魔法少女リリカルなのは 覇王を継ぐ者   作:八雲ルイス

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前期末………地味にすること多くなってきました。でも週に最低1ページのペースは崩さない方向で行きますよ!


第24話 泡沫の夢

───side フェイト

 

「少し想定外ではあったが……全ては安らかな眠りの内に」

 

言うことを聞かない駄々っ子へ斬りかかった瞬間、唐突に後ろへ投げ飛ばされた私。投げ飛ばしたのが刹那だと気付いた時には刹那はその体を夜天の魔導書へと吸収されてしまって………私達は刹那の名前を叫ぶしかできませんでした。

 

「そんな………嘘、だよね?私なんかを庇って………」

 

私を庇って犠牲になった刹那………私があんな軽はずみな突撃さえしなければ、こんなことにはっ!

 

「フェイト!」

「ァリ………シア?」

 

戦意を失い掛けた私でしたが、不意に肩を掴まれて右へ体の向きを無理矢理変えられて。それをしたのはお姉ちゃん………私のせいで大切な人を失ったお姉ちゃんでした。

 

「ごめ………ごめん、なさいっ」

 

そのお姉ちゃんの目をみると、私は涙を流さずにはいられなくて。私はお姉ちゃんの胸に顔を埋めるようにして泣きました。

 

「なのは、フェイトと少し戦線離脱するから夜天さんをしばらくお願いしていい?」

「ぇ?ぁ、うん。わかったよ」

「交戦するなら可能な限り沖の方に誘い出してね」

「うんっ!」

 

お姉ちゃんは今は戦えない私を気遣ってくれて、泣きじゃくる私を連れて戦線を離脱し、少し離れたビルの上に。

 

「エイミィさん、どう?」

『刹那君のバイタルはまだ健在してる!闇の………じゃなくて、夜天の魔導書の内部空間に閉じ込められてる!助ける方法現在検討中!』

 

刹那………良かった………あれ?でも刹那って自分から飛び込んで………?

 

「刹那言ってた。覚醒直後の不安定な状態ならシステムに潜り込む隙があるかもって。今は比較的安定してるから………フェイトを取り込もうとしたあれ見て無理矢理飛び込んだんじゃない?」

「でも………取り込まれたら向こうの思う壺」

「大丈夫だよ。刹那のレアスキル。ソウルコアって言ってたっけ?名前はよく知らないんだけど、死んだ私を取り込んだヤツ。それの応用だと思うんだ」

 

ぇーっと………つまり、私が飛び込んでそれを夜天さんが取り込もうとして、その取り込もうとしたところに刹那のレアスキルをねじ込んだ………?

 

「そゆことそゆこと。だからフェイトの猪突猛進は無駄じゃなかったってことだよ」

「お姉ちゃん心読まないでっ!?」

 

でも、それなら希望はある。刹那は外の戦闘は私達に託してくれたんだよね。なら、その期待に応えなきゃ。

 

「なのはの援護、行くよ?」

「うんっ!」

 

私はお姉ちゃんの後を追ってなのはの援護に向かいました。

 

───side end

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んっ………」

 

そよ風と日差しが心地よい。そんな中で私は目を覚ましました。まだ寝惚け気味な眼であたりを見回します。

 

「野原………?」

 

大きな城壁に囲まれた街を眺められるこの場所。その街へ向かう街道沿いにある丘と野原。そこで私は眠っていたようです。

 

「なぜ………こんな所に………?」

 

たしか私は夜天の魔導書との戦闘でフェイトを庇って取り込まれて………その時に私のレアスキルのソウルコアを介入させたはずですが………これはいったい?それにこの景色にも見覚えが………

 

「………っなー!」

「ん?」

 

誰かがこちらへ手を振りながら丘を駆け上ってくるのが見えて………ぇ?あれって………もしかして!?

