東方酩酊宴 Crows Ogres and Phoenix 作:みたらしりんご
「文、どうしてここに?」
突然現れた知り合いに困惑する魔理沙
「呼ばれたのよ、あの子に」
「雅か、あっちはどうだ?」
「それはもう完璧な満身創痍よ、大した使い魔よほんと、ねえ、魔法使いさん?」
と銀髪の軍服女に話を振る
「使い魔、うーん、まあそうなるのかな?でもまあそうだね、すごいだろ?『アルフレッド』は、
あの金属お化けはアルフレッドというらしい
「素直に本気で殺させれば良かったのですよ、それでもあの子の勝ちは変わらなかったでしょうが」
「へえ、あいつとそこまでする使い魔か、見てみたいな」
「見るかい?」
「見たい!」
「だそうだ!来い、『アルフレッド』!」
しかし何も起こらなかった
「んんぅ」
と軍服女が唸る
「もう!『アルギュロス』!これでいい!?」
銀色の紅いビー玉がはめ込まれた縦長の直方体、もといあの金属お化けが地面から生えてくる。
「どっちが名前なんです?」
「『アルフレッド』」
と言った瞬間、金属お化けから軍服女めがけて針が伸びる
「あーるーぎゅーろーすー」
針を収める
「私たちクラフトマン家は魔法使いの一族でね、こいつも代々研究成果代わりに受け継がれてきたものさ」
それを聞くと魔理沙が突然”あっ ”と声をあげた
「思い出した、クラフトマンって道具屋『クラフトマン』か」
「道具屋ですか、あんまりすごそうには聞こえませんが」
そんな私の感想をまさかと魔理沙が否定する
「パチュリーの図書館の蔵書の中でもマジックアイテムに関する本の半数はクラフトマンなんだ」
「はぁ、それはまた」
「クラフトマン家はマジックアイテム作成の名門、というかそれしかしてこなかった変態の一族さ」
「すごいのですか?それは」
「すごいもなにもおかしいぜ」
「おかしいのですか」
「ああ、私たち魔法使いは研究内容は違えど見据える目的は同じ、すべての始まりである『根源』を目指して研究を積み重ね、一人の人生では足りないからと自らの研究を魔術書やら、魔術的な刻印をつかって子孫に伝承していき、一族で根源を目指していくんだ、しかしこいつらは違う、根っこから違う、こいつらの目標は『実用性』唯一つ、一族の人間一人一人が人生をすべて掛けてアイテムをつくり、中でも特に優れたものを『
「なるほど、一念天に通ずる、ですか、私とて武に長ける者、いくつか覚えがあります」
これはあの子が好きそうな話ね、今夜聞かせてあげましょう
「そ、勉強熱心な子なんだね、魔理沙は」
「ああ!私もアイテム作成には力を注いでいてな」
「その小さな八卦炉も君が?」
「あーいや、こいつは違うんだ、これは人からもらった、魔法使いとしては私から見てもあれだが、道具使いとしては一流の奴のそれさ」
「へえそれは、とても興味がある、こんど会わせてはもらえないだろうか」
「それはかまわないが、私もそいつも『
「遺産かい?いいとも!道具は見せてなんぼだからね、それにこいつも遺産だよ」
と金属お化けをなでる
「これは誰が作ったのですか?体積、形態、高度、質量、何もかも自在に変化させられるなんて人のたどり着ける領域をはるかに超えている」
「できるのか!」
「できてしまったのさ、それが」
「できてしまったって」
「『
「アルギロス・・・彼は何者なのでしょう、たった一代で魔法の一つの極点にいたった、そして彼と同じ名前を持つこれがその極点の結晶、さぞよい研究対象なのでしょう?」
「ああ、そうだとも、もしこのアルフ。ん、アルギュロスを解明できたら、この時代の魔法は神代のそれに手を掛ける、いや、足を踏み入れることだってできる」
