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修学旅行のあの日、俺は海老名さんに嘘告白をした。
海老名さんの今のグループの関係を壊したくないという依頼で。その結果確かに戸部は海老名に告白せず、葉山グループは今まで通りに過ごしている。
だが、俺たち、奉仕部は違った。雪ノ下と由比ヶ浜は俺のやり方が気に入らなかったらしく、
「貴方のやり方、嫌いだわ。」
「もっと人の気持ち考えてよ。」
そう言われてから俺は幾度となく考えた。なぜ俺が悪い事になっているのか。元はと言えば、由比ヶ浜が戸部の告白を成功させたいという他人には不可能な依頼を受け、それを断る立場にいるはずの雪ノ下も由比ヶ浜に流され承諾した。雪ノ下ほどの頭のキレる奴ならその依頼がどれだけ難しいか分かっているはずなのに。ふざけるな。なんで俺が責められなくてはいけない。というか今まで大した案も出さずにモタモタしているから時間がなくなる。だから仕方なく俺が自分を犠牲にして依頼を消化させているんだ。あいつらが依頼を成功させた事はない。それでも俺が悪いのか。そう声を上げて言ってやりたいが、カースト最底辺のぼっちの俺のチキンハートが言えるはずもなく、修学旅行が終わり通常の学校生活に戻っても、俺たちは気まずいままでいた。
おいそこ、ぼっちでチキンとかもうどうしようもねぇなとか言うな。できると思ってんならやってみろ!あいつら俺を見るたびハッとした顔して、下を向いてスタスタ逃げてくんだぞ!これはもう俺から目を合わせてはいけない例のあの人的なオーラが出ているということか。やったねはちまん死喰い人の仲間が増えるよ!いやいやあんな手下いらねーし。まぁでもそんな時だった。
俺が、あの、
死神のノートを拾ったのは。
最近おかしい。この天下が誇る日本一のぼっちであるところの比企谷八幡がクラスで話している。いやいや独り言とかじゃねーよ?ぼっちで嫌われてて独り言とかもう病んでいる奴だかんな?かといって戸塚と話しているわけでもない。まぁ話してはいるんだがそういうことではない。戸部だ。あの修学旅行以降、戸部がやたらと話してかけてくる。カースト上位の戸部がいるから人が集まってくる。自然と葉山もいるから、葉山グループができる。すると、全員いつものグループ会話が始まる。なぜか俺を交えて。その状況がここ二週間ほど続いている。
「なぁ、葉山。なんで戸部は俺に話しかけてくるんだ?流石にぼっちの俺にこんなに相手してたら皆んな不自然に思うだろ。戸部がいたらお前らも集まってくるし。今まで通り、俺なんかほっとけよ。」
「あぁ。戸部か。アレだよ。修学旅行の。」
いや修学旅行が終わってからの変化だからそれは分かってるんだけどな?修学旅行で関わったのあの時ぐらいだし。俺が聞きたいのは、なんであんな事をした奴に話しかけてくるのか?ってことなんだが。
「俺も聞いた訳じゃないから想像しかないけど、多分感謝してるんじゃないかな。あのまま戸部が姫菜に告白してたら俺たちの関係は壊れてた。それを感じ取ってるんじゃないかな。」
なるほど。だがそれだけなら俺に必要以上に関わる理由にはならないはすだ。
「感謝と同時に対抗心燃やしてるんじゃないか?嘘とはいえ、お前は姫菜に告白してるからな。ヒキタニに姫菜をとられないように、監視してるんだろ。」
「監視っておい。だが理由は分かった。だったら別にそんなことしなくていいからって言っとけ。お前らのグループ守ったんだから、俺の日常を壊すな。」
「そういうなよ。俺も感謝してるんだ。戸部を止められなかった。そしてお前が解決して、今あの二人とすれ違ってるんだろ?そこについては申し訳ない。だが、俺たちを守ってくれたことは本当にありがたいと思っている。」
ちっ。申し訳ないと思ってるなら俺のちょっとしたしたお願いも聞いてくれよな。
「それはできないな。俺はお前が嫌いだから。」
ふん。俺もお前が嫌いだよ。
授業も終わったし、SHRが済んだらさっさと帰るか。でもこんな時に限って面倒ごとご起きるんだよなぁ。
「比企谷、放課後、職員室に来てくれ。」
「なんすか平塚先生。おれ今日は、ちょっとアレがアレなんで早く帰らなきゃなんですが。」
「そういうな。真面目な話だ。君が真剣に答えればすぐ終わるさ。」
まぁそういうことなら仕方ない。つか真面目な話ってことは奉仕部の事だよなぁ。メンドくさ。バックれるか?いや後々そっちの方がダルいな。やっぱり行くしかないか。
「失礼します。」
「ああ、来たか。」
「奉仕部には行きませんよ。」
「やはり部活には顔を出していないんだな。」
「ええ、行く必要性も感じませんので。」
「まぁ確かに奉仕部の話だが、部室には行かない。君の本音が聞きたいんだ。」
俺の本音?
