
「さて、授業を始める前に、来月のクラス対抗戦にでるクラス代表を決めねばならん。誰かやらないか?」
すまん、千冬さん。あんたのセリフがジャック・Oに聞こえたわ。耳でも腐ったか? てか、クラス代表か…………やりたくねえ。
「俺は一夏を推薦するぜ。な? お前たちもそう思うだろ?」
「私も、賛成です‼」
「私も一票‼」
おう、乗ってきた奴は大歓迎だ。あとで有澤重工経営の温泉へ呼ぶか。
「お。おい。なんで俺にいれるんだよ、龍之介‼ 千冬姉、俺は龍之介を推薦する‼」
「あ、てめぇ、入れたなこの野郎‼ 今すぐ口開けろ、OIGAMI撃ち込んだる‼」
「やめろ‼ 命が無くなる‼」
「私も龍之介に一票入れます」
おずおずと手をあげて俺に一票いれたのは、箒であった。って箒、お前は俺を殺す気か⁉ 俺は面倒が嫌いなんだ‼
「…………でも、まぁ、箒の推薦ならやっても構わんか」
「お前、俺の時と態度ちがくね⁉」
じゃぁかしいわ‼ 野郎が言うと腹立つんだよ。ソルディオス持ってくるぞこの野郎。
「有澤と織斑の二人か。他にいないか。いないなら、この二人から選ぶぞ」
「おいマジかよ、夢から醒め」
「俺は構わんぞ、殺るんなら本気で殺らないと、ね?」
「…………龍之介、お前漢字変換間違ってる」
箒、今のはメタ発言じゃないのかね。いやいや、やるは普通に『殺る』しかないだろ。
「納得行きませんわ‼」
いきなり机を叩いて行った奴は、件の代表候補生、セシリア・オルコット。なんか腹立つな〜。
「クラス代表とは、クラスの顔。それにこんな極東の猿を選ぶだなんて、正気ですの⁉ クラス代表にはこの私しかふさわしくありませんわ‼」
誰が猿だ。この野郎、コジマ漬けにするぞ。
「だいたい、男が代表だなんてありませんわ‼ この私にこの一年間恥をかかせるつもりですの⁉」
男が代表で、なにが悪い(某木馬の艦長風に)
「そもそも、こんな後進的な国で暮らす事自体私にとっては屈辱でーー」
ーーリミッター解除、眼帯
「なんだよ、ISを生み出した日本のどこが後進的っていうんだよ。そんなに日本が妬ましいのか」
「あ、あ、あなた、ねぇ‼ 私の祖国を侮辱しm「…………黙れよ、茶番は終わりだ」はい?」
「貴様、どこに喧嘩売ってんのかわかってるか?」
「なにを言ってますの、あなた。ただの一般人の屑が何をーー」
「誰がただの一般人だ? そうか、言ってなかったか」
仕方ねえ、もっかい自己紹介するか。
「俺は、企業連軍事特殊技術研究部主任、有澤部署担当、有澤龍之介だ。よく覚えておきな」
「き、企業連…………⁉」
セシリアの表情がどんどん青くなっていく。そして、いつの間にかコジマカラーに染まっていく。企業連はそこまで発言力があるのか。てか、ぜってーブルーティアーズってBFFの旧式FCS使ってそうだな。
「ああ、その気になりゃ、島国一つは余裕で沈められるぜ。だがな、俺がキレてんのはな、そこじゃないんだよ」
ーー眼帯
俺の右目から眼帯が外れる。そして露わになる紅い単眼レンズ。
さらに解除された俺の左腕の袖。そこには、機械的な俺の黒い腕。その全てが露わになった瞬間、教室の空気が凍りつく。
「あ、あれって…………」
「う、うそでしょ…………」
「い、いや、怖い怖いよ…………」
いろいろと言っているが、無視。俺はセシリアと向かう。
「なあ、お前は遠回しだが、企業連を屑って言ったよな? ざっけんなよ‼ 確かに企業連は変態が多い。アクアビットはソルディオスを積むわ、キサラギはAMIDAを積みそうになるわ、ミグラントはオーバーキルをしそうな兵器を積むわ、うちの有澤だってキチガイ炸薬を積みよった。でもな‼ それでも大切な家族なんだよ‼ 俺が死にかけた時だって、全力で治療してくれた。俺が誕生日を迎えると祝ってくれた。だからよ、貴様に屑だなんて言われる筋合いなんざねえんだよ‼」
俺は義手にNUKABIRAを装着させる。銃口の先にはイラつくパッキン。撃っていいよな、俺の家族をケナシタンダ、殺ッテモ構ワナイヨナ?