「妙な言い方だな、できないのか?」
「さっぱりだよ、さっぱりわからないのさ、こいつは、クラフトマン家のあらゆる金属の扱いに長けた人間がこいつと同じものを作ろうと試みたのだけれど、成功例は0、だからこのアルギュロスは最高の道具、そして私たちの最高の目標なの」
「なるほど、
「そ、私たちは人生を『実用性』という指標において結晶化させるが、それにも明確な基準があったってわけだ」
「へえ、俄然興味わいてきたな」
と、アルギュロスをべたべた触りだした魔理沙がこんな提案をする
「なあ、弾幕ごっこしようぜ、こいつ含めてちょうど二対二だ」
「あ、私自分の弾が写真に写るの嫌なんで二対一ですね」
「いや、こいつは私の道具だ、よって一体一だよ」
「そりゃずるいぜ・・・」
「まあ、そう言わずに。初心者の私に
「そういわれちゃ仕方ねえな、カードは三枚でいいな」
「や、まだ二枚しか考えてないよ、二枚にしてくれ」
「じゃあ三枚目は即興で考えろ」
「んんぅ、厳しいなぁ」
「貸しましょうか?」
と一枚ぴらぴらと見せつける
「使えないだろ」
「いい、自分でやる。ちょっとまっててくれ」
と奥の部屋にクラフトマン氏が奥の部屋に入っていく、中からがさごそ、がちゃがちゃと聞こえてきたあとにクラフトマン氏が出てくる
「よし、やろうか」
左腕に単純な装飾の施された篭手をはめ、篭手をはめられた左手には似たような装飾で先端に中に心臓らしきものが見える水晶をはめた杖、そして腰には西洋剣を一振り帯刀している。
「記者殿もいることだし改めて名乗らせてもらおう、クラフトマン家当主『クロム=クラフトマン』、これでも当家最高の金属使いだ」
その姿を見た魔理沙が。
「本物じゃないか!いいなぁいいなぁ!やる気出てきた!よーし、霧雨魔法店店主『霧雨魔理沙』!ただの普通の魔法使いだ!」
「では職人たちの魂の結晶、ご照覧あれ」
同刻・雛罌粟雅
「ぐぅ、痛え」
ああは言ったもののずっと寝転んでるわけにはいかない、のっそりと体を起こす
「んん、やっぱり普段から帯刀しておくべきか、、、、、、」
とすこし使いにくくなった両手の感覚を確かめて嘆く
「あっちはそろそろ動きがあってもいいが、最悪殺し合い、一番よくて弾幕ごっこでもしてくれればいいけども」
とはいえどこんな体では応援どころか足手まといだな、調査をすることにしよう
「あの金属おばけはどこに、、、、、」
確かこの辺に
「無い」
主の危険を察知して向こうにいったかな
「素直に壊しとくべきだったかなぁ?」
実のところ壊そうと思えば壊せた、我ながらおかしなことをしたと思う、あれは足止めとはいえ殺意は感じられなかった、殺す気だったら私を捕縛した時にあの超硬度になっちゃえば私はあんな脱出できなかったわけで、そのまま黒ひげ危機一髪でもなんでもできちゃうわけだし、、、、、あれは挑戦だったんだきっと、足止めだけと鎖につながれたあいつにできる、あいつが望んだ、あいつの挑戦。使い魔のくせに誘うのが上手だ
「んあーまあー、興味沸いちゃったししょうがないよねー」
独り言をぼやきつつ、金属お化けの見た限りの性能と考察をメモに記す
「あいつぁきっと魔法の中でも最上級に位置する使い魔だ、や、使い魔じゃないな、あれぁ・・・多分人が作ったものだろうな、兵器の類だ、使い魔にしては機械的・・・じゃないなぁ・・・?なんだろー、わっかんない」
あいつ、確かに
「笑った、よなぁ」
突如、外が光る
「魔理沙か!」
「雅!」
「あい!?」
「取材!援護よろしく!」
「へへ、できるか!」
と意気揚々に返事をしてかばんの中からカメラを取り出す、魔理沙に貸したのは普通の、こっちは普通じゃないのだ。
