『逃がすな!追え!!』
『何としても奴を捕えろ!殺してしまっても構わん!』
カクーシャ帝国の兵士が森の中を駆け回り怪しい場所を虱潰しに探し回る。
(くそっ、もうこんな所まで!何としてもニーポニスと接触しなければ!)
ローブに木の葉や木の枝などを貼り付け、茂みに紛れ込むように森の中を進む魔術師、その顔には焦燥感が張り付いており、何としてもカクーシャ帝国の国境を抜けようと言う意思があった。
(しまった!道が外れて森の外に近づいてしまった!ここから先は平原と川しか無いぞ!?)
『いたぞ!奴だ!』
『ちぃ!!』
(もう後戻りは出来ないか、目の前は激流、くっ!ままよっ!!)
風きり音と共に弓矢が横を通り抜ける感覚を感じながら魔術師は雨の後に増水した川へと飛び込み、激流にもまれながら下流へと流れていった。
『川に飛び込んだか・・・・。』
『馬鹿な奴め、あの激流だ、助かるまい。』
『いや、死体を確認するまで油断するな、何せ奴はあの魔物の制作に関わった民族の関係者だ。』
『だから任務が失敗した時点で奴らの村に火を放てば良かったものを・・・利権に食い込む寄生虫共が、忌々しい。』
一方、自衛隊とカクーシャ帝国は国境沿いで睨み合いを続けていた。
カクーシャ帝国は密偵から齎された魔力を使わない異様な術と見たことも無い巨大な鎧虫を操る蛮族と言う情報から自衛隊を警戒していた。
日本は、大陸に覇を唱えるカクーシャ帝国の動きを警戒しており、キョーシャ傭兵国を嗾けたり植物を改造した生物兵器を放ったりと手段を択ばないカクーシャ帝国が次にどんな手段で攻めてくるのか国境沿いから監視をしていた。
「あちらさんもこっちを監視しているっぽいな。」
「そりゃぁ装甲車なんてこの世界に存在しないものが平原にドドンと並んでいたら警戒するだろう。」
「向こう側は川を挟んで森が広がっているから身を隠すにはもってこいだが、サーマルゴーグルで位置はばれているんだよな。」
「地の利はあちらさんにあるが、こちらは装備と練度でカバーだ、元より殴り合いするつもりは無いしな。」
「こちらは少数だ、何かあれば何時でも撤収できるように準備はしているが、不測の事態が発生する可能性もある、各員警戒を怠るな!」
それから暫くして、自衛隊はカクーシャ帝国軍が慌ただしく動き始めた事を察知して、更に警戒心を高めて行く。
しかし、どうにも自衛隊に攻撃を仕掛けてくる訳でもなく、何かを探す様な動き方をしているので自衛隊側は困惑した。
「一体何をやっているんだ連中は?」
「川を中心として何かを探しているみたいですね。」
「お袋さんのペンダントでも落っことしちまったか?」
若い自衛隊員が軽口を叩くが、年配の自衛隊員が窘める。
「冗談もそれくらいにしておけ、奴らの動きがまた変わったぞ!」
「水面に矢を放っている?いや、誰かが川に流されているぞ!!」
「どうする?」
「どうするもこうするも救助するに決まっている、重要人物の可能性が高い。」
軽装甲車と96式装輪装甲車が唸りを上げて川に矢を放っている帝国兵に突撃する。
「当てなくても良い、ぶっ放せ!」
車体上部からブローニングM2重機関銃が牽制射撃をし、森の茂みに放たれた弾が地面を叩き強烈な音が鳴り響き、カクーシャ帝国兵を威圧する。
『うわああああぁ!?』
『何だこれは!弓矢ではない!?』
『鎧虫が火を噴き出した!あんなもの食らってはひとたまりも無いぞ!』
カクーシャ帝国軍が川に流されている人物に矢を放つのを止めて、森の奥へと散り散りに逃げ去ると96式装甲車の後部油圧式ランプドアが開き、自衛隊員が次々と吐き出されて行き、川に流されている人物に縄を投げる。