 

「もう、刹那!探しましたよ?」

「ぇ………?」

 

私のそばに来て息を整えるこの女の子。髪は金髪ですが、アリシアやフェイトより赤みが強い色。それにドレスを動きやすそうにアレンジした格好。背丈は………アリシアとどっこいどっこい。もしかしたら少しこちらの方が高いかも。

そして何よりも特徴的なのがその目と腕。目は赤と緑の虹彩異色で腕は左右共に義手。私の記憶にはそれに該当する人は1人しかいません。

 

「ヴィヴィっ!馬を繋ぐのも待ってくれないのか君は」

「あははは………刹那がやっと見つかってはしゃいでしまいました。すみません」

 

その子の後から追いついてきたのは私より少し高い背丈、髪はこれも私と同じ薄い翠。ただ、私と違って髪は首元までで整えてあります。そしてその人の目は蒼と紫のこちらも虹彩異色。

 

「ヴィヴィ……?と、クラウ…ス??」

「はい、刹那のお姉ちゃんのヴィヴィですよ?」

「何だ?昼寝し過ぎて俺達のことすら忘れたのか?」

 

ちょっと待ってください?ぇ?何がどうなってるんですか?何で私の前に今は亡きヴィヴィこと聖王オリヴィエと私の祖先の覇王クラウスが?

ということはこの見覚えのある景色は………クラウスが城を構えているベルカ時代の都市の1つのシュトゥラですか!?

 

「完っ全に寝惚けてるな」

「ですねぇー。あの刹那が珍しいです」

 

あれ?でも私はクラウスの子孫なのでヴィヴィとは血の繋がりはないはず………などと1人で考察してる間に私は2人に連れられて気に繋がれた馬の元へ。何でも私を探しに来たらしいです。これから鍛錬なんだとか。

ちなみに馬は当然ヴィヴィとクラウスの乗ってきた2頭のみ。ヴィヴィ本人の希望で私はヴィヴィと一緒に馬に跨り、手綱は私が引いています。ヴィヴィは私の腕に包まれるような感じでちょこんと馬に跨ってます。本人曰く「私の特等席ですっ!」とのこと。

 

それから例の城壁に囲まれている街………シュトゥラへと向かう道中、寝惚けてド忘れしているという設定でいろいろ2人に聞いてみました。ちなみにさっきヴィヴィがお姉ちゃんって言っていたのはただの自称で(当然ですが)血の繋がりは無いそうです。

他にも私はクラウスの1つ歳下の弟であったり、ヴィヴィが何故かクラウスではなく私に懐いていたりと記憶との相違点がチラホラ。ヴィヴィの自称お姉ちゃんというのはクラウス曰く「見た目がちっちゃいけど年齢は1つ歳上だから態度だけお姉ちゃんっぽくしてる。どう見ても妹にしか見えない子が背伸びしてるようで可愛い」とのこと。ちっちゃいと言われて不機嫌になるのもいつもの事らしいです。

というか、クラウスさん。言いたいことは分かりますし納得もしますが、後半あなたの感想ですよね?

 

これ以外にも色々と情報を得て、私の辿り着いた結論。それは今私が見ているこれは夜天の魔導書が私に見せている夢。舞台がベルカで皆の年齢が私とあまり変わらないくらいなのは私の引き継いでいる記憶がこの平和がずっと続くことを望んでいたから。クラウスと私が同時に存在しているのは恐らく私の記憶とクラウスの記憶が私の中に同時に存在しているから。確証はありませんが、状況から推察するに間違いはないかと。

 

で、今は何故か訓練用のスペースで向き合う私とクラウス。ヴィヴィ含む他のメンツは遠巻きに私達を見てます。

 

「………で、なんでこうなってるんですか?」

「昨日言っただろ?明日の鍛錬の時に俺と勝負する、と」

「今日の刹那、物忘れ激しすぎませんか?もしかしてもうボケが………?10代でそれは早すぎませんか!?」

 

