捻デレ者と和菓子屋の娘   作:グッバイぐら

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第12話です。
...難しい...。クロードが逮捕されちゃったし...この後の展開ホントどうしよう...


...うちの妹ってこんな黒かったっけ...?

「比企谷~。昼飯食おうぜ~。」

勉強会の翌日の昼休み。いつもであればベストプレイスへ行くのだが、今日は雨なので教室で過ごすしかない。

そこへこの誘いである。断りたいのは山々なのだが、口実がない。

「はぁ...分かった。」

かくして、いやいやながらも誘いを受けてしまった。

 

「いやー、楽の弁当って相変わらず健康的だなー。これ母ちゃんとかが作ってんの?」

「アホ言え。俺が作ってるに決まってんだろ。」

いや、高校生が自分の弁当を自分で作るのは普通じゃないだろ。しかも何でおかずのラインナップが精進料理みたいになってんだよ。

「今日はこのれんこんと里芋の煮物が自信作でな。」

あとなんで自信作がその地味な料理なの?他に無かったの?というかそんなキラキラして言うことでもないだろ。

「じゃあ比企谷のは?お前のも結構うまそうだけど。」

「あ?あー、俺のは小町に作ってもらってる。」

こうして思うと妹に毎日弁当作ってもらってる俺も大概だな...

「ふーん...なぁ比企谷、いやお義兄さん!」

「お義兄さん言うな。」

気持ち悪い。

「妹さんを俺にください!」

「ふざけんな妹は絶対にやらん特にお前には!」

間違っても舞子のような軽薄野郎になどやるものか。もし小町が舞子と付き合いたいとか言い出したらお兄ちゃん泣いちゃう。

「そんな必死にならなくても...。」

「必死になるに決まってるだろ!小町のことだぞ!」

逆に俺がそれ以外のことで必死になることなどない。

「はぁ...ほんととことんシスコンだな...。」

 

「...しかし楽の弁当とは対照的に桐崎さんの弁当はまたでけーな。」

「ん?」

「...まぁ確かに。」

つっても実家がギャングって聞いた後だと特に驚かないけど。

 

 

~クロード連行後~

 

 

「ごめんなさいごめんなさい本ッ当に申し訳ありませんでしたー!!」

勉強会に参加したメンバー全員に恋人のフリをしていること、実家がギャングであることを説明した桐崎はものすごい勢いで土下座した。

「あーいえいえ、千棘さんが謝ることないですよ。」

そんな桐崎に答えたのは先程ギャングの大幹部様を正座させてた我が恐るべき...愛すべき妹だった。

「ただ、壊れた玄関については...」

「あ、うん!それはもちろんうちの方で直すから!!」

「そうですか~。それならいいです。」

...うちの妹ってこんな黒かったっけ...?

 

 

 

 

 

「で?結局クラスの奴らには秘密でいいのか?」

「ああ。どこからうちのもんとかあいつのとこの人の耳に入るか分からねーし。」

まあ、噂好きな奴らがこんな短期間で飽きるわけもないだろうけど。

 

 

 

~Side 小咲~

 

 

「キャビアにフォアグラ、トリュフ...」

「オマール海老にフカヒレの春巻き...ウニの素揚げにフィレ肉のステーキ...」

「?どうかしたの?」

「昨日聞いたけど...桐崎さんの家ってホント金持ちなんだね...。」

私こんな高級料理少しも食べたことない...。

「え!?...私のお弁当って普通じゃないの?」

「んな訳あるか!?」

桐崎さんのズレた驚きにるりちゃんがつっこんだ。...これが普通だったら私たちが普段食べてるご飯って?餌?

「あ、それより宮本さん、小野寺さん。」

「るりでいいよ桐崎さん。」

「ほんと!?じゃあ私も千棘って呼んで欲しい!」

「あ、なら私も小咲って呼んでよ。」

1人だけ名字だと何か寂しいし...。

「るりちゃんに小咲ちゃんね。分かったわ!」

(((和むわぁ...。)))

...何だろう、クラスの男子がにやにやしてこっちを見てるような...。

「昨日は本当ごめんね。うちのバカが迷惑かけて...。」

「なんだそんなこと。別に私たちはいいわよ。」

「うん。むしろ比企谷君や小町ちゃんの方が大変なんだし...。」

「うっ...。」

桐さ...千棘ちゃんが言葉に詰まってしまった。本人も思うところがあるみたいだけど...。

「その2人も昨日許してくれたんだし、いいんじゃないの?」

「うーん...そうなのかな...」

「うん。比企谷君の場合あんまり気を使うと逆効果かも...。」

「え?どういうこと?」

「...比企谷君は本当に優しいから。あまり気を使っちゃうと比企谷君が自分のせいで気を使わせてるっていう感じに罪悪感感じちゃうんだよ...。」

あの事故の時もそうだったし...

「...そうなの?何か意外~。」

「うん。」

...何だろう?何か2人が生暖かい眼差しを向けてきてるんだけど...

「それにしても小咲ちゃん。随分熱く語ってたね。」

「ふぇ!?」

え!?ホントに!?

「なんか遠くを見ながら話してたわよ。」

え!?ウソ!?

「ねぇ、もしかして小咲ちゃん...あいつのこと好きなの?」

「うぁえ!!?」

ウソ!?付き合いの浅い千棘ちゃんが1発で分かっちゃうレベルなの!?

「そ、そそそそんなこと...「バレバレよ...。」あうう...」

恥ずかしすぎて火出そう...。

「そっか...ねぇ?あいつのどこが好きなの?」

「え?」

いきなりなのでポカンとしてしまう。どこ?

「いや、だって小咲ちゃんって凄い可愛いしいい人じゃない?どう考えてもあんな腐った魚みたいな眼してるやつと釣り合わないと思うんだけど...。」

ひ、ひどい言われよう...確かに比企谷君、眼は個性的というかなんというか...って感じだけど...。

「その...前にちょっとあったんだよ。...比企谷君に関係することだから詳しくは言えないんだけど...。その時に、ね...。」

事故のことは比企谷君に広めないように言われているので、肝心な部分はぼかしたけど...うう...恥ずかしい...。

「ふーん...そんなに好きなんだ...ならさ、いっそ告白しちゃえば?」

「ええ!?」

こっ、こここ告白!?告白ってあの告白!?

「い、いやそんな...告白とかいきなりそんな...。」

「...いいかもね。」

「るりちゃん!!?」

るりちゃんまで何を!?

「だってあんた結局昨日も進展なく終わったじゃない。あいつを好きなんて奴そうそういないだろうけど、誰かに取られちゃってからじゃ遅いかもだよ?」

うう...それはそうだけど...

「そうだよ小咲ちゃん!ほら、私も手伝うからさ!」

千棘ちゃんも言ってくる...

「...うん。そうだね。その通りだと思う...!」

「...小咲?」

よく考えたらもう2年も何も出来てない...それに...

「比企谷君は優しいから...その優しさに気付いて比企谷君のことを好きになる人だっているかもしれない。」

私みたいに...。

「頑張るよ2人とも。私...この気持ち伝えてみる...!!!」




ありがとうございました。
プール回を飛ばしたことについてはすいません。あれを小咲と八幡中心に進めるのは難しくて...。まさか八幡に千棘を救出させる訳にもいかないし...

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