銀河彼方での物語   作:秋鹿

25 / 58
第13話 黄昏時の決着

瞬間、部屋の入口まで飛びずさったクワイ=ガンはセーバーを起動させ、オビ=ワンを自分の背後に引き寄せると盾となった。

レーザーガンが続けざまに火を吹く。

ジェダイ・マスターはフォースと一体となった素早い動きでレーザーを撥ね返し、狙い違わずレーザーガンを破壊していく。

4台全て壊したと思ったその時、ブラスターの光線が放たれクワイ=ガンの左肩を掠めた。

「よく今のをかわしたな。さすが、ジェダイ」

かわしていなかったら首を貫通していただろう。本当に殺人も辞さない男だ。

トレディスはブラスターを構えたままゆっくり歩いてきた。しかし、彼も馬鹿ではない。ライトセーバーの間合の外で立ち止まる。

「さぁ、命乞いでもするか?」

ニヤニヤ笑いながら話しかける。だが、その目は笑っていない。

クワイ=ガンは表情を変えずトレディスを見つめている。その瞳にあるものは恐怖か憐れみか。

トレディスはブラスターの照準をクワイ=ガンの眉間に合わせた。

「死ねっ!!」

 

ピュンッと光線が発射され ――

トレディスの胸を射抜いた。

「ば、ばかな・・・」

どうしてという表情で後ろを振り向く。

その先には、部屋の隅に取りつけられていたレーザーガン。

「1台だけ壊さず残しておいたのだ。お前が何か仕かけてくるというのは容易に想像できたからな」

「く、くそ・・・っ」

口から血の塊をゴボッと吐き出すと、トレディスは床に倒れ、そのまま動かなくなった。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

その時、どこからともなく雄叫びが沸きあがった。

「うわぁぁぁっ―――!!」

ベレルガ達もエイリアン達もぎょっとして振り返る。

壁に開いた穴から見えるのは、手に武器を携え武装した民衆の姿。

老若男女を問わずその数、何百人か。

そこには先住民(オレベフ)後住民(テラフ)もなかった。

今、この街の人々の心が一つになったのだ。争いを止めるために。最後の戦いを行うべく。

余りの事に浮き足立つエイリアン達を見て、素早い速さでベレルガは体を捻ると、腰に差してあったナイフを抜き取り手首の戒めをほどく。

そのまま手首を捻って、ナイフを宙に飛ばした。

ナイフは狙い違わずクラトゥイナンの腕を貫く。

その手から超熱爆弾(スーパー・サーマル・デトネーター)が転げ落ちるのを、すかさず下で受け止めた。

「ま、待て、こいつがどうなっても・・・」

とジョンにナイフを付きつけていたローディアンは、全部言い終えることはできなかった。

ベレルガの鋭い回し蹴りが延髄に決まったからである。

「ベレルガ、号令を」

ロイの言葉に頷き、彼女は民衆に叫んだ。

「やっちまぇっ!!」

「おぉぉぉ――――!!」

怒涛の如く雪崩れ込んだ民衆は、飛び交うブラスターを物ともせず突き進みエイリアン達に飛びかかる。

「生け捕りにしろっ!!殺すんじゃない」

心外なという顔を見せる群集に、ベレルガは凄みのある笑みを浮かべて言った。

「こいつらには聞きたいことが山ほどある。後から、今ここで死んでおけば良かったと思うことになるだろうよ」

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「終わった・・・」

ほっと吐息が漏れた。

気が緩んだ瞬間、背中やら腹やら体のあちこちが悲鳴を上げ、痛みを再発する。

緊張がほぐれると、目の前がぐるぐると回り始めた。

体がぐらりと傾き、オビ=ワンの意識はふわりと闇に吸い込まれ ――

と不意に背中を軽く押えられた感触に、慌てて意識を取り戻した。

「大丈夫か?オビ=ワン」

マスターが彼を手で支えながら心配そうに見つめている。

「だ、大丈夫です」

オビ=ワンは無理に微笑み、痛さに顔をしかめた。

「かなり酷い怪我だな」

「僕は大丈夫です。それよりマスターの方が・・・」

「かすり傷に過ぎん」

いつものような穏やかな微笑みを浮かべクワイ=ガンが言う。

「ようやく終わったな」

「はい」

「さて、皆の元へ戻ろうか・・・ん?どうした?」

言いかけて、ふと哀しげな表情で自分を見つめているパダワンに気づいた。

「・・・すみません。さっきまでマスターが僕を避けている気がしたから・・・」

「気にしていたのか?」

「はい」

仕方がないなといった風にクワイ=ガンは微笑んだ。

「別に避けてはいないぞ。ただ、先住民(オレベフ)後住民(テラフ)の気持ちを考えると、争いの最中に我々が師弟だとわかれば、元々、示し合せて二つに分かれ、うまく丸め込もうとしたと勘繰るかもしれない。となると、良い印象を持たないだろう。だから自然、他人行儀にならざるを得なかったのだ」

