※明確な設定などありません。ゆる~い気持ちでご覧下さい。
・魔改造モノを書いてみたい
そこで出来たこの作品。
自分の思いつき誰得作品、第2弾。
明確な設定なぞ無いので深くは突っ込まないで。
美樹さやかはお爺ちゃんっ子である。
といっても彼女の差すお爺ちゃんとは血の繋がった祖父ではなく、近所に住むとある老人を差す。
彼女が幼い頃からそこに1人で住む老人。
遠い外国から来たという老人。年相応に皺の刻まれた顔に伸びた白髪に白髭。年をとったせいか、身長は150cm以下と小さい。御年も80を超えているのに、その体はビルダー顔負けのマッチョな肉体をもっている。
またその肉体に相応しい腕っ節もある。
幼いさやかが怖い大人に絡まれ、その老人に助けられるという2人が知り合う切欠がある。その際、老人は怖い大人を苦も無く撃退し、さらには逆恨みした連中も返り討ちにしたというエピソードもある。
そうして知り合ったさやかはその老人の家を頻繁に訪ねるようになる。
優しく時に厳しい面倒見の良い老人をさやかは慕っていた。また、老人の方もさやかを孫娘同然のように思っていた。
老人の出す緑茶の苦さに顔を顰めたり、老人の白髭を弄って遊ぶのが大好きだったり、老人と一緒に素朴な料理を共にしたりと、さやかの人生においてその老人との日々は付き物であると言っても過言ではない。
そんなさやかと老人はある秘密を共有する仲でもある。
さやかが偶然見た老人の秘密。それは幼いさやかにとってまさに『魔法』であった。
当然さやかはそれを問いただし、純粋に憧れた彼女は教えてほしいと懇願した。だが老人はその件に関して今までのような柔和さは無くなり、ただ駄目だという一点張り。
幼いさやかはそれに駄々をこね、ヘソを曲げて見様見真似で魔法を使おうとする。無駄だろうと悟っていた老人は放っておいた。
そこに老人の誤算が生じる。
さやかにとっては幸。老人にとっては不幸な事に、美樹さやかはその『魔法』に関して天才的な適性を見せつけたのだった。
その意味を深く考えずはしゃぐさやかを余所に、老人はこの誤算に肝を冷やした。
老人がここで二度と使うなというのは簡単だ。
しかしさやかはまだ幼い。たとえ禁じたとて彼女は好奇心に負けて再びその『魔法』を使うであろう。
そう考えた老人は、さやかが間違わないようにするため師事を決意する。
そして己の秘密を打ち明ける。
幼いながらも、その老人の秘密に重さを感じ取った彼女は口外せぬよう誓う。
さやかはその秘密――しかし一つの例外――と老人の言葉を胸の奥に刻み込んで生きる事となる。
やがて年月が過ぎ、さやかが中学2年生と今でも2人の秘密は続いている。
◆ ◆ ◆
「でね、恭介にさ、最近は音楽CDだけじゃちょっとリビドー溜まりまくりかなと思って、青少年に必要な際ど~い18才ダメよ♪的な本を差し入れてあげたのよ」
「ぅわぁ…」
「そうしたら恭介のやつ怒ちゃってさ。やっぱり年頃がみんな大好きな巨乳ものじゃないのが気に食わなかったのかな? そりゃあたしだってさ、初心者向けをすっ飛ばして緊縛物を選んだのは悪かったとは思うわよ。でもあそこまで怒ることないと思わない?」
「さやかちゃん! 絶対にソコじゃないと思うよ!?」
公共の面前でありながら、とても中学生とは思えない会話を繰り広げる少女、美樹さやか。その隣で彼女のボケに付き合わされているはさやかの友達である鹿目まどか。
彼女らはさやかの幼馴染みである上条恭介という少年のお見舞いの帰りである。
「で、でもよかったね上条くん。順調に回復に向かってるんだよね?」
「えっ? うん」
「すごいよね。お医者さんも、もう治らないっていってたほどだったんでしょ?」
「エエ、ハイ。ソウデスネー」
上条恭介は天才バイオリニストと称されるほどの腕前であったが、交通事故によって手に回復が絶望とされるほどの怪我を負う。
ではなぜそれが回復に向かったのか?
