魔法少女リリカルなのは 覇王を継ぐ者   作:八雲ルイス

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どもども、ルイスです。

モンハンワールドにハマっております。


第42話 特別認定試験

───同年 8月

 

リンディさんにコンタクトを取って以降、私は管理局員にならないかと誘われていました。リンディさんは6年前の闇の書事件の件で(アリシアの件を含めて)少なからずお世話になってますし、リンディさんも私のことを知っているのでなんとなく予想はしてました。

とは言え、実際に勧誘されてみても即答でOKとは言えず、少し考える時間を貰った私。最終的には空港火災で頑張っているアリシアやなのは達を見て、私も入局を決意。その件をレティ提督に告げたのが4ヶ月前。

空が飛べない私は必然と陸士訓練校へ入ることになるのですが、ここで問題が発生。今の私は目が見えない。それが一番の問題でした。理由は簡単。訓練校へ入るための認定試験には筆記があり、目が見えない私はそれを受ける術が無いからです。正確にはイリスの力を借りて一時的に視覚を得ることは可能なのですが、あくまでも一時的。具体的には長く持っても1時間が限度。燃費が恐ろしく悪いんです、これ。

今後入局した後は少なからずデスクワークもあることも予想できるので、イリスはこの術式の改善中。ただ、恐らく長くても3時間が限度だろうとのことです。

 

閑話休題

 

で、目の見えない私に取られた特別措置、それが特別認定試験。要は筆記試験の代わりに実技試験に現役局員との模擬戦を追加する措置。ただ、全体的な難易度は高くなるようで。私は2つ返事でそれを承諾。ついでに可能ならば、とその模擬戦相手にシグナムを指名。闇の書事件の際の模擬戦をする、という約束を果たせていませんからね。ヴィータにケーキを奢る約束もですけど………

 

「ふぅ………イリス、集中するのでシグナムが来たら教えてください」

〈はーい〉

 

試験の模擬試合の時間までもう少し時間はありますが、私は試験用のフィールド(訓練校のグラウンド)の脇にあるベンチに座り、目を閉じます。目が見えないので閉じる意味はありませんが。そして周囲の魔力探知を一時的にオフに。公式試合やこの手の結果の残る試合前は必ずやっていた瞑想。余計な雑念を排除し、試合へ全神経を向ける為の儀式のようなものです。

ちなみに余談ではありますが、今訓練校内では認定試験の筆記試験が行われていて、ウリエルやユーキはそちらにいます。

さて、シグナムとの初の模擬試合が楽しみですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side シグナム

 

「結局、当日まで相手が誰なのかわからないままだったな」

 

特別認定試験の模擬試合相手に指名されてから2ヶ月。今日がその試験日なのだが、今日の今日まで相手が誰なのかは、どんな戦い方をするやつなのか………その類の情報は入ってこなかった。いや、正確には教えられないとのことらしいが。

 

「ま、下手に私情を挟まれたり、こちらが対策を立てやすくなると余計に受験者に不利になるからな」

 

元々受験者に不利なシステム上、私に情報が回せない理由もわからないでもないし、納得もするが。

 

「ま、それもこれこら分かることだな。瑣末事だ」

 

気にはなるが、もう気にしても仕方が無い。私は頭の中でそう割り切って訓練校の門を潜り、グラウンドへと向かった。

グラウンドへ着てみると、仮説のテントがいくつかあり、その内の1つは長テーブルが設置されていて、マイクもある。試験官席と言ったところか。他はいざと言う時の救護班、イスに座った白のTシャツと黒の長ズボン(訓練校で使用する訓練着)の人がいる。恐らくあれが私の相手だろう。テントの影でどのような人物かはわからないが。

もう1つはイスやドリンクの置かれたテーブルがあるが、そちらは無人。恐らく私の控え席だろう。私はそちらのテントへ向かい、荷物を下ろした。

 

「せいぜい5分やそこらの試合にしては張り切っているな。主はやての小学校時代の運動会を思い出す」

 

曲がりなりにも試験だからな。形は整えておかないといけないのだろう。等と考えながら準備運動をしていると人が近寄ってくる気配がした。試験官ではないな。対戦相手か。

 

「本日対戦相手に指名されたシグナムだ。よろしk」

 