言葉を切る。

そして、優しい眼ざしをオビ=ワンに向けた。

「だが、もう争いは終わった。私は皆に胸を張って、お前が私のパダワンだと言うことができる」

途端、少年は嬉しそうに顔を輝かせた。

クウイ=ガンはフッと笑うと

「さぁ、行こう」

と促し、二人は痛む体を引きずりながら戻り始めた。

ふとクワイ=ガンは思い浮かんだ考えに心をとらわれる。

(一介の科学者にこんな立派な工場が造れるだろうか、いくら金の亡者といっても。実はこの争いの本当の黒幕はトレディスではないのかもしれない。別に裏から金を回したものがいたとしたら?ルサムといったな。一体何者だ・・・?)

だが、彼はこの考えを独り胸のうちにしまい込んだ。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「終わったな」

「何か清々しい気分だぜ」

外に出たベレルガ達は赤く染まりつつある工場を見上げた。もう夕暮れ時になろうとしている。

残ったエイリアン達はこれ以上にないほどにぐるぐる巻きにされ、周りを屈強な男達に見張られ転がっていた。

幸い民衆にもこの戦いでの死者はいない。怪我人は数十人いるものの重傷ではなかった。

「あいつら、遅いな・・・」

ポツリとベレルガが呟いた。聞き咎めてロイが訊ねる。

「ジェダイ殿達か?」

「何かあったのかな」

工場が静けさを取り戻してから、幾ばくかの時間が経っていた。ジェダイ達が向かった二階も何故か静かである。

不安に襲われ

「ちょっと見てくる」

とベレルガが歩き出したその時。

「戻ってきたっ!!」

ジョンの声に目を凝らせば、工場の方から二つの影が、お互い支えあうように歩いてくる。

「やった――――っ!!」

大歓声が二人を優しく包み込んだ。

 

駆け寄ったベレルガが開口一番

「こっちは無事片づいた。トレディスは?」

「彼は死んだ。もうこれで、この街が二度と争いの場になることはないだろう」

疲れを滲ませながらクワイ=ガンが言った。

現に二人のジェダイは満身創痍だった。

だが、暖かく迎えてくれた民衆の感謝の心が二人を癒してくれた。

「よくがんばったな、ちびジェダイ」

笑いながらベレルガがオビ=ワンの背中をバシバシ叩く。

「つっ・・・」

痛みを必死に堪える姿を見て、慌ててベレルガが問いかけた。

「ごめん、痛かったか?悪ぃ悪ぃ」

「・・・大丈夫・・・です。少し休めば」

「ああ。今日はゆっくり休んでくれ。それにしてもあんた達、師弟だろ?」

「ど、どうしてそれを?」

「隠していたみたいだけど、わかるんだ。お互い信頼感が溢れてるからさ。別に気にしてないよ、今はともかく平和になったんだから」

ベレルガはウィンクすると、その場を離れていった。

その姿を目で追うと、思わぬ者の存在に気づいた。

(彼だ。テレスト通りで、リアに電気棒で殴りかかろうとした・・・。彼も争いを止めるために来てくれたんだ)

視線に気づいたのか、その男はオビ=ワンに向かって歩いてきた。

「大丈夫か?」

打って変わって優しい声である。争いがああも人を変えるものなのか。

「はい」

「あの子にはすまないことをしたと思ってる。・・・君があの子だったら許してくれるかな・・・?」

「リアがその言葉を聞いたら、きっと喜んだでしょう・・・」

「そうか・・・ありがとよ」

彼はオビ=ワンの頭を撫でると静かに去って行った。

 

代わりにクワイ=ガンが近寄ってきた。

「大丈夫か?オビ=ワン」

「はい。マスターこそ大丈夫ですか?」

「私は大丈夫だ。少し座った方がいいのではないか?」

「そうですね・・・」

オビ=ワンはくらくらする頭を振ると草の上に腰を下ろし、フォースを集め体を癒し始めた。隣りに座ったクワイ=ガンも瞑想を始める。

 

そんな中、ベレルガの声が飛んだ。

「もう争いは終わったっ。これから祝いの花火を上げる。皆、盛り上がろうぜっ!!」

歓声が沸き起こる中、彼女はおもむろに超熱爆弾(スーパー・サーマル・デトネーター)を取り出すと、工場に向けて投げつけた。

爆弾は弧を描き、工場に吸い込まれる。

と、激しい閃光と轟音を撒き散らして、大爆発が起こり工場は吹っ飛んだ。

最初は歓声を上げていた民衆だったが、次第に悲喜こもごもの表情を浮かべ、無言で紅蓮の炎を上げる工場を見つめている。

彼らの胸に去来する物は何であろう?

ややあって安堵の溜め息が漏れると、それが津波のように広がり再び歓声が巻き起こった。

それをジェダイ二人は優しい眼ざしで眺めていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。