ホグワーツと天才美少女錬金術師☆   作:上帝

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年始で時間が出来たので


ある魔法魔術学校校長は

 

 

 

「ホグワーツ魔法魔術学校校校長。就任おめでとう、ダンブルドア。そしてホグワーツの校長となった君に最初に伝えることがある。錬金術師カリオストロは、決してホグワーツの外に出してはならぬ。良いな?」

 

 ワシがホグワーツの校長として就任して、前校長から最初に教わったことがこれじゃった。

 錬金術師カリオストロ。1000年の時を生き、自ら不死を証明する生きる伝説。ホグワーツ創設者の『協力者』。それが今までのワシが知りうる彼女じゃった。

 

「確かに、今でこそ錬金術を教えるという『教師』の役目をカリオストロは全うしておる。だが、それは誓約によって縛られているから行っているだけなのだよ」

 

 

 ホグワーツの校長にのみ、代々引き継がれるホグワーツ魔法学園の真実。

 ホグワーツは数多の魔法使いを育てる場所であると同時に、『悪魔』を捕らえておく『牢獄』であると言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 過去を遡ること、それはホグワーツ創設の時代。

 

 偉大なるホグワーツ創設者たちは、偶然にもカリオストロに出会ったという。魔法界にて彷徨っていた彼女は、全く信じられぬと思うがこの世界の魔法を一切知らなかった。

 そして、創設者たちを持ってしても彼女の出自はわからなかった。本人曰く、長い封印の間で飛ばされたと言っておった。詳しくは語らぬとも、同じ世界の住人ではないということくらいは分かる話じゃった。

 

 

 創設者たちと出会った彼女は魔法を知り、取引をした。己の知る錬金術と、魔法の知識を交換しないかと。

 枯花が水を得た如く。彼女は見る間に知識を吸収し、魔法を会得した。一方の創設者たちはカリオストロが出す錬金術に難色を示していた。

 

 

 知識としては分かる。ただし、それは人の倫理を侵すものだ。

 

 

 程なくして、魔法界はカリオストロの知識を『悪魔』の知識とした。そのことを受けた創設者たちは彼女を放置することを良しとしなかった。それは彼女から人々を守るためか、それとも人々から彼女を守るためか。今ではそれを知るものもおらぬ。

 

 

 カリオストロは開校して間もないホグワーツへ入った。創設者たちがどのような手を取ったかは定かではないが、彼女はこのホグワーツで教職を取ることを責務として与えられておる。

 

 

 ただしそれは呪いであり、彼女の魂を束縛するもの。

 

 

 肉の器だけでなく魂すらも縛る呪いによって、彼女はホグワーツからの出入りが完全に不可能となっている。とはいえそれは呪いによる誓約であり、完全ではなく抜け道もある。

 完全にホグワーツを出入りできない状況では、カリオストロの知識を生かしきれないのは事実じゃった。故に、ホグワーツの校長は彼女に出入りの許可を与えられる。ホグワーツの校長は代々、カリオストロの呪いの管理を引き継いでおった。

 

 

 しかし、それは同時にホグワーツ校長だけは彼女に気を許してはならないということでもある。

 

 

 先の通り、人の倫理を屁とも思わぬ彼女である。本気でかかれば人ひとりを操ることなど造作も無いじゃろう。

 だからこそ、気を許してはならない。彼女の人格は間違いなく破綻者であり、秩序を混沌に変えてしまうことは造作もないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねーえー、ダンブルドアおじいちゃん。今暇ー?」

 

「ホッ?おや、カリオストロ。少し待っておくれ、この書類だけ終わらせたら向かうでな」

 

 校長室にて執務を行っている際に、気のしれたふうに彼女が入ってきた。

 合言葉を変えたばかりのはずの門番が素通しなのは、もはや魔法生物という時点で彼女に逆らえるわけが無いとも取れる。

 

「さて、珍しいの。何ぞあったのかの?」

 

「んもー、見て分かんないの?ハロウィーンだよ、ハロウィーン!」

 

 よくよく見ると、カリオストロはいつもの装いからカボチャを意向を凝らした衣装に変わっておった。小脇に抱えた戦利品を見るに、ここに来るまでの道中で生徒からも巻き上げてきたらしい。

