ある日、霊夢と咲夜が見つけた本に描かれていたのは
先代メイド長と11代目博麗の巫女との儚き絆
守るべきものを守り抜いた先代達の話

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単発小説です
なんか変なところもあるかと思いますが
なんとか作りました
悪癖は相変わらずですが
お楽しみください


紅く咲く

とある日の夜

霊夢の姿は神社ではなく紅魔館にあった

「ごめんね、霊夢、倉庫の掃除なんか手伝わせちゃって…」

「良いのよ、レミィの頼みだもん、断れないよ」

咲夜と霊夢が紅魔館でも屈指の開かずの間

通称:ダストキングダム(咲夜が命名、元は大御館様(レミリアの祖父)の書斎だったのだが御館様(レミリアの父)の代には物置になっていた、ここだけは1人では手に終えない)

の掃除のため扉を開けた

埃が煙のように舞い上がる

「うっ…これは酷いわね…」

「御館様の代から開かずの間だったらしいわ…」

「何百年開けてないのよ」

「ざっと900年以上は…」

「…まぁ私も暇だし付き合うわよ」

「助かるわ…」

中は薄暗く目に入るのは

埃まみれで原型がわからない本棚

カサカサという不気味な音をたてて走り回る蜘蛛

そして雪のように降り積もった埃だった

「ネズミ、蜘蛛、ゴキブリ…害虫、害獣の巣窟ね…これは早く綺麗にしたほうが良いわね」

「ゴキブリ…か…苦手なのよね奴ら」

「得意な生き物いるのかしら…」

咲夜と霊夢が周囲の埃を取って行く

すると霊夢の足の上に重い何かが落ちてきた

「いたぁ!!なによ…これ!」

「分厚い本ね…」

「ちょっとは私の心配をだね…ん?」

霊夢が分厚い本を持ち上げた

「Dear my friend ?親愛なる我が友へ…小説かしら」

「小説ならパチュリー様に聞けばわかるはずよ…でもこれ」

咲夜は作者のSENYAの所の埃を指で払った

「千夜…先代メイド長の名前…」

「先代メイド長は文化的というか…おしゃれな人だったのね…」

Dear my friend を二人はゆっくりと開く

I pray that this is equivalent to me ... or her ... the human lineage pursuant to Hakurei rayne are reading

冒頭はこう始まった

「この本を私に準ずる…または彼女に…博麗霊音に準ずる血統の人間が読んでいることを祈ります…血統…博麗の血統…」

霊夢が冒頭を和訳するとその文を噛みしめるように呟いた

「霊夢、霊音って?」

「私がもし先代と血が繋がっていたなら…祖母にあたる…11代博麗の巫女よ…でもおかしくないかしら…だってレミィの代でスカーレット家は幻想入りしたのよ?なのになぜ…この代のメイド長が博麗の巫女を知っているの?」

「兎に角続きを読んでみましょう」

「うん」

 

彼女と出会ったのはある昼下がりだった

私は御館様から言いつけられた仕事を全て終わらしうたた寝をしていた

メイド長として恥ずべき事だが

私とて"疲れ"には抗えなかった

目が覚めると私は東方の国の建造物を見た

外のようだった

「しまった…寝てしまうとは…ここは…」

「やぁ…君、幻想入りでもしたかい?」

彼女はそこにいた

ボーイッシュに刈られた短い髪に

腰に巻かれたベルトにつけられた

リボルバー

女性にしては低い声

そして本人は箒を踏み遊んでいた

その姿はまるで西部映画に出てくるカーボーイのようだった

「ここは…」

「幻想郷さ、忘れ去られた者が流れ着く最終駅といえば、わかるかい?」

「忘れ去られた?…そんなわけはない、私は今まで仕事をしていたんだ!」

「…えっ?…」

彼女は驚いたように顔をあげ私を見つめた

「そいつは珍しい…話を聞かせて貰ってもいいかい?」

「それは良いのだが…私は帰れるのか?」

「…良いんだ…帰してあげれるとは思うよ…だって僕は博麗の巫女だしね」

僕という一人称がこんなに似合う女性に私は出会った事がなかった

これで所謂"俺系"な女性ならば男として接していたかも知れない…

それより彼女が言った博麗の巫女とは?