その裏には美樹さやかと彼女の慕う老人による、誰にも秘密の『魔法』があったからと言おう。
「すごいよね。魔法もあれば奇跡もあるんだね」
『そりゃあ魔法はあるさ。まどかもボクと契約すればすぐにでも使えるよ』
はしゃぐまどかの横でちょっと目の泳ぐさやか。そんな会話の中でさりげに契約を奨めるパッと見はかわいらしい――しかしよく見るとその不動の眼が不気味で闇夜に佇むとちょっとだけチビッてしまいかねない怪しいぬいぐるみのような生き物、通称キュゥべえ。ある場所で遭遇した
この生物はひっきりなしに契約というものを奨めてくる。
その内容は願いをかなえる代わりに魔法少女となり、魔女を退治してほしいというモノ。
実際にその魔法少女という者には出会っている。キュゥべえとの遭遇の際に出会った転校生と上級生である。
前者はナマモノを葬ろうと、後者はナマモノを守ろうと。同じ魔法少女でありながら相対する事から、魔法少女も一枚岩ではないということか。
閑話休題。
「あれ?」
「お?」
『グリーフシード! しかも孵化しかけてる!?』
グリーフシード――魔女の卵。
孵化しかけているという事は、もうすぐ魔女が生まれるという事。
「まどか、マミさんを呼んできて」
「さやかちゃん?」
「あたしはここで見張ってるから。急いで」
「う、うん…」
さやかの纏う空気が一瞬にして変わる。ただの中学生にしては鋭く、刺々しい空気だ。
まどかもそんな空気に気圧されたのか、深く考えずに先輩魔法少女である巴マミを呼びに行く。
『さやか、危険だよ。ただの人間が魔女の結界に入れば無事ではすまない』
「大丈夫よ」
キュゥべえの忠告も、さやかは何処吹く風といった様子で流す。実際、さやかの心には恐怖心もない。楽観視もしていない。
『ワケがわからないよ』
「アンタの胡散臭さの方がワケがわからないわよ」
そんな一般少女とかけ離れた反応を示すさやかの様子に、キュゥべえは率直な感想を漏らした。
結界に取り込まれる直前の一言である。
魔女の結界内部はまるで油絵で彩った絵画の世界とでも言うべきか。
普通とは程遠い、非現実的な光景の中でさやかはその身を震わせる――ことも無く、堂々と歩いていた。
「やっぱりワケわかんないわね」
『だからボクはキミの方がわからないよ。普通だったらこの光景で先立つのは恐怖心なはずなのに』
「そんな小さな肝は持ってないわよ」
『でもやっぱり使い魔に襲われると防衛手段を持ってないのも事実だ。さやかもボクと契約すればすぐにでも対抗手段を得られるよ』
「いらない」
『初めて会った時からキミはボクとの契約を拒んでいるけど願いは無いのかい?』
「そりゃ、あるわよ。あたしだって年頃の乙女なんだし」
『だったら…』
「でもワケのわからない契約を交わすほどじゃないわ」
『それは心外だなぁ。どんな願いでも1つ叶える代わりに魔女を退治する。至ってシンプルじゃないか』
「じゃあ聞くけど……あんた、本当に契約における情報の全てを提示してる?」
『……』
「その沈黙は迂闊だったわね」
さやかはチラリと――普段の彼女では考えられないような冷酷な目でキュゥべえを一瞥し、そのまま先を歩いていった。
『本当にワケがわからないよ』
◆ ◆ ◆
一方でまどかは魔法少女である巴マミを伴って魔女の結界へと足を踏み入れていた。
魔女の危険性を説き、その危険故の孤独感を癒したまどかとマミの絆が深まる中で、2人はある少女と出会う。
「ほむらちゃん…」
「何の用かしら?」
キュゥべえを葬ろうとした魔法少女、暁美ほむらである。
「私は見に来ただけ」
「見に来た?」
「この戦いを。邪魔はしないわ、グリーフシードもいらない」
「その言葉を信じろとでも?」
「私のソウルジェムをまどかに預けてもいいわ」
マミの言葉にほむらは戦闘態勢を解き、魔法少女の命とでもいうべきソウルジェムを差し出す。
さすがのマミもソウルジェムを出されたとあっては彼女の言葉に嘘が混じるとも思えなかったのでほむらの言葉を了承した。
こうして同行者を迎えたまどか達は結界の最深部へと辿り着き、さやかと無事合流する。
◆ ◆ ◆
結界最深部はかなり広い空間を有している。
その空間の中で巴マミが舞っている。敵を屠る舞いを。
マミはこれまでにないほどの力を感じていた。
1人じゃない。
まどかのその言葉だけでマミはもう何も怖くなくなっていた。
一匹、また一匹と使い魔を葬るたびにその感情は強くなっていき、最高潮を迎えた感情は魔女本体へとぶつけられる。
「速攻で終わらせてもらうわよ!」
「すごい、マミさん!」
『いけそうだね』
「……」
マミの無双っぷりにはしゃぐまどか。その光景を見ているキュゥべえとほむら。そんな中、さやかだけは険しい視線をぶつけていた。
(危ない…)
彼女の戦いをさやかは幾度か眼にしているが、今の巴マミには危険性を感じていた。
何があったのかわからないが、マミの士気は高揚しきっている。実際にその高揚は戦果として出ているが、さやかだけはその高揚によって生まれ出ている慢心を感じ取っていた。
(いざとなったら…)
さやかは密かに拳を握り締め、その時に備えるのであった。
そしてその時はすぐにやって来た。
撃ち抜いたと思われた魔女の口内からズルリと現れた本性がマミを喰らおうと肉迫する。
「えっ?」
仕留めたと――慢心によって反応の遅れたマミは無防備である。
「マミさん!?」
「っ!?」
まどかが声を張り上げる。ほむらは動こうにも、まどかにソウルジェムを預けている状態なのでどうする事もできない。元より彼女はどうにかする気さえも無かったが。
ならば誰が動けるのか?
