夢でユニットに出会う日々を送る新導クロノ。今宵は輪っかの奇術師に誘われ、夢の舞台にやって来た。

 今回はあまりイチャイチャしないけど、クロノとユニットシリーズ第4弾。


※ヴァンガードGのネタバレ、キャラ崩壊注意
※この小説はPixivとのマルチ掲載です

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今回はペイルムーンの話。
初めてサーカス描写したけど大丈夫かな?


クロノと【フープ・マスター】

「あ、いっけない! これからアムと買い物の約束があるんでした!」

 

 ヴァンガード普及協会所属のアイドル、ラミーラビリンスの弓月ルーナとファイトをしていたある日の事。

 おっちょこちょいなルーナは俺とのファイトが終わると約束を思い出し、急いで帰りの支度を始めた。

 

「そっか。焦らないで、気を付けて行けよ」

 

「はい! クロノさんも、お仕事頑張って下さいね!」

 

 言いながら焦って店から出て行った。途中で転んだりしないと良いが……

 

「すみません、ミサキさん! 直ぐに仕事に戻ります!」

 

「ルーナちゃん、アイドルで忙しいみたいだしたまになら仕方無いわ。カムイみたいに、あまりサボらない様にね?」

 

 ミサキさんの厳しい視線はカムイさんへと向けられ、送られたカムイさんは思わず背筋を伸ばしている。

 

 俺は乾いた笑みを浮かべつつ机の上のカードを片付け始めたが、そこで俺のデッキに入っていないカードを1枚見つけた。

 

「【フープ・マスター】……ペイルムーンって事はルーナが忘れたのか」

 

 あの様子だと追い付きそうにもないし、後でメールを送るかドラエン支部のマモルさん辺りに返してもらう様に頼んでおこう。

 

 そう思った俺は取り敢えずカバンの中のノートに折れない様にカードをしまった。

 

「さあ、さっさと仕事に戻りなさい」

 

「はい!」

 

 

 

“ありがとうございます! 

 明日にはドラエン支部に用事があるので支部長さん達に渡しておいて下さい!”

 

「まかせとけ……っと」

 

 その日の夜、忘れない内にルーナにカードの件を報告した。

 

「そういえば、最初にあった時もルーナの奴、カードを忘れていったけ」

 

 そのおかげでトコハがラミラビの2人の友達になれたんだからヴァンガードの絆は本当に奇妙だ。

 

 思えば俺達がストライドゲート事件に関わったのは、あの日、ルーナとの出会いがあったからかもしれないし、そう考えるとアレはまさに運命の出会いだった。

 

「さて明日も早いし、さっさと寝ようか」

 

 

 

「……ん? 誰もいない?」

 

 珍しい事に夢の中に来たと言うのにドランが出迎えなかった。

 

「……何かあっちから声が……」

 

 少し耳を済ますと、何やら驚きの声が聞こえる。複数聞こえるその声の中には聞き覚えのあるドランの声が混じっている。

 

「……此処からだ」

 

 見覚えの無い、拍手が聞こえてくる小さなテントに入った。

 

「――3! じゃーん!」

 

「おお!」

 

「すごいのだ!」

 

「マイヴァンガードだ!」

 

 テントの中に入った筈だが、気が付けば俺はステージの上でドラン、【クロノセラピー・ハムスター】、【クロノドーズ・シープ】から拍手されていた。

 

「え、な、何だ此処!?」

 

「クロノ君、ご登場ありがとうございます! 私は【フープ・マスター】で御座います!」

 

 芝居のかかった話し方をしながら俺に頭を下げたのは、赤に近いピンク色の帽子に、同じ色の服とスカーフを着た女の子。縞々のニーソ、可愛い装飾に、腕には幾つかフープがかけられている。

 ペイルムーンの完全ガードのユニット、【フープ・マスター】だ。

 

 完全ガードの基本能力に加え、ドロップゾーンに同じカードがあればカウンターブラストでソウルチャージを行った後に、ソウルからユニットをコールしてシールド+5000とインターセプト能力を与える効果を持っている。

 

「さあショーを締め括らせて頂きましょう! 最後はナイフ投げです!」

 

