銀河彼方での物語   作:秋鹿

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第4話 宇宙戦の果て

シールドがレーザーを辛うじて撥ね返す。

今は持ちこたえているが、いかにシールドとはいえ相当のダメージを受ければ消滅を免れない。

そしてシールドのない船など裸同然、これほど料理しやすいものもないのだ。

オビ=ワンの心臓は今にも飛び出るかと思った。二、三回深呼吸を行い、気持ちを落ちつかせる。

(これは僕だけの問題じゃない。僕が失敗することによって皆が死ぬかもしれない。それだけは避けなければ)

彼は静かに目を閉じた。フォースを集め身に纏う。

暖かい力が、流れが体の底から湧きあがりオビ=ワンを動かす。

操縦桿を動かし敵機をロックすると、レーザー砲のボタンを押した。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「ガレン、そっちはどうだ?」

『敵機は全く来ません。多分・・・』

通信機から左の砲塔にいるガレンの声が聞こえる。

そのやり取りを聞きながらクワイ=ガンの心臓は高鳴っていた。

(パダワンなら大丈夫だ)

しかし、彼はそう信じた。

「大丈夫ですよ、マスター・ジェダイ。こちらも負けてはいられません。加速します」

パグェスは言葉とともに加速装置のバーを上げた。<Winged House>はエンジンを噴射させると加速し、一転、船を傾けた。

その時、レーザーが闇を貫き走ると前方にいた改造機(アグリー)に吸い込まれた。一瞬遅れて機は爆発する。

「右の砲塔からですよ、マスター・ジェダイ」

嬉しそうなパグェスの声に、クワイ=ガンも微笑を湛えホッとした表情を見せる。

船長の隣りではフレールが喜びの声を上げた。

 

その気持ちが緩んだ一瞬。

激しい衝撃に船が揺れた。

コントロール・パネルを覗き込んでいたフレールが吼えた。

「後ろから攻撃を受けた?後部シールドが消滅しかかっているって?」

「フルル」

コクピットに赤いランプが点灯し警報が鳴り響く。

「よし、フレール。エネルギーを後部シールドに振り分けるんだ」

ウーキーは唸り、逞しい腕にも関わらず器用な手先を動かしながらスイッチやボタンを触った。ようやく警報が止まる。だが。

再びフレールは唸るとパグェスの方を向いた。

「もう一回でも後ろに着弾したらシールドが消滅するんだね?わかった、気をつけよう」

言い終わりざま、船長は操縦桿を右に切った。

船は右は急展開しそのまま上昇する。そして、急激に船体を180度転じると、左に向きを変え下降した。

後ろからレーザーを撃っていた改造機(アグリー)の真正面に飛び出る。

右と左の砲塔から同時にレーザーが飛び、敵機を粉々に吹き飛ばした。

<Winged House>が再び左舷に舵を切ると、次々とレーザーが船を掠めていく。それを振りきると船は上昇を続けた。

と突如、船のエンジンが止まった。ピタリと空間に停止する船に驚きながらも、加速していた二機の敵機は船の横を通り過ぎていく。

追われていた船が今度は追う側に回ったのだ。

クルーザーからレーザーが飛び交うと改造機(アグリー)の後部に命中。火花を散らして爆発を繰り返した。

ホッとする間もなく船が大きく揺れ衝撃が走った。

警報とともにコクピット内が赤いランプに照らされる。

フレールの吼え声を聞かずともわかった。

パグェスが静かに言った。

「シールドが消滅した」

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

その声は通信機をオンにしていたガレンとオビ=ワンの耳にも飛び込んだ。

 

(シールドは修理すれば戻る。しかし、今は修理する者がいない。となれば攻撃あるのみだな。間もなく共和国艦隊が到着するだろう。それまでの辛抱だ)

ガレンは落ちついて状況判断すると操縦桿を握り直した。

船は相変わらず回避行動を続けている。

そんな中で敵機に照準を合わせるのは難しかったが、パイロット訓練を受けているガレンにとって、飛行機を操縦してみたかった彼にとってみれば、全く苦にならなかった。どちらかと言えば、こんな困難な状況に陥るほど高揚感が溢れわくわくする。

