育成途中の第二艦隊に件のクリーブ入れて加賀掘りかねてレベリングの真っ最中でございます。
それは置いておいて、次話でA’s編完結っ!次々回から次章へ移りたいと思います。それではどうぞっ!
───side フェイト
───アースラ内医務室
「ねぇ、アリシア。あんた、本当にあの作戦に納得してるの!」
私達が刹那に言われてアースラへ転移してすぐ。私達は医務室へ運ばれ、怪我の治療を受けています。
そんな中、治療を早々に終えてベンチで俯いて座っているお姉ちゃんに私の使い魔、アルフが食ってかかりました。
「あたしはしないよ。あの場は刹那の勢いに押されちまったけどさ、でもおかしいじゃんか!あんな危険な作戦認められn」
全く反応がないお姉ちゃんの肩を掴むアルフ。お姉ちゃんはアルフの言葉を遮る様に包帯が巻かれた手で肩を掴んだアルフの手を振り払い、早足で医務室から出ていきました。
「ちょ、ちょっと……!」
いつものお姉ちゃんらしくないその態度にアルフは唖然。けど、私にはお姉ちゃんの気持ちが痛いほどわかるな。医務室で治療を受けてるみんなも何となく察しているんだろう、無言を貫いている。
「アルフ、わかってあげて。あの作戦に反対したいのはお姉ちゃんも同じだよ。もちろん私だって………」
「じゃあ何でっ!」
「アルフだってわかってるんでしょ?現状あの作戦以外に私達に取れる手はないって」
「そ、それは………」
アルフだってわかってるはず。あの深遠なる闇の魔力を完全消滅させるにはアルカンシェル級の特大魔力を1点に集中させるしかない、それをするには囮と広範囲に広がらないように凝縮させる前線の魔導士がいる。そしてそれをするには現状刹那とリインフォース、オリヴィエの3人が残った魔力や負傷具合を見てもベストだってことを。
私はモニターに映された深遠なる闇と戦う3人の映像へ視線を向けました。
「出来るのなら私だって今からでも彼処に行って刹那を手伝いたいよ。でも、私が行ったところで足でまといになる。刹那とはほとんど関わりのない私だってそうなんだから一緒に暮らしてたはやてにシグナム、この世界の最初の友達のなのはだって。もちろん小さい頃から刹那と一緒にいたお姉ちゃんもね」
「………」
図星をつかれたんだと思うアルフはさっきまでの勢いが無くなり、さっきまでお姉ちゃんが座っていたベンチに力なく座り込みました。
「あたし達には信じて待つことしか出来ない………ってことか」
「うん。だから、今はお姉ちゃんはそっとしておいてあげよう?」
「………そうする」
───side out
───side アリシア
アルフに散々言われ、医務室を飛び出てきた私は行く宛もなくアースラの廊下を歩いていると気付けば艦橋の前に来ていました。私は少し戸惑いましたが、その扉が開くのを待ってから艦橋へ。
「………アリシアさん。治療の方は大丈夫なの?」
「怪我自体は軽かったのでもう大丈夫です。状況はどうですか?」
「正直、最悪って言っていいわ………今も3人が死闘を繰り広げてるけど………タイムリミットは残り10分を先程切ったわ」
「あの3人で………」
本当は私があそこに飛び込んで刹那達を………ううん、刹那を助けたい、支えたい、一緒に戦いたい。でも、それをすれば刹那の足を引っ張ることになるのは他ならない私自身が一番わかってる。守りながら戦うって、かなり分が悪いからね。
「リンディさん、1つだけワガママ………良いですか?」
「何かしら?」
それでも一緒に戦いたい。だって、刹那は諦めてない。モニター頭や腕から血を流し、グレーや黄緑の刹那のバリアジャケットは所々赤い物が滲んでいて痛々しい。けど、あの目を見たらわかる。刹那は最後の1分1秒まで絶対に諦めない。もちろんリインフォースさんやオリヴィエさんだって。
さっきまで落ち込んでたけど、そんな刹那達を見たら励まされたような気がして………1つ、私の頭に良い考えが浮かびました。
「アルカンシェルのキー、私に使わせてください」
「なっ!?」
突飛すぎることは重々承知。けど、刹那と一緒に戦うならそこは譲りたくないなって。あの場所に飛び込むことだけが一緒に戦うってことじゃない。でも、見ているだけってのも嫌。なら、こうするしかないよね。
「けど、アルカンシェルは」
「お願いしますっ!」
中々折れてくれないリンディさんに私は頭を下げました。数秒沈黙したあと、リンディさんが口を開きました。
「………わかったわ。チャージはもう完了してる。あなたのタイミングで撃ちなさい。今は………彼らを信じで待ちましょう」
