瞬間、部屋の入口まで飛びずさったクワイ=ガンはセーバーを起動させ、オビ=ワンを自分の背後に引き寄せると盾となった。
レーザーガンが続けざまに火を吹く。
ジェダイ・マスターはフォースと一体となった素早い動きでレーザーを撥ね返し、狙い違わずレーザーガンを破壊していく。
4台全て壊したと思ったその時、ブラスターの光線が放たれクワイ=ガンの左肩を掠めた。
「よく今のをかわしたな。さすが、ジェダイ」
かわしていなかったら首を貫通していただろう。本当に殺人も辞さない男だ。
トレディスはブラスターを構えたままゆっくり歩いてきた。しかし、彼も馬鹿ではない。ライトセーバーの間合の外で立ち止まる。
「さぁ、命乞いでもするか?」
ニヤニヤ笑いながら話しかける。だが、その目は笑っていない。
クワイ=ガンは表情を変えずトレディスを見つめている。その瞳にあるものは恐怖か憐れみか。
トレディスはブラスターの照準をクワイ=ガンの眉間に合わせた。
「死ねっ!!」
ピュンッと光線が発射され ――
トレディスの胸を射抜いた。
「ば、ばかな・・・」
どうしてという表情で後ろを振り向く。
その先には、部屋の隅に取りつけられていたレーザーガン。
「1台だけ壊さず残しておいたのだ。お前が何か仕かけてくるというのは容易に想像できたからな」
「く、くそ・・・っ」
口から血の塊をゴボッと吐き出すと、トレディスは床に倒れ、そのまま動かなくなった。
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その時、どこからともなく雄叫びが沸きあがった。
「うわぁぁぁっ―――!!」
ベレルガ達もエイリアン達もぎょっとして振り返る。
壁に開いた穴から見えるのは、手に武器を携え武装した民衆の姿。
老若男女を問わずその数、何百人か。
そこには
今、この街の人々の心が一つになったのだ。争いを止めるために。最後の戦いを行うべく。
余りの事に浮き足立つエイリアン達を見て、素早い速さでベレルガは体を捻ると、腰に差してあったナイフを抜き取り手首の戒めをほどく。
そのまま手首を捻って、ナイフを宙に飛ばした。
ナイフは狙い違わずクラトゥイナンの腕を貫く。
その手から
「ま、待て、こいつがどうなっても・・・」
とジョンにナイフを付きつけていたローディアンは、全部言い終えることはできなかった。
ベレルガの鋭い回し蹴りが延髄に決まったからである。
「ベレルガ、号令を」
ロイの言葉に頷き、彼女は民衆に叫んだ。
「やっちまぇっ!!」
「おぉぉぉ――――!!」
怒涛の如く雪崩れ込んだ民衆は、飛び交うブラスターを物ともせず突き進みエイリアン達に飛びかかる。
「生け捕りにしろっ!!殺すんじゃない」
心外なという顔を見せる群集に、ベレルガは凄みのある笑みを浮かべて言った。
「こいつらには聞きたいことが山ほどある。後から、今ここで死んでおけば良かったと思うことになるだろうよ」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「終わった・・・」
ほっと吐息が漏れた。
気が緩んだ瞬間、背中やら腹やら体のあちこちが悲鳴を上げ、痛みを再発する。
緊張がほぐれると、目の前がぐるぐると回り始めた。
体がぐらりと傾き、オビ=ワンの意識はふわりと闇に吸い込まれ ――
と不意に背中を軽く押えられた感触に、慌てて意識を取り戻した。
「大丈夫か?オビ=ワン」
マスターが彼を手で支えながら心配そうに見つめている。
「だ、大丈夫です」
オビ=ワンは無理に微笑み、痛さに顔をしかめた。
「かなり酷い怪我だな」
「僕は大丈夫です。それよりマスターの方が・・・」
「かすり傷に過ぎん」
いつものような穏やかな微笑みを浮かべクワイ=ガンが言う。
「ようやく終わったな」
「はい」
「さて、皆の元へ戻ろうか・・・ん?どうした?」
言いかけて、ふと哀しげな表情で自分を見つめているパダワンに気づいた。
「・・・すみません。さっきまでマスターが僕を避けている気がしたから・・・」
「気にしていたのか?」
「はい」
仕方がないなといった風にクワイ=ガンは微笑んだ。
「別に避けてはいないぞ。ただ、
言葉を切る。
そして、優しい眼ざしをオビ=ワンに向けた。
「だが、もう争いは終わった。私は皆に胸を張って、お前が私のパダワンだと言うことができる」
途端、少年は嬉しそうに顔を輝かせた。
クウイ=ガンはフッと笑うと
「さぁ、行こう」
と促し、二人は痛む体を引きずりながら戻り始めた。
ふとクワイ=ガンは思い浮かんだ考えに心をとらわれる。
(一介の科学者にこんな立派な工場が造れるだろうか、いくら金の亡者といっても。実はこの争いの本当の黒幕はトレディスではないのかもしれない。別に裏から金を回したものがいたとしたら?ルサムといったな。一体何者だ・・・?)
