捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編   作:ローリング・ビートル

136 / 136
君想い #12

 

「ほら、沼津もなかなかいいでしょ?」

「おお⋯⋯」

 

 少し移動して到着したのは沼津仲見世商店だ。休日ということもあり、たくさんの人で賑わっている。

 

「何か食べる?ここおいしい店ばかりなんだよ」

「⋯⋯じゃあ、案内料と言っちゃなんだが、たこ焼きくらい奢る」

「え?いいよ、案内するって連れ出したの私なんだし」

「いや、実際案内してもらって助かったのは事実だ。だからその分の借りは消す。俺は養われる気はあっても施しを受ける気はない」

「いきなり変なプライドをアピールする理由は謎だけど……じゃあお言葉に甘えちゃおうかな」

 

 俺と松浦はたこ焼き屋の前まで行き、店の前に置かれた看板に張られたメニューを見た。

 そこそこ種類があるので松浦に決めてもらおうかと思ったが、ジェスチャーで俺が選ぶよう指示してくる。

 まあ、あまり時間をかけても仕方ないので、ここはシンプルに特製ソースにしておこう。

 

「お、いいチョイスだね」

「初めてだからな。定番のやつにしとく」

 

 先に松浦にトレイを手渡そうとすると、彼女はそのまま爪楊枝を使い、器用にたこ焼きを口に運んだ。

 まだ出来たての熱さに少し眉を寄せたが、それでも何とか飲み込んだ。

 

「ん⋯⋯まだ結構熱いけど美味しい」

「⋯⋯俺はもう少し冷ましてからにするわ」

「え〜、出来立てのほうがおいしくない?」

「猫舌なんだよ」

「あ、そうなんだ。じゃあ先にもう一ついただきま〜す」

 

 松浦はたこ焼きをもう一つひょいとつまんだ。

 その際に思ったよりも顔が近くに来て、鼓童が跳ねるのを感じた。特に意識していないからこその距離感だろうが、こちらとしてはうっかり勘違いしないように注意しなければならないので、表情の管理に困る。中学時代なら勘違いして告白してふられていたことだろう。ふられちゃうのかよ。

 

「う〜ん、おいしい。ん?どうしたの?そんな遠い過去に思いを馳せるような顔して」

「⋯⋯いや、何でもない。そろそろ食おうかと思ってたところだ」

 

 いかん。過去を振り返り、変な表情になっていたようだ。

 誤魔化すようにたこ焼きを頬張ると、まだ中は熱々で猫舌の自分には少々しんどいが、うまいのはうまいので、何とか飲み込めた。

 

「だ、大丈夫?」

「ああ、てかうまいなこれ」

「そっか、じゃあよかった。ふふっ、私がたこ焼き冷ましてあげよっか」

「い、いや、それは遠慮しとく⋯⋯」

「はいはい。ほら、次行こ♪」

 

 松浦は数歩前でこちらを振り返り、悪戯っぽい笑みを見せた。

 さっきのはこちらをただからかっていたのだろう。こいつ、共学通ってたら絶対ファンクラブできてたな。

 俺は早足で彼女の隣に並び、彼女の商店街解説に耳を傾けた。

 

 ********

 

「これ、デートなのかな?」

「う〜ん、どうだろ?」

「距離感がいまいちわからないわね」

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

捻くれた少年と海色に輝く少女達 CYaRon編 (作者:ローリング・ビートル)(原作:ラブライブ!サンシャイン!!)

 比企谷八幡が沼津に引っ越して、Aqoursのメンバーと出会う物語です。▼ プロローグは全メンバー共通です。


総合評価:739/評価:8/連載:25話/更新日時:2026年10月19日(月) 12:01 小説情報

捻くれた少年と猫っぽい少女(作者:ローリング・ビートル)(原作:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。)

▼ 比企谷八幡と星空凛が出会ったら、という物語です。


総合評価:766/評価:6.88/連載:16話/更新日時:2026年10月13日(火) 19:26 小説情報

デレマス短話集(作者:緑茶P)(原作:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。)

それは比企谷君が346にまだいた頃のお話であります。


総合評価:7692/評価:8.66/短編:178話/更新日時:2022年03月12日(土) 18:42 小説情報

異世界召喚された俺、魔王と共に元の世界へ戻る。(作者:生焼け肉)(原作:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。)

異世界から召喚され、勇者として魔王討伐の任務を課せられた比企谷八幡。しかしひょんなきっかけで魔王と意気投合し、討伐を諦めてからはそのまま自由気ままに過ごしていた。そして長い年月が経ち、八幡と魔王は元の世界へ転生する事を決意する。▼これは異世界に召喚された八幡が、異世界の魔王と共に元の世界に転生して平穏な生活を送る物語。


総合評価:310/評価:6.2/連載:28話/更新日時:2026年10月20日(火) 18:08 小説情報

めざせ、ポケモンマスター!(作者:瓶詰め蜂蜜)(原作:ポケットモンスター)

アニポケのサートシくんに転生した。▼けど、この世界はどうやら前世で見ていたアニポケのものとは違うようで……。▼どうせサートシくんに転生したのなら、全ての種類のポケモンと出会い、ポケモンマスターになる事を目指してもいいよな!▼


総合評価:1011/評価:8.12/連載:31話/更新日時:2026年10月18日(日) 10:03 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>