東方酩酊宴 Crows Ogres and Phoenix   作:みたらしりんご

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後編は全然すぐじゃありませんでした


第四話中編「全力スチール」雛罌粟雅・アルギュロス

眼前の銀色の私が一本の騎士剣を自分の体から取り出し、構える

ふんとため息を吐く

 

「その嘗めた態度は高くつくぞ」

 

パンッと銀色の上半身が弾ける、渾身の正拳、やわらかくはないが、あれはただの金属だ。

が、すぐに相手は形を戻し、左下段から剣の振り上げは体を逸らして避けられる

 

「はぁ」

 

そのまま振り下げようとする腕をつかむ

 

「力、速さ、反応、どれも私には遠く及ばない、勝ってるのは体重だけか?私はそんなに弱くはないぞ」

 

掴んだ腕を砕く

銀色の私が笑い、右目代わりにはめ込まれた赤いビー玉が光る、そしてそれは霧散する

 

「最初からそうしろっての」

 

無数の騎士剣が私を囲み、目の前には金属の人型が現れる、霧散した金属から生成された人型と騎士剣を見るに・・・

 

「ただの形の変わる金属じゃないな、質量すら変わってる、なんだお前は」

 

鉄人の赤い片目が光る、私を囲む無数の剣が私をめがけて発射される、対して私は素手、すべていなすか?できないことはないな、だが、もっとわかりやすくだ、空に私の妖力を霧散させ、形を崩れにくくし(掴みやすくし)、空を掴み、空を引っ張る、引っ張られた空は空を引っ張り、引っ張られるがままに吹き荒れる、遊ばれるカーテンのように。

 

「暴風『スカイカーテン』!」

 

そして私は暴風のカーテンを纏い、迫りくる無数の剣をなぎ払う、なぎ払われそこらに散らばる剣は次は一本や二本ずつ攻めてくる。それはいかんよ

 

一本目、キャッチして強化を施し、二本目三本目を弾く、そして四、五、六、と弾く、七、八、九、十の四本が私を囲むように飛んでくる、が、弾ける、十一、十二、十三、ああもう、とりあえずたくさん飛んでくる、がすべて弾ける、いい鋼だ、まだ壊れない。

 

「おっと」

 

私の剣だけが没収される

 

「んじゃ反撃」

 

今、既に、声とともに、私は迫る、拳は鋼の上半身を砕く

 

「天狗を相手取るときはまずどうにかしてスピードを殺すべきだ、さっきみたいな包囲を続けるとかな」

 

ただの包囲ではだめだということはさっきの包囲で知ったはず、さてどうする。

上半身を即時再生するが

 

「んじゃもっぱつ」

 

拳を打ち込むが

ずぶり

鋼の体が私の腕を飲み込んだ、こいつはやばい。

 

「形態まで自由かよッ!」

 

即座に引き抜く、が鋼の体から鋼が伸びでて腕に絡まりついたままどこまでもついてくる、引きちぎれやしない、不覚、これはヤバい、質量まで自在とすると、すぐに全身を飲み込まれるだろう、どうする、どうする、どうする。焦るな焦るな考えろ、液体の鋼からどう逃れる、全力で踏み出せば振り切れるか?いいや無理だ、逃げるだけならできるだろうが、殴ればまた同じだ・・・・・

 

ん?液体?

 

すぶり

 

腕に絡まった鋼が私の全身を飲み込んだ。

 

そうか液体なら、壊せる

 

卵状の私を包んだ液体の鋼の流動が止まり、ぼろぼろと崩れだす

 

「便利だな、私の能力は」

 

さっき気体を掴みやすくしたように私の妖力を全力で流せば液体を擬似的に固体のようにできるそして結合に差異が生じるように満遍なくではなくあえてまばらに流せば、液体は流れるのをやめ、留まり、留まれば、崩れる

 

首に掛けたネックレスの宝石が発光する

 

液状の鋼の刃が人形から伸び私を囲む、切り離さなかったのは考えたな、これじゃあ風じゃ払えない

 

「これ以上不覚はとれないからね、出し惜しみは無しだ」

 

刹那、雅が消え、液状の刃が飛び散る

 

「真刃 『(から)』 初式刀形 ”春紅葉 ”。刀だったら水だって空気だって斬れる」

 

膨大な、空を集め、空を纏め、空を(わたし)が鍛え、空に銘を刻んだ、(から)の妖刀

 

「私の前ではこの空中に満ちる空気でさえ武器なんだ、どうする?降参ならまだ受け付けるぜ」

 

返事は私を囲む剣だった、とびちった刃もそのまま刃の形を取り直し私を囲む、固体と液体の刃を混ぜ、そして人形自身からも刃が伸びる

 

「んなら」

 

「倒す」

 

雅風『春一番』

 

囲む刃をすべて切り刻み、人形の眼前に迫るが。

 

ガンッと鈍い音が響く

 

「ったくてめえ・・・・」

 

妖刀で斬れない、鋼の球体、人の形はやめたらしい

 

「なんなんだッ」

 

決して私の刀がなまくらというわけではないだろう、私の春紅葉は魂魄のところの極致の二振りには劣るが切れぬものなどほとんどないとは自負している、この空の刃に限って切れ味が落ちることなんて無い、が、こいつは斬れない、質量も形態も、硬度さえも自由自在ってのか?本当になんなんだこいつは。

 

「ほら、攻撃を止めない」

 