だが、彼はこの考えを独り胸のうちにしまい込んだ。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「終わったな」
「何か清々しい気分だぜ」
外に出たベレルガ達は赤く染まりつつある工場を見上げた。もう夕暮れ時になろうとしている。
残ったエイリアン達はこれ以上にないほどにぐるぐる巻きにされ、周りを屈強な男達に見張られ転がっていた。
幸い民衆にもこの戦いでの死者はいない。怪我人は数十人いるものの重傷ではなかった。
「あいつら、遅いな・・・」
ポツリとベレルガが呟いた。聞き咎めてロイが訊ねる。
「ジェダイ殿達か?」
「何かあったのかな」
工場が静けさを取り戻してから、幾ばくかの時間が経っていた。ジェダイ達が向かった二階も何故か静かである。
不安に襲われ
「ちょっと見てくる」
とベレルガが歩き出したその時。
「戻ってきたっ!!」
ジョンの声に目を凝らせば、工場の方から二つの影が、お互い支えあうように歩いてくる。
「やった――――っ!!」
大歓声が二人を優しく包み込んだ。
駆け寄ったベレルガが開口一番
「こっちは無事片づいた。トレディスは?」
「彼は死んだ。もうこれで、この街が二度と争いの場になることはないだろう」
疲れを滲ませながらクワイ=ガンが言った。
現に二人のジェダイは満身創痍だった。
だが、暖かく迎えてくれた民衆の感謝の心が二人を癒してくれた。
「よくがんばったな、ちびジェダイ」
笑いながらベレルガがオビ=ワンの背中をバシバシ叩く。
「つっ・・・」
痛みを必死に堪える姿を見て、慌ててベレルガが問いかけた。
「ごめん、痛かったか?悪ぃ悪ぃ」
「・・・大丈夫・・・です。少し休めば」
「ああ。今日はゆっくり休んでくれ。それにしてもあんた達、師弟だろ?」
「ど、どうしてそれを?」
「隠していたみたいだけど、わかるんだ。お互い信頼感が溢れてるからさ。別に気にしてないよ、今はともかく平和になったんだから」
ベレルガはウィンクすると、その場を離れていった。
その姿を目で追うと、思わぬ者の存在に気づいた。
(彼だ。テレスト通りで、リアに電気棒で殴りかかろうとした・・・。彼も争いを止めるために来てくれたんだ)
視線に気づいたのか、その男はオビ=ワンに向かって歩いてきた。
「大丈夫か?」
打って変わって優しい声である。争いがああも人を変えるものなのか。
「はい」
「あの子にはすまないことをしたと思ってる。・・・君があの子だったら許してくれるかな・・・?」
「リアがその言葉を聞いたら、きっと喜んだでしょう・・・」
「そうか・・・ありがとよ」
彼はオビ=ワンの頭を撫でると静かに去って行った。
代わりにクワイ=ガンが近寄ってきた。
「大丈夫か?オビ=ワン」
「はい。マスターこそ大丈夫ですか?」
「私は大丈夫だ。少し座った方がいいのではないか?」
「そうですね・・・」
オビ=ワンはくらくらする頭を振ると草の上に腰を下ろし、フォースを集め体を癒し始めた。隣りに座ったクワイ=ガンも瞑想を始める。
そんな中、ベレルガの声が飛んだ。
「もう争いは終わったっ。これから祝いの花火を上げる。皆、盛り上がろうぜっ!!」
歓声が沸き起こる中、彼女はおもむろに
爆弾は弧を描き、工場に吸い込まれる。
と、激しい閃光と轟音を撒き散らして、大爆発が起こり工場は吹っ飛んだ。
最初は歓声を上げていた民衆だったが、次第に悲喜こもごもの表情を浮かべ、無言で紅蓮の炎を上げる工場を見つめている。
彼らの胸に去来する物は何であろう?
ややあって安堵の溜め息が漏れると、それが津波のように広がり再び歓声が巻き起こった。
それをジェダイ二人は優しい眼ざしで眺めていた。