ボケでないのは確かですが、否定する材料がないのでとりあえずスルー。模擬戦自体は別に構わないのでそのまま執り行うことに。かの伝説の覇王がどれだけのものなのか………夢の中とはいえ直に見るチャンス。私の研鑽の参考にさせてもらいます。

ヴィヴィのスタートの掛け声の下、私とクラウスは同時に地面を蹴り、模擬戦が始まりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───side 紗綾

 

「っ………」

 

魔法陣?みたいな円形の模様が現れ、私とアリサ、すずかはお互いに身を寄せ合っていました。そして気が付けばそこは私達にとってよく見覚えのある場所。

 

「ぁれ………学校?」

「ホントだ」

「さっきまで街の方にいたと思ったのに………」

 

きっとアリシアちゃん達が逃がしてくれたんだ。あの場所は危ないよって。でもあの格好………それにあの人達がやってたのって何なの?

 

「魔法………みたいだった」

「紗綾さん、何か言いました?」

「ううん、何でもないよ」

 

とりあえず私達はこの当たりに隠れていよう。きっとアリシア達が何とかしてくれるよ。

 

───side out

 

 

 

 

 

 

 

 

───side アリシア

 

「んぅぅぅっ!!」

「お姉ちゃんっ!」

 

フェイトが前衛、私が前衛と後衛兼任、なのはが後衛。そのフォーメーションで夜天さんと今交戦中。けど、如何せん前の私とフェイトは防御はあまり自信がなくて………なのはが援護してくれてるとは言っても正直かなりキツい。夜天さんは素直に強い。

 

「はぁ………はぁ………はぁ………」

 

もう私含めて3人とも肩で息をしていて、疲労が目に見えて溜まってる。それに加えて私は魔力がもう残り半分切ってる………私の魔力、なのはやフェイトの半分くらいしかないからこれ以上の長期戦はキツい。

 

カートリッジの残量もマガジン2つで12発………でも射撃をメインにしたらすぐ減っちゃう。

 

「なのは、フェイト。カートリッジ残りどれくらい?」

「私はマガジン3本!残り18発!」

「私は今使ってるの含めて15発だけど………お姉ちゃんこそ魔力大丈夫なの?」

「へーき、へっちゃらだよ。だって、お姉ちゃんだもん」

 

フェイトが私を心配してくれるけど、ここで弱音を言ったら士気に関わるからね。少し強がり。本音を言うとかなり厳しい。かと言って、なのはやフェイトから魔力を分けてもらうような余裕はないから今あるもので何とかするしかないんだよね。

 

「なのは、フェイト。()()、やるしかないと思うんだ」

「私はいつでも大丈夫だけど………お姉ちゃんは大丈夫なの?」

「エイミィさんからも本体の補強が終わるまで使っちゃダメって!」

「要は魔力コントロールと出力が複雑になって制御が難しくなるからダメってことでしょ?大丈夫、なのはならやれる。それに私は1度使っちゃってるしね」

 

正直、フルドライブを既に1度使ったせいもあって今の消耗なんだけど、ここまできたら四の五の言ってられないよね。

 

「お前達も………もう眠れ」

「いつかは眠るよ。だけど、それは今じゃない」

「今ははやてと刹那を………それからあなたを助ける!眠ってる暇なんてない!」

「私の限界は私が決める!だからまだ………繰り返される悲しみも悪い夢も終わらせられる!!」

 

私達は自身の愛機を構えます。

 

「レイジングハート………エクセリオンモード!」

「バルディッシュザンバー!」

「イクスペリオン………ベリルスマッシャー!」

「「「ドライブ!!」」」

 

フルドライブを発動させた私達は………さらなる激戦へと身を投じていきました。

 

───side out

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぃつつ……」

「大丈夫ですか?ほら、お薬塗りますからアザのところ見せてください」

 