「ありがとうございますっ!」
リンディさんからアルカンシェルのキーを借り、そのそばに展開していたタイムリミットを示すタイマーを一瞥。残り5分と少し。モニターを見ると岩の柱へ叩き付けられ、そして押さえ付けられて身動きを封じられた刹那の姿が映っていて………押さえ付けている深遠なる闇の右腕は闇を纏い、それが槍の切っ先のように形作り、刹那に向かって振り上げられていました。まさに絶体絶命。そんな状況でした。
私はとっさに音声通信をオン。大声で叫びました。
「何やってるの!!刹那ぁぁぁぁぁ!!!!」
───side out
一方の地上。つい先程深遠なる闇───長いので深遠と略します───と戦闘を開始。私、ヴィヴィ、リインフォースの3人だと全員前衛でフォーメーションもへったくれもない乱戦。しかし、私達は連携は忘れません。個々で好き勝手に戦って勝てるほど楽な相手ではないですから。
決戦を始めた時がタイムリミットまで約25分くらいでしたが、観測しながら戦うヴィヴィからの最新の情報だとあと10分程度とのこと。あと10分以内に深遠を無力化、アルカンシェルをここに落とさないといけない………しかし、私達は当然ながら苦戦を強いられていて、なかなか攻撃が思うように通りません。
私とヴィヴィによるクロスレンジでの連携打撃、そこに織り交ぜたリインフォースからのダガーや砲撃、これら全てを良いようにいなされ、決定打を与えられない。
深遠は言わばプログラム。しかも魔力は事実上ほぼ無限。一方私は生身であり魔力も限界があります。オリヴィエとリインフォースは生身ではないにしろ、魔力に限界があるのは同じです。長引けば長引くほどジリ貧なのは明らかでした。
私達は何度も何度も攻撃を仕掛け、そしてその度に何度も吹き飛ばされ………
「っ、あぁぁぁ!」
根性論でどうにかなる相手ではない、それはわかっています。
身体のいたる場所から血を流して力が入らなくなりかけている体に鞭を打ち、岩の柱に叩き付けられた体を起こした瞬間でした。
「がはっ!」
再び私の体に衝撃が走り、それが深遠に背後の柱に押さえ付けられたものだと気付くのに数秒時間を要してしまいました。
「っ………」
そして戦慄。槍の切っ先の如き形を作った闇を腕に纏い、それを私目掛けて振り上げていたのが目に入ったからです。これを食らえば致命傷、作戦続行は困難となり、この世界は滅びの一途を辿る………元々分の悪すぎる賭け、それの結末がこんなことで
『何やってるの!!刹那ぁぁぁぁぁ!!!!』
と、一瞬諦めが頭を過ぎった瞬間………アリシアの大声が私の耳へ飛び込んできました。
『帰ってくるんだよね!なら、そんなヤツなんて吹っ飛ばしちゃってよっ!』
「───っ!」
アリシアの音声通信と、ほぼ同時。深遠が声にならない声を上げ、闇を纏わせた右手を振り下ろしました。普通に考えたらもう回避も防御も間に合わない瞬間と間合い、そもそも体は押さえ付けられていて動かせない。しかし、何故かその深遠の動きが私にはスローに見えて………
ズガァァァァァァァァン
そんな爆音と同時に当たりが岩の柱が崩れた時の煙で覆われ、その瞬間何かがそこから飛び出して別の岩の柱へと叩き付けられる姿が。
煙が晴れるとそこに居たのは先程の攻撃を避けた刹那と、刹那の一撃によって岩の柱へ吹き飛んだ深遠。
「………少し、黙っててください。アリシアの声が聞こえないじゃないですか」
私は怒気を込めた眼差しを深遠へ向け、再び構えました。
私が今やったこと、それは深遠の攻撃が振り下ろされた瞬間に唯一動かせた脚で背後の岩の柱を破壊、背後へ回避した後に私の全エネルギーを込めた一撃を深遠の顔面へお見舞いというもの。
とはいえ、今の私には力だけで岩の柱を一撃で粉砕する攻撃も深遠を吹き飛ばす力もほとんど残っていない。なのにそれが出来た理由、それは
「明鏡止水………鏡花水月………まさか、クラウスの言っていた真に守るという意思が自分自身をも命の勘定に入れることだったとは………」
夜天の魔導書内でクラウスが使った人知を超えた超反応の明鏡止水、自身の出せる全エネルギーを余すこと無く一撃へ乗せる鏡花水月。
まさかクラウスとヴィヴィが言っていた『真の意味で守りたい、救いたいと思った時』と言うのがその対象に自分自身も含んだ時というのは予想外でしたが………自分で言うのも難ですが、確かに私は守るとよく言いますが、その命の勘定に私自身を含んだことは無い。例え自身を犠牲にしてでも守る。半年前にアリシアをアースラへ逃がした時もそうでしたし、夜天の魔導書の呪いからはやてを救うと豪語した時も私自身を犠牲にしてでも、と考えていました。
