東方工務店   作:グレネード安雄

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前々回に次回は長編にするとか言ってしなかったので今回から三話くらいにまたがってお送りしたいと思います。
皆様から書かれた感想、凄い嬉しいです( ≧∀≦)ノ
感想への返信はどういう内容を送っていいか分からずじまいですが結局自分なりに返信させて頂きます。


向日葵は綺麗だね

都から異次元を使いつつ、歩いて早半日かけて小高い丘へと到着した。普通に行っていたら少なくとも五日はかかっていた。

それはともかく遠くを見渡すと一面に広がる向日葵畑が遠目に見えた。ここからの眺めがベストスポットだが、何も知らない旅人からしたら悪魔の罠だな。

まさしく花の蜜を求める蜂のように、向日葵畑に近づいて行って…その命を散らすのだろう。風見幽香は妖怪だが、そこまで人間を食べるイメージはない。

 

「そりゃあんなに綺麗な訳だ…。この時代優れた肥料も開発されてない中、自分からノコノコ訪れる肥料(人間)がいるんだからな。」

できる限り遠くから能力の行使をしたいけど、どうもまだ厳しそうだ。ここからは異次元で近づいてもいいが、あっちは規格外の存在。万一気づかれたら死ねる自信がある。

 

こっちの存在もこの距離なら風見幽香はとっくに気付いているだろう。好戦的な性格だが、こちらが仕掛けない限りは大丈夫そうだ。

…ここからは警戒していこう。

 

 

 

「わぁ…!マスター綺麗ですね!」

 

向日葵畑がいよいよ眼前の距離まで近づいてきたが、風見幽香からのコンタクトは依然ない。そうなったら困るからなるべく端っこに来たのだが…。

 

向日葵に細心の注意を払いながら近付く。本当に鮮やかに咲いている。都の貴族の方々の屋敷に咲いていたどの花よりも綺麗だ。いや、あんなのはこの向日葵と比べたら…。

 

そう思っていたら、近くで向日葵を眺めていたカノンの方で突然物凄い爆音が鳴り響く。嫌な予感がしてその方向を向く。

 

「あら?旅人さんご機嫌よう。」

 

可愛らしい傘を右手に持つ緑髪の女性がすぐ側に立っていた。…風見幽香だ。

 

まだ大丈夫だと高をくくっていたが、いざ対峙すると凄まじい威圧感がある。身体の中からダラダラ冷や汗が出て止まらない。

 

「あ、はい。こんにちはぁ…。その…ですね。もしかして何か機嫌を損ねましたかぁ…?」

 

我ながら凄くビビりまくってると思う。

 

「いえ、それもすぐ治まると思うわ。久しぶりに美味しそうな人間が目の前に…」

 

言葉を言い終える前にその場を直ぐ様離脱しようと試みた。だが、気がつくと俺は風見幽香に左手で喉を掴まれて宙ぶらりんだった。

 

「くっ…放してくださいぃぃ!」

 

「貴方…私の討伐を依頼されてきた人間じゃないわね?討伐を依頼された人間たちはどれも霊力をそれなりに纏わせてたのだけれど…?

もう一人のお嬢さんが本命だったかしら?」

 

風見幽香は俺を左手で拘束したまま、右手に持つ傘を俺の心臓付近に添える。

傘の先端付近に妖力が溜まっていくのが不本意ながら分かってしまう。寿命を延ばしたといっても不死じゃない。このままでは死ぬ。カノンがどうにかしてくれるといいが…音沙汰が全くない。

 

「探しているお嬢さんはさっき一撃を喰らわしたとはいえ、まだ生きてるとは思うわ。だけど貴方を助けに来ないのを見ると、逃げたと思うわよ?」

 

「カノンは…俺の妹はそんな子じゃない…。」

 

「妹ね…。貴方は人間。あの娘は妖怪。種族が違うのにたいして家族愛ね。でも私も(あの子)たちを愛でているから似たような者かしらね。」

 

そして無慈悲にも俺の胸に幽香の妖力で作られた光線がゼロ距離発射された。そして幽香からの拘束も消えた。

だが、胸に焼けつく痛みはあれど死んでいなかった。

 

幽香を見ると、俺を見ながら何やら茫然と背中の辺りを押さえている。…今思うことでもないが背中に手が届くとは身体が柔らかいな…俺だったら無理だな。

 

「可笑しいわね…?どうして私が放ったものが私の背中に当たるのかしら?」

 

自分の胸を見る。多少の衣服と皮膚はなくなって少なからず出血しているが、おおむね無事だ。

もしかしなくとも能力が自動で発動したと見ていいだろう。

恐らく、胸の皮膚もろとも異次元で吸い込み、出口を幽香の背中にしてぶつけたのだろう。

 

「それに私の傘をこんなにしちゃって…。御代は高くつくわよ?お嬢さん…。」

 

幽香の傘は中央部分が大きく損傷しており、骨は飛び出てるというより周囲に弾けてしまっている。

まるで何か強い力を外部から受けたかのように…。

 

「マスターをこれ以上傷付けるのは許しません!」

 

「そのマスターとやらを見捨てようとしたのはどこの誰かしら?」

 

「…私はマスターを信じていましたから。その結果こうして貴方は攻撃手段の一つを無くした。」

 

カノン…お前なら助けに来てくれると信じてたよ。てか俺が隙を作るのを見計らってただけか。もし作れなかったら本当にどうしてたんだろう…?

 

「ふふふ、あっはっはっはっは!

やってくれるわね…。これなら久しぶりに本気が出せるわ!せいぜい私を楽しませて頂戴?」

 

二人は向日葵畑から離れ、郊外の平原で弾幕を撃ち合いはじめた。俺は…当初の作戦通り向日葵を盗めば良かったんだが、体育座りで二人の戦いを眺めることにした。

 

正直な話、腰がガクガクしてそれどころじゃなかった。あと能力の行使で疲れた。




次回はカノンvsゆうかりん
主人公はひとまずお休みかもしれない。カノンが主役かな。主人公は主に日常?パート、カノンが主に戦闘パート主役みたいな感じにしていこうかと。
(主人公の意義が崩れそう…。)

更新が不定期になりがちですが、完結させることを目処に頑張ります。
頑張って幻想郷までたどり着くぞ~!(なお現在奈良時代)
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