「うたた寝をしてしまって…それで」

「夢幻病だね…そこまで珍しい話でもないよ、簡単に帰れそうだ…君、名前は?」

「千夜」

「名字は?」

「ない…この名も御館様がつけてくださった名だ」

「ふーん…僕は博麗霊音、これからもちょくちょくこちらに来そうだね…まぁよろしく」

「そうなのか?」

「うん、夢幻病は早々には治らない…うまれつきでないところを見てそこまで深刻には考えなくても良さそうだけどね…時間だね…じゃまたいつか」

その時、私の視界は水のように揺れ歪んだ

 

「千夜?大丈夫かい?」

次に私が見たものは御館様のお顔だった

「御館様!?…私…」

「あぁ疲れてる様子だったからそっとしておいたのだけど…魘されてる様だったからね…少し心配でね」

「いえ…大丈夫です、なにかご用ですか?」

「いやいやもう少し寝ていなよ、隈できてるよ」

私は羞恥心に耐えられず顔を伏せた

「最近、働き詰めだったからね羽を伸ばしなさいな」

「しかし私は…」

御館様はしばらく困ったご様子で考え事をされた

御館様は何かを考える時、羽がパタパタと動く

「あ、なら千夜、一ついいかな?」

「はいなんなりと」

「んじゃ、命令!休んで」

「え?」

御館様のお心遣いは本当に嬉しかった…が今は無性に働きたい気分だった

自分が御館様やお嬢様、お嬢様の幼なじみであるパチュリー様に忘れられていないか確認するために…

「いえ本当に大丈夫です、少し寝ればすっかり良くなりました」

「本当だね?…なら紅茶を頼めるかい?」

「はい、すぐにお持ちします」

 

その日の夜、やはり私は幻想郷にいた

「…やっぱり来たね千夜」

「霊音…私の病気って…?」

「夢幻病って言ってね、寝ている間だけ肉体と魂が分離して魂だけが幻想入りするんだ」

「魂だけ…それって私、幽霊ってこと!?」

「幻想郷では珍しくないよ…ただ…このままだと幻想と現実がごちゃごちゃになる…まぁ君のような強い精神力とその能力があれば…まぁなんとかなるよ」

「能力!?お前…いつから…」

「どんな能力かまでは解らなかったけど同類な気はしてた…外の世界のサイキックは珍しいからね…いろいろ辛かっただろうに…」

「あ、あんたに…なにがッ!!」

私は…幼い頃、この能力のせいで全てを無くした…

両親に捨てられ社会から見放され

死にたいと何度も思った

そんな私を救ってくれたのは御館様だった

御館様はそんな奇っ怪で恐ろしい私を受け入れ家族とまで言ってくださった

「解らないよ」

彼女は冷酷とも言えるほどきっぱり言いはなった

「解らないよ…私はさとり妖怪ではないからね…から解ろうとしているんじゃないか、全部…話してくれるかい?」

霊音は私に手を出した

まるであのときの御館様のように…

「私は…」

まるで吐き出すように霊音に幼い頃の自分を語った

こんなに自分の事について話したのは

お嬢様以来だ…

霊音は全部、包み込むように聞いてくれた

「…霊音は?」

「ん?」

「霊音の過去も教えてよ、私だって話したんだから」

「…博麗の巫女はね…幼い頃から幻想郷で育ってない場合…今までの記憶を全部消されるんだ…過去は足枷だからね…冷酷に淡々と人間に害を成す妖怪を倒せばいい…それだけの殺戮マシーンなんだ」

霊音の影を含んだ表情を見たのはこれが最初で最後だった

「それを変えたいと思ってね…足枷じゃない、記憶だってあるよ…千夜の御館様みたいにね…記憶は少なからず人を変える…悪く変える事の方が多いのかもしれない…だからってその全てを否定してはいけない…人の支えとなる記憶だってあるんだ…」

