スーパーメタルクウラ伝【本編完結】   作:走れ軟骨

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原作キャラが界王様しかいないアニメ版、劇場版キャラだらけな話


毒をもって毒を制す

界王や界王神の日々の業務は忙しい。

彼らの仕事は、本当は創造に関することだけのはずなのだが…

強大な力と悪意を持った存在が出てきた時にそれに対処し破壊する神様は、

とある事情によりこの宇宙では殆ど仕事をしてくれない。

”就寝癖”なる悪癖のせいで、常に寝ているのである。

そのせいで500万年前には大界王神と3人の界王神が魔人ブウに殺されている。

界王神や界王達が寝こけている破壊神を起こさぬ理由…

それはビルスの寝起きの悪さと子供っぽい癇癪持ちな点と気まぐれさと、

まぁ色々あるらしい。

噂では隠れんぼに負けて腹を立てて、とある界王の星を削りまくってちっちゃくしたとか。

 

そんな、星を小さくされてしまった北の界王様は今、とても悩んでいた。

いや、彼だけではなく彼以外の東西南の界王様も悩んでいた。

界王達が集っている大界王星の主、長く白い髭がチャームポイントな大界王も悩んでいた。

 

「『星喰のクウラ』か……厄介な男が出てきたもんだねー」

 

飄々としながらも冷や汗を一滴垂らしながら大界王が言うと、

 

「おい北の界王! なんだってこんな凶悪な奴を野放しにしてんだ!」

 

西の銀河の界王…片目丸サングラスの小柄な界王が北の界王様に噛み付いた。

 

「そんなもんわしに言うんじゃないわー! わしだって何とか出来るならとっくにしとるわい!

 フリーザとコルドだけならまだ『怖いから触らんとこー』で済んだわい!

 けどクウラは別じゃ……奴は星を支配するとか、そんな生易しいもんじゃない。

 奴が通った後は、まさしく草木一本残らず命は絶え…星は死ぬ…!」

 

我らが勝手知ったる太っちょで愛嬌ある界王様が、

ただでさえ青い肌を更に蒼白にしてクウラによる被害を述べるのであった。

 

「………300年弱ぶりに私達が集められたと思ったら…またこんな難題とはねぇ」

 

界王様よりさらに太った、THE・おばちゃんといった感じの東の界王が溜息をつく。

 

「……いい加減ビルス様を起こそう。 そうすれば全部解決する」

 

やや大柄でタラコ唇が特徴的な南の界王が、我ながら名案だと言わんばかりに発言するが、

 

「誰が起こすんじゃ? わしゃー嫌だよ。

 寝起きのスールビ様(ビルス)は何するかわからんし」

 

トップであるはずの大界王はまっさきにこの名案を嫌がった。

他の連中もそれに続く。

 

「こ、これ以上界王星をちっちゃくされてたまるか! わしも嫌だ!」

 

「お、俺だってやだよ! 東の界王、お前やれよ!

 お前の図々しさならビルス様だってやり込められるだろ!

 ビルス様と大好きなレースでもしてこいよ!」

 

「ふざけんじゃないわよ! ビルス様とゲームなんて北の界王の二の舞いよ!

 あんたこそ自慢のパイクーハン護衛に連れてけば安心でしょ!

 西の界王がやんなさい!」

 

「ビルス様相手にしてたら誰が護衛だって意味ないわい! しかも死人だっての!

 …………そうだ、南の界王……お前がキャタピーを連れてだな」

 

「意味ないって今お前言ったろ!? しかもキャタピーも死人! やだよ、お前やれ!」

 

わいのわいのガヤガヤとどこかコミカルな界王達であったが、

 

「シャラ~~~ップ! やめやめ! スールビ様を起こすのはやめ!

 星喰クウラはわしらにとっては強いがスールビ様は

 『お前らこんな雑魚退治の為に俺を起こしたのか!』ってブチ切れるに決まっとる!