それではダメなんだ、と、気付かせてくれたのは先程のアリシアからの声援(という名の叫び)。命懸けでこの任務を遂行して、アリシアの元へ帰る。約束しましたからね、きちんと想いを伝えるって。
「ヴィヴィ、残り時間は?」
「ぃっっ………あと3分です。もう時間がっ!」
「だが、あと3分もある………だろ?」
「流石リインフォース。よくわかってます」
先程は深遠のせいで見えなかったですが、リインフォースとヴィヴィもやられていたのでしょう。別々の岩の柱へ叩き付けられた体を起こし、私の元へ飛んできました。
「ヴィヴィは聖王の鎧の障壁の準備をしてください。あれは、私とリインフォースで止めます」
「ですがっ!」
「大丈夫です。私は死にませんから」
「っ………わかりました」
今の私の言葉で私が明鏡止水と鏡花水月の境地に達したと察したのでしょう。ヴィヴィは前線から下がりました。
「リインフォース、ここからが正念場ですよ」
「わかっているさ。何、今の刹那とならあんなやつに負ける気がしない」
「では、私が先に行きます。援護をよろしくお願いします」
「承知っ!」
2、3リインフォースと言葉を交わして私は深遠へと突撃。私の最初の一撃は深遠の瞬間移動とも思えるほどの高速移動で避けられ、簡単に背中を取られてしまいます。そして頭を吹き飛ばそうとしているのか、右側頭部へ向けての強烈な蹴り。
先程の私なら反応すらできずに食らっていたでしょうが、今の私ならわかる。空気の流れ、深遠の動く際の防護服の布擦れの音………全てが私に情報をくれます。私は右手で蹴りを防ぎ
「リインフォースっ!」
「穿て!ブラッディダガーっ!」
私がそれを後ろへ向けて殴り飛ばし、そこへリインフォースが待ってましたとばかりに無数の真紅のダガーを浴びせました。
「鏡花水月………覇王断空拳っ!」
それによって出来た隙に私の全エネルギーを込めた断空拳。
鏡花水月は先程も言ったように乗せられる全エネルギーを余すこと無く乗せる一撃。全体重、全運動エネルギーetc..要はこれによって出される一撃はただのジャブですら最高効率の体当たりと化す訳です。断空拳の場合はそこに断空も乗るわけで、その威力たるや凄まじいものでした。
ようやく当てた決定打。そこから戦況はほぼ五分の一進一退。先程3分だったタイムリミットはもう1分を切り、秒をカウント。
「っ!?」
と、そこで突如立ち眩みが私を襲いました。それによって私はこの場面で決定的な隙を見せてしまい、それを見逃してくれる深遠ではありませんでした。
「明鏡止水………酷使し過ぎました………っ!?」
明鏡止水による神経伝達速度の飛躍的上昇に感覚器官の強化と現状に不要な情報の添削。それは自身にも多大な負荷で、その影響と受けたダメージによる出血による失血で起きた立ち眩みを起こしました。私が状況を理解したその時には目の前には深遠、そして私の脇腹に襲いかかる激痛。深遠の刃の如き手刀が私の左脇腹を貫いていました。
しかし、この世界の消滅まで秒を数える今、私にとってこれ以上のチャンスはありませんでした。
「………やっと、捕まえましたっ」
私は私を貫いたその腕を掴んで引き抜き、反対の腕も掴んで拘束しました。脇腹からは血が吹き出しましたが、気にする余裕はありません。
「封縛っ!」
両腕を封じられ、私を蹴りあげようとしてきた深遠はリインフォースのバインドによって脚も封じられます。私は機は熟したとばかり、真上を向き、遥か彼方上空へ向けて叫びました。
「撃てぇぇぇぇぇぇ!!!アリシアぁぁぁ!!!」
『発射ぁぁぁ!!!』
私とアリシアの叫びが重なり、程なくアルカンシェルが着弾。反応消滅を起こしながら広がる高濃度魔力波の1点凝縮により空間震すら発生。それにより、深遠なる闇の反応は完全に消滅。
幸い戦闘中域が海鳴の沖合まで移動していたことと市街地の復旧に当たっていたアースラ魔導士の働きによって海鳴を含む近隣の市街への影響はゼロだったそうです。
刹那の「アリシアの声が聞こえない」発言はイメージは鉄血の三〇月、アルカンシェルの発射は某鷹が不可能を可能にした後のローエングリンで大天使を轟沈させた時のイメージをしてもらえたらわかりやすいかなと思います。
前書きにも書きましたが、次の話でA’s編ラスト!ご期待下さいっ!
短いですが、今回はこれくらいで!
感想、評価あればよろしくお願いします!