銀河彼方での物語   作:秋鹿

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第12話 工場での戦い3

青い光がドロイドの鎌を一閃する。

オビ=ワンは手首を捻りセーバーを返すと、左下から切りあげた。

鎌と首を切られたドロイドが崩れ落ちる。

セーバーをくるっと一回転させ右上段から振るうと、今度は体を深々と切り裂いた。

荒い呼吸を鎮めつつ彼はフォースに身を委ね、ドロイド達に対峙していく。ドロイドは次第に輪を狭めつつオビ=ワンに迫り、隙あらば鎌を繰り出そうとしている。

後ろからの攻撃の気配に、身を低く回転しセーバーを薙ぎ払った彼が見たものは。

テーブルの上で身動きがままならないマスター。

そして、その背後で鎌を振りかざすシクル・ドロイド ――

 

あの嫌な予感が頭を過ぎる。言い知れようも無い不安が巨大に膨れあがる。

「マスターっ!!」

オビ=ワンは叫び、自分が行っても間に合わないと見るや、ライトセーバーを右手に持つと反動を加えて横向きに投げつけた。

青い光は激しく横の回転度を上げ、クワイ=ガンの背後にいたドロイドの胴体をスパッと切り裂く。

ドロイドの上半身が後ろに落ちかけると同時に、オビ=ワンは高く跳躍し、宙返りして空中でセーバーを手元に引き寄せると、テーブルの上に着地した。着地の振動が腹や背中に響き、膝から崩れそうになるのをどうにか堪える。

そして、歯を食いしばると、クワイ=ガンを狙っていたドロイドの群れを上から一閃した。

不意を衝かれたドロイドは首や鎌を切り落とされ、行動不能に陥る。

 

突然、高々と跳躍し飛び込んできたドロイドが、全体重を預けたままオビ=ワンに鎌を振り下ろした。

ずしっと重い手応えに思わず膝を折る。

頭上で辛うじて鎌を防いでいるが、セーバーを挟み込んでいる鎌がじりじりと下がってくるのがわかった。目が霞んで力が抜けてくる。

瞬間、彼の横から碧色に輝く光が走り、ネオ・シクル・ドロイドの胴体を貫いた。

火花が散りドロイドから力が失われると、ゆっくり後ろに倒れて行く。

「大丈夫か?」

オビ=ワンは両手をテーブルにつき喘いでいたが、後ろを振り向くと微笑んだ。

碧色のセーバーを右手に持ち佇むクワイ=ガンの後ろには、鎌を真っ二つに切られ胴体から白い煙を上げて転がっているネオ・シクル・ドロイドの姿がある。

「手強い奴だったが・・・」

とマスターは視線を走らせ

「どうやらあの改良型シクル・ドロイドは2体しかいなかったようだ。不幸中の幸いだな」

「改良型シクル・・・?」

クワイ=ガンは微笑むと

「ここでしばらく休んでいなさい」

と言い置き、残り少なくなったドロイドの群れに飛び込んだ。

オビ=ワンもしばらく呼吸を落ち着かせていたが、すぐに後に続く。

そして、間もなく、この部屋で動いているものは彼ら二人だけとなった。

 

一通り気配を探った後、クワイ=ガンは扉を開けた。

その部屋の奥、ベマール石で出来たテーブルの向こうに人影が座っていた。両側にしか残っていない、かなり薄い白髪を生やした、初老の小柄な人物が。

「お前がトレディスか?」

男は、テーブルの上に置いてある何かの部品から視線を上げた。丸い眼鏡の向こうから鋭い眼光がきらめく。

「遅かったな、ジェダイ。かなり苦戦したようだが?おや、子供もいるのか。俺もなめられたもんだ」

彼はそう言って頬のこけた顔を歪ませて、引きつった笑いを浮かべた。

オビ=ワンは一瞬ムッとするが、あくまでも感情を冷静に保ちながら彼を見つめる。

意に介さず、クワイ=ガンは穏やかに聞いた。

「聞きたいことがある」

「そう言われて素直に応えると思うか?」

凄みのある笑みでクワイ=ガンを見あげた。

全く臆することなく、ジェダイも堂々と弁を述べた。

「応えてもらわねばなるまい。死にたくなかったらな」

「死?そんなもの怖くも何ともない。さぁ、どうする?ジェダイ」

目をギョロリと見開き面白そうに問う。

死のやり取りでさえ、この男にかかれば単なるゲームになってしまいかねない。

 