『そいつにつかまれ!』
『・・・・・・・・。』
「意識を失っている!?くそっ!!」
「あ、馬鹿!おい待て!」
流れるような動作で、命綱を固定すると若い自衛隊員が川に飛び込み、意識を失ったローブの男の所まで半ば流されながら強引に泳いで行く。
「固定完了!すまんが引き上げてくれ!」
「無茶をし過ぎだ馬鹿者!行くぞ!」
命綱を手繰り寄せながら川に飛び込んだ自衛隊員とローブの男を回収し、国境を見張っていた部隊の一部は搬送の為に拠点まで帰還した。
それから数日ほど経ち川に飛び込んだ魔術師は、ケーマニス王国の領の自衛隊駐屯地で目覚める。
『こ・・・ここは?』
『おや、目覚めたかい?何処か体がおかしい所は感じないかな?』
『あぁ、多少体は重く感じるが何ともな・・っ!!』
ぼんやりとした表情だった魔術師は次第に意識が鮮明に戻りつつあり、思わず目の前の白衣の男に身構えた。
『あぁ、私は自衛隊・・・いや、日本軍の従軍医師と言った方が分かりやすいかな?川から流されてきた君の治療を担当している者だよ。』
『ニーポニスの?そうか、私は助かったのか・・・・。』
『何があったのか尋ねる前に、君が健康状態に戻るまで治療しよう、他にも患者さんが居るから付きっ切りという訳には行かないがね。』
魔術師の男は、ベッドから乗り出し、食い気味に反論する。
『そうも言っていられない!私の故郷がカクーシャ帝国の奴らに焼き払われようとしているのだ!』
『貴方の故郷が?』
『単刀直入に言おう!貴国らの川に植物の魔物を放ったカクーシャ帝国にその魔物を提供したのは我らが民族なのだ!』
『っ!!それは一体どういうことですか!?』
『我らは元より植物の毒や薬効成分を扱うのに長けた民族であったのだが、数代前にカクーシャ帝国に飲み込まれ、奴らに薬品や改良した植物などを献上する事で生き永らえてきたのだ。』
『では、あの怪植物は・・・。』
『ああ、我らが技術を結集して生み出した毒を生み出す怪物だ、まさかああも簡単に撃破されてしまうとは思っていなかったが、カクーシャ帝国はその責任を負わせようと我が故郷を包囲したのだ。』
『あの怪植物のせいでどれだけの人が苦しみ生態系が破壊されたか・・・・いや、それは今は置いておきます、この話は上の方々に伝えておきます。』
『済まない、だが一刻を争う事態なのだ。』
それから亡命してきた魔術師は怪植物や植物の品種改良の詳細を語り、カクーシャ帝国の内情や魔導植物学の提供の見返りに彼の故郷の民を救助する事が決定された。
幸い、カクーシャ帝国に属しては居るものの辺境に位置する場所で、日本勢力圏に近い森の端にあるのでカクーシャ帝国の包囲を突破して彼らを救助する事は十分に可能と見られた。
「しかし、カクーシャ帝国は自分たちにない技術を取り込む柔軟性はあるのに、癇癪もちなのかヘマやらかしたら民族ごと滅ぼすんだな。」
「一応カクーシャ帝国の上流層に毒劇物や薬品類を供給する役目があったから、大目に見られていたみたいだが、帝国の威信を傷つけた罪として憤り勝手に動いた貴族が彼の集落を襲わせたらしい。」
「カクーシャ帝国も一枚岩でも無いという訳か。」
「既に死傷者が発生してしまっている、今は包囲しているカクーシャ帝国軍と睨み合いが続いている状態だが、彼が亡命した事から何時攻撃命令が下されるか分かったものではない。」
「連中に無線の類が無くて助かったな、情報のやり取りに時間がかかるから悲劇が起こる前に動ける。」
大陸沿岸部で無法組織討伐の実績を持った部隊が、カクーシャ帝国領辺境へと向かって行く。