 戸惑う俺を置き去りなまま、【フープ・マスター】は何処からともなくナイフを取り出した。

 

「さあナイフを投げられたクロノ君の運命は!?」

 

「え!? ちょ、ちょっと待て!!」

 

 問答無用で俺に向かってナイフが投げられた。

 

 逃げられない……! 俺は腕を体の前に出して目を瞑った。

 

「怖いナイフもご覧の通り!」

 

 が、ナイフは俺を襲う事無く消え去り、数秒後に【フープ・マスター】の頭上から、1つも掠る事なく降り注ぎステージの床に刺さった。

 

「「「おおぉ!!」」」

 

 

 

「どうも、初めまして! ペイルムーンで奇術師をしております、【フープ・マスター】です! クロノ君の事はマイヴァンガードとのファイトでしっかり覚えていますよ」

 

「……どうも」

 

 流石に、あんな初対面では素直に挨拶するのも無理がある。

 

「この度は大変失礼致しました。急な登場で驚きましたよね?」

 

「驚いたし、死ぬかと思った」

 

「あはは、ショーにスリルは付き物ですから」

 

「先ずは許可を取れ! 心臓に悪いだろ!」

 

 俺が怒鳴ると、流石の彼女も反省したようだ。

 

「それではお詫びを兼ねましてですね、マイヴァンガードの方からユニットを連れてきましょう!」

 

 そう言って腕にかけてあったフープを1つ取り出すと、その中から空間転移を始めた。

 

「えーい! スペリオルコール!」

 

 するとフープから2人のユニットが飛び出した。

 

 黒いコスチュームにピンク色の髪、耳が尖っているので恐らくエルフ。

 もう1人は白い服と白い手袋、紫のコートと髪、そしてネズミの様な耳を持つ可愛らしい女の子だ。

 

「ご存知でしょうか? 今はショーから離れました大ベテランの【ダークサイド・ミラーマスター】に、夢の舞台の案内人【ハピネス・コレクター】です」

 

 ミラーマスターは完全ガード、ハピネスはファーストヴァンガードだ。

 

「せんぱーい! 急に呼び出さないで下さいよ!」

 

「あれ? クロノ君がいるのね」

 

「うわぁ……!」

 

「また出た!」

 

「すごいのだ! あの娘の耳、僕にそっくりなのだ!」

 

 ドラン、シープとハムスターは2人の登場に喜んでいる様だ。

 

「あはは、2人を呼んだ理由なんですけど……今からクロノ君達をショーに特別に招待したいんだけど、良い?」

 

「全く……そう言うのはそっちから来て確認なさい」

 

「丁度、仮面の奇術師のショーが開演間近です」

 

「そういう事ですので、ドラン君達には1枚ずつ、クロノ君にはペアチケットを渡しますので誰か誘って来て下さい!」

 

「あ、ああ……」

 

 よく分からないままハピネスはバックを漁り、全員にチケットを配り始めた。

 

「クロノ君が来るなら私も少し、張り切ろうかしら……?」

 

「それじゃあ一足先に準備しに行くからそこのフープを潜って入ってきてね」

 

 そう言って3人はフープの中へと消えた。

 

 残ったのはショーを楽しみにしている3匹とペアチケットを握っている俺だけだ。

 

「……ん? ペアチケット……男女1組限定?」

 

 ショーに行く為に、俺はペアの相手を探し始めた。

 

 

 

「奇術ショー? 行きたいです!!」

 

「やれやれ……面倒だがドランの子守を任されている以上、行かない訳にはいかんな」

 

「マイヴァンガードとなら……行く」

 

 【スチームメイデン ウルル】にペア券の事を話したらこうなった。

 

 上から帽子とフリルの付いたスカートを着た完全ガードの【スチームメイデン アルリム】。

 茶色の帽子にコートのクリティカルトリガー【スチームスカラー カー・ランマ】。

 無表情のグレード3【スチームメイデン エルル】。

 

「ウルル……」

 

「さあマイヴァンガード、誰と行きますか?」

 

 俺はウルルに非難の視線を浴びせたが1人だけこの状況を楽しんでる。

 

 アルリムは奇術ショーと聞いて興奮している。謎を解き明かしたい彼女らしい。

 