少年は微笑みすら浮かべて操縦桿を操った。ロックしレーザー砲を放つ。

レーザーは線を描いて闇に美しき光を引き、二機の敵機に命中、破片を宙にばらまけた。

ふと彼は思った。

(オビ=ワンは大丈夫だろうか)

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

ようやく慣れたとは言え、オビ=ワンは歯を食いしばって操縦桿を握っていた。

握力がだんだんなくなってきてはいるが、それでも必死に操縦桿を動かし敵機に照準を合わせる。

フォースに導かれるまま親指のボタンを押すと、敵機の翼を吹き飛ばした。

安定を無くした機は急激に進路を変え、付近を飛んでいた別の機に当たり、二機とも爆発した。

オビ=ワンは溜め息を漏らし額から落ちる汗を拭うと、前方に視線を向けた。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

フレールが突如立ちあがり唸った。

「シールドを復活させてくれるのか?わかった、頼むよ。配電盤はコクピットから真っ直ぐ行って左奥にある」

ニヤッと笑ってウーキーは通路の奥に消えた。

「共和国艦隊は遅いな」

ポツリと呟いたクワイ=ガンにパグェスは応える。

「この船を出す際、救助信号(ビーコン)は発信しました。それにコルサントから遠い距離にいる訳ではありません。間もなく到着するはずなのですが」

「とりあえず、シールドが復活するまで待つしかないということだな」

パグェスはセンサーに視線を走らせながら言った。

「マスター・ジェダイ、貴方は慌てるということがないのですね」

「そう思うか?」

クワイ=ガンは苦笑して聞いた。

「ええ。見てみたい気もしますが、やめておきましょう。そんなことになるのは、この世の終わりに立ち会った時だけかもしれませんからね」

いや、オビ=ワンに関しては慌てることが多いかもしれんとふと思い、ジェダイ・マスターは苦笑するのであった。

 

そんな穏やかな会話と裏腹に、船は右へ左へと回避を続けていく。

敵機から発せられたレーザーが船を掠め、機体を大きく揺らした。

食い入るようにセンサーを見つめて操縦桿を握るパグェスもさすがに疲労の色が濃いらしく、額に汗が滲み出ている。

と敵機から浴びせられた一筋のレーザー光線が正面に迫ってきた。

この距離では回避はできない。

パグェスの顔は青ざめ、心臓が飛び出そうになる。

彼は覚悟して目を瞑った。

 

が、いくら待っても衝撃は来ない。

恐る恐る目を開くと、パグェスの視界に鈍く輝くシールドが飛び込んできた。

「やった・・・」

吐息とともに言葉を漏らすと同時に目を見はった。

「艦隊だ。共和国艦隊が来たっ!!」

コクピットの強化ガラス越しに、4隻の艦が悠然たる姿を見せてこちらに向かってくるのが確認できた。

逃げ惑う改造機(アグリー)

<Winged House>内に一際大きい歓声がこだました。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

共和国艦隊の1隻<Dignity>に牽引ビームで曳航されながら、旅客船<Elegant Castle>はコルサントへと戻る手はずとなった。次の寄港地とコルサント、どちらがより近いかと言えばコルサントの方だったからである。

そして、海賊船に閉じ込められていた子供達も無事艦隊に収容され、共和国の名の元にそれぞれ責任を持って親元に返されることになった。

それを聞き、オビ=ワンは心から安堵したのだった。

 

<Elegant Castle>が出発するまでまだ間があるため、<Winged House>は再び客船の格納庫に収納され修理を受けていた。

その様子を眺めているオビ=ワンの元にフレールが近寄ってきた。

「また、君に助けられたね」

「フルル・・・」

ウーキーは牙を剥き出して笑う。

そこへ、ゆっくりと歩いてきたジェダイ・マスターが彼の言葉を通訳した。

「大したことはないそうだ。それより、また会えて嬉しかったと言っているが」

「僕も会えて嬉しかったよ。でも、どうしてこの船に?」

代わりにクワイ=ガンが応えた。

「実は、ショーランとチューバッカというウーキー達と一緒に、この客船の機関室で働いていたそうだ。手先が器用で宇宙船に詳しい。しかも、いざという時には用心棒にもなるということで、彼らはかなり重宝していたらしい」