貴重な薬品や毒劇物を扱う為、カクーシャ帝国からある程度資金提供を受けているのか、村と言うよりは都市国家に近い規模であるが、人口が一歩届かず辛うじて村程度である。
中途半端な規模な為、彼らの領地は狭い部類なのだが、それ故に守るべき領域が狭くて済む分、自衛隊にとって都合が良かった。
彼らの上空、肉眼でもとらえるのが困難なほどの高空から電子の目で集落を包囲するカクーシャ帝国軍をRQ-4グローバルホークが監視していた。
『くそっ、カクーシャ帝国め!我らの造りし魔物が敗れたからと言って村を襲撃してくるとは!』
『今までどれだけ帝国に尽くしてきたと思っているのだ!』
『俺の・・・俺の娘が何故辱めを受けて死なねばならぬ、おのれカクーシャ帝国め!』
カクーシャ帝国軍に包囲されている魔術師の村は、カクーシャ帝国の傍若無人な振る舞いに憤りを抱いていた。
監視塔からカクーシャ帝国軍の動きを常に監視し、いつ襲撃があっても応戦できるように戦闘員は防壁付近に留まり、緊迫した空気が張り詰めていた。
『薬草集めに外に出ていた奴らは帝国軍に捕まっちまったが、無事だろうか?』
『薬師の爺さんの娘がこっちから見える場所で処刑されちまったし、恐らく全滅だろう。』
『元々森の奥でひっそりと植物の研究をしていただけの村だったのにカクーシャ帝国の支配下に置かれてからは自由に研究も出来なくなっちまったし、作りたくもない毒も作らなければならなくなってしまった。研究費用を資金提供してくれるのは有難いが、持ち出しの方が酷い。』
『この村はもう終わりなのかもしれんな、大陸に覇を唱えるカクーシャ帝国相手だ、どうにもならんよ。』
『ん?何だ?今森の奥が光った様な・・・?』
監視塔の上からカクーシャ帝国軍を監視していた魔術師の一人が森の奥に違和感を感じる。
『いや、何か、何かが近づいてくる!?』
『何だあれは!よ・・・鎧虫なのか!?』
『警戒しろ!何を仕掛けてくるのか判らんぞ!』
魔術師の村は、蜂の巣をつついたように色めき立った。槍や斧を抱え、弓矢を構え、魔術師達は何時でも魔法を放てるように杖を構えた。
「あぁ、やはりこうなるか。」
「グローバルホークでカクーシャ帝国の包囲網の穴を見つけて、そのまま素通りして来たは良いものの、そりゃ警戒もされるだろうな。」
『私が出る。』
「ああ、頼んだぞ。」
日本勢力圏に亡命した魔術師が軽装甲車から出て、村の防壁の前に立つ。
『私だ!武器を下げてくれ!』
防壁の上から武器を構えていた戦闘員たちは、思わず動揺しざわめきが防壁の奥から漏れてくる。
『カクーシャ帝国はどうやらこの村を滅ぼすつもりらしい!私は命からがらニーポニスの支配領域まで逃げ出したが、ニーポニスは我らを彼らの領域まで逃してくれるらしい!』
ざわめき声は更に大きくなり、門の上のひときわ立派な監視塔から、装飾の施されたローブの老人が姿を現す。
『その話は真か?』
『長老!そうです!本当にニーポニスが我らを救ってくれると約束してくれたのです!』
『ふむ、話を聞く価値はありそうだな、門を開け、ただし彼とニーポニスの指揮を執る者だけ入るが良い。』
鎖が巻き取られ、重々しい音を響かせながら門が開かれる。
一両だけ軽装甲車が村の中へ入り、残りの装甲車は村の外で待機する事になった。
『さて、貴殿らは我らをニーポニスの領域まで逃してくれるそうだな?』
『えぇ、カクーシャ帝国の包囲網を破り、貴方達を安全にカクーシャ帝国の領地の外へ避難させることが出来ます。』
『だがその見返りは何だ?我らはニーポニスやケーマニスを襲わせた怪物を生み出した民だぞ?』