 カー・ランマもやれやれと言っているが乗り気なのが分かる。

 

 エルルは無表情だが、何処かそわそわしている気がする。

 

「ペイルムーンは暗殺に長けた集団だと聞きます。もしもの時、マイヴァンガードには護衛が必要」

 

「じゃあ❘守護者《センチネル》の私が!」

 

「私が行けばどんな状況でも問題なかろう?」

 

「戦力的に考えても、私が行くべき」

 

 どうやら3人とも譲らない気だ。

 

「どうします、ヴァンガード?」

 

「……やっぱり此処はアレしかないか」

 

 俺の提案に3人は頷き、了承した。

 

 

 

「「「ジャンケン、ポン!」」」 

 

 

 

「ようこそペイルムーンのステージへ! ドラン君、シープちゃん、ハムスター君!」

 

 フープを潜った俺達をハピネスとミラーマスターが出迎えた。

 

「クロノ君に、そちらは……」

 

「アルリムです! よろしくお願いします!」

 

 アルリムはミラーマスターに敬礼のポーズで自己紹介した。

 

「ああ、私と同じスキルを持つ完全ガードの方ですね。こちらこそ、よろしくお願いします」

 

 ハピネスは全員のチケットを確認して入り口へ通した。

 俺達はミラーマスターの案内でゲートを潜った。

 

「っばぁ!」

 

「うわ!?」

 

 テントに入ろうとした俺達の頭上から、誰かが逆さ吊りの格好で驚かしてきた。

 

「…【仮面の奇術師 ハリー】か?」

 

 青いコスチュームに頭を3分の1くらい隠している仮面。握っている杖の先端に紫色の装飾が施されているので間違いない。

 

「いしし、引っかかったなドラン!」

 

「も、もう! 驚かさないでよ!」

 

「この程度で驚いてちゃ、俺の舞台を見る頃には驚き過ぎて死んじま――あだっ!!」

 

 得意げに笑っていたハリーだが、後ろから星の形の杖で殴られた。

 

「ハリー! お客様に粗相はしないでってあれだけ言ったのに!」

 

 ハリーを叱っているのは【星の奇術師 エレン】。彼のお目付け役の様だ。

 

「痛いなエレン! 俺は舞台の主役だぞ!!」

 

「なら主役らしく出番を待ってなさい! もう直ぐ開演よ!」

 

 文句を言い続けるハリーを、エレンは無理矢理引っ張っていった。

 

「……ごめんなさい、恥ずかしい所をお見せしました。後であの2人にはしっかり言い聞かせておきます」

 

 ミラーマスターは頭を下げたが、どうやら相当怒っている様だ。

 

「さあ、特等席にご案内しますね」

 

 

 

 ポップコーンと飲み物をそれぞれ持った俺達は席に座った。

 

「まだかな、まだかな!」

 

「楽しみなのだ!」

 

「眠らないといいんだけど……」

 

 ドラン達は待ちきれないようだ。

 

「サーカスか。見るのは初めてだな」

 

「そうなんですか! 実は私もです!」

 

 アルリムも拳を握って今か今かとワクワクしている様だ。

 

「でもトリックがあるに決まってます! 全部暴いてみせましょう!」

 

 いや、多分トリックも何もそう言う能力なんだろうな……とは言わない事にした。

 

 

『レディースアンドジェントルメーン!! 今宵は我らペイルムーンサーカス団、“奇術”にお越し頂き、誠にありがとうございます!

 どうぞ心行くまで、夢のステージをお楽しみ下さい!』

 

 

 視界の挨拶が終わるとそこはまさに夢の様なステージだった。

 

 先ずはジャグリング。

 

 【甘口ピエロ】がバナナやリンゴでジャグリングを始めた。

 続く様に【エッグ・ジャグラー】が現れカラフルな卵のジャグリングを披露し、【キトゥン・ジャグラー】はステージの中央の床から子猫達と一緒に現れて1匹、2匹、3匹と子猫の数を増やしながらジャグリングを続ける。

 

 最後に現れた【ポイゾン・ジャグラー】がステージに毒薬の瓶を落とすと4人のジャグラー全員が消えた。

 

