銀河彼方での物語   作:秋鹿

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エピローグ

「あ、マスター。来ました」

空を見上げると、澄み切った青い空に白い小さな点が浮かんでいる。

それは見る見るうちに、真っ白な、しかも、優雅さも兼ね備えた宇宙船となり、今や再建設に取りかかるばかりになっている宇宙港に辿り着くと、反重力装置(リパルサーリフト)を起動させゆっくりとその機体を横たえた。

<Winged House>と書かれた機体の横のハッチが開き、タラップが降りてくる。

パイロットが歩いてきて、二人の前に歩み寄り丁寧にお辞儀をした。

顔を上げるとニッコリと微笑んだ。

「ご無事で何よりです、マスター・ジン。さすがですね。あの混乱を収めてしまうとは」

それから、傍らに目を転じ

「おや、この少年は?」

と声ほどには驚いていない表情で聞いた。

 

「私のパダワン、オビ=ワン・ケノービだ」

クワイ=ガンは紹介したが、すぐに顔をしかめて

「君だなパグェス。オビ=ワンをここに運んだのは」

と気難しい顔で追求する。

パグェスと呼ばれた青年はオビ=ワンとちらっと目を合わせ、クワイ=ガンに視線を戻すと悪戯っ子のように微笑んだ。

「やはりバレましたか。さすがマスター・ジェダイですね」

クワイ=ガンは苦笑し溜め息をついた。

「全く仕方がないな」

「でも、マスター・ジン?彼は役に立ったのでしょう?」

「ああ」

「なら、いいではありませんか。終わり良ければ全て良し、ですよ」

「本当に君は・・・」

と一旦止め、適切な言葉を模索したが思いつかなかったらしく、溜め息とともに口を開いた。

「おかしな男だな」

しかし、顔は笑っている。

「光栄です」

パグェスは敬礼をし、微笑んで言った。

それから、青年はオビ=ワンに緑色の瞳を向ける。

涙の跡を見とめたはずだったが、彼は一言もそれについて言及せず、一人前の男に相対する姿勢を見せた。

「ちゃんとした自己紹介がまだだったね。私はパグェス。パグェス・ハルシヨンだ。君の噂はいろいろと聞いているよ」

「いろいろと?」

「そう、いろいろと。訳があってジェダイ達に関心を持っているからね」

不思議そうに見つめるオビ=ワンに笑みを返すと、パグェスはクワイ=ガンの方を向いて切り出した。

「さぁ、名残惜しいかもしれませんが、そろそろ出発しましょうか。先に船でお待ちしています」

またもや丁寧にお辞儀をし、彼は颯爽と船に戻っていった。

 

パグェスが去った後、二人は静かに街並みを見つめていた。いろいろな事があった、この忘れ難いクテーラを。

ややあってオビ=ワンが口を開いた。

「マスター、さっきから気になっていたんですが」

「何だ?」

「その・・・大事そうに肩からさげているその袋って、何が入っているんですか?」

途端、何故かクワイ=ガンは慌てた様子を見せる。

「あ、いや、何でもない」

その行動に不審なものを抱いたオビ=ワンは余計に気になった。

「見せて下さい、よっ」

袋を半ば強引に奪い取る。

「これは・・・」

中を目にしたオビ=ワンは驚いた。

しかし、一転して嬉しそうに弾んだ声をあげる。

「ジェネヴァーが買った薬の瓶ですね。マスター、持っていてくれたんだ」

「ああ。まぁな。折角だから使おうかと・・・」

照れたようにポツリと言い訳するクワイ=ガンに、心底から嬉しくなったオビ=ワンは明るく感謝の言葉を述べた。

「ありがとうございますっ!!」

そして、心の中で付け加えた。

(ジェネヴァーの気持ちを大切にしてくれて)

オビ=ワンは久しぶりに気持ちが晴れるのを感じた。

 

ふぅと溜め息を漏らし苦笑すると、ジェダイ・マスターは踵を返し船に向かった。

「コルサントに戻るぞ、オビ=ワン」

「はいっ、マスター」

返事を聞きながらクワイ=ガンは人知れず微笑んだ。

(ようやく元気になったな。こうして人は、様々な想いを糧に成長していくのかもしれん)

 

マスターの後ろを追いかけていきながら、オビ=ワンはふと立ち止まる。

街を振り向き、寂しそうな表情を浮かべ、本当に本当に小さい声で呟いた。

「願わくば、この街に・・・常に平和が訪れますように。リアのためにも」

そして、走り去っていった。

 

風も無いのに、空気がそこだけ微かに青い光をともなって揺れたような気がした ――

 

 

 

 

 

End

(2000年頃執筆)




*タイトルの『常和』という言葉は実際にはありません。当てはまる言葉がなかったので、創ってしまいました(笑)
*エルフィダイスは架空の惑星です。
*リアウィステ<Riawiste>、リシータ<Lyceatta>、ベレルガ<Bererga>、セニス四兄弟(ナプロイサス<Naploythus>、ディルフォダ<Dilffoda>、サシクーン<Sassicuun>、クイルジョン<Quiljon>)、トレディス<Tlethis>、その他諸々の人々はオリジナルキャラです。
今回は花でまとめてみました。いえ、基本、私のオリキャラの名前は、英語のスペルをアナグラムしたものからつけているのです。
今回の場合、Wisteria(ウィステリア)→Riawiste(リアウィステ/これは捻りもないな/汗)、Gerbera(ガーベラ)→Bererga(ベレルガ)といった風に。
リアの薄紫色の髪もウィステリア、つまり藤をイメージしました。書いた時期がわかりますね(笑)
ちなみに、他の名前も気が向いたら、元の単語を調べてみるのも面白いかも。・・・元の単語、私は忘れましたが(爆)
*パグェス・ハルシヨン<Paguess Halcyon>もオリジナルキャラですが、今後度々登場する予定です。
*その代わり、リアのパパは出てくる予定はありませぬ。ごめん、リア(汗) ちなみにジェダイは恋愛禁止みたいな規則は、これを書いた時点では知りませんでした。だから大目に見てください。
*シクル・ドロイドはぶっちゃけカマキリです。カマキリを大きくし、ドロイド化したものとご想像ください。
*オビ=ワンが『フォースが弱くてジェダイになれなかった』云々をリアに語る場面がありますが、実際、JAでは、13歳になるまでにパダワンに選ばれなかったら農夫になるしかないといった説明があります。オビ=ワンはクワイ=ガンのパダワンになりたかったのですが、彼は選んでくれない。13歳の誕生日が近かったオビ=ワンは半ば自暴自棄になりつつ農夫になる道を選び、惑星バンドミーアに向かいます。しかし、別の任務で同惑星に向かう同じ船にクワイ=ガンも乗っていて ―― で、すったもんだで師弟関係になるんです(笑) ちなみに、その船の名前が<モニュメント号>です。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

気に入っている作品の一つです。
今、読み直すと、あちこちツッコミどころがありますが、それはそれ、これはこれ(笑)
ちなみに最後のクライマックス、三か所で同時進行的に戦いが起こるのは、「エピソード1」のクライマックスを意識したものです。規模は小さいですが(笑)
基本、闘う様子を描くのは好きです。好きですが、難しい・・・(汗)
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