「転移完了、この杖は『
「・・・すげえな、転移魔法まで・・・・・」
ご丁寧に私ごと転移魔法で外に移動させたらしい、館上空か。
「その杖については後で聞かせてもらうとする!いまは弾幕ごっこだ!」
「参る!」
両者がビットを展開させる、クラフトマンはビットに加えてあの金属お化けが複数に分かれた液状になる
「先手必勝!」
魔理沙の弾幕が始まる、小手調べの星弾とレーザー、こんな昼間ではすこし栄えないわね
パシャ
「星か!夜に見たかった!」
迎え撃つクラフトマン、ビットと金属お化けが剣を飛ばす、速度は速いが直線的だ。
「光よりも遅い直線が私に当たるとでも?」
「剣は光を斬れるんだよ」
飛ばされる剣がビームを貫いて魔理沙に迫る
が、ほとんどがあと一歩のところで砕け散ってしまう
「強度による、だろ?」
「速度にも、ね?」
銃弾の如き速さの剣が魔理沙の使い魔すべて貫く
「げっ」
「さぁよけてみて!」
「言われなくとも」
降り注ぐ刃の弾幕を紙一重で躱す魔理沙
「こんなもんか!?」
「まさか!これから!銀符『シルバーズロンド』!」
スペル一枚目
金属お化けが6つに変化し、彼女の周りを回りながらそれぞれ対称の方向に高速で剣を飛ばす、彼女自身はお化けの回転よりもはやく逆回転するひも状のしなる弾、ワインダーと、米弾をばらまく、弾幕の光を剣が反射させて煌く、銀色で統一された綺麗な弾幕だ
パシャ
「回る弾幕か!好きだぜ私は!」
すらすらとよけていく魔理沙
「こんなのはどうだい!?」
あたらなかった剣、地上に刺さった奴や宙ぶらりの奴がすべて、クラフトマンに戻ってくる、あたらなかったものすべてなのでやはり密度は高いが
「今度は私の番だ」
切り傷一つ無い、流石といったところか
「天儀『オーレリーズソーラーシステム』!」
魔理沙が6つのビットを起動する、6つのビットは
「太陽系の模倣か!いい道具だ!とても!」
「そりゃどうもっ」
クラフトマンは大雑把な動きだがある程度正確に弾をよけていく
「今よ!」
次々に飛来する剣にまぎれたあの金属お化けが人の形をとる
「げぇ、それありか!」
剣を手に取った人型が狙うのは
「星を落としなさい!アルフレッド!」
いい判断だ、というか呼び名はそっちでも反応するのか
「けどお前の守りは使い魔だけになった!」
好機ではあるが
「道具はその子だけじゃない!」
篭手をはめた腕で魔方陣を描く
「これこそ職人たちの道具箱『
魔方陣の中に手を突っ込み、引っ張り出したのは
「私の作品だ!クロム’s アイテム!『詠唱機・47』!」
「なんだッそりゃぁ」
その詠唱機・47と呼ばれるものは、竹林の月兎の資料にあった自動小銃と呼ばれるものにそっくりなデザインをしている
「こいつは引き金を引けば銃口から魔法を連続で放ってくれるものだ!」
と銃口を魔理沙に向けて引き金を引く、弾幕ごっこ用に調整されているのか銃の弾速ではないが速い魔弾が連続で発射される
「そいつはほしいな!」
「おっとよそ見するなよ!」
人型の剣が星を二つ落した
「げっ」
「ほらあと4つ!」
「ならっ、これでもくらえ!」
星が一つ、人型に堕ち、弾ける
「そんなのじゃそいつは倒せないよ!」
「こいつはな」
「なっ」
残った3つがクラフトマンを囲んでいる、第三者視点の私からならよく見えたが爆発に注意をひきつけられたクラフトマンは気づかなかっただろう
「クロム’s アイテム!『詠唱機・PK』!」
弾幕を避けつつ包囲から抜け出そうと試みるクラフトマンが次に取り出したものは、これまた月兎の資料にあった回転式拳銃と同じデザイン