模擬戦の結果………当然ながら惨敗。意思がどうのこうの以前に素の実力が違いすぎました。まさかここまでとは………私の覇王流だけでなく日本の柔道の動きも取り入れてみましたが、それでも歯が立ちませんでした。

で、今は城のベランダでティータイムを兼ねてヴィヴィから治療を受けています。と言っても何ヶ所かあるアザに打ち身によく聞く塗り薬を塗ってもらうだけですが。

 

「にしても、驚いたぞ。何だ?あの独特なフォームの投げは」

「ぇ?あぁー………ぇっと、自己研鑽の成果、とだけ」

 

まさか何百年も未来の異世界の技術………なんて言えませんよね。それよりも気になるのが

 

「そんなことより、クラウスの最後のアレは何なのですか?私の記憶だとあのタイミングでならクラウスの反応速度を考えたら防御すら間に合わないと思ったのですが………まるで見た瞬間にはもう体が反応していたような?それとただのパンチがまるで全速力の体当たりのような威力の打撃も………」

 

模擬戦のラスト、クラウスが見せた()()()()()()()技。いや、技というより技術の方が正しいかも知れません。当然ながら私はクラウスの記憶を引き継いでいるのでクラウスの技のすべては知っていますし、反応速度もわかります。

そのクラウスが反応できないタイミングの角度で放ったカウンターの崩雷。それをまるで時間が止まったかのような錯覚を覚えた反応速度で避けて見せ、さらにはただのジャブが突如ノーモーションで全速力で体当たりを喰らったと言われても納得できるレベルの威力に跳ね上がらせた一撃。ジャブの応酬で相手の隙を作って必殺の一撃を決める、それが基本のはずなのですが、そのジャブが必殺の一撃と豹変したあの瞬間。

 

「ん?あぁ、アレか。確かに普段の俺なら反応すらできなかっただろうな」

「普段の?」

「そうだ。覇王流とはまた違うが、武術の奥義と言ってもいいんじゃないかな」

 

驚異的に上がった反射速度と恐らくすべての打撃を必殺へと化けさせる一撃。確かに奥義と言っても過言でない気がします。

しかし、私の記憶だとクラウスはそんな技術は持っていないはず………

 

「ただ、お前にそれを教えるのはまだ早い。だから、俺はお前にそれを()()()()()()

 

教えていない………?普通でしたらここは「まだ教えない」とかそう言うニュアンスの言葉を使うと思いますが………と言うことはこれは

 

「………なるほど。あなた達はこれが夢だ、と知っていたのですね」

「夢でもいいじゃないですか。私とクラウスがいて、そして刹那がいる。歴史上では絶対にありえない事ですけど、ここならそれが叶うんですよ」

「そうだな。ここでしか一緒には居られないんだ。ここでならこの後戦乱が起こる未来は存在しない。故にゆりかごもない。平和に過ごせる」

 

やはり、自覚していたのですね。

 

「すみません………ヴィヴィ、クラウス。それでも私は行かないといけません。みんなが………大切な仲間が待ってますから」

「………そう言うだろうと、思ったよ。ヴィヴィ」

「はいっ!」

 

ヴィヴィはクラウスとアイコンタクトを取ると同時にベランダから室内へ。少しして出てきた時には先程のドレスではなく戦装束………袖は肩までしかなく、義手は根元以外すべて露出していてロングスカートの両サイドには義手を除いて唯一の装甲。まるでこれから戦にでも出るかのような。

 

「あの………これは?」

「私もあなたの力になりたい。それだけです」

「知っていると思うが永き戦乱の後も幾度となく夜天の魔導書は起動していてな。恐らくその内のどこかでゆりかご内のヴィヴィの魔力を蒐集されたのだろう。きっと力になる。連れていけ」

「しかし、クラウスは………?」

「俺は一緒には行けないが、()()()()()()()()()()()だ。つまり、問題ない。」

 

私はクラウスで、クラウスは私………?確かに私はクラウスの子孫ですが………

 

