銀河彼方での物語   作:秋鹿

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第2話 謎の手がかり

「壊れたシーカーなんて見あたらないわね・・・」

「片づけられちゃったかな」

バントとガレンは訓練室を見渡した。修理ドロイドにより直された灯りの下に照らされるは、広い茶色の床。そこにシーカーの欠片さえもない。

「ほら、何もないよ。授業に行こうよ。あ、食堂でもいいけど」

そんなリーフトの言葉も聞こえないが如く、バントとガレンは目を皿のようにして、くまなく訓練室を調査していた。

「シーカーって1個しかないの?」

しばらくしてバントが訊ねる。

「いや、他にもあったと思うけど」

ガレンが応えた。

「ねぇ? もしシーカーに何らかの仕掛けがしてあって、爆発したのだとすれば・・・」

「オビ=ワンが仕掛けをしてあるシーカーを選ぶとは限らないし、他のシーカーにも手が加えられているかもしれないってこと?」

二人は素早く道具置き場に向かった。その後をリーフトがあたふたとついていく。

 

道具置き場にはシーカーが3個置いてあった。

それに手を伸ばそうとしたバントに

「ちょっと待って。何があるかわからないから、すぐに触らない方がいいよ」

ガレンがすかさず止める。

「でも、どうやって調べるの?」

疑問を投げかけられ、思わず少年は考え込んでしまった。

「大丈夫、外には仕掛けはないよ」

突然リーフトが言った。

「どうしてわかるんだ?」

不思議そうにガレンが訊ねる。

「フォースで見たんだ。外側にはフォースの乱れがないからね。でも内側には・・・何かあるかも」

唾を飲み込み意を決するとガレンが言った。

「解体してみよう」

「大丈夫?」

「任せておいて、こういうのは得意なんだ」

ガレンは丁寧にシーカーを棚から下ろすと二人から離れてしゃがみ込み、ドライバーを使ってゆっくりと中央にある結合部分をこじ開けた。

そして、開いたと思った途端、すかさずシーカーから飛びずさる。30標準秒ほど待ってみて異変が起こらないことを確認すると、ホッと安堵の溜め息を漏らしてから恐々と中を覗き込んだ。

その視線が一点で止まる。

「あっ、見て、これ」

「何?」

「こんな所に爆弾が組み込まれている」

「ば、爆弾っ!!??」

バントとリーフトは恐怖で固まった。

「・・・うん、でも、大丈夫そうだな。この中にあるスイッチを押さない限り、爆発しない仕掛けになっているみたいだ」

その一言で肩の力を抜いたバントは、逆にそれによって生じた疑問を述べた。

「けど、どうやってシーカーの内部にあるスイッチを押すの?」

「それをやる方法は一つしかないね」

そう言ってガレンは溜め息を漏らす。

「フォース?」

「・・・そう」

しぶしぶといった感じでガレンは認めた。ジェダイがこんなことするなんて考えたくはないけど・・・。

「まさかオビ=ワンが押すとは考えられないし、・・・ということは、これを仕掛けた人はフォースが使えるってことなのっ!?」

「うん、そうなるね・・・。きっと爆発させたのは証拠を隠滅させるためだろう・・・」

三人は無言になった。ことの重大さをひしひしと感じる。

そんな沈黙を破るようにリーフトがポツリと漏らした。

「でも、こうやって、僕たちみたいに調べたらわかるよ」

「バレても気にしないってことなんだろうね、その人は」

「何か怖いわ・・・」

持っていたシーカーから顔を上げ、ガレンは言い放った。

「よし、このことをマスター・ジンに報告しよう」

バントとリーフトは真剣な顔で頷いた。

「ええ、早く伝えた方が良さそうね」

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

タールは視線を戻した。そして、真剣な眼ざしを向ける。

その緑の光が縦に走り黄金に輝く美しき瞳には、感情の動きなど全く見えない。しかし、その両目は活き活きとしているように思われた。

彼女の様子にクワイ=ガンは問いかけた。

「何かわかったのか?」

「この文章って良く考えると、クワイ=ガン、貴方のことを指しているんじゃない? "硬き基盤"がジェダイ評議会を意味しているのなら」

「私か?しかし、私を指して何の意味がある?」

「貴方に対する復讐とか」

「それは私も考えた。だが、もし単純な復讐を望むのであれば、私の部屋で待ち伏せしていた方が得策だろう?部屋には入っているのだからな」

「逆にオビ=ワンをさらって彼を・・・いえ、彼に危害を加えることで、貴方に対する復讐をするということもあるんじゃない?」

最悪な状況を口にしかけて慌ててタールは言い直す。

目の前にいるこのジェダイ・マスターが、メリダ/ダーンの一件で壊れた師弟の関係が修復して以来、どんなに弟子を大切にしてきたか熟知しているからだ。

(それが一番恐れていることだ・・・)