「お、おい、龍之介、落ち着け‼ お前、人を殺す気か‼」
「問題ない、俺はもうすでに200はざっと殺した。今更一人二人増えたところで変わらんさ」
「だからって…………‼」
「落ち着け、龍之介‼ もう人を殺める必要はないんだ、グレネードを引っ込めてくれ…………‼」
「っ‼ お、俺は一体、何をーーって、NUKABIRA出しちまった‼ やばいよこれ、アメリカの巡洋艦が普通に沈むぞ」
「「「危ねえぇぇぇぇぇぇ‼」」」
「全く…………気は落ち着いたか有澤。決着ならISでつけろ」
「了解っす」
ふう、やべえな。マジギレしてたわ。俺、キレっとグレネード持ち出すもんな。
「それでは、勝負は一週間後。各自準備をしておけ、いいな?」
「了解だ。俺は派手にやらせてもらうよ、なあセシリアさんよォ?」
「ええ、楽しみですわね。ご自慢の装甲を撃ち砕いて見せましょう」
「おうおう、強気だねぇ。こりゃ、楽しみだな」
「私を楽しませてくださいな」
「ハハハハハハッ‼」
「オホホホホホホ‼」
互いに冷えた笑を交わす。楽しみだぜ、この火力に耐えられるかどうかな?
「あれ? 俺の意見無視されてる?」
今頃気づいたんかい、一夏‼ だが、すでにおせーよ。勝負はする事に決まっちまったもんだからな。
「マジかよ、勘弁してくれって」
「大丈夫だ、一夏。お姉ちゃんが上手くするから、いや上手くいかせるから」
さりげなく一夏を抱きしめているブラコン姉さん。すごいよね、家族の愛って。
「んじゃ、授業行きましょうや。織斑先生、任せたで〜」
「言われなくても、わかっている。それでは授業に戻るぞ」
その後の授業は難なくすぎて行った。
放課後
俺は、一夏の勉強をみるはめになった。なんでか? 一夏の奴が俺に頼んできたからだよ。
「あ〜、疲れたわ。寝たい、飯食いたい、グレネード撃ちたい」
「最初の二つはわかるが、最後のはやめろよ。動画サイトにあったぞ、キチガイグレネードの発射テストのやつ」
あ、八年前のOIGAMI試射テストか。
「あ、あの動画流したの俺のお袋だ」
「マジかよ⁉ てか、あのグレネード、半径何メートル吹き飛んだ?」
「六十はいったんじゃね?」
「有澤マジパネェ」
なぜかグレネードで盛り上がる野郎共。笑えるわ。
「織斑君、有澤君。ここにいたんですか」
教室に入ってきたのは、山田先生だった。
「んで、何のようで?」
「二人の部屋割りが決まりました。それで、寮の鍵を渡しにきたんですよ」
山田先生は、笑顔で答える。うむ、なんだか子犬みたいな感じだな。
そして、差し出される鍵二つ…………? あれ?
「山田先生、俺らって同室になんないんですか?一夏もいるんですし…………同室にした方がデータも取りやすいはずでしょ」
「いや、それがですね。部屋の数が足りない上に、二人を同室にしてしまうと、一人あまりが出てしまうんです」
「そのため織斑、お前はここの部屋を使え」
一夏に渡された鍵のナンバーは『寮長室』。あ、千冬さんと同室やん。良かったな。
「あ、有澤君はこっちです。一応、私は副寮長してますので、何かあったら言ってくださいね」
「了解っす」
俺の部屋は、1025号室か。ま、いいか。
「それと今のところ二人は大浴場を使えません」
「え、なんでですか?」
↑こいつは馬鹿か?
