いつからか思い出せないが、僕は、僕を取り巻く環境がおかしなものだと把握し始めていた。
もしかしたら、僕だけがおかしいと思っているだけであって、他の人から見たら至極当然の事象なのかもしれない。
だが・・・、少なくとも僕の頭の中では、こんな学校生活を過ごしていた覚えはなかった。
ある日、クラスで物静かだった女子が家の事情で転校することになった。
彼女が学校に来る最期の日、クラスみんなでお別れ会をした。
彼女は泣きだしつつも、元気よく手を振って最後の別れをした。
翌日、クラスに転入生の男子が入って来た。
彼は人とのコミュニケーションが苦手な人物だった。
だけど、クラスの人気者から声をかけられ、次第にコミュニケーションが上手くなっていった。
ここまでだと普通の学校と何ら変わりがないだろう。
だが、そのスパンが早かったらどうだろうか。
一週間に一人、家の事情で転校し、翌日には一人、僕たちのクラスへ転入する。
それが毎週毎週繰り返されるのだ。
しかし、クラスメートたちはそのことに何の違和感すら抱かない。
至極当然かのように毎日を過ごしていた。
ここまでくると、異常に思えてこない方がおかしく思わないだろうか?
誰一人、悩んでいる人なんて居ない、素晴らしき学校生活。
・・・この違和感に頭を抱えている僕以外は、だが。
唯一無二とも言える友、ワタルにもそのことを話したが、
「寝不足なんじゃねーの?」
と言われ、取り合ってくれなかった。
つまり、誰も僕の苦悩を理解できないのだ。
それならば仕方がないと、ある決断をした。
それは、この違和感の元となっている現象を突き止めることである。
幸いにも、僕は比較的個人主義だ。
ワタル以外とはほぼ話さないし、話しかけられることもない。
よって、この現象が人的影響によるものだとしたら、僕と共に行動する奴によって、黒幕に情報が洩れる可能性はほぼ無いだろう。
常に一人ぼっちだということに、少しだけ劣等感があるのは否めないが、一人の方が気楽だと、いつも思い聞かせていた自分を少しだけ見直した。
今の僕はこの空間に違和感しか覚えられない。
そんな状況で過ごし続けれるほど、僕は頑丈な人間ではない。
だから、現象を突き止め、この空間から元の世界へと帰ってやる!
*
「彼もこの世界に矛盾を持ちましたか・・・」
「どうしましょうか?」
「どうもこうもないですよ。我々はいつものように、彼らになるべく手出しをせず、来たるべき時までこの秘密を隠し続ける・・・。ただそれだけです」
「で、ですが・・・」
「最初に我々総出の会議で決めたことじゃないですか。彼らの幸せは、何があっても壊すべきではないと」
「・・・。そう、でしたね・・・。失礼しました、校長」
「わかってくれて何よりです。それでは、なるべく彼らの手伝いをしつつ、この世界の秘密を隠し通すよう、ご尽力お願いします。」
「はい、承りました」