「君を奉仕部に入部させてから様々な依頼があった。だが千葉村や文化祭、この間の修学旅行で君がした事はいささか度が過ぎている。それは君が望んでやった事なのか?仕方なく君がやった事なのか?どっちだ?」
「いやあんな事好き好んでやりませんよ。」
「ではなぜやった。」
「雪ノ下や由比ヶ浜がなんの案も出さないからですよ。ですから仕方なく。」
「そうか。君は奉仕部に戻るつもりはあるのか?」
「あいつらとの関係がどうにかなったら、ですかね。」
「分かった。なら無理に奉仕部に行かなくてもいい。ただ退部は認めない。整理がついたら戻ってこい。」
あれ?てっきりもっとねばられると思ったのに。意外と先生いい人?なんでこの人結婚できないんだ?って危な⁉︎
「なんか失礼な事考えなかったか?」
いえなんでもございません!
「そうか、まぁ何か悩みがあれば言ってくれ。ラーメンでも食べながら聞こう。」
いやぁ意外と早く済んだし、いい先生だって事も分かったし、良かった良かった。さぁ帰ろう!我が愛しきマイホームへ!まぁ俺が買ったんじゃないけど。
「ヒッキー!」
あ?
「ヒッキー、奉仕部来ないって本気なの⁉︎」
「由比ヶ浜か。なんでそんなこと知ってんだよ。」
「今平塚先生と話してたでしょ!そんなことよりどうなの⁉︎」
「そうだ。しばらくは部室には行かない。って最近行ってないだろ。」
「そうだよ!なんで部活来ないの!私もゆきのんも待ってるのに!」
「いやお前ら俺の顔見るたび逃げてただろ。そんなんで行っても意味がない。それに今日はアレがアレだしな。」
「そんなの関係ないし!ヒッキーキモい!」
「いや、キモいってなんだよ。」
「いいから部室行くの!」
「帰る。」
付き合ってられん。さっさと行くか。
「待ちなさいヒキガエルくん。」
「今度はお前か、雪ノ下。」
「由比ヶ浜さんを無視して帰るなんていい度胸ね。その馬鹿な考え方を直してあげるから部室に来なさい。これは命令よ。」
「断る。奉仕部に行かないことは平塚先生も承諾済みだ。よって俺がその命令を聞く必要はない。」
「そんなこと関係ないわ。私は部長よ。」
「いいからどけよ。」
「また逃げるの?そうやって逃げてばかりでは何もできないわよ。」
「逃げじゃねえし、そもそも何もするつもりもねえ。ってか前も言っただろ?世界を変えるなんて言うならまず自分から変われ。それができないなら、できもしない理想なんて語るな。じゃあな。」
「ちょっ!待ちなさい!比企谷くん!」
あーメンドくせぇ。今まで何も干渉してこなかったくせに絶対来ないとなると罵倒してきやがる。いつかは部活行こうと思ってたけど、ここらで切るか。
パサッ
ん?今なんか落とさなかったか?あれ鞄閉まってなったかな。なんだこれ?本?暗くてよく見えない。俺のじゃないな、これ。
ええと、英語の題名?ってかノートかこれ。
デスノート?
なんだこれ?
不定期更新なので次がいつになるか分かりませんが、早めに投稿したいと思っていますので次回もよろしくお願いします!