『カクーシャ帝国の内情やその高度な植物学と技術の提供はしていただきます。』
『長老!すみません、私の勝手な判断で・・・。』
『よいよい、亡命の手土産としては妥当だろう、しかし、本当にこの包囲網を[安全]に抜けることが出来るというのか?』
『ええ、全く問題ありません、後方に人員輸送用のトラックも控えております。』
『とらっくと言うものは分からぬが、相手はあのカクーシャ帝国ぞ?実際に可能なのか?』
『我が国の威信をかけて約束いたします。』
『了解した、だが、村としては人口の多いわが村の民を避難させるにはそれなりに時間が必要だ、それまでカクーシャ帝国を足止めしていてくれぬか?』
『元よりそのつもりです。』
『良かろう!村全体に伝えよ!カクーシャ帝国の支配から逃れる刻が来たのだ!』
長老が連絡員に指示を出し、彼らは村へと散らばって行く。
情報伝達が現代文明ほど無い世界ではあるが、比較的短時間で村全体に指示が行き届き、重要な書類やサンプル、研究成果などを荷車に詰め込み、それ以外は最低限の食料だけに留め、カクーシャ帝国領からの脱出準備が進められた。
『そろそろ限界だな、連中がこちらの動きに感づいた様だ。』
『我々に任せてください。』
『どうすると言うのだ?』
『なに、火力で強引にこじ開けて見せます。』
『それは一体どういう・・・・。』
『っ!来ましたね、それでは我らの火力を披露しましょう。』
森の奥より隊列を組んだカクーシャ帝国軍が、現れ明らかに殺意を孕んだ視線で魔術師の村を睨みつけていた。
『奴らはカクーシャ帝国を裏切った!見よ!ニーポニスの鎧虫の姿を!』
『逃亡した魔術師は奴らを引き込む為に亡命したのだ!』
『裏切り者に死を!裁きを!』
カクーシャ帝国軍の雄叫びが重なり、巨大な魔獣の咆哮の様に空気が震える。
「出来るだけ引きつけろ、まだ撃つなよ・・・・・。」
土煙が魔術師の村の防壁へとどんどん近づいてくる、カクーシャ帝国の弓兵部隊が弓矢を構え始めた時、自衛隊の陣地から光が放たれた。
ズダダダダダダダダダダッ!!
『ぐわあああああぁぁ!!?』
『何だこれは、魔力無しがこれ程の魔導を操るというのか!?』
『ば・・馬鹿なぁぁぁ!!』
土嚢を積み上げ築き上げた簡易陣地から、MINIMIや89式5.56mm小銃が火を噴き次々とカクーシャ帝国兵をなぎ倒して行く。
96式装甲車の上部からブローニングM2重機関銃が重い音を響かせながら、暴力的な閃光が次々とカクーシャ帝国兵を土ごと耕す。
ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!
『何だこれは、何なんだよ・・おげゃぁぁぁっ!!』
更にそこに、L16 81mm 迫撃砲が加わりカクーシャ帝国軍に更に混乱が広がって行く。
信管が作動し空中で炸裂する榴弾は、容赦なく帝国兵に鉄の破片を浴びせ肉体を引き裂き粉砕しこの世から消滅させる。
一方魔術師の村の住民たちは自衛隊の戦闘を見て顔を蒼白に染めていた。
『何だ・・・これは・・・。』
『このような魔導・・・見た事ない。』
『わ・・・我らは悪魔にでも身を捧げてしまったのか?』
あれだけ恐怖の象徴と思えていたカクーシャ帝国軍が哀れにも破壊の奔流に飲まれ、原形を失い肉片と化して行く光景に魔術師の村の住民は恐れを抱いた。
指揮を執っていた隊長格が早々に爆風に巻き込まれ肉片と化したので、士気はどん底まで下がり、幸運な一部の者が逃げ出せただけでそれ以外は交戦も逃走も出来ずに迫撃砲の雨と銃撃の嵐にまみれカクーシャ帝国軍は文字通り消滅した。
