それと作者の歴史知識は色々とごちゃごちゃなので多少の違和感とかは見逃して下さい…!
蓬莱の玉の枝の納品から早三日経ったが、どうやら俺の知っている知識通り藤原さんは代金を踏み倒そうとしたわけで…。
職人たちの手によって全てバラされたあげく婚約者候補から転落、さらに借金による破産、それに輪をかけて権力の場からの失脚。
多分俺のせいだけど、責任は取りかねる。
むしろ今現在、俺の状況がピンチなので他人の心配をする暇なんてない。
「石作さんが仏の御石の鉢で…阿部さんが火鼠の皮衣…?何でどいつもこいつも人に作らせようとするの?馬鹿なの?」
てか歴史そんな詳しくないから、物を知らない。火鼠は…まぁ、燃えない布?なんだろうね。
仏の御石の鉢って何だよ(笑)
「カノン…わかる?」
「そうですね…。ただの鉢を持っていったら駄目でしょうし、いっそのこと光らせてみては?
誰も実物なんて知りませんよ。何となく神々しい何かを持っていけば大丈夫かと思います。」
「ふむ、分かった。そんなら鉢は光らせよう。そんで火鼠は不燃性にしなきゃな。」
どっちとも難題があってたら、どうなるんだろうか…?輝夜の前で揉めることは明白だけど…。
というより、どうしてこんな大口注文を受ける事態になったかというと職人たちの口コミが広がりすぎたのと完成されすぎた蓬莱の玉の枝が輝夜の邸宅に飾られたことにより噂になってしまったことに由来する。
そして、それを作成した職人が俺ということも全部バレた。結果、お二人様のお屋敷に呼び出され、作成を命じられた。
断ろうにも、職人達の命を人質に揺すってきた。こんな奈良時代から貴族が腐ってるんじゃ日本の未来が心配になってくる。
…いや歴史的に考えると元から腐ってたかもしれん。
「枝作ったときの余りでキラキラの鉢を作るとして…。火鼠はなぁ、どうしようかなぁ。」
自分でも整理がつかないくらい色々と呟きながら考える。だけど常識からして燃えない衣なんて作れる訳がない。そんなの20世紀にならないと実現などしないだろうし…。
「カノン、ちょっと散策してくるから留守を頼むわ。」
「了解しました。いってらっしゃいませ。」
散歩がてらに考えれば、何か思いつくだろう。とりあえず、田吾作さんに紹介された家にでも行くか。
家から大分離れて、都からも外れた場所にその店はあった。前に襲ってきた半妖が根城にしていた家屋で、根なし草の旅人や僧が宿がわりに昔は使っていたらしい。
見た感じ心霊スポットだが、中に入ってみると折れた槍や血塗れだった服が年月の経過で黒ずんでしまったものと、それを着用していたであろう頭蓋が大きく欠損した白骨があった。それもたくさん。
「曰くつきどころじゃないな…。さっさと目当ての物を探して帰ろう。」
散策のついでに職人頭から頼まれた要件をすませることにした。それは…件の半妖に奪われた金槌を取り返して欲しいとのことだ。
父から譲り受けた大切なものらしく、陰陽師に頼むとなると凄まじい出費になるし、何より一括払いだそうで。
本当は争い事なんて真っ平ごめんだが、戦闘面でカノンがいない場合のシミュレートもしておきたいから職人頭の頼みを了承した。
「全く…人の親の形見をこんなところに捨てておくなんて良心が痛まないのか。」
入口からほどない場所にある腐乱死体の腹の上にあった。どうやら旅人も襲われてたみたいだ。
「うわぁ…こういうのマヂ無理…。」
顔をしかめながら家屋の外に出ようとしたら、いきなり壁ごと吹っ飛ばされた。
「お前…ゴロス。」
「こないだの仕返しかよ…!全く肝の小さい野郎だ!」
半妖は俺に向かって、鋭い爪を振り回してくる。咄嗟に白骨死体から盾を作成して防ぐ。
ひたすら殴ってくるだけでなく、時おりフェイントもかけて反撃の隙を作らせなかった。
「ぐぅ…!」
骨の盾が損壊した隙を突かれて、肩に一発貰ってしまう。喰らってみて分かったが、焼けるような痛みとはあながち間違ってない表現だな。
トドメといわんばかりに、両腕を振りかざして半妖は俺に降り下ろしてくる。絶体絶命だが、その時を待ってました。
「腕と別れを告げな!」
目の前に異次元を出現させて、両腕を包み込むように展開する。
半妖の肩までが異次元へと入ったことを確認すると、異次元を素早く閉じた。次元によって両肩ごと断ち切られた半妖はもがき苦しんでいた。
「命までは取らんよ。実験に付き合ってくれた礼だと思ってくれ。」
地面に倒れた半妖の体を跨ぎ、今度こそ家に帰ろうとしたが…何かに足を掴まれ転んでしまう。
思わず自分の足を見ると、半妖が俺の足を掴んでいた。もう一度言おう、半妖が俺の足を掴んでいる。何で?勿論手だ。
「この時代の半妖は腕が再生するのか!?」
「コ、ロス」
だけどその場しのぎなのは腕の筋肉の量からして明らかだった。もう片方の足で顔面を蹴って引き離す。
そしてその勢いのまま、持っていた金槌を右手に持ち、それを参考にしながら左手に骨と折れた槍の刀身で出来た金槌もどきを作成する。
流石に人様の所有物を武器にするのは気が引けるからね。
そして金槌もどきを思いきり叩きつける。何度も何度も叩きつけて確実に息の根を止めた。
そして分かったことがあった。
「俺にはカノンがいなきゃ駄目だな。」
先程、損傷した肩を押さえながら帰宅する。
途中で職人頭の家によって、金槌を届けて大いに喜ばれた。晩酌に誘われたが、妹が待っていると断り帰路を急ぐ。
「あー、カノン怒るだろうなぁ。」
自宅の戸を開けると…
カノンがとてもとてもにこやかな笑顔で待っていた。あ、目が笑ってないや…。
「マスター?」
「いや…その…」
「マスター?」
「ごめんなさい。」
そこからのカノンは凄かった。何が凄いって今しがた戦ってきた半妖より隙がなかったね。
頭ぽんぽんして平和に終わらせようともしたけど腕を伸ばした瞬間、床に叩きつけられたのは驚いた。自分より一回り体格が下の女の子に投げられる。
確信しました。
飯を抜かれたけど、数時間土下座し続けたら許してもらいました。その際、色々と約束事も取り付けられたけどね!
…上下関係が早くも逆転したみたい。
何気にルビを使うのは初めてでした。それと主人公、やっぱりカノンがいないと駄目です。
作者的には銃をぶっ放してばかりの戦闘じゃアレかなと思ってたんですが、今回みたいに地味になるので戦闘はカノンちゃんに任せましょう!
作者のオリ展開が早くも発動しつつあります。ご了承のほどよろしくお願いします。
半妖って妖怪の血が種として優秀かで強さが変わると自己解釈で進めております。(原作で半妖って霖之助くらいしか思い付かない…。けーねは半獣ですし。)