シャトルは
ハッチが開き、降りてきた人物を凝視した途端、クワイ=ガンは驚いた表情を見せ、オビ=ワンは込み上げてくる笑いを抑えるのに必死になった。
その様子をちらりと視界に捉え、彼の人物は言った。
「折角救出に来たのに、余りにもひどい出迎えではないか?」
「メイス。何故ここへ?」
驚いた面持ちのままクワイ=ガンは問いかけた。
「・・・彼女に捕まったからだ」
渋い口調で言い、肌黒いジェダイ・マスターは手首をくいと捻ると後方を親指で指した。
シャトルの内側から何やら言い争う声が聞こえてくる。
「 ―― 全く、全然役に立ちやしないじゃないの」
「そんなことを言いましても、私としてもベストを尽して・・・」
「もう、いいわ。そこにいなさい」
言い捨て、師弟の眼ざしを引きつけてシャトルから降りてきた者に
「タール!?」
「ナイト・タールっ!?」
異句同音の声がかかる。
タールは地面に降り立ち艶然と微笑んだ。そして、見えぬ双眸をオビ=ワンの方に向ける。
「どうやら大丈夫だったようね、オビ=ワン」
瞬時に少年の顔は真っ赤になった。
「・・・あの・・・コムリンクの・・・」
ようやくそれだけを言葉にする。
クワイ=ガンは眉をひそめてタールを眺めた。
「何故君がここに来たのだ?私がここに来ることは誰にも知らせなかったはずだが?」
「そう、いつも貴方は自分一人で背負い込み過ぎるの。もっと周りを信頼したらどう? ―― ここに来たのはオビ=ワンに要請を受けたからよ」
「オビ=ワンから?」
「彼を責めないでね。ただ、コムリンクの周波数を間違えてしまったのよ。親友のバントのものと。でも、私達がここに来なかったら、貴方達、どうやって帰るつもりだったの?」
闇を見据えて
「そうだな。助かった。ありがとう」
「感謝ばかりしてもいられなくなるかもね。マスター・ヨーダもこのことを知ったから」
悪戯っぽく微笑むとタールは館の跡へと歩いていった。
(勝手に行動したことに対し、また、叱責を受けるのか・・・)
クワイ=ガンは一人暗雲たる思いに囚われた。
「そんなにがっかりしなくてもいいわ。マスター・ヨーダが手配してくれなかったら、こんなに早く来られたかどうか」
遠くから嬉しそうに話すタールの声に苦笑しつつ、クワイ=ガンは視線を友に向けた。
「それでメイス。彼女に捕まったとは?」
「私はたまたま聖堂内を歩いていただけなのだ。そこをタールに出会ったのが運の尽きという訳だ。まだ仕上げなくてはならない報告書が三つほどあるのだが」
言い置き、溜め息を漏らす。
「船の操縦はメイスが?」
「いや、タールが操縦した」
意表を突かれクワイ=ガンは驚いた。
「目が見えないのにか?」
「前々から操縦したかったらしい。勿論2Jがフォローしていた。いや、フォローとは言えないな。どちらかと言えば二人で喧嘩をしていたのだから」
肩を竦め両手を上げる友人に、クワイ=ガンは思わず吹き出した。
「では、メイス。お前は必要なかったのではないか」
「いや、レーザーキャノンを運ぶために男手が必要だったと彼女は言っていた」
「レーザーキャノン?そんな物騒な物を何故?」
「壁をぶち壊すためだそうだが?」
「それもオビ=ワンの要請だな」
「その通り。ところで、ザナトスはどうなったのだ?怪我は大丈夫か?」
「随分と聞くタイミングが遅れてはいないか?」
「タールの操縦に動揺したのだろう。気にするな」
急に悲しげな表情で俯くと、ジェダイ・マスターは静かに口を開く。
「・・・ザナトスは恐らく死んだはずだ。あの破壊された館の下敷きになって」
「確認は取れていないのだな。あとで調査隊を派遣しよう。そして、怪我は?」
「私は右肩に火傷を負っただけだ。それよりオビ=ワンの方が ―― 」
クワイ=ガンは弟子を振り向いて、突如、少年が崩れるように倒れるのを視界に捉えるや素早く抱き留めた。
「手当てが必要だ」
言いつつ、痛む右肩を気にせずオビ=ワンを抱き上げると、クワイ=ガンはシャトルへ歩き出す。
「クワイ=ガン、お前もシャトルに乗っているといい。タールは私が呼んでくる」
「すまない」
褐色のジェダイ・マスターは館の方へ歩を進めた。
美しきナイト・タールは、辺りを油断なくタイガーズ・アイのような煌く瞳で窺ってる。
「タール?」
「しっ」
タールは唇に指を当て、メイスを制した。
「誰かあの木陰にいるわ」
小声で囁く。
まさかザナトスが生きて ―― ?