 500万年前のブウ事件だって寝とった筋金入りじゃし」

 

大界王の言に一同はバカ騒ぎを止めるが、

今度はどんよりと暗い雰囲気に沈んでしまった。

確かに大界王神や界王神達が次々と死ぬ中、

自分の命のストックでもある存在が失われていっているのに

寝ていた破壊神がこの程度で起きてくれるとは思えない。

せめて大界王神達が生きていてくれればどうにかなるであろうクウラ問題だが、

よりにもよって生き残っている東の界王神は戦闘の才は欠片もない。

創造の神に戦いを求めるのは酷だが、当てにならないと愚痴らずにはいられない。

だって南の界王神は物凄く強かったのだ。

生き残っているのが彼だったら問題は一発で解決しただろう。

どうしたものか。

一同が悩んでいると、

 

「はぁ~~~300年前もこんな感じだったなぁ。

 ヘラー一族が暴れまくって……俺達だけで頑張って対処したよな…」

 

南の界王がテーブルに突っ伏しながらボソボソと言う。

 

ヘラー一族とはコルド一族が台頭する前に銀河中を暴れまわっていた

傍若無人、残虐非道な戦士一族のことである。

東西南北の銀河を略奪していた一種のスペースパイレーツで、

ヘラー一族の優れた上級戦士はなんと戦闘力にすると数百億級の猛者揃い。

だが一族はその獰猛さと欲深さが災いしやがて同士討ちを始め、

最後には4人にまで数を減らした。

そしてその残党4人がとある星を略奪し祝杯をあげて酔いつぶれた隙に

東西南北の界王達が集い、界王にだけ使える不思議な超能力によって封印したのであった。

 

「あぁ~あの時も大変だったわよねぇ。

 女のヘラー人だけ酔ってなかったから危なく星から逃げられそうだったものね」

 

「そんなこともあったのぉ~」

 

西の界王に、ウンウンと頷いて感慨深そうに同調する界王様。

すると突然、

 

「それじゃ~~~~!!!」

 

大界王が席を蹴って叫んだ。

 

「な、なにがでしょうか!?」

 

思わずズッコケた界王様が何とか立ち上がりつつ聞き返すと、

 

「毒をもって毒を制す!

 ラーヘー(ヘラー族)のインフウ(封印)を解いてラークー(クウラ)にぶつけるのじゃ!」

 

サングラスを輝かせながら大界王が力説しだした。

 

「お主ら4人で封印したラーヘー共の力はラークーと大差無いじゃぁん!

 わしってマジ頭良いんじゃねーかな?

 ヘラー人を見つけたらクウラは必ず奴らを食おうとするじゃろう。

 そして奴らとクウラが戦いだしたら……その隙にまたお主らが封印を仕掛けるんじゃ」

 

「き、危険すぎます! ヘラー一族の封印だってギリギリの命がけだったんですよ!?

 しかも300年前に使ったばっかなのに!」

 

「そうですわ! まだ前回の封印の疲れが抜けて無くて腰が痛いのですのよ!

 しかも今度は星喰のクウラが一緒なんて!」

 

西と東の界王がギャアギャアと猛烈に反対するも、

 

「…じゃあ、これ以外になんか方法あんの?」

 

「「「「しーーーーん…」」」」

 

大界王にそう言われて、一同、シーンとしてしまった。

これといって代案は思い浮かばなかった界王達は、結局この危険な賭けに臨まざるを得ない。

大界王はこれまでの飄々とした雰囲気を急に改めて、

 

「まぁ、うまくいくことを祈ろうではないか。

 いや…上手く行かせなければならん……儂らは界王なのじゃ。

 我々がしくじれば…………宇宙に多大な血が流れるぞ」

 

界王らを見渡した。

ゴクリ、と皆が息を呑む。

どうやら賽は投げられたらしかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その日は来た。

 

「サウザー。 進路を第20星系方面へ向けろ」

 

クウラが星を喰らいだしてから8年…突然にルーチンワークを止めて言い出した。

無論、クウラの目論見は感知した強力な気の調査である。

ビッグゲテスターのレーダーと鍛錬によって習得した気の操作・探知能力が複合した結果、

クウラの探知範囲と精度は想像を絶する。

ツフル人の作ったスカウターの超上位版を眼球内に内蔵していると言ってもいい。

 