私は準備運動を一旦やめて挨拶をしながら立ち上がった。が、すぐに言葉を失った。

 

「お久しぶりです、シグナム。6年ぶりですね」

 

6年前、闇の書事件の最後に空間震に巻き込まれて消えた刹那·ストラトスがそこに立っていたからだ。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈シグナムが来たわよ〉

「ん、わかりました」

 

イリスの声掛けで私は目を開け、同時に魔力探知も入れます。確かにシグナムが来てます。挨拶、した方が良いですよね。

私はベンチから立ち上がり、シグナムのテントへ向かいました。シグナムのテント下へ入ると準備運動をしていたシグナムも私に気付いたのか、立ち上がります。

 

「本日対戦相手に指名されたシグナムだ。よろしk」

 

そして私の顔を見て顔を引き攣らせ、言葉を失いました。

 

「お久しぶりです、シグナム。6年ぶりですね」

 

私は構わず挨拶しますが、シグナムは固まってしまって言葉が出てこない様子。

 

「2人とも、もう大丈夫か?可能ならすぐにでも始めたいんだが」

「ぉ、はい。わかりました」

 

助け舟のつもりか、たまたまなのかはわかりませんが、そこに試験官から声がかかります。もうすぐ始めると言うので私はシグナムへ背を向けテントへ戻りました。

 

「刹那!」

「………?」

 

と、数歩歩いたところでシグナムに呼び止められ、私は立ち止まりました。

 

「………貴様が相手だと言うのなら、加減はできんぞ」

「大丈夫です。元より求めてません。あの時の約束も果たせてませんからね」

 

私は振り返らずにシグナムへ言葉を返し、そのままテントへ戻っていきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side シグナム

 

唐突なかつての戦友………もとい家族の刹那の登場に戸惑ってしまったが、なんとか平常に戻れたな。

 

「しかし、かつての刹那とは様子が違っていた………」

 

先ず刹那は話す時は目を見ていた。しかし、今の刹那にそれはない。いや、意識は向けてくれているのだが、目の焦点が合っていない感じがする。見られているのに見られていない感じがするのだ。魔力も以前から若干ながら変質していた。それにヤツの右袖だけ不自然に切られていた。半袖Tシャツなので左の袖は普通にあるのだが、右袖だけカットされてノースリーブ。何があるというんだ?

それに私が知る刹那ならこの特別認定試験を受ける必要はないはず………

 

「目が見えていない………?だとするとこの6年で一体何が………今気にしても仕方ないか」

 

そもそも帰ってきているのならなぜ顔を出さなかったのか問い詰めたいところだが、恐らく今私の感じた違和感に答えがある気がする。

私は相棒(レヴァンティン)を手に取り、グラウンド中央へ向かった。そこには既に騎士甲冑の刹那も来ていて、ルーティンをしている。Tシャツ同様、右腕だけノースリーブなのが気になるが。

 

「あの刹那が相手だ。心が踊るな」

 

しかし、それ以上にかつて共に戦った刹那と戦える。その事が私は楽しみで仕方なくなっていた。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅー………」

 

騎士甲冑に換装して所定の位置にたった私は大きく深呼吸。同時に腕を腰の前あたりでクロスさせて頭の上まで上げる。そこから大きな円を描く様にゆっくりと左右から腰の横まで腕を下げ、手のひらを前に向けて重ねて突き出す。最後に左足を下げて半身になりつつ左腕を腰まで下げて私のルーティン終了。これも試合前の儀式の一環。利き手を右から左に変えた影響で最後の構えが以前と比べて左右逆ですが、それ以外は変わらない私のルーティン。これをすると集中力が高まっていいんですよね。

 

「構えが以前と左右逆だ。何かあったのか?」

「まぁ、色々と。後で話しますよ。今の仲間も紹介したいですし」

「む、それは楽しみだ」

「双方、私語はそれくらいにして。そろそろ始めるよ」

 

私とシグナムで少し言葉を交わしていると試験官に止められ、模擬試合の方へ頭を切り替えます。シグナムも深呼吸をしてから愛剣のレヴァンティンを構えました。

 

「制限時間は5分。飛行魔法の使用は禁止。刹那·ストラトスからの要望により魔力リミッター等のハンデもなし。勝敗は直接結果に影響せず、立ち回り、判断力を主に審査することを念頭に置いてほしい」

「わかりました」

「心得た」

 

そして試験官から簡潔にルール説明。どことなく私が負けることを前提にしているのが気になりますが、状況から見て仕方ないでしょうね。

 

「それでは特別認定試験模擬試合………開始!」

 

ドワァォォァン!