「馬鹿者、お前は女子と風呂に入りたいのか? そうであるならば、私と入るか?」
「お、織斑君、ダメですよ」
「いえ、興味ないんでいいです」
一つ言っておこう。迂闊な発言は危険だぜ。
「えぇぇぇぇぇぇ⁉ お、織斑君、女の子に興味ないんですか⁉ それはそれで、問題のような…………」
「勘違いしないでください、山田先生‼」
「やべ、俺の穴心配になってきた。俺、一夏から距離とろう」
「真に受けてんなよ、龍之介‼」
悪りぃ悪りぃ、軽い冗談だ。でも、一夏ってホモじゃねえよな。ホモだったらゲイヴン呼ばなきゃいけないからな。もしくはYARCA旅団とか。
「とにかく‼ 今は大浴場は使えませんからね」
「「はーい」」
「さっさと下校しろ、時間はとっくにすぎてるんだ。道草食うんじゃないぞ」
大丈夫だ、こんな短い距離のどこで道草を食えと。無理でっしゃろが。
「ここが俺の部屋か」
中にはいると、そこにはビジネスホテルと同等、もしくはそれ以上の設備があった。ベットは窓側と廊下側の二つか。窓側は同室の方の荷物が置かれているので、俺は廊下側のを使う事となった。
「いや、しかしすげえなここ。さすがIS学園、金の使い方が違う」
「誰かいるのか?」
シャワールームの方から声がしたぞーーって、女の声じゃんかよ。やばいだろこれ。このまま出てこられたら、俺豚箱送りじゃねえの⁉ 何考えてんだよ、IS学園教職員‼
「ごめんね、こんな恰好で。私の名前は篠ノ之ーー」
「ーー箒」
シャワー室から出て来たのは久しぶりに会った幼馴染であった。シャワーから上がってすぐなのだから当たり前だが、肌についた水滴がなんだか色っぽい。そして、なんと言うかバスタオルがギリギリのような気がするのよね。その、眼福なスタビライザーが目にはいるんだよ。
「よ、よぉ箒」
「り、龍之介⁉」
あ、やっぱり恥ずかしいですよね。だからと言ってバスタオルと腕で胸を隠そうとするな。強調されてるだろうが、そのロマンが。
「こ、こっちを見ないで‼」
「す、すまん‼」
俺は急いで視線をそらす。
「な、なんで、ここに、り、龍之介がいるの⁉」
「なんでって、俺もこの部屋なんだよ」
「そ、そうなの⁉」
「んだ。それと、さっきのはすまんな」
そう言って視線を戻したのは、迂闊だった。箒さん、制服へ着替えている最中でした(イメージ的に1/10のフィギュアのやつ)。
「きゃ…………‼」
「わ、悪りぃ‼ 俺はそんなつもりじゃーー」
「うわぁぁぁぁぁぁ‼」
がすっ
思いっきり、手に持っていたブーツで頭を叩かれました。プライマルアーマーの展開が遅かったためダメージはダイレクトに脳へーーかくっ。
(ど、ど、ど、どうしよ…………)
「ちょ、箒‼ なんか、すごい声が聞こえたけど、大丈夫ーーじゃないわね」
「箒、何かあったの? わかったそこのケダモノを殴ればいいのね」
隣の住人である静寐と簪がきました。やっぱり、聞こえていたのかな…………まずいよ、これ本当にまずいよ。
「静寐、簪‼ 誤解はしないでぇぇぇぇぇぇ‼ 悪いのは私なんだよ‼」
「え、どゆこと?」
「説明はするから…………その、あれとって」
私は、テーブルの上に置きっ放しのリボンをとってもらい、それをつけました。
「ふう、すまないな。やはり、リボンがない私は弱いな」
「それで、説明は?」
「あ、そうだった。実はな、私は龍之介と同室らしく、龍之介部屋に入ってきたんだ。それと同時に私はシャワールームからでてったわけだ。すると自然と見られてしまい、弱い私は龍之介の視線を反らせながら、着替えてた。そしたら、突然龍之介がこっちを向いてくるものだから、恥ずかしいやらなんやらで、手に持っていたブーツで殴ってしまったんだ」
「なんか…………どっちもどっちよね」
「…………やはり、私は龍之介に嫌われてしまうのだろうか」
もしそうであるなら、いっそ一思いになろうか。
「う…………うん…………?」
龍之介が目を覚ましたのはその直後だった。
「う…………うん…………?」
やべえ、頭がクラクラするぜ。確か、俺は箒にブーツで殴られて気絶したのか?