「ハッ。 しかし、その方面に向かうのは…

 後20分で到着するウトキテ星から離れてしまいますが宜しいですか?」

 

「構わん」

 

母船の玉座に腕を組みながら腰掛けるクウラ。

先程トレーニングルームから出てきたと思ったら突然の進路変更命令であったが、

クウラ機甲戦隊は不満一つ言わない。

そのまま指示通りに宇宙船を進ませ続けること3日。

目的とした宙域に浮かぶ一つの星に宇宙船は着陸しようとしていた。

この距離まで近づくと、いよいよ不穏な空気が漲っているのをクウラは感じたが、

サウザー達はやはり何も感じていない様子で、

彼らの装備しているスカウターにも何の反応もないようである。

クウラは周囲の探知に更に力を入れようとした…のと同時であった。

 

突然、轟音が母船内に響くと外壁があれよあれよと爆発し船体を引き裂いていった。

 

「な、何事だ!! ネイズ!」

 

サウザーが素早く反応して、

普段、機器の操作や船体整備を担っていたネイズに尋ねる。

スカウターに何の反応も無かったことから事故か何かの可能性を疑ったようだ。

 

「故障じゃねぇ、外部からの攻撃だ!」

 

「俺達をコルド一族のクウラ軍団と知っての狼藉か!!」

 

ネイズの言葉に巨漢のドーレが憤慨して叫ぶが、

 

「落ち着け! 俺は爆発の直前に戦闘力の高まりを感じた。

 戦闘態勢に入れ。 船は放棄する」

 

「「「ハッ」」」

 

取り乱さぬクウラに釣られ機甲戦隊も動揺を消すと、

全員が爆発する母船を飛び出してそのまま周囲の警戒に移行する。

惑星には所々崩壊した建物があって文明の名残を感じさせる。

どうも何者かの攻撃を受けたように見えるが、この辺りはまだコルド一族は手を出していない。

他の種族の侵略なり星間戦争なりが過去にあったのだろうと推測できた。

 

(攻撃の直前まで感じなかった戦闘力………。

 サイヤ人や地球人と同じ、気を増減させる器用な連中のようだな……しかも、強い!)

 

ニヤリと、クウラの口角が持ち上がり不敵に笑う。

 

「……どこだ? スカウターに反応がない」

 

サウザーがしきりに左目に装着されたスカウターを操作するもレーダーには何も映らない。

ドーレとネイズも同様であった。

クウラが、

 

「馬鹿め、スカウターに頼りすぎだ。

 奴らは気の操作が出来るタイプ………スカウターのレーダーをすり抜ける。

 意識を集中しろ、気を高めるのだ」

 

と言って部下を窘めるが、そういえば…と思い返すと

 

(……俺自身の強化を優先しすぎたか。 こいつらに気の操作を教えていなかったな)

 

少しだけ、彼らの上に立つ者として放任を反省した。

その時である。

 

「……そこか」

 

クウラのサーチに反応があった。

それは崩壊した建造物の陰。

クウラの眼から高出力の破壊光線が放たれ、

着弾点を中心に半径5、60mを軽々と吹き飛ばす。

機甲戦隊が衝撃に身構える中、クウラは微動だにせずそのまま視線を上にずらしていき、

 

「驚いたな! 気は消していたはずだがこうも簡単に見破るとはな!」

 

視線の先…空中に浮かぶ青い肌をした美丈夫が薄笑いを浮かべていた。

サウザーがあからさまに不愉快そうな顔をしながら、

 

「我らの宇宙船を攻撃したのは貴様か………何者だ!

 この御方をクウラ様と知ってのことか!」

 

どこか自分と似ている異星人へと声を荒らげて問いかけた。

 

「俺の名はゴクア……ヘラー一族の銀河戦士!

 クウラなんて名前、聞いたこともないな………どこの田舎もんだ?

