銀河彼方での物語   作:秋鹿

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第15話 残り10分・・・・

ドカンッ!!

数秒後にも。

ドカ――ンッ!!

あちこちで爆音が鳴り響き、天井がガラガラと崩れ始めた。

「この館が爆発するには・・・まだ早くないか?」

脂汗をかき苦痛に堪えながらも、青年の計算違いにクワイ=ガンはニヤリと笑みを浮かべる。

しかし、ザナトスはそれを嘲った。

「最後の爆発が起きるのが20標準分後と言ったんだ。連鎖して爆発が起きるようになっているのさ。ま、今すぐここで死ぬあんたには関係ないだろうが」

荒々しく言い捨て、憎悪に取りつかれた男はセーバーを勢い良く振り下ろした。

ビィィィ――ン

火花が散り、その攻撃は阻まれる。

クワイ=ガンはセーバーを持つ左手に力を込めると、徐々に押し上げついには立ち上がった。

急激に相手のセーバーを弾き、体勢の崩れたザナトスの腹に足蹴りを入れる。

青年は吹っ飛ばされ、体を折り曲げながらも辛うじて立っていた。

素早く走り寄ると、クワイ=ガンは右肩が悲鳴を上げるのも構わずザナトスの顔に裏拳を叩きつける。

今度こそザナトスは宙を飛び壁に激突した。

痛みに顔を歪めながら見上げるその視線の先に、緑色のセーバーの切っ先が浮かんでいる。

喉元にセーバーの先を近づけてクワイ=ガンは静かに再び問うた。

「まだ・・・闘うつもりか?」

瞬間、ザナトスの憎悪が爆発した。

暗き力が巻き起こり辺りを覆い尽くす。深い激怒、強き憎悪。これら感情が荒れ狂い、周囲に落ちていたブロックや壁の塊を吹き飛ばす。

立ち上がり、ザナトスは唇から流れた血を拭いさると、怒りに肩を震わせながら吐き捨てた。

「これで俺に勝ったと思ったら大間違いだ。俺はあんたにだけは負けない。あんただけは許せない。俺の大切なものを壊し、何もかも奪い去ったあんただけは・・・っ」

ジェダイ・マスターの顔は沈痛な面持ちに包まれた。そして、彼は静かに問う。

「・・・父親を殺したことを恨んでいるのか?」

不意にザナトスは怒りに彩られながらも冷笑を浮かべた。

「父親?そんなことはどうでもいい。本来、俺が持つべき富が奪われたことが悔しいんだ。惑星から採掘した父親の莫大な富。あれだけの財産があれば全てを俺の意のままに、銀河さえも操れたのに。聖堂に引き取ったことで、ジェダイがその機会を奪った。俺をジェダイ・ナイトとして認めなかった緑のチビも、それにあんたも含めて、ジェダイは許せない」

その言葉はクワイ=ガンの心臓をナイフのようにえぐった。

(私は彼を弟子として育てていた時、何を見ていたというのだ?私は彼を心から信頼していた。しかし、彼は私に心を開いていなかったということか?)

だが、そんな思考に埋没している暇はなかった。

ドカンッ!!

また爆発音が響く。

大広間は崩れ落ちる天井や、ダークサイドのフォースにより飛び回るブロックの塊で壊滅状態に陥っていた。

 

埃や塵で白く覆われた部屋の中で、フォースを頼りに落ちてくる物体を避け、クワイ=ガンは相手の姿を頻りに探した。

黒い影を視界に捕えたと思った時には遅かった。

背中に蹴りをくらい、その反動で飛ばされる。床にぶつかった際、右肩を強打し痛みでうめいた。手から離れたライトセーバーが転がる。

何とか仰向けになった途端、クワイ=ガンは辛うじて左に回転した。

右横の床に赤いセーバーが突き刺さっている。

もうこれ以上、左に避けることはできない。巨大なブロックの塊が邪魔をしているからだ。

右肩が焼けるように痛い。痛みをフォースで中和させようとしても集中力が保てない。

ぼんやりとした視界に、勝ち誇った笑みを浮かべセーバーを構えるザナトスの姿が映る。

(すまない、オビ=ワン・・・)

ジェダイ・マスターはゆっくりと瞳を閉じた。

赤きセーバーが振りおろされた。

 

顔に熱さを感じる。

クワイ=ガンは熱を感じたことに驚いた。まだ生きているのか?

双眸を開けると、すぐそこには赤きライトセーバー。

それを阻むかのように噛み合わされた青いライトセーバー。

青いライトセーバー?まさかオビ=ワン!?

濁った意識が急速に晴れていく。クワイ=ガンは視界をはっきりさせ、そのまま目を大きく見開いた。

そこに立っていたのは、紛う事なき彼のパダワンだった。

 

オビ=ワンは有らん限りの力を振り絞りセーバーを振り上げた。

弾かれてザナトスはよろよろと後退する。

二人はしばし睨み合った。

「どうやってここまで来たか知らないが、よくやったと誉めてやるべきなんだろうな」

疲れを顔に貼りつけたままザナトスが嘲った。

「パスワードがわかったんだ・・・。絶対わからないと思っていた・・・だろうけど」

肩で大きく呼吸をしながらオビ=ワンが応える。

鼻で笑うとザナトスは少年を目を細めて見た。

「あのまま逃げれば良かったものを。師と一緒に死にたいという訳か?いいだろう。その望み、適えてやる」

 

