宇宙港の荷物置き場で、他の惑星に売りに出すか処分してもらうか未だ揺れている武器類が詰まったコンテナの上に、二人は腰をかけていた。
クワイ=ガンはさりげなく視線を左に走らせた。
横に居るパダワンは、クワイ=ガンが先ほど脱いだポンチョをまだ頭から被っていたが、そこから覗く顔にはもう涙はない。
(落ちついたようだな)
その視線に気づいたのかオビ=ワンは被っていたポンチョを取ると、軽く折りたたみクワイ=ガンにおずおずと差し出した。
「ありがとう・・・ございました」
クワイ=ガンは無言のうちにも笑みを浮かべ、パダワンの頭をポンと軽く叩くとポンチョを受け取った。
しばらくしてオビ=ワンがそっと訊ねた。
「マスター、怒っていますか?」
「ん?」
「・・・僕が勝手にこの星に来たことを、です」
「もう怒ってはいない。お前の無鉄砲は今に始まったことではないからな。だが」
言葉を切り、彼は真剣な眼ざしを向けた。
「どのような理由の上での行動なのか、説明を聞かねばなるまい」
「はい・・・」
俯いてた顔を上げクワイ=ガンの方に向き直ると、オビ=ワンは話し始めた。
「5日前、キャッシークから戻ってもう1日余分にマスターから休日をもらったあの日、僕はジェダイ聖堂で、久しぶりにバント達と会って話をしていました。その後、星の勉強をしようと
一旦、言葉を切ると、少年は続けた。
「話していたのはマスター・ヨーダとマスター・ウィンドゥで、『クワイ=ガンはもう発ったかの?』『今日発つと言っていましたが』などど話していました。僕は任務だと思い、急いでマスターの部屋に行ったら・・・」
「私はもう出発した後だったと?」
「そうです。机の上に置いてあった『一標準週間ほど出かける。その間のことについてはマスター・ヨーダに指示を仰ぐように』との置き手紙を発見しました」
不意にオビ=ワンは顔を曇らせた。そして、その時のことを振り返りながら言葉を紡ぐ。
「紙を読んだ時、急に嫌な予感がしたんです。マスターの身に何か大変なことが起こりそうな・・・。マスターが危険にさらされているような・・・」
トレディスの工場で、シクル・ドロイドに対して無防備な背中をさらしていた師の姿が脳裏によみがえる。オビ=ワンは知らず知らず身震いした。
「だから、僕は慌ててマスター・ヨーダの所に行き、マスターが行った場所を聞いたんです」
「マスター・ヨーダはすぐに応えたか?」
「いえ。『評議会で話し合いの結果、クワイ=ガンだけ行くことに決まったのじゃ。クワイ=ガンも承知しておる。辛抱せよ』とのみ。だけど、気になったので食いさがったんです」
マスターは深い深い溜め息をついた。
(コルサントに戻ったら、きっとヨーダの叱責が待っているだろう。まぁ、それだけオビ=ワンも私のことを心配してくれていたということか)
悪い気はしない。
「それで?」
と促す。
パダワンは言葉を続けた。
「根負けしたのか、マスター・ヨーダはついに教えてくれました。それと、この任務の危険性も充分に」
一瞬、口をつぐみ、オビ=ワンは続けた。
「僕はマスター・ヨーダの了解をもらい、マスターの後を追ってこの星に来たんです。でも、マスターを見つけても、会った時に危険だからと帰らされるかもしれないし、僕ができる方法でこの街の争いを終わらせよう、早く終われば、マスターをあの嫌な予感から遠ざけることになるだろうと考えたんです・・・」
吐息を漏らしクワイ=ガンは聞いた。
「船はどうした?」
「船は、コルサントの宇宙港に行ったら、ちょうど着いたばかりの宇宙船がいて、無理を言って乗せてもらいました」
「お前は・・・本当に無茶をする」
苦笑いを浮かべざるを得なかった。とはいえ、少年がいたことで、どれほどこの難しい任務がやりやすいものになったかは考えるまでもない。
「だが、お前のおかげで助かった。来てくれて良かったよ」
「! ありがとうございますっ」
「しかし、命令違反は命令違反だ。私からの説教を免れるとは思うな。そのうえ、コルサントに戻ったら、マスター・ヨーダからも厳しいお叱りがあるかもしれんぞ」
「覚悟の上です」
言ってニッコリ笑う。
そんな表情を見て
(全く懲りてないというか・・・)
と苦笑するやら愛おしさが込みあげてくるやらで、クワイ=ガンは自然、頬が緩むのを感じた。