「何故、働いているんですか?」

「お金のためだ」

「お金のため?」

怪訝そうな顔をするオビ=ワンに、クワイ=ガンは目を細めて言った。

「彼らは交通費を稼いでいたのだ。コルサントまでの往復の旅費をな」

「?」

相変わらず不思議そうにフレールを見つめるパダワンに、クワイ=ガンは苦笑する。

「まだわからんのか。お前に会うためだ」

「えっ!?本当に?」

フレールは唸り笑顔を見せた。

オビ=ワンは思わず彼に抱きついた。柔らかい毛が頬をくすぐる。感極まって何も言葉にできなかったが、ぎゅっと彼を抱き締めることによって嬉しさを表現しようとした。

わかってるという風にフレールは声を出すと、少年の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。

オビ=ワンはややあって見あげると口を開いた。

「待ってるよ、遊びに来てくれるのを。僕も飛びまわっているから会える時は限られてるけど・・・でも、来るときは連絡してね。絶対だよ」

「フルル」

楽しそうにフレールも言葉を返した。

そして、少年からそっと体から放すと肩をポンポンと叩き、名残惜しそうに見つめた後、その場を離れていった。まだ、船での仕事が残っている。それにショーランとチューバッカが修理を行うために<Elegant Castle>のコクピットにいるはずだ。

ここで別れるのは寂しかったが、きっとまた会える。

オビ=ワンは彼の背に向かって声をかけた。

「今度会う時まで、君の言葉を勉強しておくからっ。また、会おうねっ!!」

振り向かずフレールは片手を振ると、通路へと消えていった。

 

「いい友達がいるんだね、オビ=ワン」

<Winged House>のタラップから飛び降りた少年が、亜麻色の髪を靡かせ近寄ってきた。

二人の少年は微笑むと抱擁を交わした。

「ガレン。うん、すごく頼りになる友達だよ。君もだけどね」

「ははは」

「しかし、どうしてここにいるの?」

「前にも言ったけど、僕はジェダイになるための修行以外に、パイロットの訓練も受けているんだ。で、いつもは戦闘機模擬飛行(ファイター・シミュレーション)で腕を磨いているんだけど、たまには本当に宇宙船を飛ばしてみなさいという話になって、キャプテン・・・いや、パグェスさんの船で指導を受けることになったんだ」

「パグェスさんの船で?どうして?」

「パグェス、でいいよ」

後からタラップを降りてきた長身の青年が言葉を挟んだ。

「私はジェダイ評議会のお抱え ―― つまり、元老院の正式な使者として赴く時以外は共和国クルーザーは使えないし、隠密裏で動く際は目立つ船は使えないということから ―― お抱えに近い形で動いているんだ。だから、結構ジェダイを運ぶことは多いんだよ。君も知っていて、この前、乗せてくれって言ったと思ったんだが?」

「・・・知りませんでした」

焦って俯くオビ=ワンの姿にガレンは笑いを誘われた。

「あはは、オビ=ワンらしいや」

「そんなに笑わなくても・・・」

「ごめん、ごめん」

微笑みつつパグェスは言葉を継いだ。

「ジェダイ評議会からガレンをしばらく預かってくれとの要請を受けた私は、ちょうど船で使っていたドロイドが壊れてしまったこともあって、次の寄港地までこの<Elegant Castle>で行き、ドロイドを仕入れて飛行しやすくなってから、コルサントまでの帰り道、ガレンに<Winged House>を任せようと思っていたんだ。で、たまたまこの客船に乗り合わせていたって訳さ」

「でも、カッコ良かったよ、オビ=ワン。君が人質に名乗り出た時」

「あ、あの場にいたの?」

「まぁね。隙あらば何とかしようとキャプテンと身構えていたんだけど、全く海賊に隙がなくって。君が連れ去られた時どうしようかと思ったよ」

「君がいるならマスター・ジンも多分一緒だろうと思ってね。コクピットでマスター・ジンを見つけて、急いで格納庫にあった<Winged House>を発進させたんだ」

とパグェス。

ようやく話が見えてきた。

ほぅとオビ=ワンは溜め息をつく。そんな少年の様子を少し離れた所から見守っているクワイ=ガンにパグェスが話しかけた。

「では、マスター・ジェダイ。貴方がたには任務があるのでしょう?私達がお送りしますよ。この<Elegant Castle>はコルサントへ逆戻りですからね。きっとガレンもオビ=ワンと積もる話があるでしょうし」

