今回は沢芽市で起こる事件を龍こと「仮面ライダー新牙」が解決します!!
荒れ果てた土地。そこには広大な砂漠地帯が広がっていた。
「日本にもこんなところがあるのか・・・。」
君島 龍は少し遠くを見つめるように呟いた。彼自身もここに来るのは初めてで無限に広がる砂漠に目を光らせた。
「ここに来るのは初めてですか?」
龍は驚いてに首を声の方向へとむけた。そこにいたのは10代くらいの少女だった。少女は長い髪を抑えるようにそこに立っていた。
「あぁ。君は初めてかい?」
少女は首を横に振った。
「いいえ。私は住んでるの。この「沢芽市」に。」
龍は少し興味深そうに少女を見つめた。少女はそれを察するかのように同じく目を合わせた。
「ユグドラシル・・・始まりの木・・・か。」
少女は大きく聳え立つタワーを同じく見つめた。この町を大きく占拠するタワー「ユグドラシルタワー」である。その頂点には大きな球状となっている。
「この世界の未来を開発してるんだってさ。」
「未来・・・ねぇ。」
龍は少し疑う目でタワーを見つめる。本当に未来など見えるのか。ただでさえこんな砂漠すらある世界の未来など、見えるのだろうか?
そんな龍の姿を見て少女は問いかけた。
「そういえば名前聞いてなかったね。何て言うの?」
「私は新垣 知里。よろしくね。お兄さん。」
「俺は龍。君島 龍だ。」
龍と知里はしばしの間その広大な砂漠の元でたわいのない話を楽しんだ。
龍と知里は街へと戻り、街を散策していた。
「何かいる?」
龍は自販機へと立ち止まり、知里へと聞いた。
「じゃあ、私これ!」
彼女は160円するオレンジジュースを選んだ。
「あぁ。」
容赦ねえな・・・。そう少し思いながらも龍は彼女が飲むオレンジジュース、そして自分が飲む乳酸菌飲料を押し、彼女へと手渡した。
「ありがとう!」
知里はこれまでにないような笑顔で龍へと言った。知里はすぐにフタを開けて飲み始めた。
「うん。やっぱこれだな。」
龍は納得したように呟いた。彼はこの飲み物しか飲んだことがないほど乳酸菌飲料が好きだ。理由も何もないわけだが・・・。
「そう言えば、龍さんは何のお仕事してるの?」
龍は困った表情をした。彼へマズイ質問をした。そう感じた彼女は遠くを見た。
「世界を調査する・・・仕事かな。」
そう答えた龍はすごく気難しそうな顔をしていた。その顔はどこか嘘をついているようにも見える。
「・・・そっか。」
知里はどこか寂しそうにそう答えた。龍も少し気を遣おうにも遣えない。彼が戸惑っている。そんな時だった。
「何だ!?」
彼らの後ろから大きな爆発音がした。遠くには大きな煙が見える。真っ直ぐ行けば5分もないだろうか。そこからは大きな火と煙が見えた。
「知里、ここで待ってて!」
知里は手を伸ばした。しかし彼女はそれを降ろした。信じてみよう。彼を。
走り出した龍の手には「ダークネス」のロックシードが握られていた。
龍が走っていった先には、炎と煙が周囲を纏った。その先には赤い衣装をまとった人間が立っていた。彼はベルトを装填し待ち構えるようにこちらを見た。
「相手はガンバライダー・・・ってわけか。」
龍は体内にダークネスのロックシードを埋め込み、彼の姿は大きく変わっていく。
「変身!」
龍の姿は黒と紫を基調とした姿となり、彼の持つ剣と盾は腐敗した林檎を思わせた。
「誰だ?お前は・・・。」
ガンバライダーは戦士へと問う。
「俺の名は仮面ライダー新牙。お前と同じGRZ社製の「兵器」ってやつだ。」
新牙は林檎状の盾「ダークリフレクター」から漆黒の剣「ブラッドブリンガー」を取り出した。それと同時にガンバライダーは林檎状の盾「アップルリフレクター」と紅の剣「ソードブリンガー」を召喚した。
「はぁ!!」
龍は一声気合いの表情を向けると、ガンバライダーへと走り出し互いの剣をぶつけた。
「お前の目的はなんだ!!」
「世界への復讐・・・とでも言っておこうか。」
二人の剣は弾きあってはまたぶつかる。そしてさらにぶつかる。そしてガンバライダーは新牙を弾き飛ばし、剣を向けた。
[ダークネススパーキング!!]