「しかし、それならば、この紙を残す意味があるまい?」

クワイ=ガンは苦々しい思いを唾とともに呑み込み、強い口調で応えた。知らず知らず否定したい心情が出たのかもしれない。

タールは彼の気持ちを慮った。だが、ここで判断を誤る訳にはいかない。緊急の時こそ冷静に落ち着いて決断を下さねば。故にタールはわざと否定的な言葉を投げつけた。一つの意見より多くの意見を聞くことによって、真実が見えるはずだ。

「これは単なる犯行声明で、手がかりとは違うんじゃないの?」

「いや、これは手がかりだ」

「根拠は?」

深い溜め息をつくとクワイ=ガンは視線を落し静かに応えた。

「こればかりは、フォースが告げているとしか言いようもない。私に対する悪意を感じるのだ。私をも巻き込もうとする深き暗い心を。この紙によって私をおびき出そうとしているのだろう」

「無論オビ=ワンをさらうことによってもね」

タールは一旦言葉を切り溜め息を漏らし、凍りついた空気を和めようとするかの如く、わざと悪戯っぽい笑みを浮かべた。

「・・・貴方って結構好かれているわね、誰彼問わず」

「光栄だと思うことにしよう」

口の端を上げニヤリと笑うとクワイ=ガンも応えた。

だが、その笑みは一瞬のうちに消え去り、二人のジェダイは眉をひそめて再び物思いに耽り始めた。

 

突然、部屋のインターフォンが鳴り響いた。

「2J?・・・あ、いないんだったわ。ドアを開けるリモコンはどこかしら?」

タールは琥珀色の腕を伸ばし、手探りで身の回りを調べ始めた。

(もうっ。こんな肝心な時に2Jはいないんだから。全く役にたちやしないっ)

彼女は自分が追い出したことは棚に上げ、プロトコルドロイドへの文句を内心呟いた。

「私が代わりに出よう」

クワイ=ガンは立ち上がると、部屋のドアを開けた。

目の前には三つの人影。

「やはり、ここにいたんですねっ」

バントの声が飛び込んでくる。

「僕たち、気になることを見つけたので、マスター・ジンに、伝えようと思って」

「ここに来ました」

走ってきたことにより息が上がって言葉が切れたガレンの後を継いで、リーフトが締めくくった。

「まぁ、中に入りなさい。しかし、どうしてここに私がいるとわかったのだ?」

三人は室内に足を踏み入れ呼吸を落ち着かせながらしばらく喘いでいたが、ようやく息が整い始めたガレンが口を開いた。

「マスター・ジンを探している途中で2Jに会ったんです。その2Jが、マスター・ジンはナイト・タールの部屋にいらっしゃると教えてくれたものですから」

「そうか」

クワイ=ガンは腕を組んで頷くと、タールのいる部屋に少年達を案内した。

「こんにちは、ナイト・タール」

口々に声を揃えて言う彼らにタールは微笑むと

「賑やかね。賑やかなのは好きだわ。おしゃべりは嫌いだけど」

と2Jが聞いたら卒倒しそうな言葉を口にした。

「それで、見つけたものとは何かな?」

クワイ=ガンは元いた位置に腰を下ろすと、少年達を促した。3人は顔を見合わせ、思い切ったようにバントが口を開いた。

「私たち、訓練室に行ってみたんです」

との言葉から始まりガレンやリーフトの話も交え、これらのことから導き出される推測を彼らは述べた。

その間、クワイ=ガンは合いの手や同意の言葉を挟んだだけだった。

「それで君達は、フォースを使う者がこれを引き起こしたと言うのだな」

「認めたくはありませんが」

ジェダイ聖堂内でフォースを使う者は、すなわちジェダイを意味する。

場は重苦しい雰囲気に包まれた。

その沈んだ空気を断ち切るように、突如タールが話題を変えた。

「この紙の意味がわかれば、もっとちゃんとした手がかりを得ることができるんでしょうけど」

「紙って何ですか?」

不思議そうにガレンが訊ねる。

悩む頭が多い方がこの謎が解けやすくなるのではないかと思い、クワイ=ガンは彼らに紙を渡した。しばらく顔をくっつけるようにして紙を覗き込んでいた少年達だったが、リーフトが思いつくままをポツリを漏らす。

「・・・"硬き基盤"ってクッキーよりも硬いのかな?」

途端にバントとガレンが噛みつかんばかりに声を荒げる。

「リーフトっ!!あなた、こんな時にっ!!」

「硬いに決まってるよっ!!」

呆れたという風に溜め息をつくと、ガレンが言葉を続けた。

「基盤だからね。きっとブロックやパーマクリートみたいに硬いんだよ」

それを聞いて不意にクワイ=ガンの頭に閃くものがあった。

彼は静かに呟いた。

「意味する場所がわかった。ありがとう、君達」

怪訝そうに見つめ合う三人に微笑むと、クワイ=ガンは瞬時に真剣な眼ざしを窓の外に向ける。日の光に照らされながら、林立する建物が果て無く広がっているように感じられた。

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