内心の怒りを必死に堪えながら、今まで沈黙していたオビ=ワンが口を開いた。

「どうして、こんな争いを起こしたんですか?」

「どうしてかな?どうしてだと思う?坊主」

含み笑いを見せるトレディス。

だが、挑発にのらず少年はじっと彼を見すえる。

トレディスは面白くもないといった表情で鼻を鳴らし、忌々しげに吐き捨てた。

「コルサントに近いからさ」

すかさずクワイ=ガンが口を挟んだ。

「それだけではないだろう?」

「それだけじゃない?あぁ、それだけじゃないさ。ここは良質の金属が採れるんだ。ブラスターを撥ね返すほどのな」

「そんな金属がとれるって聞いたこともないけど」

オビ=ワンは不思議そうな顔をする。

「そりゃそうさ。俺とルサムしか知らないからな」

「ルサム?」

聞き返すオビ=ワンにトレディスはちょっと顔をしかめた。

 

静かにクワイ=ガンが言った。

「隕石の影響か」

「ご名答。隕石が落ちた時にそれに含まれていた金属が、衝突の衝撃で圧縮され、より良い金属になったって訳さ。俺は元々それを調べにここに来た」

「だが、今は陰謀に加担し、この街の争いをけしかけたということか」

「さぁ、どうだろうな?」

「そんなことのために争いを起こしたんですか!?」

義憤さえ含まれるオビ=ワンの問いかけに、トレディスは吐き捨てるように言った。

「全て金さ。金がないと実験もできん。いいか?綺麗事を言っても、全てこの世は金で回っているんだ。金金金さ。住民どもが争いでドロイドを使えば、金が入る。住民どもがこの街からいなくなれば、ここの金属は採掘し(とり)放題さ」

「哀れだな」

「何とでも言うがいい」

口の端に笑みを浮かべた。

そんな彼に委細構わず、クワイ=ガンは淡々と訊ねた。

「他のドロイドはどうした?」

「製造したのは全部お前達に壊された」

「これだけではあるまい。他にも製造していたはずだ。それはどこにある?」

「売っちまった。気が向いたら探してみるがいい」

「どこに売ったのだ?」

「さぁな、忘れた。さて、俺もそろそろ話し飽きた。実験に戻りたいんだが、いいか?」

あくまでもマイペースで会話を進めるトレディスに、ジェダイ・マスターは溜め息をつくと言い放った。

「お前にはもう、実験を続ける時間はない」

「俺を捕まえようってのか?こんな無抵抗の俺を」

「無抵抗とは言えないが?」

「まぁね」

その勝ち誇ったような言葉の響きに、不安を感じたオビ=ワンは周囲を見渡し ――

凍りつく。

何時の間に現れたレーザーガンが部屋の四隅、天井の角から黒光りする四つの銃口で、二人のジェダイに狙いをつけていた。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

ブラスターの光線が右腕を掠り、ジョンはもんどりうってバイクから転げ落ちた。

燃料がなくなりつつあり、バイクも上昇ができない状態での出来事だった。

「つっ・・・」

低空飛行だったため、さほどの高さからではなかったが、さすがに腰を打ったらしく痛がっている。

その彼の横に軽やかに飛び降りた者がいた。

苦笑を見せていたジョンの顔が強張った。首に振動ナイフ(バイブロブレード)が当てられている。

ナイフを持ったままローディアンが声高に叫んだ。

「おい、お前等、全員降りてここに来い。武器は捨てな、こいつの命が惜しかったら」

ベレルガを始めとするセニス兄弟は、半ば苦々しく半ば怒りを噛み締めながらバイクを止め、ブラスターを放り出すと素直にジョンの周りに集まった。

「よし、それでいい。手を挙げろ。おっと妙な真似はするなよ」

と言い放ち、ジョンの首筋をナイフで触れる。

ベレルガ達は激しい怒りを堪えて無言のまま立ちすくんだ。

ローディアンは見あげると声をかけた。

「おい、あれを出せ」

ベルトコンベアー付近から一人のクラトゥイナンが姿を現す。それとともに二人、もう三人。残っている敵は七人だったようだ。

(ちっ。もうちょっとだったな)

ベレルガは密かに舌打ちした。

上から一人が降りてきて、彼女たちの手首を紐で縛り始めた。

最初に現れたクラトゥイナンが手に持っている物を宙にかざした。

「これは何かわかるか?タイマー付の超熱爆弾(スーパー・サーマル・デトネーター)だ。これ一つあれば、ここは完璧に吹っ飛ぶ。勿論、お前達も一緒に」

敵は五人を数珠つなぎに縛った後、その紐の先を、傍にある重そうなコンテナの取っ手に括りつけた。

それを上で見届けたクラトゥイナンは、嬉しそうに爆弾を持った手を掲げた。

「これでお前達も終わりだ」

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