「りゅ、龍之介、気がついたのか⁉」
「ま、まあな。それより、静寐と簪、来てたんだ。いらっしゃい」
「「ど、どーも」」
箒が心配そうに詰め寄ってくるが、心配はいらんよ。もう、治ったし。てか、客来てたんだ。
「それで、これはなんの集まりなんだ?」
「龍之介‼」
「うぉっ⁉ な、なんだ⁉」
ほ、箒、いきなりでかい声出すな。耳が逝ってしまう。
「その…………なんだ、さっきはすまなかったな。いきなり殴ったりして…………」
なんでい、そんな事か。もっと重大なことだと思ったが、まいいか。
「気にすんな。俺は、気絶した以外どこも怪我してねーし大丈夫だ。そんなに、気に病むな」
「…………本当に怒ってないか?」
「怒ってねえよ」
「…………私の事、嫌いになったりして無いだろうか?」
「いや、嫌いじゃねーし。むしろ、好きな方ーーって俺は何を口走ってるんだぁぁぁぁぁぁ‼」
わわわわわわわわ‼ まずいよ、まずい。俺、とんでもねえ爆弾かましてしまった。俺は、グレネードと共に散るしか無いな。箒も顔紅く染めちゃってるし。
ーー不明な
わかっとるわ‼ んな事‼
「そういやさ、箒」
「な、なんだ?」
「そのリボン、大切に使ってくれているんだな。八年前からずっと」
そう言うと、箒はおもむろにリボンをほどいた。ポニーテールでまとめてあった髪は下ろされ、何だか何処か平安の時代の人のような美麗さが垣間見えた。
「うん。だって、龍之介がくれた大切なリボンだもん。あの時、すごく嬉しかった。だから、今でも使っている。私は、龍之介の事が好きだから」
「…………箒、リボンをつけろ。お前が、お前じゃなくなってるぞ、キャラ的に」
箒は、リボンをつけるといつもの凛とした佇まいに戻った。
つまり、箒はリボンがないと、なんと言うか弱い。でもまぁ、なんだ、箒の半泣きの顔って可愛いんだな。笑ってる方が、一番いいけどな。
「なぁ、箒。お前が、さっき言った事は本当の事なのか?」
「…………(ボンッ)」
「うわ、箒が爆発した⁉」
「箒の顔、真っ赤だ。そりゃ、ああも率直に言ってしまえばね、なるよ」
何と無くだが、このまま攻めてみようか。
「なぁ、箒。お前、本当に俺の事が好きなのか?」
「…………う、うむ。そうだが」
「それは異性としてか?」
「…………それ以外に何があると言うのだ」
「ふ〜ん。まぁ、これと言った事はないさね。お前が俺をどう思っているのか気になっただけだ」
「そ、そうか…………」
箒は、顔を紅くしたまま俯いた。なるほど、あの時顔が紅く染まったのはそういうわけね。
「んじゃ〜、そろそろ私達はお暇しようか」
「頃合いとしては最適。それじゃ、また」
静寐と簪は自室へと戻った。これで俺と箒の二人だけの空間となった。なんだか、鼓動が高鳴る。箒がいる事を意識すると、顔に火照りが出る。よくわからん。
「りゅ、龍之介」
「お、おう。なんだ?」
「その…………なんだ…………ひ、久しぶりあっていう事のものでもないとは思うのだが…………」
「⁇」
「…………その、初めて声をかけられた時からお前の事は好きだったんだ。きっと、お前の持つ優しさに惹かれていたのかもしれない。それは今でも変わらない。無謀でも立ち向かう姿勢はとても格好よかった」
「へぇ、そんな感じに見られてたんだ」
「それでなんだがな…………私はずっとお前の事ばかり考えていた。それこそ八年前からだ。私はお前の事が好き、それに間違いはない。それでなのだが、龍之介、私とーーーーあぁぁぁぁぁぁぁやめた‼ 今は言う時ではなかった‼」
「なんだよ、もったいぶらずに言うなよ」
「な、なに⁉ お前は知りたいのか⁉」
「ま、まあな。ちょっと気になるし」
「…………しかし、言ってしまえばお前を苦しめる事になるぞ⁉ それでもいいのか⁉」
「いーからいーから、言ってくれよ」
俺は箒が言おうとした事を聞き出そうと、攻めの態勢に入る。少しずつあおっていくと、箒が覚悟を決めたようだ。ただし、頬がかなり紅くなってますよ。なにを言い出すんですかね?
「ええい、言えばいいのだろ、言えば‼ 龍之介、私と付き合ってくれ‼」
箒の口から出た言葉は、俺の想像の斜め43°くらいをいくものだった。って、今付き合ってくれと言ったよな。俺はこの手の意味がわからないので、多分買い物以外だろうと決めつけて見た。
「それは、買い物以外の意味で捉えていいのか?」
「…………(コクッ)」
「そうか…………でも、少し時間をくれ。その、あまりにも突然すぎたからな、まだ俺もすぐには決められん。だが、どんなに長くても二ヶ月以内には答えを出す。だから、待っててくれ」
「…………わかった」
ふと外をみると、すでに暗くなっていた。時刻は九時半。今日はいろいろと疲れたわ。寝るか。
俺は寝巻きという名の浴衣を着る。なお、有澤マーク入りであるため、有澤重工が経営する温泉のものである。
「箒、俺は寝るぞ。明日も早いんだ、そろそろ寝ようか」
「ああ、そうする。お休み、龍之介」
「お休み」
電気を消し、意識を夢へと手放す。でも、箒が俺をあんな風に思っていたとはな。待てよ、上手く使えば、よく来る見合いの誘いも破綻できるんじゃね? あ、それがいいかもしれないな。箒は幸せになり、俺は見合い地獄から脱獄できる。素晴らしい作戦だ。
いろいろと考えしまったため、実際に寝たのは十時半であった。
その頃、寮長室からは
「ぎにぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」
とある男子生徒の断末魔が聞こえたとか聞こえなかったとか。