「そこにいるのは誰?出てきなさい」
澄んだ美しい声が鋭く闇を切り裂く。
ガサッガサッという草を踏みわけるような音とともに現れたのは一人の青年。
「おぉ、こんな場所で貴女のような美しい方に会えるとは思いませんでした」
後頭部をさすりながら彼は言った。
「貴方は誰?」
フォースで探りザナトスじゃないわね・・・と内心思いながらタールが問うた。
「レンダー、ソーア・レンダーと言います」
代わってメイスが鋭い眼光で訊ねた。
「どうしてあんな所にいたのだ?」
「マスター・ジェダイの指示でドアのアクセス・パネルにパスワードを入れようとしたら、突然現れた黒づくめの者に突き飛ばされて。地面で頭を打って今まで気を失っていたみたいです」
タールとメイスは顔を見合わせ、嘘をついている訳ではなさそうだと判断した。
「良く無事だったわね」
少し感心した風にタールが言葉を漏らす。ザナトスから攻撃を受けて生きてるなんて。しかもフォースを使えぬ者が。
レンダーはニッコリ笑った。
「運が良かったみたいです」
「貴方はどうやってここまで来たの?」
聞かれて青年は視線を転じ、
「
顔をショックで凍りつかせた。
「仕方ないわね、私のシャトルに乗りなさい。送っていってあげるわ」
「光栄です」
再びレンダーは微笑んだ。
「折角助かった命なのに・・・」
と静かに呟くメイスの頭に、タールの平手打ちが小気味良い音とともに飛んだ。
シャトルは夜の闇の中を飛んでいく。
眼下には、コルサントの街の明りが星を散りばめた如く眩い光となり、見渡す限り絨毯のように広がっている。まるで宇宙に浮いているが如く。
「寝てしまったみたいね」
操縦の手を休め、後部座席をちらりと振り返りタールが静かに言った。
「そうだな、余程疲れたのだろう」
メイスが相槌を打つ。
「こうして見ているとまるで親子みたい」
タールはクスクスと忍び笑いを漏らした。
後部座席にて、師弟は寄り添うように並んで熟睡していた。
内心大きな溜め息を漏らしメイスは、顔を強張らせまいと努力した。
(クワイ=ガン、オビ=ワン、お前達は幸せ者だぞ?こんなタールの恐ろしい操縦を実感しないで済むとはっ!!)
思った途端シャトルが大幅に傾き、メイスは悲鳴を上げそうになるのを堪えた。
「タール様、操縦桿を切りすぎています ―― 」
2Jの叫び声が闇の中を流れていった。
心優しき者達にも今は休息を ――
黒雲を伴いし嵐が訪れる迄は ――
End
(2001年頃執筆)
*オリキャラはソーア・レンダーしかいない、というJAキャラそろい踏みの話です。そして、ソーア・レンダ自身もスピンオフに登場する某レンダーに関係ある人、という設定です、一応。
*加水分解。もう何がなんだか、よくわからない状態です、書いている本人が(苦笑) とにかく、ザナトスが生きていたことにしたかったんです。それで、無理やりこじつけて、あんな風に書きましたが、さらっと、本当にさらっと流してください(汗汗)
それから、確か、<聖なる池>を覆う化学薬品自体も、名前が明らかになっていなかったはず。説明上必要だったから、私が勝手に名前を付けました。
*そして、ザナトス。口調がよくわかりません。原文が英語だから(笑)。実は丁寧語だったり、一人称は「僕」とか「私」かもしれません。それはそれで、また随分と感じが変わりますね・・・。ちなみに、本FanFicにおいて彼がどうなったかは含みを持たせています。
*「Darkness」及び「Despair」。一見、英語に見えますが、標準語<ベーシック>です!ええ、標準語ですとも(苦笑)
*マナライ山脈、及びレストラン『マナライ』の描写。スピンオフを参考にしています。ただ、荒れ果てた館があるかどうかは不明です。
*惑星マークルのヴォルンスクルー。これもスピンオフを参考にしています。以前にも載せましたが、画像はこんな感じ。
【挿絵表示】
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
気に入っている作品の一つです。
読み直すと、かなりのジェットコースタ-ですね(笑)
実は、この話。JAを通じて知り合った方から、最初の部分に関するキッカケをいただきました。そこから膨らませて書いたものです。Jさん、その節はありがとうございました。
クライマックスの最後の方は、そういえば、師弟で共闘って今まで書いたことなかったなと思い、入れてみました。いい感じになったかもしれません。
師弟の、ライトセイバーを交換して闘うのも新鮮ですね。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
さて、冒険譚自体はまだまだ続きますが、SW作品の投稿はこれにて終わらせていただきます。
思い起こせば、初めて投稿したのが去年の11月初め。それから約5ヵ月。長かったような短かったような月日でした。今ではいい思い出・・・かな(笑)
今まで読んでくださった方々、お気に入りに登録してくださった方々、評価をくださった方々、本当にありがとうございました!(^^)
最後はお決まりの言葉で。
May the Force be with you...