 ワシは懐を弄り、常備していた飴を取り出そうとして、その前に一言彼女に言った。

 

「おお、そうじゃの。お菓子かイタズラか、どっちが良いかの?」

 

「……それ、こっちが言う方じゃないかな?ダンブルドアおじいちゃん」

 

「カリオストロ先生に比べれば、ワシなぞまだまだひよっこじゃからのう……カリオストロ先生からはお菓子はくれないのかのう。寂しいのう」

 

「えっ。あ、えーっと……ちょっと待って用意はしてあるからな、忘れてきてるわけじゃないぞ」

 

 ごそごそとポケットの中を探し始めるカリオストロ。

 意外と彼女は律儀であり、もらうだけの関係を良しとしない。錬金術における等価交換を原則としているのかは定かではないが、貰った分は返すというのが彼女の主義らしい。ただし、ここに奪った場合は含まれないのが玉に瑕じゃが。

 

「はいよ、トリックオアトリート。じゃあダンブルドアおじいちゃんからもちょうだい☆」

 

「トリックオアトリート。じゃあワシからはこの飴ちゃんじゃ」

 

「わぁ、いつものだ」

 

 飴をもらうやいなや、口に放り込んでカリオストロは真面目な顔になる。

 

「なあ、アルバス。やっぱりまだダメか?」

 

「錬金術の授業は6年からじゃ。こればかりは譲れぬの」

 

 これでも大譲歩じゃよと付け加えて、ワシは彼女にそう言った。

 

「やっぱり時間が足りないよなぁ。短い時間でオレ様が今節丁寧に教えてやって、ようやく踏みかかりに入ったところで全員巣立っちまうんだ」

 

「じゃからと言って1年次から錬金術を教えるのは容認できんの。魔法のまの字も知らぬ子供たちでは、錬金術を教える前提にすら届かぬよ」

 

 歴代の校長にも彼女は言ってきたらしいのじゃが、彼女は錬金術学を早期に開講することを申し入れておった。

 彼女に言うとおり、魔法の前提知識が無いと錬金術学は難しいというのもある。しかし、彼女の教え方にも問題があるのは事実じゃった。

 

 校長になってから聞き及ぶ範囲でも、彼女の教え方はまったく変わっていない。その思想は染み込みやすく、いとも容易く人を変えうる。青年期で最低限の自立した精神があるならばともかく、少年期で彼女に多く接した時に何が起こりうるか。

 魔法界には魔法界の常識があり、それを破らないからこそルールが保たれる。容易くそこを乗り越えてしまう者が現れてしまったら、秩序の崩壊が待っていることは想像に難くない。

 

「ちぇー、ダンブルドアおじいちゃんのケチー」

 

「心外じゃのう。ほれ、もう一つ飴ちゃんを追加じゃよ。これで機嫌を直しておくれ」

 

「そんなんでオレ様の機嫌がすぐ治るとでも。んっ、なんだこれ、しゅわしゅわする」

 

「最近手に入ったマグルの飴ちゃんじゃよ。これが結構刺激的での」

 

 初めて食べたのか、不可思議な顔をするカリオストロ。外見相応に百面相をする彼女は愛おしく思う。

 外見と違い、中身の方はと言うと。ワシが知る限りでは生徒のことは考えておるし、そのためなら彼女も労力を惜しまない。律儀というべきか、彼女は生徒自身が投げ出さない限り、教えることを止めたことはない。

 長い年月をかけて変わったかは知らない。しかし、今のカリオストロは『悪魔』などではなく、れっきとした教師じゃ。その点から言って、ワシは彼女のことを信頼していたと思う。

 

 

 

 認識が甘かったといえばそれまでになる。彼女自身の動向だけに目を向ければ良いというものでもなかったであろうに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 死喰い人を名乗る魔法使いたちが現れ、魔法界を荒らし回ったのは記憶に新しい。

 頭目たるヴォルデモートが消失してからも、事態の鎮静化を果たすのには長い月日がかかった。ヴォルデモートを破った赤子が、その後も死喰い人に狙われてしまう程度には事は根深かった。