 ジャグラー達の消えたステージに右から【シンハライト・ビーストテイマー】が【フライング・ペリュトン】に乗って、左から【オブシディアン・ビーストテイマー】が【ドリーミング・ペガサス】と共に現れた。

 

 着地した2人が同時にムチを振るうと猛獣達がステージに登場した。

 

 気のせいかシンハライトの方に猛獣が偏り始めるが、オブディシアンの見ているだけの俺達すら背筋を伸ばしそうになるムチの音が猛獣達を配置につかせる。

 

 2人の指示でステージの上で火輪潜りや玉乗りを披露し、終わる度にシンハライトの所に行こうとする猛獣達をオブディシアンがムチで並ばせるのは見てて楽しいが、同時に同情したくなった。

 

 猛獣達が舞台裏へと帰っていくと空中から翼の生えた蛇【ブリージング・コウアトル】と翼竜【ファイアーリング・ワイバーン】が現れた。

 

 飛び回って空中に置かれた火輪を2頭は次々と潜って行く。

 

 最後にそれらは2頭のペリュトンと2頭のペガサスが巨大なカーテンを広げながら飛び、観客からステージを覆い隠した事で跡形もなく消える。

 

 続く演目は細いロープの上で行われる曲芸。

 

 【奇跡の業師 ランブル】のロープに逆さ吊りのままでのナイフジャグリング。

 傘を持った【キューティー・パラトルーパー】は床からフワフワと昇って行き、細いロープの上にゆっくりと足を置いた。

 そんな彼女にランブルのナイフが襲いかかるが、1つのフープが現れるとそれに飲み込まれたナイフが全てランブルの頭上から現れ、再びランブルはジャグリングに戻った。

 

 その後突然空中に現れた【フープ・マスター】がロープを着地と同時に大きく揺らした。

 揺れるロープの上から傘を畳んだパラトルーパーが落ちる。が、地面に激突する前に傘の取っ手は宙に浮くナイフに引っかかた。

 ランブルはナイフで階段を作り軽快に降りる。

 2人と【フープ・マスター】がステージの床に足をつく……と思ったら床に落ちていたフープが空間転移の穴となって3人はそのまま吸い込まれた。

 

 開いたままの穴から流れ星の様な花火が上がった。

 

 爆発の芸術家、【星の奇術師 エレン】の登場だ。

 パイロキシネスと火薬を最高のタイミングと最大の量で次々と爆破させていく。さながら小さなビッグバンの様だ。

 

『さあ、いよいよ最後の演目です!』

 

 フィナーレに相応しい舞台にするため、けたましかった爆発は止み、全ての明かりは消えた。

 

 再び光が戻った時、ステージの中央には1人だけが立っていた。

 

 稀代の奇術師の登場だ。

 

「さあ、夢の時間の始まりだぜっ!」

 

 そこからは凄まじい勢いだった。

 

 ハリーのシルクハットから巨大なドラゴンが現れ、火を吐いたと思ったら中からハトの群れが現れ、雨の様にハト達から大量のトランプが降り注いだ。

 床に落ちたとトランプからは花が咲き、花の花弁は花吹雪となって舞台を舞う。

 

「超越!」

 

 その花を踏み荒らすかの様に登場した赤い竜、その上に立つ【情熱の神竜使い アマンダ】が竜と共に飛んだ。

 

「……超越!」

 

 滅茶苦茶に荒らされた花をより大きな花に成長させ、一際大きな蕾の中から現れたのは【獣花の大奇術 プラーナ】。すぐ横に控える口の様な植物はステージを飛んでいるアマンダの乗った竜に興味を示している。

 

 

「これが全力の夢舞台! 超越、同調っ!!」

 

 

 未来の自分をその身に宿したハリーは、竜を制し、花を統べた。

 

 シルクハットから数多の竜が登場し、その翼の羽ばたきで花弁を天高く飛ばした。

 それに向けて放たれた炎のブレスが花弁に触れると、青、赤、黄、緑、ピンクの五色の花火が次々と爆発する。

 プラーナもその力で次々と花を生み出し続け、舞台は燃えない花で飾り付けられる。

 アマンダは色の違う自分の神竜に跨り、竜達の間をスルスルと通り抜け、観客席の上を飛び回った。

 

