銀河彼方での物語   作:秋鹿

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第7話 増えた同行者

一行が<Winged House>に近づくと、船の最終チェックを行っていたパグェスが皆を出迎えた。

「ガレン、オビ=ワン、お帰り。マスター・ジェダイ、お帰りなさい」

そこへ

「皆様お帰りなさい」

突然、別の声が響いた。

ガレンとオビ=ワンは顔を見合わせ、それから揃ってパグェスの後ろを覗き込む。

「あ、ドロイド、買ったんですね」

ガレンの嬉しそうな声に呼応するようにドロイドがその滑車を使って前に進み出た。

高さは1m程。一見、形は宇宙船乗組用(アストロメク)ドロイドに思える。

丸い胴体に滑車を使って移動するなんてそのものだ。

しかし、両脇には小さめの腕が伸び、胴体の上、細い首の先にお椀を伏せたような形をした頭が乗っている。頭の真中、ちょうど顔と思しき場所には、横に細長い四角をした黒いへこみがあり、その中を光学センサーが赤い光を放ちながら右へ左へ絶えず動いていた。

全体的にはメタリック・シルバーを基調とし、所々モス・グリーンで彩られている。

今までに見たこともないようなドロイドだった。

 

「これは何のドロイドなんですか?」

というオビ=ワンの問いに

「店の主人は多目的ドロイドと言っていたが・・・」

「初めまして。私はJ-8RE。使える言葉は300万語に及び、宇宙船操縦の補助・修理もお手の物です。あと皆様のお世話もさせていただきます」

まじまじとドロイドの姿を見ながらガレンが口を挟んだ。

「別に世話はいいけど、初めてこんなドロイドを見たよ」

「このドロイドを製造していた会社は、今は無くなってしまったからね。今では探しても見つかりにくいドロイドらしい。ただ、店の主人が癖があると言っていたが」

「癖?」

「人に近い行動を取るそうだ。だから、時々ドロイドに思えないことがあると。それから何でもそつなくこなすが、中途半端なこともあるらしい。それで型番のJから『Juvenile~若い・未熟な~』ドロイドとも呼ばれるそうだ。他にも何かいろいろと店主から聞いたが・・・忘れてしまったよ」

パグェスははにかんだ。

ガレンがふと感想を漏らす。

「ふぅん。なんか変なドロイドだね」

「ひどいです・・・」

J-8REは傷ついたように言葉を発した。

「でも、結構かわいいと思うけど」

オビ=ワンの慰めの言葉に、J-8REは瞬時に反応して彼の元へ向かった。

「恐れ入りますが、貴方様のお名前は?」

「え?僕?オビ=ワン・ケノービだけど・・・」

ドロイドはセンサーで彼の姿形、声紋を全てメモリーにインプットした。

「オビ=ワン様ですね。今後ともよろしくお願いします♪」

嬉しそうに話すドロイドに、オビ=ワンは困惑の表情を隠しきれない。

「僕の名前を覚えても・・・。そうだ、ガレン、君こそ名前を覚えてもらわないと。これからしばらくは一緒に飛ぶんだし」

「そうだね」

ガレンが近寄るとドロイドは急いでオビ=ワンの背後に隠れた。

「ちょ、ちょっと?」

慌てるオビ=ワンにJ-8REはきっぱりと応える。

「この方は先ほど私をいじめました」

「ガレン、謝った方がいいと思うよ。このドロイドがへそを曲げたら、君が帰り、あの船を操縦できなくなるかもしれないからね」

悪戯っ子のように目を輝かせているオビ=ワンを見てガレンは苦笑すると、ドロイドに謝った。

「ごめんごめん。さっきは言い過ぎた。僕の名前はガレン・マルン。OK?」

ドロイドは機嫌を直したらしく前に出てきて、ガレンのデータをインプットした。

「オビ=ワン様の次にインプットしました」

「え~っ?どうしてオビ=ワンの次?オビ=ワンは船のお客に過ぎないのに」

「それは僕の方が ―― 性格がいいからだよ」

ニッコリ笑うオビ=ワン。

「言ったな?」

笑いながらガレンはオビ=ワンの頭を小突こうとする。

それをオビ=ワンはドロイドを盾にしながら避けていく。

戯れる二人の間でドロイドが慌ててぐるぐると頭を回していた。

 