「代わりに、俺からはさっきの2つの技術を教えてやる。と言っても、直ぐには使えないぞ?。しかし………そうだな、名前だけは教えてやる」

 

椅子から立ち上がり、ベランダから遠くを眺めるクラウス。私とヴィヴィはその隣でクラウスの横顔を見ると、その表情はいつも以上に真剣そのもの。

 

「全ての無駄を打ち消し、全ての影を見据える。されど自身の心は一滴の雫の如し。その名は」

 

───明鏡止水

 

「全ての打は己の全を持って打ち込むべし。自身の有り様に囚われぬその必殺は」

 

───鏡花水月

 

「明鏡止水と鏡花水月………」

「そうだ。ヴィヴィとの血戦の後(あの後)俺が構築して記憶の中に封じ込めた。と言っても、俺の血筋の皆が使える訳では無いけどな」

「素質と覚悟。それの両方が揃い、その上で真の意味で守りたい、救いたいと思った時に記憶に刻まれる………でしたよね?」

「………ヴィヴィ。俺の決め台詞を取らないでくれないか?しかし、そういう事だ。刹那には素質も覚悟もある。あとは、お前の意思次第だ」

「私の………意思」

 

いくつか疑問は残りますが………少なくとも今わかるのは今の私の意思は真に誰かを守るにはまだ何かが足りないと言うこと。それとヴィヴィが一緒に来てくれること。

私は胸の前で拳を握りしめ、自身の意思を再確認。

 

「クラウスっ!」

「礼は要らないさ。さて、俺からは渡すものはすべて渡したよ。俺はもう悔いはない。何たって、俺はお前だからな。じゃあな、また夢の中で」

 

私が一言礼を伝えよう、そう思ってクラウスの方へ向き直りました。しかし、当のクラウスは別れの言葉と共に光を纏い、辺りの景色と共に霧散していきました。

 

「クラウス………」

「さて、刹那。私はこれから外に出ます。あなたの大切な人を助けてきますね。刹那は刹那のするべきことをしてください」

「しかし、この閉鎖空間からどうやって外へ?」

「簡単ですよ。外にはあなたのリンカーコアを半分受け継いだ子がいるので、刹那のリンカーコアを伝ってそちらへ転移で出るのです」

 

残されたヴィヴィは外の援護へ行くと言いますが、ここは夜天の魔導書内部の閉鎖された空間。そこからどうやって出るのか。ヴィヴィは私とアリシアが全く同じリンカーコアということを利用して出る、と言い出します。それは確かに理論上は可能かも知れませんが、かなりの高等魔術なはずです。

 

「………私の大好きな人を、その家族と友達を頼みます」

「あなたにそんなに想われていて………妬けますね。では、行ってきます。また後で!」

「はい、また後で」

 

しかし、ヴィヴィなら出来る。私の直感がそう訴えてきて………私はヴィヴィを信じて託す事に。ヴィヴィは行ってきます、の言葉と共に私のリンカーコアへ吸い込まれるように飛び込んでいきました。

 

「さて、私も義妹を起こしに行かないといけませんね。急がないと」

 

私も闇の中へと歩を進めていきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───side アリシア

 

「はぁぁぁぁっ!」

「っく………やぁぁ!」

「てやぁぁ!」

 

フルドライブを発動し、なのはも前衛に加わって何度もぶつかって………それでも尚私達は夜天さんの力に押され気味で………打撃と射撃、砲撃を織り交ぜたコンビネーションを掻い潜るどころか完全に裏すらかかれてしまっていて………私の魔力も枯渇寸前。

 

「きゃぁっ!」

「なのはっ!っぁぁ!」

 

息も上がって一瞬なのはの動きが緩んだ瞬間、夜天さんはその隙を見逃さずなのはへ肉薄して零距離砲撃。なのはは海底からいくつも励起した岩の柱の1つへ激突。

それに気を取られたフェイトも夜天さんの回し蹴りに防御が間に合わずに直撃。なのはに重なるようにして岩の柱へ激突。

 