「そうだな。そうしてもらおうか」

「了解しました、マスター・ジェダイ」

ニッコリ敬礼を返すとパグェスは船に戻っていった。

「よし、僕らも行こう、オビ=ワン」

「うん」

明るく顔を輝かせながら船に向かう少年二人を見つめるクワイ=ガンの瞳は、限りなく優しかった。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「オビ=ワン、入るぞ」

声をかけて部屋のドアを開けた。

ベットの上で横たわっていたのだろう。慌てて起きあがる気配がする。

「マスター」

驚いて立ちあがる所を制し、ベットに座らせるとクワイ=ガンは自分も向き合う形でもう一方のベットに腰を下ろした。

こじんまりとしたこの部屋には二つのベットとテーブルがあり、長距離の旅にも快適に過ごせるような造りになっている。はなはだシンプルではあったが。

「しばらく休んでいるがいい。ただし、そう長くはかからんが」

「大丈夫です。ちょっと疲れただけですから」

船に乗り込んでからしばらくはオビ=ワンとガレンは話に花を咲かせていたが、オビ=ワンに疲れが見えたため、唯一ある部屋で休ませていたのだった。

「お前は全く・・・」

「無茶をする、でしょ?」

ニッコリと笑う。そんなパダワンに苦笑しつつクワイ=ガンは口を開く。

「その通りだ。しかし、またお前と会えて良かった。もう二度と会えないかと思ったぞ」

「僕もそうです。海賊船に連れて行かれた後、マスターの声がどうしても聞きたくなりました。コムリンクを鳴らしたけど繋がらなくて」

「距離があったからな。ま、とにかくお前が無事でホッとした」

オビ=ワンは懐からあの黒い輝きを放つ石を大事そうに取り出した。それは澄んだ光を帯びている。

「この石を見て、例えマスターが傍にいなくても、僕を守ってくれていると感じました」

ジェダイ・マスターは目を細め、優しげな眼ざしを若きパダワンに向けた。

「子供達も無事で良かった・・・」

ポツリとオビ=ワンが呟く。

「マスターはわかってたんですね?イオン砲で撃たれた海賊船は動くこともできないし、そんな状態になったら海賊は船を捨てるはずだから、後から海賊船を回収すればいいと」

「そうだ。あの時点ではお前には悪かったが、私達が海賊船から離れて囮にならないと、海賊船を回収しにくいのは確かだからな」

「フレールもそう判断したんでしょうね」

「そうだな」

クワイ=ガンは少年に近づくと優しく頭を撫でた。

「さぁ、寝ていなさい。着いたら起こしてあげよう」

「はい、マスター」

オビ=ワンは安心したように静かにベットに横たわると目を閉じた。

彼の師は寝息が聞こえるまで傍で穏やかに見守り、そして、そっと部屋を立ち去った。

 

それから約1標準時間後、<Winged House>は眼下に目的地を見下ろしていた。

漆黒の闇に美しく輝く、光のような惑星オルデランを ――

 

 

 

 

 

End

(2000年頃執筆)




*フレール、ショーランはスピンオフのキャラクターです。チューバッカは言わずもがな、ですね。
*パグェスはオリジナルキャラです。
*ガレンはJAに登場するキャラクターです。ジェダイ聖堂には、バント、ガレン、リーフトというオビ=ワンの友達がいます。この中では、オビ=ワンが一番年上と思われます。バントはカラマリアンという記述がありますが、ガレンはどんな種族とか容姿とかの記述が全くありません。ガレンがお気に入りだった、SWサイトの共同管理者の影響でヒューマノイドにしてしまいました(笑) どことなく格好が黒ルークに似てますね。ちなみに、FanFicで書いたように、JAの中でもパイロットの訓練をしています。
*ちなみに、操縦棹の操作方法は、<ミレニアム・ファルコン>をイメージしながら勝手に考えました。信用しないでください(笑)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

たまには宇宙戦もいいなと思って書いた、話だったような気がします。
あとは、ちょっと覚えていません(汗)
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