 

どこから持ってきたのかドラムの音が鳴って模擬試合のスタートを告げ、それと同時に私とシグナムは地面を蹴って加速。

 

「紫電一閃!!」

 

密着するや否やシグナムは得意の炎熱変換を使った縦斬りを繰り出します。私はそれを右足を軸にしたスピンで避け、その勢いで左の裏拳でシグナムの頭部を狙います。が、シグナムもそれを読んでいたのか紫電一閃を振り下ろした勢いで状態を低くして回避。ここまでは私の読み通り。

 

「右腕武装化!ディザスターヒート!!」

 

体勢を低くした、ということはその分の視野は狭くなります。それを見越した私はシグナムの死角からブラストクロウ·レプカによるディザスターヒートをお見舞い。シグナムは咄嗟に防御して直撃だけは避けて距離を起きます。

 

「砲撃………だと!?」

「本家のはもっと高威力で射程も長いですよ。私のは近距離炸裂砲撃のようなものですから」

「それも先程言っていた仲間か」

「今は一緒ではないですけどね」

 

以前の私にはなかった不意打ちを受けて若干とはいえ戸惑うシグナム。また少し言葉を交わしてからまた剣と拳でぶつかり合いを始めます。

左腕の神風流と右腕の爪による斬撃や防御、たまに近距離砲撃を織り交ぜつつ攻めますが、やはり歴戦の猛者たるシグナム。なかなか攻めきれません。

 

「やはり、シグナムは一筋縄ではいきませんね」

「褒めても加減はせんぞ?」

「先程も言いましたが、求めてませんよ」

 

私は一度距離を取って構え直します。

 

「イリス、フォーミュラ!」

〈オルタはダメよ?まだ刹那用のシステム構築が出来てないんだから〉

「わかってます。それ以外で行きますよ」

〈仕方ないわね。システムフォーミュラ、ドライブ!〉

 

今までは古代ベルカのみで戦っていましたが、ここでもう1つの私の使う魔力形態、フォーミュラを解放。とは言っても私のフォーミュラはほぼ付け焼き刃。アミタやキリエと違い、使っている時間が圧倒的に短いのである程度の魔法をヴァリアントアームに読み込ませてあってそれを私の体を媒体にして使う方式をとっています。そもそも私の体内のナノマシンは天界で使ったあれのみで、その時に打ち込んだ右腕はもう無いので微量しか今はありません。なので、ヴァリアントアーム内を循環している少量の専用ナノマシン(当然ながらアミタやキリエのそれとは別の性質)を私の魔力と混合させて運用します。魔力そのものが少ない私にとってなかなか貴重なエネルギー源だったりもします。

そのフォーミュラを起動した私の足元にはミッド式に似た円形の魔法陣の外側四方に爪のようなエフェクトの付いたフォーミュラの魔法陣が展開。同時にヴァリアントアームの手の甲のコアから肩まで通ったラインが緑に輝き始めました。

 

「なんだ?その見慣れない術式は」

「この6年………正確には4年ほどで習得した術式です」

 

シグナムも4年前の(イリスから聞いた話では)砕け得ぬ闇事件で見たはずですが、当時の記憶封印で思い出せないのでしょうね。

 

「空破断!」

「っ!」

 

そこから私は左腕で空破断による衝撃波を放ちます。もちろんフォーミュラによる強化が乗っているので今までよりかなり強力になっています。シグナムはそれを防御しますが、数メートルほど後ろへ後退。

 

「レヴァンティン!!カートリッジロード!!」

〈explosion〉

 

それを見て目の色が変わったシグナムはレヴァンティンを剣から連結刃へ変形。

 

「飛竜一閃!!」

「斬空破ぁぁ!!」

 

シュランゲフォームによるシグナムの中距離攻撃と私の斬空破が激突してその衝撃で砂埃が巻き上がります。私は目を閉じ、その隙に旋風脚で加速して一気に接近。

 