答えは美樹さやかだ。
力を込めた脚が爆発的な推進力を生み出す。その速度はとても一般人の――人間の出せるモノではない。そんなさやかの背後で彼女の名を呼ぶ声が聞こえたが、さやかは全てを無視する。
彼女の脳裏にはこの力を教えてくれた老人の言葉が蘇る。
『ワシは人を助けられる存在になりたいと思ったからこの道を――力を得た。だからさやか、お主も誰かを助けたいと思ったならその力を隠す必要はないぞ』
(クリフお爺ちゃん、あたしに力を!)
美樹さやかは老人――クリフ=アンダーソンとの誓いを守る。
数秒もかからず、マミの元へと辿り着く。さやかはその勢いのままマミを抱きかかえ、彼女を助け出した。
「美樹、さやか…さん?」
「マミさん、着地は自分でしてね」
さやかは抱えたマミの襟首を掴んで、まどか達の方へと放り投げた。
さやかの細腕からは考えられないほどの力によって勢いよく放られたマミは戸惑いながらも、無事に着地に成功する。それを見届けたさやかは目の前の魔女を睨む。
魔女の方も食事を横取りされたからか、その顔を顰めてさやかへと襲い掛かる。代わりにさやかを喰らおうと顎を開けた魔女だったがそれは叶わなかった。
魔女の牙はさやかの周りを覆う薄い緑色の球状によって阻まれていたからだ。
「フォルトレスディフェンスっていうのよ。頑丈でしょ?」
さやかは躍起になって牙を向ける魔女へと諭すように言葉を投げる。
やがて埒があかないとばかりに魔女の動きが大振りになったのを見計らったさやかはフォルトレスを解き、魔女の一撃をかわす。
フワリと重力を感じさせない動きで、魔女の側面をとったさやかは手のひらに力を溜めて放つ。
「リフレクスロア!!」
魔女の巨体が吹っ飛んだ。
その光景はまどかはおろか、マミやほむらをも呆然とさせるほどの衝撃でもあった。
地に横たわる魔女へとさやかは大きく跳躍する。
宙を舞うさやかの手にはいつのまにか、1つの武器が握られていた。
それは無骨な片刃の剣。
見ようによっては包丁。
見ようによっては槍。
派手な装飾などはない、刃と柄だけの至ってシンプルな造り。
しかし異質なのはその巨大さ。
刃だけでもさやかの身長を超える。さらに柄との全長を合わせると、逆にさやかが小さく見えてしまうほどの巨大な剣である。
銘を斬竜刀(模造品)という。
彼女が幼い頃から憧れ、お小遣いをはたいたり廃材を集めたりしながらコツコツと造った本物を模造した自慢の一品である。
そんな彼女自慢の一振りを、大上段に構えたさやかは力の限りその刃を振り下ろす。
「でいやぁぁあぁぁああああああっ!!」
斬!
魔女の体は首元から綺麗に両断される。
断末魔も無い。胴と首を断たれた魔女もさすがにその命を維持できる筈もなく、その巨体は一瞬にして萎んで消える。
「…ふぅ」
その手に握る斬竜刀を軽く薙いで地に立てる。
中学生相応の小さな背丈なのに、その巨大な得物も合わさり大きな背中に見える。
「んっ!」
「っ!?」
さやかは唐突に斬竜刀を振るう。
眼にも留まらぬ速さで振るわれた刃だったが、慣性を無視したかのように急停止する。
その刃の先には――
「美樹さやか、あなた…」
いつの間にかさやかに接近し、銃を向ける暁美ほむら。
「あれ? ソウルジェム…いつの間に…」
「さやかさん!」
二人の離れた場所には未だにまどかとマミとキュゥべえの姿が確認できる。ならばこの距離をほむらはどうやって詰めたのだろうか。
「まさかとっくに契約してたなんてね…」
「してないわよ」
「嘘を言いなさい。だったらその魔法はどう説明するの」
「魔法じゃないわ”法力”よ」
「ほう…りき?」
聞き覚えのない単語にほむらは眉を顰める。
「あ~、あたしは感覚派だから詳しいってわけじゃないんだけど…世界の原理と原理を定義付けする情報が内包された『何か』から、強引に『理由』を借りて世界を変質させる力…だったっけ?」
「はぁ?」
暁美ほむらはその説明を理解できず、珍しい呆けた声を漏らす。
「まぁつまり…あたしは――」
さやかは斬竜刀を引っ込める。その際にどういう原理なのか、巨大な斬竜刀もが消えていた。
「お爺ちゃんっ子な法力少女、美樹さやかちゃんよ」
・このさやかは別に恭介に惚れたりしてない。好みのタイプは若クリフ。
・杏子にも負けないね。
・そしてお爺ちゃん、現役時代なら魔女をワンパンだろう。
「魔女? あぁ、あの大型GEARか。ワルプルギス? それはメガデスクラスじゃろう? ジャスティスほどじゃないわい」