「縛れ」

「なっ!きゃぁぁっ!」

 

そして私も既にフラフラで、夜天さんのチェーンバインドに拘束されてなのはとフェイトも巻き込んで柱に縛り付けられてしまいました。

 

「しくじっ………た………もう魔力が……っ」

 

咄嗟にバインドを魔力を流し込んで破壊しようとしたせいで私は魔力が完全に枯渇、バインドを破壊できないどころか成す術がなくなってしまいます。なのはとフェイトは魔力こそまだ残っているみたいだけど、ダメージのせいでバインドを破壊できるだけの余力は無いみたい。

でも弱音は見せたらダメ………痛いのや苦しいのをグッと堪えて夜天さんの方を見て………絶望しました。

だって、夜天さんはまたスターライトブレイカーをチャージしていて、もう発射寸前だったから。

私達がさっき止めたのは余波で、しかも私達自身万全の状態。けど、今回は魔力もカツカツでダメージも酷い………バインドで縛られているから回避も無理。かと言って防御が可能かと言われれば………万全の状態でもできる自信はないです。

 

「眠りにつけ。スターライト………ブレイカー」

 

そしてそれは私達へ向けて容赦無く発射。私達はやられるのを覚悟して目を固く閉じました。

 

「……………………ぁれ?」

 

しかし、直撃の衝撃はいつになってもやって来なくて、私達は恐る恐る目を開けました。

 

「皆さん、大丈夫ですか?」

 

するとそこに居たのは障壁を展開した見慣れない女性。私やフェイトより赤みの強い金髪を青のリボンでアップで纏め、服は首周りと袖が黒でそこより下は白の半袖に黒のロングスカート。スカートの両サイドにはグレーの装甲が付いています。そして何より特徴的なのはその両腕。人のそれではなく、明らかに鉄………義手を身に付けていました。

その人がこちらに振り向いたので分かったのですが、目も右が緑で左が赤の虹彩異色。

 

「遅くなってすみません。私はオリヴィエ。オリヴィエ·ゼーゲブレヒトと申します。刹那の指示であなた達の援護に参りました」

 

───side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───side オリヴィエ

 

肉体の実体化異常なし、私のリンカーコアも異常なし、その他もろもろ全部異常なし!後半は面倒なので色々省略しました。

今私は刹那のリンカーコアを伝って外への転移途中。距離的にはすぐそこなんですが、如何せん閉鎖空間から外に出るということで少し時間がかかってます。と言っても1分も無いですが。その間に私は夜天の魔導書に保存されていた私の魔力を掻き集めて作ったリンカーコアと自身の体、その他もろもろの確認をしていました。

魔力量は………本来の私の体ではないこともあり、刹那の世界基準だと今は約1000万くらいかな。最盛期が確か7580万でしたっけ?それに比べればかなり減ってますが……先程の刹那と比べれば莫大な量ですね。

 

「外の様子も見ておきましょう。下手なタイミングで出ると自滅しかねませんからね」

 

私は刹那のリンカーコアからそのリンカーコアを受け継いだ子のコアの中へ。リンカーコアを通じてその子の見ている景色を少し拝借………っと。

 

「見たところ柱のようなものに縛り付けられてますね。魔力ももうほとんど残ってないみたいなので自力で脱出出来ないんでしょう。近くで縛られてるのはお仲間………でしょうか?」

 

とりあえず自身の現状を確認、そして仲間の状態も確認。肝心の敵は………あれは集束魔法でしょうか?正直、ちょっとマズいですね。これでは防御すらままなりません。私がやるしかないみたいです。

 

「少し強引ですが………やってやれないことはありません」

 

集束魔法の砲撃が放たれ、この体の持ち主が目を閉じた瞬間、私は体外へ。

 

「魔力解放、聖王の鎧っ!」

 