 幸いにも、生き残った男の子……ハリー・ポッターはその母、リリーによって護りの魔法をかけられておった。死喰い人の襲撃が継続するというのならば、赤子の、ハリー・ポッターの命も危うい。ワシはこれを継続できるように魔法を改変し、そしてハリーの叔母たる者に預けた。後は魔法界の死喰い人を対処できれば問題なく事態は終わる。

 

 はずじゃった。

 

 

『魔法省より、ホグワーツへ!多数の死喰い人を育て、あまつさえ闇の帝王に魔法界の転覆をそそのかした魔女、錬金術師カリオストロの魔法省出頭を命ずる!!!』

 

 

 今回の騒動における、主たる魔法使いたち。死喰い人。その過半数が錬金術師カリオストロの授業を受けたものであると、魔法省が表明を出してしまった。

 彼女の授業が思春期の青年に影響を及ぼすことは分かっていた。しかし、今回の騒動は強烈な先導者がいたからこそ起きたことである。しかし、それが分かっているのはごく一部のみ。

 闇の魔法を間接的にでも教えて、あまつさえその教えた人物が大勢の人々に危害を加え、時として命を奪った。教えなければ起こらなかったことであると。糾弾するなと誰が言えよう。

 

 

「ガラにもなく、オレ様が真面目に教育なんざした結果がこれだ。これでも別に悪くないかと思ってたんだが……まあ、生徒の不始末は先生がとるもんだろ」

 

 

 カリオストロの裁判は有罪で終わった。

 

 ホグワーツ校長として、彼女を連れ回す役目を持つワシも裁判に同席した。裁判中、カリオストロが本物なのか偽物なのか議論が移ったりもしたが、カリオストロの審議自体は最初から決まっていたかのように進んだ。

 

 執行の内容は最高刑。吸魂鬼のキスによる魂の剥奪じゃった。

 

 有罪が最初から決まっていたからなのか、法定にはすぐさま吸魂鬼が連れてこられた。カリオストロは両手を縛られてはいるが、受け入れるつもりなのが身じろぎ1つ起こさない。が、吸魂鬼が迫ると同時に。

 

 

「オレ様の唇を奪うなんざ、まず存在を書き換えてから出直して来い!」

 

 

 彼女がそう言うと同時に、吸魂鬼の姿は可憐な美少女へ変貌していた。法廷内に戸惑いと困惑が生まれたが、最も困惑していたのは吸魂鬼だろう。

 

 

「ま、これくらいなら許してやるか……んっ」

 

 

 その吸魂鬼へ自ら唇を重ねたのはカリオストロ。姿形が変わっていようと、吸魂鬼の機能は変わっていない。魂の剥離と同時に、人形のように彼女の体が事切れる。それと同時に、ワシにも変化があった。

 それは彼女の呪いが消えたこと。ワシの権限において連れ回すという文言が書かれていた誓約書も、青い炎に包まれて燃え尽きた。

 

 

 

 錬金術師カリオストロは最高刑執行により廃人化。これが魔法省による公式記録である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んー、自由に外を歩けるっていうのはやっぱ良いな。あの忌々しい呪いも吸魂鬼に剥奪してもらったし」

 

 ロンドン郊外に、一人の美少女が大きく伸びをしながら歩いている。

 その可愛らしさに注目が集まろうとも。それが当然と言うふうに彼女は意に返さない。古ぼけたマップを頼りに、彼女はある家まで突き進んだ。

 

 

 その家の庭には、二人の少年がいた。小太りで身なりの良い少年と、痩せっぽちで貧相な少年。

 目当てが見つかったのか、薄い笑みを浮かべた美少女が歩き出す。小太りの少年が美少女に気づき、こちらに来るのかと照れ顔を浮かべた。

 そんな少年を眼中にも入れず、いじめられていただろう蹲っている貧小な少年に、美少女は声をかけた。

 

「お前がハリー・ポッターだな?」

 

「……君は?」

 

 突然のことに、少年が返せたのはそれだけ。

 それでも、少年は彼女の姿はしっかりと目に捉えていた。いや、目が離れない。離れることを許さなかった。

 

「オレ様の名前はカリオストロ。今日から、オレ様がお前の先生だ」

 

 

 

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