 まぁ貴様らの名などどうでもいいし、何故こんな星に来たのかも興味ないぜ。

 仲間が起きるまで貴様らで遊ぶとするか!」

 

ハァ! という勇ましい声と共に男が気を放出すると、

サウザー達のスカウターにグングン上昇する数値が目まぐるしく表示され…

 

「うっ…?!」

 

すぐにボンッ、と音を立ててスカウターは吹っ飛んでしまった。

 

「なんだと…あいつらの戦闘力は………俺達以上なのか?」

 

「へっ……なわけあるか。 スカウターの故障だろうよ」

 

ドーラとネイズの発言を聞いてもクウラは無言を貫き様子見に徹している。

彼の眼球内に表示されるデータは100億を超えて尚上昇している。

 

「4人でかかってきてもいいんだぜ?」

 

ゴクアを名乗る海賊風衣装に身を包んだ男の嘲笑うかのような声を聞いて、

 

「…………貴様如き、クウラ様のお手を煩わすまでもない! 我ら、クウラ機甲戦隊!」

 

「「おおっ!」」

 

バッ!ババッ!バッ!

 

フリーザのギニュー特戦隊に対抗して作られたというスペシャルファイティングポーズを、

息の合ったコンビネーションで舞う機甲戦隊。

これは攻撃開始の合図でもある。

マヌケに見えるとか言ってはいけない。

彼らは真面目なのだ。

 

即座にかっ飛んでゴクア向けて三方向から攻めかかる彼らだが、

 

「ふふふ……自分と敵の力量差もわからんらしい………なぁっ!!」

 

「ごふっ!?」

 

蹴りによってサウザーが、

 

「ぐえっ!?」

 

裏拳によってネイズが、

 

「う、がぁぁぁぁ!?」

 

頭突きを受けてドーレが、三人が瞬間的に吹き飛んでいった。

 

「くくくっ! こんな雑魚を引き連れてるなんざ程度が知れるな。

 直ぐに貴様もあの世に送ってやるぜ!」

 

腰に下げた太身のレイピア風の剣を引き抜いたゴクアはクウラの目の前まで高速で迫り、

喉元目掛け雷光のように鋭い突きを放つ。

だが…

 

「う!?」

 

クウラは指先一つでレイピアの切っ先を受け止め、

ゴクアがどれだけ力を込めようが1mmたりとも剣はその先には進めない。

 

「…………お前は敵と自分の力量差も測れぬのか?」

 

冷たく無表情に、部下にくれた言葉を意趣返ししてやるクウラ。

ゴクアの額に血管が浮き出る。

切っ先を抑えていたクウラの指先が僅かに光を放ち、

 

「っ!!」

 

気付いたゴクアは咄嗟に退いて、

相手の狙いを散らすために左右に揺れながら距離を取ろうとした……が、

 

「うおおおおおおおお!!!?」

 

細切れの青白いデスビームモドキが超高速のマシンガンのようにクウラの指から放たれる。

最初の数十発は躱し、弾き、防ぎ、凌いだゴクアだが、

やがて雄叫びを上げながら全身に強かにそれを受けながら吹き飛び、

それでもクウラはデスビームモドキのマシンガン…連続フィンガーブリッツを止めはしない。

悠に数百mは後退させられ大ダメージを負わされてしまったゴクアは爆煙に包まれながら、

 

(何だコイツは…! さっきのふざけた連中とは桁が違う! へ、変身をせねば…!)

 

焦っていた。

大分距離が離れ弾幕が薄くなった時を見計らい慌てて更に距離をとる。

しかし、

 

ドンッ

 

と、前を見据えながら飛び退いていたゴクアの背に何かがぶつかった。

何もなかったはずだ。

そう思いながらもゴクアが振り向くと、

 

「あ、ああ…!」

 

尻尾を生やしたあの異星人が冷ややかな眼をしながら彼を見下ろしていた。

ゴクアが次なる思考と行動に移るより早く、

クウラの尻尾から膝、肘の打ち下ろしの連撃で大地に叩きつけられる。

 

「……戦闘力、およそ270億……褒めてやろう……貴様は俺の良い餌になる」

 

混濁する意識の中、ゴクアが最期に聞いた言葉はそれであった。

 

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