学戦都市アスタリスク ~六花の星野七瀬~   作:ムッティ

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もう11月かぁ・・・

秋だなぁ・・・


手合わせ

 「それにしても、まさかソフィアまでいるとはな」

 

 「私も驚きましたわ。ここで七瀬さんにお会いするなんて」

 

 一緒に夕飯の片付けをしながら会話する俺とソフィア。

 

 正嗣さんに呼ばれて居間へ行ったところ、何と柚陽と一緒にソフィアが座っていたのだ。

 

 何でもソフィアは天霧辰明流に興味があったらしく、柚陽にお願いしてここまで連れて来てもらったらしい。

 

 天霧家に泊めてもらいながら、正嗣さんの手ほどきを受けているそうだ。

 

 「本当は柚陽の家に泊めてもらう予定だったのですが・・・」

 

 「本当にすみません・・・」

 

 肩を落とす柚陽。

 

 何かメッチャ可哀想・・・

 

 「それにしても・・・貴女とお会いするのは久しぶりですわね、クローディア」

 

 「えぇ。お久しぶりです、ソフィア」

 

 挨拶を交わすソフィアとクローディア。

 

 レティシア同様、この二人も顔馴染みらしい。

 

 「・・・貴女、何だか変わりましたわね」

 

 「そうでしょうか?」

 

 「えぇ、表情が柔らかくなったというか・・・以前までの貼り付けたような笑顔と違って、何だか幸せそうな笑顔ですわ」

 

 「フフッ・・・でしたら、七瀬のおかげでしょうね」

 

 俺の腕に抱きつくクローディア。

 

 「好きな殿方と結ばれたんですから、幸せじゃないはずがないでしょう?」

 

 「・・・砂糖を吐きそうですわ」

 

 「「アハハ・・・」」

 

 苦笑する綺凛と柚陽。

 

 そんなに甘いかなぁ?

 

 「それにしても、クインヴェールと星導館の生徒会長を誑し込むなんて・・・流石は七瀬さんというべきでしょうか」

 

 「酷い言い草だなオイ」

 

 「事実でしょうに」

 

 溜め息をつくソフィア。

 

 「全く・・・ちゃんと二人とも幸せにしてあげて下さいな」

 

 「勿論」

 

 そんなこんなで、五人でテキパキと片付けを進めていく。

 

 ちなみに綾斗と正嗣さんは、何か大事な話をしているらしい。

 

 二人が話し合いに集中できるよう、俺達は夕飯の後片付けを買って出たのだった。

 

 「よし、これで終わり・・・って綾斗?」

 

 片付けが終わって顔を上げると、綾斗が玄関で靴を履いているのが見えた。

 

 「どっか行くのか?」

 

 「・・・ゴメン。ちょっと出てくるね」

 

 綾斗はそれだけ言うと、早足で外へと出て行った。

 

 「・・・何かあったのでしょうか?」

 

 「・・・正嗣さんとケンカしたのかもしれません」

 

 クローディアの呟きに、困ったような表情を浮かべる柚陽。

 

 「遥さんがいなくなってから、あまり折り合いが良くないと聞いていますから」

 

 「・・・とりあえず様子見だな。あんまり戻って来ないようなら迎えに行こうぜ」

 

 そんな話をしていると、正嗣さんが廊下を歩いてきた。

 

 「すまないな。後片付けを任せてしまって」

 

 「ご馳走していただいたんですから、これくらいは当然ですよ」

 

 俺の言葉に正嗣さんはフッと笑うと、後ろの綺凛に視線を向けた。

 

 「刀藤さん」

 

 「は、はいっ!」

 

 「綾斗から話は聞いている。何でも、剣の道に迷っているとか」

 

 「・・・はい」

 

 俯く綺凛。

 

 正嗣さんは頷くと、くるりと背を向けた。

 

 「ならば、道場へ来なさい」

 

 「え・・・?」

 

 「剣士たるもの、剣を交えることで会話するとしよう」

 

 そう言って道場へと歩いていく正嗣さん。

 

 どうやら、剣士の先達として綺凛の悩みに付き合ってくれるようだ。

 

 「ほら綺凛、行ってきな」

 

 「は、はいっ!」

 

 俺が背中を押すと、綺凛は慌てて正嗣さんの後を追いかけるのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「ふぅ、さっぱりした」

 

 お風呂から上がり、縁側で涼んでいる俺。

 

 すっかり暗くなった空に浮かぶ、綺麗な月を見上げる。

 

 「・・・何か、ウチの実家と似てるな」

 

 そんなことを思っていると、道場の方から物音が聞こえた。

 

 「綺凛と正嗣さん、まだやってるのかな・・・?」

 

 様子を見に道場へと足を運ぶ俺。中を覗いてみると・・・

 

 「はっ・・・はっ・・・はっ・・・」

 

 竹刀で素振りを繰り返す、正嗣さんの姿があった。

 

 それにしても・・・

 

 「凄いな・・・」

 

 思わず呟いてしまう。

 

 全く無駄の無い洗練された動きは、とても美しいものだった。

 

 「・・・星野くんか」

 

 こちらに気付き、素振りを止める正嗣さん。

 

 「七瀬で良いですよ。お邪魔してすみません」

 

 「構わんさ。少し剣を振りたくなっただけだからな」

 

 汗を拭う正嗣さん。

 

 あ、そういえば・・・

 

 「綺凛はどうでしたか?」

 

 「吹っ切れたような顔をしていた。迷いは消えたようだ」

 

 「良かった・・・ありがとうございます」

 

 「少し手合わせに付き合ってもらっただけだ。私は何もしていない」

 