「人の…支え…」

霊音はいつものどこか大人びた微笑みを私にかけた

「また、来てくれるかい?」

「え?」

「君と話すの楽しいからさ」

返事をしようとした

その前に視界が水面のように揺れて消えた

 

目が覚めると夜だった

吸血鬼である御館様も起きられる時間帯だ

完璧だ

「御館様」

「!?」

完璧でもなかった様だったけど

「いや…この時間帯、千夜はぐっすり眠ってるってレミリアが言うもんだから…親子で早起きして…つい」

「せんやーつかれてるのー?」

御館様の横にいるのはお嬢様

レミリアスカーレット様だ

人間でいうと今が一番可愛い時期だとのこと

「いえ、では私は紅茶を淹れて参ります」

「あはは…お願いします」

 

昼は霊音と会い

夜は賑やかで楽しい御館様やお嬢様と過ごす日々

そんな日がずっと続けばいいと思った

続くと思った…

始めに崩れたのは幻想郷での日常だった

その日、私は幻想郷の博麗神社にいた

霊音と出会って1年は経っていた

夢幻病の症状も落ち着き始め

なかなか幻想郷に入れない日々が続いた

そして今日やっと幻想郷に入ることができた

…が今までと違う異変に気付いた

箒を持って境内に立っていたのは霊音ではなく

違う人物だった

「千夜さん…ですか?」

「えぇ…貴方は?」

「博麗霊奈…霊音の娘です…血は繋がってませんが」

彼女はそうぶっきらぼうに答える

「霊音を知らないか?」

「…」

霊奈が初めて表情を歪めた

「先代は…死にました」

「えっ?」

「私は霊音さんに拾われて修行をしていましたが…ある日、大量の妖怪が博麗神社に押し寄せて来ました…私と霊音は応戦しましたが…」

ダメだった…霊音さんは死んだ

霊奈に聞く話では博麗の巫女は代々短命

そして私のいる世界と幻想郷の時の流れが違う

霊音が死んでから3年経っていた

「そんな…」

「最後に霊音さんは千夜さんにこう伝えてくれ…と…」

 

「霊音さん!」

「君は…千夜を知っていたっけ?」

「いいえ…知りません」

「なら…きっとその内、彼女はこっちに来ると思う…そしたら伝えて欲しいんだ…これから辛いことも…多々あると思う…」

「霊音さん!」

「だけど…前を見続けてくれ…人の人生は弾丸だ…戻れない…だからさ…せめてターゲットを打ち倒すまで…後ろは振り向く…な…」

そのまま力尽きた…と霊奈は語った

 

「弾丸…霊音らしい例えだ…」

「千夜さん…」

霊奈は少し待っててくれというと神社の中から一丁のリボルバーを出してきた

「霊音さんの形見です…千夜さんに持って貰えると…霊音さんも」

「…うん」

そのリボルバーは霊音が肌身離さず持ち歩いていたそれだった

それは霊音が死んだ事を何より物語っていた

泣き叫びたい気分だった

でも霊音は後ろは振り向くなといった

だったらここで泣き叫ぶ訳にはいかない…それは後ろを振り向き過去を嘆くと言うことだ…

「うぅ…霊音ぇ…」

「…霊音さんが言ってた事…私にはよく分からないけど…」

「私にはわかったよ…霊音が最後に何を伝えようとしたか…」

「なら…いいです…揺らぐのなら…私でよければいつでも…私は貴方と霊音さんの味方ですから」

「…ありがとう」

そのまま、私は現実に戻された

 

朝起きると私の手にリボルバーはなかった…

 

その日から私は前を見続けて暮らそうとした

どんなに辛いことがあっても前を見続けた

霊音の言うことを守り霊音の気配を感じ…

でもいくら懸命に生きてもまた現実は

私の日常を壊した

 

「!?」

ある日、買い出しから戻ると館が燃えていた

御館様は玄関で倒れていた

銀の銃弾でこめかみを撃たれ即死…

レミリア様と妹のフランドール様が見当たらなかった

ハッとした…ヴァンパイアハンターだ

 