と後ろから声が聞こえた

ああクソ、かっこ悪いところを見られた

 

「だぁッ、わぁってるよ!」

 

ガンガンガンと斬りつける、球体から伸びる剣や鎖を避けつつ、斬りつける

 

「そ、貴方はそれでいいのよ、攻撃を止めず、思考を止めず、強者として生まれ持った理不尽な力も、弱者として積み上げ張り巡らせた知略も、時にはその場で得る経験でさえ、即時に活用し、勝つまでそれを続ける、そうでしょう?」

「ああ、そーっだよッ!」

 

ガンガンガンとまた数度響く、ただ打ち込んでいるわけではない、同じところに、全く同じところに攻撃を集中させる

 

「春一番派正『春風満帆(しゅんぷうまんぱん)』!」

 

距離を取り、最大速度の突撃の最大速度での連続

 

「そろそろッ壊れろ!雅風『天狗颪』!」

 

速度を乗せた全力で振り下ろす一撃、それでも壊れず、刀にひびが入る

 

「んなぁっクソーッ!刀形開放『天空穿ち』ッ!!!!!」

 

妖刀を形作る膨大な量の空気を突きに乗せて一点に解き放つ・・・・・それでも壊れない!

 

「ああああああ!!もう!」

 

あれしかないか

 

私が纏う妖力が黒いもやとなり可視化する

暗く紅い瞳が光を放つ

妖力、能力、すべてを使って作り上げた不壊の肉体、これが私の一番の武器であり、原点である

 

「『無双不尽』」

 

一発、二発、三発

 

と拳を同じところに打ち込んでいく。

防御に徹しているのか反撃に包囲攻撃と液化攻撃が無くなったのが幸いだ

 

「さっさと壊れろ!!!!」

 

と渾身の四発目

 

だが壊れず

 

「壊れろよッ!」

 

反撃の棘と剣をかいくぐり地面を踏み抜くほどの健脚から繰り出される飛び膝蹴りが鋼の球を蹴り飛ばす、かなりの硬度、そして重量だ、普通なら膝が粉々になってもおかしくはないが。

 

こちとら硬さに関しちゃ1000年ものの一級品だ、ちょっとやそっとじゃ傷一つつかないよ

 

「文!借りる!」

「あんたの技よ、好きに使いなさい」

 

へへっそりゃどうも

 

妖力の塊が二匹のカラスをかたどる

 

「雅式『幻想風靡』」

 

打ち上げられた鋼の球を絶え間なく襲うカラスの突進、私の拳、私の蹴り、そして風の刃、私が持てる最高速度をもって行う連撃、その一撃は瞬く間もなく放たれ、相手が知覚するころにはもう一撃、もう一撃と打撃と斬撃が襲う、本家に勝るとも劣らない凄烈な絶技。

 

まだ、まだ、まだ、鴉は連撃を止めない

 

「ぐっぅ」

 

まだ、まだ

 

「まだまだッ」

 

まだ、鋼は壊れていない

 

「なぁんのぉッ!!!!」

 

ぴきりとヒビが走る

 

「いィまッ!」

 

天狗の踵が鋼の球の天辺をえぐり、地面にたたきつける

 

「『一歩必穿』」

 

踏み込む脚は大地を穿ち、震わせ、放たれる不壊の拳は最強の矛、それは岩も鋼も、最強の盾さえ、一切の矛盾なく穿ち貫く

 

「しぃぃぃぃねっ!!!!」

 

砕ける鋼の球体はエントランスの壁とその奥の部屋、とそのまた奥の部屋のと計5枚の壁を貫いてようやく止まった。

そして鋼はすべて赤いビー玉を包むようにエントランスに集まってきて、かなりの量に包まれたはずだが包まれたビー玉とあまり変わらないサイズの鋼の玉になって地面に転がった、そして

 

”降参”

 

という二文字を鋼で模して、動かなくなった

 

「今日一番のいい写真がとれたわ」

 

後ろで見ていた人物、射命丸文が話しかける

 

「ッふぅ、はぁ、私は、、援助を求めたはずなんだがね」

「あなたは私が見てたら絶対負けないんでしょ、なら居ただけでも援助よ、ま、がんばったわね、お疲れ様、最後が鬼の技なのが残念だけど」

「はぁ、ひぃ、ふぅーぅ、文の技も、鬼の技も、人の技だって、盗んだら私の技なんだ」

 

そうしなければ私は何にも勝てなかったから

 

「そうね、貴方弱いもの」

「いいや、私は強いよ」

「そうね、だから貴方は強いわ」

 

そのセリフを聞いたら安心した、そのせいで力が抜けてしまって一気に筋肉が弛緩する

 

「っと」

 

文が倒れ掛かる私を受け止める

 

「でも、こういう勝ち方しかできないのはすこし難点ね」

「全く持って、もう今日は体を動かしたくないよ」

「じゃあ後はやっておくから、もし動けるようになったら手伝ってね」

「もちろん」

 

と私を玄関の前の門の前に横たわらせる。

 

「地べた・・・まいっか、結構寝心地は悪くない」

「大丈夫、すぐ終わるから、そこで待ってなさい」

「あーあと魔理沙ちゃんが中にいるから、危険そうだったら館の外投げるなりしてあげて」

 

それを聞くと彼女はため息をつき

 

「わかった、任せなさい」

「あんがと」

「どういたしまして」

 

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