 綺凛をここに連れて来て良かった・・・

 

 綾斗にも感謝しないとな。

 

 「・・・綾斗は戻ってきたか?」

 

 「えぇ、さっき」

 

 戻ってきた綾斗の表情は、少し明るくなっていた。

 

 綾斗を迎えに行った柚陽の話では、紗夜と電話していたそうだ。

 

 幼馴染との会話が、気を紛らわせてくれたんだろう。

 

 「・・・どうにも私は、言葉が足りないらしい」

 

 「え・・・?」

 

 「伝えたい思いがあっても、上手く伝わらない。言葉にして伝えるというのが、どうにも苦手でな。親として未熟者だ」

 

 淡々と語っているように見えるが、俺には酷く落ち込んでいるように見えた。

 

 正嗣さんは正嗣さんなりに、綾斗のことを想っているんだろう。

 

 「遥がいなくなってから、綾斗の笑顔を見ることはほとんど無かったが・・・久しぶりに見た綾斗は、とても楽しそうに笑っていた。きっと七瀬くん達のおかげだろう。父親として礼を言わせてほしい。ありがとう」

 

 「それなら、一つお願いしても良いですか?」

 

 俺はそう言うと、道場の扉の側に置いてあった竹刀を一本手に取った。

 

 「俺とも是非、手合わせをお願いしたいんですが」

 

 「・・・七瀬くんは剣を使わなかったと思ったが?」

 

 「えぇ、久しく使ってません」

 

 「久しく・・・?」

 

 「昔は使ってたんですけど色々あって使わなくなったんですよ。でも正嗣さんの素振りを見てたら、少し懐かしくなって・・・お手合わせ願えますか?」

 

 竹刀を構える俺。綾斗が紗夜との会話で気が紛れたというなら、正嗣さんだって気が紛れても良いだろう。

 

 それこそ、剣を交えることで。

 

 「・・・良いだろう」

 

 正嗣さんはフッと笑うと、俺に向かって竹刀を構えた。

 

 「では、上段を打ち込んでみなさい」

 

 「了解です」

 

 俺は勢いよく床を蹴ると、竹刀を上段から打ち下ろした。

 

 「はぁっ!」

 

 しかしその瞬間、正嗣さんがそれを巻き取るにして竹刀で受け流した。

 

 えっ・・・

 

 「今度はこちらの番だ」

 

 踏み込んでくる正嗣さん。

 

 使ってきた技は、天霧辰明流剣術初伝“貳蛟龍”だった。

 

 俺はそれを受け止めるが・・・

 

 「っ・・・」

 

 何だこれ・・・

 

 綾斗より鋭くて、まるでそのまま竹刀をすり抜けそうな・・・

 

 「ほう・・・やるな」

 

 感心している正嗣さん。

 

 「久しく使っていないと言っていたが、久々に剣を振るった者の太刀筋では無いぞ?」

 

 「・・・実戦では、久しく使っていませんよ」

 

 竹刀を下ろし、肩をすくめる俺。

 

 「鍛錬はずっとやってます。小さい頃からずっと」

 

 「それであれば、実戦でも使えたのではないか?」

 

 「ずいぶん前になりますけど、一番上の姉が両親を剣で殺すという暴挙に出まして。ついでに俺も腹を刺されて死にかけました」

 

 さらっとしたカミングアウトに、流石の正嗣さんも固まる。

 

 「それ以来、剣を使うことにちょっと抵抗があって・・・怖いわけじゃないんですけど」

 

 「・・・君のお姉さんの何人かは、剣士だったはずだが」

 

 「あの人達は俺と違ってメンタル強いんで、乗り越えたんですよ」

 

 零香姉が剣で父さんと母さんを殺したのなら、その剣で零香姉を超える・・・

 

 それが三咲姉・五和姉・六月姉の結論だった。

 

 俺はどうしてもそんな気持ちになれなかったが。

 

 「でも、いつまでもそれじゃいけないんですよ。あのバカ姉を倒そうと思ったら、俺が使えるものは何でも使わないといけないですから」

 

 「・・・使う気なのか?」

 

 「えぇ」

 

 頷く俺。

 

 「本当は剣を交えることで、正嗣さんの気が少しでも紛れたら良いと思ったんですけど・・・逆に俺が助けられちゃいました」

 

 「・・・それなら、今度は私のワガママに付き合ってもらおう」

 

 「え・・・?」

 

 正嗣さんは口元を緩めると、再び竹刀を構えた。

 

 「もう少し手合わせ願おう。あまり丁寧に手ほどきする時間も無いが、盗める技は盗んでいくと良い」

 

 「・・・良いんですか?」

 

 「構わん。門下生のいない今、人に教えることなど無かったが・・・君や刀藤さんやフェアクロフさんのような若者の力になれるなら、私に教えられることは全て教えよう」

 

 「正嗣さん・・・ありがとうございます」

 

 俺はお礼を述べると、再び竹刀を構えた。

 

 「では・・・お願いします」

 

 その日の俺は夜遅くまで、正嗣さんと手合わせを続けたのだった。




どうも〜、ムッティです。

ヤベェ、全然話が進まねぇ(絶望)

シャノン『まぁ早く竜王星武祭まで行きたいよね』

ホントそれ。

もう間の話は全部ぶった斬っていい?

シャノン『いいわけあるかっ!訳分からなくなるでしょうが!』

ってシャノンが言うので、カットはしません。

苦情はシャノンに言って下さい。

シャノン『まさかの責任転嫁!?』

それではまた次回!以上、ムッティでした!

シャノン『逃げるなあああああ!!!!!』
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