そして私は聖王なる私の代名詞でもある聖王の鎧を発動。その強力な障壁によって集束魔法は二股に分かれ、そのまま海へと直撃して2つの大きな水柱を上げました。

 

「皆さん、大丈夫ですか?」

 

私は後ろへ振り返ります。

 

「遅くなってすみません。私はオリヴィエ。オリヴィエ·ゼーゲブレヒトと申します。刹那の指示であなた達の援護に参りました」

 

───side out

 

 

 

 

 

 

 

 

───side アリシア

 

オリヴィエ、と名乗る女性………ううん、良く見たら背丈は私より少し高いくらいで多分年齢も見たところ私達と大差ないと思うから女の子って言うべきかな。

 

「えっと………ありがとう、ございます?」

「どういたしまして。ちょっと待ってくださいね。このバインド、砕きますから」

 

オリヴィエさんは私達を縛るバインドを掴むとぐいっと引っ張り、それだけで破壊。力技ですが、アンチェインナックルのような強引さは無く、魔力運用としても繊細なものがあります。

 

「そちらのお2人は大丈夫ですか?」

「ぁ、はい。これくらいなら、なんとか大丈夫です」

「私も大丈夫ですけど………お姉ちゃんはそろそろ魔力が………」

「へーき、へっちゃら………っ」

 

なのはとフェイトは自分のことよりも私のことを心配してくれて。強がってはみるけど、魔力の枯渇はどうしようもなくって、飛行魔法すら不安定でオリヴィエさんに支えられる形になってしまいます。

 

「無理、しないでください。こんなこともあろうかと、刹那は私をこっちに寄越したんですから」

「こんなこともあろうかと?」

「私のリンカーコアを使ってください。今の私は融合騎のようなものなので、私が内部で適合させます。少し…数分かかるので………ぇっと、皆さんの名前を教えていただけますか?」

 

オリヴィエさんは私と融合して私に自身のリンカーコアを適合させる、と言います。

同時に私達は唐突に名前を聞かれてオリヴィエさんへ答えました。

 

「なのはさん、フェイトさん。数分………いえ、1分の間、アレの相手をお願いしても?」

「「わかりましたっ!」」

 

なのはとフェイトはそう返事をすると同時に、夜天さんに向けて突撃していきました。

 

「さて、アリシア。私達は私達のすることをしましょう?」

「ぇっと………わかりました!ユニゾン………」

「「イン!」」

 

オリヴィエさんが私の中へ溶け込み、早速適合させていっているのが私にもわかる。枯渇していた魔力がどんどんと回復し、力がみなぎる。

 

「さすがに私の全魔力を受け渡すのはアリシアの負担になるので辞めておきますが………そちら基準でS相当くらいで宜しいですか?」

「そんなにっ!?オリヴィエさんは大丈夫なんですか!?」

「大丈夫ですよ。それでもまだまだ残りますから」

「ふぇぇ………」

 

あれ?でもオリヴィエって名前どこかで聞き覚えが………

 

「アリシア!適合完了です。行けますよ!」

「ありがとうございます、オリヴィエさん!」

「馴染むまでは私が中で調整します。好きなように暴れちゃってください!」

「わっかりました!」

 

オリヴィエさんに元気と魔力をもらい、なのはとフェイトの援護へ飛び立ちました。

 

刹那もあの中で頑張ってるんだ。私だって!!




初!10000字突破ぁぁ!!長かったです。疲れました!

個人的にオリヴィエも出してあげたくて(個人的な趣味)半ば無理矢理な流れだったかな、とも思います。
オリヴィエの格好は分かりにくければVividのコミックを読んでみてください!
ちなみにシュトゥラの物語でエレミアやクロを出していないのはわざとで、ぶっちゃけ出したらカオスになるかと思って出しませんでした。

さて、(多分次回くらいで)ユーノの反応が楽しみだ(((

では、感想や評価があればよろしくお願いします!
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