銀河彼方での物語   作:秋鹿

12 / 58
舞台は架空の星エルフィダイスの街、クテーラ。調停するために、激しい争いが繰り広げられている街を訪れたクワイ=ガン。しかし、争いは加速し ―― といった暗くシリアスな展開です。
クワイ=ガンは48歳、オビ=ワンは13歳の設定。

残酷な描写があるので、お気をつけください。


3.常和の花 -Tokowa no Hana-(クテーラ編/架空の街)
プロローグ


ジェダイ・マスター、クワイ=ガン・ジンは溜め息をつくと、前方に広がるハイパースペースの光の渦を見つめつつ、フッと笑みを漏らした。

(今ごろ、怒っているだろうな・・・)

自分はそれほど未熟なのかと落胆し、やるせなさと怒りに肩を震わせているさまが容易に目に浮かぶ。

(だが、今回の任務はかなり危険なものになるだろう。連れていく訳にはいかない。それに・・・評議会もそのことを了承した)

今回の危険性を滔々と述べるヨーダの姿が蘇った。

(しかたがないことなのだ)

しかし、頭で認識していても、心の中では一抹の寂しさが通り抜けるのは隠せなかった。

 

「もうすぐ目的地に着きますが」

クワイ=ガンのその物思いを破るように、宇宙船のパイロットが声をかけた。

「わかった。余り目立たないように着陸して欲しい」

「了解しました」

その時、通信機から雑音交じりの声が聞こえた。

「ピー ガガッ こちらは管制塔。ガーッ そこの宇宙船、応答されたし」

「こちらはクルーザー、<Winged Horse>。着陸許可を願いたい」

「この惑星はただ今、不安定な政情。直ちに引き返すよう警告する」

パイロットは後ろを振り返り不安そうにクワイ=ガンを眺める。彼は穏やかに頷いた。

それに後押しされるよう、パイロットが言葉を継いだ。

「この船には商人が乗っている。被災地に薬をもたらすためにこの惑星を訪れたのだ。着陸許可を願いたい」

永遠とも思える沈黙が続いた後

「・・・・・・了解。こちらの指示に従って、着陸されたし」

ホッとしたパイロットは通信機を切ると、管制塔に指示された座標へ宇宙船を向けた。

空から見る下の光景は、所々広大な範囲に破壊された建物や赤い炎や煙が立ち昇っているのが見え、まるで地獄のようだった。

 

「管制官も言っていた通り、ここでの争いは本当にひどいものですね」

宇宙港 ―― これが宇宙港と呼べるのなら だが ―― あちこちに爆発で開けられたと思しき大きな穴が空いていて、焦げた匂いが立ち込めている。

黒い煤がついた巨大なパーマクリートの固まりが、ごろごろと転がっていた。

「全くだ。難しい任務になりそうだな」

クワイ=ガンは現場の惨状を見ながら、低い声で言った。

一通り見渡した後、彼は薬の入った袋を肩から下げ

「君もそろそろ行った方がいいだろう。ここに長居は無用だ」

と大股に歩き出した。

パイロットはその背中に向かって、気づかわしい表情を浮かべながら口を開いた。

「わかりました。連絡を受け次第、またお迎えに上がります。・・・お気をつけて、マスター・ジェダイ」

「私はただの商人に過ぎないが?」

振り向きざま口の端を歪めニヤッと笑うと、クワイ=ガンは街の方へ足早に歩いていった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。