「そうはさせん」

クワイ=ガンは痛みを堪えゆっくりと立ち上がった。すぐ左手にセーバーを呼び戻す。

「マスター!!」

安堵が混じった嬉しそうな少年の声が響く。

師は弟子の傍らに立ち、ザナトスに向かい合った。

青年は鼻を鳴らすと、オビ=ワン目がけて飛びかかる。

と見せかけクワイ=ガンの右肩を狙った。

半身にかわし左手のセーバーで受けとめると、ジェダイ・マスターはセーバーを横に振り払う。

低くかがめながら体を一回転させると、ザナトスの足元狙って薙ぎつけた。

ザナトスは宙返りし着地しざま、セーバーを正面に突き出す。

執拗に彼の右を狙って攻撃してくる元弟子に顔をしかめながらも、クワイ=ガンは辛うじてそれを弾き、後ろに退いた。

そして、ちらりと視線を横に走らせる。

(オビ=ワン?)

弟子は隙あらば攻撃に転じようとはしているものの、集中力が途切れかかっているのは傍目にもわかった。

(このままでは危険だ。ザナトスは彼を倒しにかかるだろう)

力を振り絞るとクワイ=ガンは気合を込めザナトスに撃ちかかった。パダワンから離れるべく。

 

ライトセーバーを握る手が極度の疲労から震えている。

だが、彼はこれを黙って見ている訳にはいかなかった。

必死に意識を繋ぎとめると心の奥底に静寂を見つけた。

オビ=ワンはフォースを求めた。ただひたすら。

 

突如、クワイ=ガンは体が癒され力がみなぎるのを感じた。暖かく、優しきフォースが取り巻いているのも。そして、彼もその瞬間、集中した。力強く、気高いフォースが流れ、渦巻き漂う。

お互い相手を思いやる心、気持ちが架け橋となり、今、クワイ=ガンとオビ=ワンの意思は一つになった。

 

緑色のセーバーが左下段から切り上がると、赤きセーバーは上からそれを封じ込める。

押えつける手に力を込め薄ら笑いを浮かべるザナトス。

刹那、師の背後からオビ=ワンが跳躍し、宙返りをして青年に切りかかる。

すぐさま表情を怒りに変え、ザナトスはセーバーを横に払った。

弾かれクワイ=ガンは体勢を崩す。

それを尻目に素早く青年は上空にセーバーを構え、攻撃を受け止めた。

阻まれたオビ=ワンは再び跳躍、とんぼ返りをしてザナトスの後方に着地する。

それに向き直ろうとするや危険を察知し飛び退くと、青年のローブを緑色の光が貫いた。

クワイ=ガンは続けざまザナトスの足を狙い、セーバーを薙ぎ払う。

彼の元師はフットワークに弱点があることを覚えていた。

「ちっ」

舌打ちするとザナトスはそれもかわしつつ、クワイ=ガンに向けてフォースを叩きつけた。

「マスターっ!!」

ジェダイ・マスターは飛ばされはしなかったものの、後退を余儀なくされ疲れの余り片膝をついた。

ザナトスは、しかし、それを悠長に眺めている暇もなかった。

鋭い一閃が打ち込んできたからだ。

オビ=ワンの攻撃は最初ザナトスを凌ぐかと思われた。

だが、青年は冷笑を浮かべ徐々にセーバーを押し返していく。

痛みを堪え唇を噛み締めると、少年は目を閉じた。

_もし暗く悪しき心がお前と向き合ったとしても、光は決して消されることはないだろう

(はい、マスター)

微笑みながら心うちで呟き、気持ちを鎮め心を落ち着かせ、彼はフォースを呼び集めた。全てを繋ぐ命の源である力を。

―― 光は輝いた。

 

勢いを得て少年はセーバーを振り払う。

ザナトスは攻撃を防ぎきることができなかった。

光のフォースに弾かれるように闇を司る青年は飛ばされ転がる。

オビ=ワンは静かに瞼を開けた。

少し離れた所でザナトスが両手両膝を床につけ喘いでいる。その傍にはセーバーが転がっていた。

だが、そんな彼から視線を外すと、弟子は急いで師の元へと駆け寄った。

「大丈夫ですか?・・・マスター」

自身も荒い息をつきながらオビ=ワンが問う。

クワイ=ガンは体を気づかいゆっくり立ちあがると、微笑みながら頷いた。

「マスター・・・時間が・・・ありません。急が・・・ないと」

緊張の糸が解れたのか崩れ落ちそうになるオビ=ワンを左手で抱き止めると、ジェダイ・マスターは真剣な眼ざしをザナトスに向けた。

「ザナトス、時間がない。早くここから逃げるんだ」

言って静かに右手を差し伸べる。

ザナトスは驚いたような表情をし、ややあってクスクスと笑い始めた。

「あんたはどこまでお人好しなんだ。言ったはずだ、俺は絶対あんたには従わないと」

ジェダイ・マスターは沈痛な面持ちで元弟子を見やった。

「逃げないのか?俺のためにその大事な弟子を殺すのか?」

嘲笑う声が追い打ちをかける。

一つ溜め息を漏らすとクワイ=ガンはザナトスに背を向けた。過去に決別するように。

そして、足元のおぼつかないオビ=ワンを支えながら走り出した。未来へ向けて。

 

There is no death; there is the Force.

 

残り 0秒 ――

 

ドカ―――ンッ!!!!!!

大音響を立てて館は爆発した。

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