 最後に、ハリーがシルクハットを天高く投げると、落ちたシルクハットはステージの全てを吸い込んだ。

 

 数多の竜、無数の花、3人の主役達を吸い込んだシルクハットは、丸で中に何かがいるかのように暴れ出し、一斉に飛び出した。

 

 猛獣の上でジャグリングをするジャグラー達。

 

 ドラゴンの足や翼に捕まって手を振る業師と奇術師達。 

 

 ステージでビーストテイマー達がムチを鳴らすと、一斉に全員が中央に集まった。

 

 最後に、ステージ中央のロープの上、一番目立つ所に現れ立つ【仮面の奇術師 ハリー】。

 

 全員が集まった所で、全員が現れたシルクハットは突然飛んでハリーの頭に戻り、被さった。

 

 ニッと笑ったハリーが頭を下げお辞儀をすると、スター達もワンテンポ遅れて頭を下げたのだった。

 

 

 

 

「凄かったね!」

 

「ポップコーンを食べてる暇がなかったのだ!」

 

「凄過ぎて疲れちゃった……眠いです……」

 

 どうやら十二支刻獣達は大喜びの様だ。

 俺も、最初から最後までずっと見入っていた。

 

「すっごく感動しました!」

 

 アルリムも来る前より元気になっている。

 

「お気に召した様で何よりです」

 

「ミラーマスター! 今日はありがとう!」

 

「いえいえ、私達もクロノ君にお礼が出来て満足です」

 

 ん? お礼? 

 疑問を浮かべる俺に【フープ・マスター】が答えた。

 

「クロノ君はマイヴァンガードの先導者だからね!」

 

「いつかお礼がしたいと思ってました!」

 

 すると、ミラーマスターが指を鳴らした。

 

 バッと、先のユニット達が突然現れた。

 

『新導クロノ、マイヴァンガードに出会ってくれて、ありがとう!!』

 

 先までステージに立っていた全員が俺に頭を下げた。あのハリーも、照れ臭そうな顔をしつつ下げていた。

 

「い、いや……別にそんな大した事じゃ……」

 

「これからも、マイヴァンガードの良き友人でいてください!」

 

 【ハピネス・コレクター】にそう言われ、俺は言いかけていた謙遜の言葉を呑み込んで、しっかりと答えた。

 

「……ああ、勿論だ!」

 

 

 

「お、来たな」

 

「クロノさん! 態々ありがとうございます!」

 

「大事なカードだろ? もう忘れるなよ」

 

「はい! それでクロノさん、お礼と言っては何ですけど……はい!」

 

 カードを返すとルーナから俺はチケットを渡された。

 

「今度ドラエン支部でやる私達のライブのチケットです! 是非見に来てください!」

 

「おう、ありがとな。絶対行く」

 

「いえ! ……それじゃあ、私はコレで失礼します! 本当にありがとうございました!」

 

 駆け足で去っていたルーナを見送る。俺が導いた彼女は、しっかりと未来へ歩けているようだ。

 

 

 

「アルリム、昨日はどうでした?」

 

「はい、ペイルムーンのステージが凄かったです! 子猫でお手玉したり、ライオンが懐いたり怯えたり! あ、ナイフで階段みたいに降りるのも素敵でした!」

 

 ウルルが後退る勢いで嬉しそうに答えたアルリム。しかし、ウルルが聞きたいのは恋バナだ。

 

「あ、その、マイヴァンガードはどうでした?」

 

「舞台が凄過ぎて覚えてません!」

 

 ウルルはそれを聞いてあらあらと肩透かしを食らった気分だ。

 

「……アルリムにまだ、恋愛は早かったかしら?」

 

「うう、貴重な恋人の研究が……」

 

「……マスター……」

 

 本当に残念がっているのは、カー・ランマとエルルだった。




如何でしたでしょうか?

【フープ・マスター】が選ばれた理由は彼女のユニット設定が、ギアクロニクルと多少関係があったからです。
彼女は種族は珍しくヒューマンで、貴重な合法ロリ枠ですよ。


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