「神風流……裂空拳!!」

「紫電……一閃!!」

 

巻き上がった砂埃の中で私とシグナムの攻撃が再び激突。ちょうど私がレヴァンティンの刃面を左拳でぶん殴る形になっています。当然魔力でコーティングしてあるので切れることはありませんが。

その私の左腕はバリアジャケットが肩口から先が吹き飛び、シグナムは右手首に装着してある装甲が吹き飛ぶ結果に。

 

ドワァォォァン

 

そこで再びあのドラムが鳴らされて試合終了のお知らせが。それから私はすべての構えを解いてフォーミュラも解除。右腕も普通の義手へと武装を解いてシグナムに一礼。シグナムもレヴァンティンを仕舞ってから一礼。お互いのテントへと戻りました。

その後はそこで少し休憩し、試験官から今後のことを聞いてから更衣室で私服へ着替えました。そうこうしているうちにユーキ達の筆記試験も終わって合流。着替え中に、シグナムから来たメッセージに近くの喫茶店で待っているとあったので3人でそこへ向かいました。

そこでは約束通りエルトリアで何があったのかをユーキとウリエル、イリスの自己紹介を交えつつ、当たり障りの無いように掻い摘んで説明。天使云々や聖杯云々等の細かいことは言っていません。下手をすればロストロギア云々の面倒ごとになるので。あと、シグナムにかけてある『砕け得ぬ闇事件』に関する記憶の封印もイリスに頼んで解除。その方が都合がいいですしね。

 

「あとシグナム。出来れば私達のことは………」

「主やその友人達………いや、誰にも口外するな、だろう?」

「はい。ウリエルやユーキのことは兎も角として、私の身体がこんなこと(盲目で隻腕)になっている上にリンカーコアまで重度の損傷をしていると知られれば」

「余計な心配をかける、か」

〈リンカーコアの治療自体は順調だから、今日の試験に合格すれば陸士訓練校に入って無事卒業するくらいには治るみたいだけどね〉

 

エルトリアで4年、こちらで2~3年と考えるとかなり重症だったと実感します。だからこそ、今は皆に会うわけにはいかない。今日の模擬戦レベルの魔導行使は問題ないですが、またエルトリアでの事例や闇の書事件のような自体になればリンカーコアは耐えられない。だからこそ、皆のところに戻るのはそれが治ってから。そう決めています。もっとも、イリスの言うようにちゃんと完治しても後遺症は残るとか。少なくとも飛行魔法は二度と使えないみたいです。

 

「つまり、フォーミュラは………その損傷したリンカーコアに無理をさせないための強化用術式というわけか」

「本来の用途は違いますけどね。私のそれはシグナムの解釈で構いません」

「なるほどな」

 

さて、と話に区切りをつけてから席を立つシグナム。代金は私が払おうと申し出ましたが、呼び出したのは私だからと言われて引き下がりました。

 

「ぁ、そうだ。1つ聞いておかねばな」

 

見せから出て別れようというところでシグナムに再び呼び止められる私。

 

「主達にお前のことを聞かれたらどう答えれば良いだろうか?流石に名前を知らないのは不自然すぎるだろ?」

「確かに。それならハルオーネと。ハルオーネ·イングヴァルドと言えば恐らく私とはわかりません」

 

クラウスをクラウス·G·S·イングヴァルドと言うなら私はハルオーネ·S·S·イングヴァルド。クラウスは普段クラウス·イングヴァルドと名乗っていたのを考えれば私のこの名前は本名かつ今まで名乗ったことのない名前なので都合が良いのです。

 

「なるほどな。そういう風に言っておくよ」

「ありがとうございます、シグナム」

「なに、こちらこそ」

 

そう言い残してシグナムは今度こそ私と別れ、行ってしまいました。

ちなみに試験結果は私を含め3人とも無事合格。私の場合史上初の特別認定試験のクリア者ということで少し話題になったそうですが、それはまた別の話。




というわけで(どういうわけだ)今回は短いながら模擬戦回でした。シグナムとの約束………というか忘れてた伏線?回収です。いつかヴィータにもケーキ奢らなきゃ

刹那の本名、もしかしたらアリシアあたりは感づきそうですね(((

感想などあればよろしくですよー。
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