「ビットなら実弾使ってもいいよね!」
と篭手のはめられてない右手を鳴らし魔術の一種だろうか、弾丸を三発作り出し装填する
「一機一発大丈夫か!外すんじゃねーぞ!」
弾幕や箒で人型を足止めしながら魔理沙が挑発を飛ばす
「君が言うのか、ま大丈夫っさ!」
ようやく三機のビットの包囲を振りぬいたクラフトマンが飛行スピードをあげる
「そんなんじゃ振り切れないぜ!」
いやちがう、あれは
「振り切らなくてもいい、これでも西部劇は大好きでね、よく練習したんだ」
クラフトマンが振り向き、拳銃を自らの腰にあてる
「さあて、お立会い」
「何を」
一度の銃声が響く、だが
「全滅だとぉ~」
三発の弾丸がそれぞれ三つのビットを貫いていた
「さあ!こちらのターンだ!金符『ゴールドラッシュ』!」
金色の小粒の弾の大波がうねり大蛇のように迫り
「うお、うおお、うおおお?」
魔理沙が金色のうねりに消える
「記者さん?あなたも遊ばない?」
「そうね、ちょっと付き合ってあげる」
金の波からこちらに波が伸びる
単調な弾幕だ、この距離じゃあまり映えない
”まかせな ”
こちらに迫っていた波が消える、まるごと
「何っ!」
「驚いてる場合ではありませんよ」
「行けっ、追え!」
今度は何本もの金が伸びて伸びてこちらに迫る
しゅん、しゅん、しゅんと彼女の周りを飛び回り
金の波も彼女を囲うように伸びる
「動きを封じたつもりかい?」
「いや?こっちのほうが映えるかと」
「へ?」
パシャ
囲む金が消える
「ベストショット♪」
「カメラか、いやしかし」
「そろそろ余所見は厳禁ではなくて?」
「そういうこった、二度とすんなよ?手が滑って殺しそうだ」
フラッシュにまぎれて魔女が迫る
「へへ、ごめんね」
邪恋『実りやすいマスタースパーク』
「身代わり頼んだぞアルギュロス」
「家宝ごとぶち抜いてやる」
「できるものなら」
「鋼程度じゃ及ばない、光にも、、、恋にも!」
「ぬおっ」
細い、とてもか細い恋が邪に爆ぜる
「はぁ、ほんとに、優秀だよ、、、、そいつ」
大したものだ、あの使い魔、防ぎきれないと見るや体を伸ばして主を投げて斜線から外した
「あいや失礼、君を侮っていた、まさか通されるとは」
「本日二度目ですよ、慢心が過ぎるのでは?」
「言いがかりは止せよ、君の相方はこいつの全力を貫いたんだ、あの場で戦闘を切り上げてこちらに来てもよかったものを、正々堂々こいつの挑戦を受け取って、そして勝った、そこに慢心なんてありはしない」
「私を侮ったのは間違いないってことだ、さっきの余所見といい、楽しくないな」
「ごめんね、私は戦士ではなくてね、戦ってる時もちらつく興味を抑えられないのさ、無礼?知らないよ、怒るんだったら、私にぎゃふんと言わせてみな」
金属お化け、アルギュロスが魔方陣を模る
「安心しな!訳あって有毒じゃない!水銀『輝けるハイドロカノン』!」
銀色のレーザーが放たれる、射手を守るように金色の大粒の弾幕が張られる、魔理沙のマスタースパークを参考にしたのか、即興にしてはいい出来だ。
が、しかし
道具使い、あなたは未だ幼い、前途ある魔法使いの闘争心に火を付けた、そして道具使い、あなたには不幸が一つ。
この幼い魔法使いは弾幕ごっこのエキスパートだ
「飛ばすぞ」
虹色の流星が奔る、銀と金の線と点の隙間を縫って、
「ほぉ、、、、これは、、、、、」
ようやく理解したか道具使い、この遊びの真意を
「綺麗だ、、、、、」
この己の心を象る弾幕で魅せる、相手の心に見せる、心と心の
”彗星『ブレイジングスター』 ”
楽しいでしょう?弾幕ごっこは。
「ぎゃふん」
ベストショットは決まりね。