それから改めて、カクーシャ帝国領から逃れるべく避難準備を完了した魔術師の村の住民は、故郷を後にして人員輸送トラックがある森の外の平原へと列をなして向かった。
『何と凄惨な光景だ、これが帝国兵なのか?』
『う・・うぷ・・お・・おえぇぇ・・おげぇぇぇ・・・。』
辺り周辺は肉が焼ける臭いと、火薬の臭いが立ち込めており、魔術師の村の住民たちは気分を悪くしたのか恐怖からか、その道中胃袋の中身をぶちまける者が出始めた。
車両が無理なく通れる道へ到着してからは、人員輸送用トラックが村人を載せ、荷車の資料や研究成果などの重要物をトラックに載せ替え、荷車はその場で放棄した。
『奴らだ!カクーシャ帝国軍が攻めてきたぞ!』
『あれだけやられてまだ森に潜んでいたというのか!?』
『は、早くその鎧虫に載せてくれ、奴らが来る!!』
先ほど自衛隊の攻撃で撃退したはずのカクーシャ帝国軍は、荷下ろしの隙を狙って再び襲撃を仕掛けてくるのが上空からの監視で分かっていたので、自衛隊は慌ただしく迎え撃つ準備を進めた。
森の外では重迫牽引車で運ばれてきた120mm迫撃砲が展開しており、村の住民を巻き込む心配が無くなった今、容赦なくその暴力的な破壊力をカクーシャ帝国軍に浴びせた。
戦車こそ無いが、機械化された現代文明の軍勢は、この世界の住人達にとって天変地異にも等しい破壊力を持っており、先行部隊の主張する意味不明な魔法攻撃を本気にせず自衛隊に攻撃を仕掛けたカクーシャ帝国軍はその身をもって現実を叩きつけられたのである。
天高く立ち上る爆炎と、鎧虫の頭部から放たれる灼熱の熱線、薄汚れた鎧を身に纏う蛮族の兵士の杖から放たれる魔導、どれをとってもカクーシャ帝国兵には理解できない物であり、戦場に悲鳴や怒号慟哭が響き渡る。
『悪魔だ!ニーポニスは邪法で悪魔を呼び寄せたのだ!』
『誰か、ああぁそいつを助けてくれ、俺の親友なんだ。』
『腕・・・私の腕どこ・・・うで・・う・・・えげぃきゃあぁおぉぉ!!?』
『我が軍は、我が軍は何処に消えた?これは夢か?悪夢・・・あくむ・・あぁ・・・あああぁぁぁぁ・・・。』
文字通りカクーシャ帝国軍を消滅させた自衛隊は、魔術師の村の全住民を誰一人欠ける事無く、日本勢力圏に送り届けた。
そして、カクーシャ帝国は日本を含めた大陸全土を全て征服し、この世界全てをカクーシャ帝国だけの世界にするという野望を知り、更に警戒心を高めて行くのであった。
一方カクーシャ帝国は、魔術師の村の亡命に激昂し、日本人全てを奴隷にせず完全に民族そのものを絶滅させる事を宣言した。
その絶滅宣言を受け日本は遺憾甚だしいと、憤慨し、更にケーマニスを拠点とする駐屯地の設備を強化するのであった。
周辺諸国は日本の大胆な行動に心の底から驚くも、あのカクーシャ帝国相手にどれだけ耐えられるのか、そして大陸に覇を唱えるカクーシャ帝国にどれだけ戦えるのか動向を注視した。
だが、日本勢力圏に加わっている国々からしてみればどう見てもカクーシャ帝国の自殺行為にしか見えていなかった。
ケーマニス王国とフーヒョニス王国を始めとした大森林に隣接した国々は、帝国の終焉が近づきつつある事を感じていた。
大陸沿岸部を平定した日本国の大陸中央部への干渉は、間違いなくこの世界の一つの時代を終わらせ、新たな時代を齎すであろうと、多くの者がそれを実感した。
魔力の枯渇し、戦乱の時代を続けていた世界は否応なしに変化を余儀なくされる。
たった一つの異界から訪れし島国によって・・・・・。
難産でしたが、久しぶりに投稿です。
何とか再開できれば良いのですが、時間を見つけて書き上げるよう努力します。