私は夜の町を駆け抜けた

そしてようやくアジトであろう教会についた

屈強な男どもに囲まれてお二人はす巻きにされていた

「お嬢様!妹様!」

「せんやぁ」

お嬢様は意識はあったが妹様はなかった

「貴様ら…ヴァンパイアハンターかッ!? 」

「そうだ…この街にヴァンパイアがいるときいてな…前金もたんまりもらっているのさ…邪魔するなら女でも容赦しねぇぜ?」

三人の屈強な男の中に一人幼い女の子が見えた

あまり乗り気ではないのか視線を合わせてくれない

「家族を殺されて…こんなの見せられてムカつかない奴はいませんよ!!一人残らず殺してさしあげます!」

 

男一人一人では弱いものの

集団で掛かってくるから対処しきれない

とうとう私は再起不能にまで陥った

そして誰かが教会にも火を放ったらしく火が広がっていく

「おしっ!仕事は終わりだ帰るぞ」

男の声が聞こえた

最早視界さえ役に立たない

目の前は暗闇のみが広がっている

「んだ!?てめぇ!?ぐわ!」

衝撃が三回ほど伝わった

「貴方が守ろうとしたものは私が守る!」

幼い女の子の声だった

「千夜さん」

「…君…は…?」

「名前なんてありませんよ」

「…手を…出して…」

私は私の能力に使うための懐中時計を彼女に渡した

「これ…どうして…」

「死に…たいと…思った…のかも…ね…霊…音…の元へ…行き…たかった…のかも…ね…」

その子がお嬢様と妹様を連れて教会を出ていこうとする足音がした

しかしそれを遮るゴゴゴゴと不快な音

僅かに回復した視界はその子に迫る壁を捉えた

私は残りわずかな力を使いその子を押し退けた…そして

壁に押し潰された…

 

今、思えばリボルバーを渡されてから幻想郷に行っていない

もしお嬢様がこの本を見て幻想郷を

目指そうと言ったのなら

全力で勧めてほしい…

あそこにはきっと霊奈がいる

そして霊音がいる…

そしてもし、あのときの女の子が

読んでいるならお礼を言いたい

私の守るべきものを守ってくれて…

  ありがとう

 

本の最後の10Pほどは白書だった

「千夜さん…私、守ってますよね?」

咲夜がぼそりと呟いた

「…守ってるに決まってるじゃない…あなたは完璧で瀟洒なメイド…十六夜咲夜よ?」

「…そうだといいな」

霊夢がふと言いだした

「ねぇ…この本どうやって書いたんだろう…だって自分が死ぬところまで完璧に描写してるじゃない?」

「確かに…どうやって…いや多分…化けてでもこれは仕上げたかったんでしょうね…だって…」

咲夜が微笑む

「千夜さんの性格なら完璧に仕上げたかっただろうし」

「…そうね…そういうことにしましょう」

霊夢がふと気付いたように顔をあげる

「ねぇちょっと神社に帰ってもいいかな?」

「えっ?」

「取ってきたい物があるの」

 

しばらくすると霊夢が小さな木箱を持ってきた

「お待たせ」

「なに?それ」

「見ればわかるよ」

霊夢が木箱を開けて中の布をめくる

「!?それって…」

「そうこれは11代のリボルバーよ」

中には傷だらけのリボルバーがあった

「これは紅魔館にあるべきよ」

「…そうね…ふぅ掃除しにきたのに物が増えちゃったわね…もう今日は良いかしら」

「そうね…なんか掃除する気も失せたわ」

「ならお茶でもしてく?お嬢様もきっとお喜びになるわ」

「そうね…じゃゆっくりしていくわ」

霊夢と咲夜はそっとダストキングダムのドアを閉めた

ドアは重い音をたてて

まるで中の物を守るかのように閉じる




相変わらずのメガティブストーリーでしたね
救い0
霊音や千夜が伝えようとしたことが
果たして霊夢や咲夜にどんな変化をもたらすかは
きっと彼女たちにしか解らないことなんでしょうね

人の人生は弾丸…僕も後ろは振り向かずに生きれるかな
(多分無理)

では、今度は失英雄でお会いいたしましょう

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