ブラッドブリンガーを振りかざし、衝撃波を起こした。漆黒の波動がガンバライダーを吹き飛ばした。ガンバライダーは赤い体を翻しこちらを向いた。
「兵器の・・・分際で!!」
吐き捨てるようにガンバライダーは逃げ去った。
「龍・・・さん?」
新牙となった龍は何も言えなかった。自分の今の姿。そしてその姿を見た知里の顔を見てると、さらに辛くなっていった。
その後、二人は無言を貫いたまま歩き続けた。ずっといた男性が仮面ライダーとして戦っていたのだ。彼女が黙るのも無理もない。でも、
「あなたは・・・仮面ライダーなんですか?」
「・・・あぁ。」
知里は少し背を向けた。そこへと一人の男が近づく。
「知りたいかい?彼の秘密。」
龍は後ろを向いた。そこにいたのは白衣を着た男だった。頭にはよくわからない銀のメッシュがついていた。
「誰だお前は。」
「私の名は戦極凌馬。」
凌馬は話を続ける。
「君の持ってるダークネスのロックシードも含め、君に教えよう。」
知里は興味津々に稜馬を見た。しかし、龍は素直にはいとは言えなかった。
「・・・構わないかい?君島 龍くん?」
龍は小さくうなずいた。
「なら、まずはダークネスロックシードの事から話そう。そもそもそれはコウガネという悪魔が作り上げた怨念のロックシードだ。そしてそれを使う彼も普通の人間ではない。」
「だろうね。」
凌馬は少し驚いたように少女を見た。しかし、龍は納得したように見た。そりゃさっきの戦い、変身を見られれば当然のことである。
「まぁ・・・納得しているならいいか。彼は我々が開発した[戦極ドライバー]の技術、戦極ドライバーのコアを体内に埋め込み彼は変身している。」
「違う。」
少女のつぶやきに二人は驚きを隠せなかった。
「私が聞きたいのは、何で龍さんが戦ってるか?っていうとこです。」
凌馬は頭を掻きむしった。そんなこと知った事か・・・。そこで龍が口を開いた。
「なら俺が説明する。」
知里は耳を傾けた。
「俺の勤めるGRZ社は世界の調査を行っている。そしてここに来たのはさっきのガンバライダーを追う為だ。」
「そっか・・・じゃあ、私邪魔だよね・・・。」
知里は寂しそうに、そして逃げるように走っていった。それを止めるように龍は手を伸ばすが、1cm、2cmとその手から遠く遠く離れていく。
「別れのところすまないが、君に話がある。いいかい?」
この状況にそぐわない声のトーンで凌馬は龍に話しかけた。龍は少しうなだれるように彼の話に乗り、その場で話を聞いた。
「俺の体内のコアを強化するのか。」
凌馬はうなずく。
「戦極ドライバーのコアを強化形態の「ゲネシスドライバー」のコアにすることによって強化する。どうだい?」
龍は迷うことなく首を縦に振った。
「そうすれば奴に勝てるかもしれない。行こう。」
彼らは向かった。凌馬も拠点としている「ユグドラシル・コーポレーション」へと。
沢芽市では多くのビルが倒れ、そこから炎が湧いていた。その先にいたのは一人のガンバライダー「ロード」だった。
「そろそろ出て来いよ!臆病者が!!」
「誰が臆病者だと?」
ロードの目の先にいたのは龍だった。龍は片手に「エナジー」ロックシードを持っていた。
「新武器を引っ提げてこようが無駄だ。ここでぶっ潰す!!」
龍はそっと目を閉じた。そこには先ほど言われた凌馬からの言葉が駆け巡る。
「君の体に悪魔を植えるんだ。それほどの覚悟はしたまえ。」
龍はそっと体にダークネスエナジーロックシードを埋め込んだ。彼の体は見る見るうちに闇に侵されていく。
「・・・変身。」
体に纏った暗黒の鎧は龍に馴染んでいく。そして新牙となった彼の脳に響くように男の声が聞こえた。
「お前は・・・誰だ?」
「私は、新世界の神。[コウガネ]だ。」
そう話しているうちにロードは街を焼き払っていく。そして、龍の眼前には知里の姿があった。
「知里!!」
知里は安堵の表情浮かべ龍の元へと向かおうとしたその刹那、ロードが放った一つの光弾が彼女を射抜いた。知里は龍の前で焼き払われていく。彼が手を伸ばした時にはもう跡形もなかった。
「これで戦う気に・・・」
ロードが振り向いたときにはもう遅かった。彼の溝内には拳が入り、そして彼の首筋と彼の武器である「無双セイバー」が切り裂いた。
「テメェ・・・!」
ロードもまた無双セイバーを召喚し新牙へと襲い掛かるも、彼はそれを鮮やかに避けてロードの足元を引き裂いた。
叫び倒れるロードに悪魔は少しずつ近づいた。
「俺もお前も兵器なんだ。」
怯えるようにもがくロードは必死に無双セイバーから銃撃を放った。彼はダークネスブリンガーを取り出し、彼の無双セイバーを吹き飛ばした。
「だったら、兵器が兵器を壊しても良いよなぁ?」
逃げようとするガンバライダーの腕、足を切り裂き、彼の体は達磨のように腕も足も失ってしまった。
「コウガネ。」
コウガネは意図せぬ笑みで彼の声を聴いた。
「コイツは・・・ぶっ殺して良いんだよな?」
コウガネは無言で彼に頷いた。そして龍は自らの意思でロックシードの攻撃を発動させた。
[ダークネスエナジースパーキング]
龍は腐ってるようにも見える巨大な林檎を召喚し、ロードへとぶつけた。ロードは叫びながらその林檎に吞まれ灰と化した。
「これで・・・終わったのか。」
コウガネは首を横に振った。それに驚くように龍はコウガネの声を聴く。
「奴は見るからに[プロトタイプ]だ。奴の本体は別にある。」
「だったら本体も殺るまでだ。やることは変わらない。」
コウガネは少し笑い、龍は目の前の灰を見つめた。そして誓った。
「知里・・・敵は必ず取る。」
悪魔と化した龍こと仮面ライダー新牙の新たな姿を楽しみにするようにベルトの開発者[戦極凌馬]はタワーから見つめるのだった。