「帰りも賑やかになりそうだな」

両腕を組み苦笑いを浮かべつつクワイ=ガンは言葉を漏らした。

近寄ってきたパグェスが同じく微笑み応える。

「おかげさまで。賑やかなのは苦手ですか?」

「たまには良かろう」

「そうですね」

二人は少年達を見つめた。慈愛の眼ざしで。

クワイ=ガンは弟子の活き活きとした表情を久しぶりに見たような気がした。オビ=ワンもまだ子供なのだと改めて思い起こされる。ガレンと出会ったことは、彼にとって良い気分転換になったことだろう。

クワイ=ガンは、今この瞬間だけは、オビ=ワンをジェダイではなく、ただ一人の少年 ―― 其処彼処にいるごく普通の13標準歳の少年として解き放つことを、自分に許した。

 

「マスター、そろそろ出発しませんか?」

走ってくるなりオビ=ワンがそう言った。

クワイ=ガンはその頭を軽く叩く。

「そうだな。そろそろ行くとしようか」

「捕まえたっ!!」

ガレンがオビ=ワンに飛びつく。

「わっ」

「こらこら、お前達。オビ=ワンはまだ本調子ではないんだぞ」

たしなめるように声を出すパグェス。しかし、その目は笑っている。

忍び笑いを漏らすとクワイ=ガンはオビ=ワン、ガレンの頭に手を乗せて

「気は済んだか?まだやるようなら置いていくぞ」

二人は口を揃えた。

「もう気は済みましたっ」

クワイ=ガンは目を細めると<Winged House>に向かって歩いていった。その後をオビ=ワン、ガレン、J-8REが慌てて続く。

「ね、オビ=ワン。J-8REって言いにくくない?愛称を考えようか」

「そうだね・・・J Eight R Eだから・・・ジェリーってどう?」

「いいねっ、それ」

その時、無言で二人の会話に耳を傾けていたJ-8REがそっと声を出した。

「ジェリーですか?」

「気に入らない?」

「いえ、素敵な名前ですね♪気に入りました♪」

うっとりと応える。

ドロイドらしからぬその反応に二人は一瞬お互いの顔を見つめた後、腹を抱えて笑い出した。

二人の笑い声が、花火の彩る澄み切った夜空にいつまでも響いていた ――

 

 

 

 

 

End

(2000年頃執筆)




*タイトルの『流過』は造語です。
*ガレン・マルンはJAのキャラクターです。
*パグェス、それからノマディ<Nomaddi>総督、サレフィ<Sarepphi>夫人、諸々の敵さんはオリジナルキャラクターです。今回の名前は宝石シリーズです。ノマディはダイアモンド、サレフィはサファイアからきています。
*J-8RE(ジェリー)もオリキャラです。ちなみにこんな姿(昔、描いたイラストより)。
【挿絵表示】

*それから、ベイル・アンティルス。この少年が今後どのような人物になるかは、想像にお任せします。しかし、子供の頃、こんな傲慢な性格だったかは定かではありません。というか、多分違うでしょう(汗)
*前書きにも書きましたが、惑星オルデランの描写はスピンオフを参考にしています。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

オビ=ワンとガレンのコンビって書きやすくて好きですね。クワイ=ガンと一緒にいる時には出ない、オビ=ワンの素の部分が出るというか。とはいえ実際、JAでは、ほとんど絡まなかった二人ではありますが・・・。
シャトルとスピーダーのチェイスシーン、前回の宇宙戦に引き続き、今回はスピーダーのチェイスシーンを書きたいと思い、入れました。
それにしてもオルデラン。綺麗な惑星だったでしょうね。破壊されてしまったのが、何とも悲しいです。
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