第1話 悪夢の前夜
――新暦62年ミッドチルダ
side アリシア
こんにちわ!アリシア·テスタロッサ、8歳です!今日は私、ミッドで開催されているDASSの地区予選に来ています。
ぁ、最初に言っておきますが、私は出場選手じゃないですよ?年齢制限に引っかかっちゃいます。私の2つ年上の友達が初出場してるのでその応援に、です。
実況『さぁー、DASSミッドチルダ地区予選もいよいよ大詰め!まもなく最終試合が始まろうとしています!この決戦を制し、都市本戦出場の栄光を手にするのはいったいどちらなのか!?』
実況が声高らかに最終試合の時間が迫っていることを告げると、会場の私を含めた観客は皆『わぁーー!!』と盛り上げます。
実況『しかし、今回の予選最終試合、過去に例を見ない異例な組み合わせになっています。片やとてつもなく硬い防御からのカウンターを得意として打撃力も出場選手屈指の高さを誇る都市本戦優勝最有力候補、片や本大会の年齢制限下限の最年少にして全試合ワンラウンドKO勝利を収める期待のルーキー。この試合、これまで以上に盛り上がること間違いないでしょう!』
実況が会場を盛り上げる中、私はリング脇で準備体操をしてる“友達”に目を向けます。ぁ、ちなみに私は特別にセコンド席に居させてもらってたりします。
アリ「ねぇ、刹那。すっごく持ち上げられちゃってるね。“期待のルーキー”だってさ?」
刹那「まぁ、私がルーキーなのは間違いないですし、あぁ言いたいのも分からなくもないですけどね。それに、持ち上げられても私がすることは、この覇王流で勝利を掴む。それだけですよ」
エメラルドグリーンに似た髪の“少年”。それが私の友達の刹那·ストラトス。なんとビックリ、あの覇王流の継承者なんだよ。目の色は普段は両方紫で、覇王流を解放したら蒼と紫の虹彩異色になるんだって。自分の中の魔力のコントロールがなんだかんだって難しそうなこと言ってた。
一人称は私だけど性別は男の子。やたら丁寧な喋り方してるけど私の方が年下なんだよなぁー。癖って言ってた。
刹那「では、行ってきます」
アリ「刹那ーっ!頑張ってぇーー!!」
リングに上がる刹那に私が手を振るとリングを向いたまま右手をあげてガッツポーズで応えてくれました!
ぁ、私が言ってた友達が年上の男の子だったの、意外かなぁ?
side out
side 刹那
審判「刹那·ストラトス選手、カイト·ロデルス選手。両者前に」
2人『はい』
審判に言われ、私はリング中央で試合相手のカイトさんと向かい合う。流石に優勝候補なだけあって貫禄のようなものがあるし、前に立っているだけでプレッシャーに近いものも感じる。これだけでもわかりますが、とても強い、ここまで私が戦ってきた誰よりも
審判「構え!」
審判に言われるままに大勢を低くし、右足を下げて半身になり構えのポーズをとる。
刹那(……防御とカウンターが最大の武器、でしたっけ。試させてもらいます。覇王流はそれからでも遅くはありませんね)
審判「………ファイッ!」
審判の掛け声とともにゴングが鳴らされ、試合開始。私はすかさず距離を詰めてラッシュをかける。が、物の見事に全て防がれる。大したダメージにもなっていない。
右に左にフェイントやストレート、ジャブ。アッパーと多彩な攻撃を織りまぜて攻めるもほとんど効果なし。
刹那「(噂通り硬いですね。生半可な攻撃は通じなさそうです。やはり一筋縄では)…っ!?」
色々と考察をしながらラッシュをかける中、私の一瞬の隙を突いてカイト選手の右ストレート。なんとか咄嗟に防ぎましたが、その打撃力だけでリング際まで後退させられる。もちろんダメージもかなり大きい。
カイト「ぉ、今のでリングアウトならないんだ?ルーキーの割にやるじゃん」
刹那「褒めても何も出ませんけどね」
殴られて崩れた体勢を立て直す。防御が売りなだけあり、向こうからはあまり攻めてこないらしい。
刹那「しかし、すみません。今ので私の勝ちが見えました」
実況『おぉぉっとぉ!?ここでまさかの優勝候補筆頭へ向けての勝利宣言だぁぁ!!!』
再び実況の声で湧き上がる会場。
カイト「あまり舐めないでもらえるかな?優勝候補とか言われて成り上がるつもりはないけど、ルーキーに負けるつもりも俺には無いよ?それに俺の本当の本気は防御でもカウンターでもない。この圧倒的な打撃力だ!」
私の挑発で向こうも頭にきたのか、防御から一転。重い打撃のラッシュ。防ぐのも手一杯で私にはダメージが蓄積されていく。
そしてフィニッシュであろう、回し蹴りが私の頭部を襲う。
刹那「あなたも、私をバカにしないでください」
その蹴りを私はヘッドバットで受け止める。ダメージは入るが、下手に防御するよりは安い。
刹那「では、覇王の血を継ぐものとして私も見せましょう」
カイトは刹那が一体何を言ってるんだ?と言ったような顔で足を下ろし、次の打撃に移ろうとした瞬間、ギョッとする。
刹那「覇王の本気を」
刹那の瞳が件の虹彩異色に変わっていたのを見たからだ。それと同時にかなりの威圧感が会場全体を包み込む。先程までうるさかった実況でさえ言葉を飲んだ。
刹那「はぁぁ!」
再び私のラッシュ。最初同様に右に左にと攻め込む。そしてこれも最初同様にことごとく防がれ、左腕を弾上げられて私のボディががら空きになる。
カイト「これで終わりっ!」
もちろんチャンスとばかりにカウンターの一撃が迫る。しかし、もうそれは私には見えている。
刹那「覇王…」
カウンターの拳は無視し、むしろその拳に突っ込む形をとり、弾き挙げられたのとは逆の右の拳を握りしめる。
刹那「断空拳っ!」
そのまま私の拳はカウンターの為に逆にがら空きになっていたカイトの胸部へと吸い込まれた。
カイト「ぐ……はぁ!」
断空拳の直撃を受けたカイトはリング外へ吹き飛ばされ、壁にクレーターを作って静止し倒れ込む。後々実装されるクラッシュエミュレートがもしあれば肋の数本は逝ったであろう。
審判のカウントダウンにも全く反応がない。そして、それは無慈悲にカウント0を告げた。
実況『し、勝者はルーキー刹那だぁぁぁぁ!!!!!』
ようやく調子を取り戻した実況を背にしてセコンドからタオルとドリンクを受け取りながらリングを降りる。すると案の定アリシアが飛び込んで来た。私はそれを受け止め、頭を撫でる。
アリ「刹那、都市本戦出場おめでとう!刹那ならやってくれるって信じてた!」
刹那「アリシアの応援のおかげですよ」
こんな軽い会話を少しし、会場は表彰式に移っていった。
どうも、八雲ルイスです。
ずっとリリカルなのはシリーズが大好きで、長年考案していたものを投稿してみました。
初めてなので誤字脱字多いかもしれませんが、その時は指摘くださると嬉しいです。