銀河機攻隊マジェスティックプリンス(映画記念?) 作:sil
なんていうか・・・人生って、何が起こるか分からないよね。
唐突に悟ってしまうくらい今の自分は困惑していた。
クサナギ・ショウ。苦節16年、今までの人生を生きてきて───といっても4年より前の記憶がない、というか消されたんだけど───トップクラスです。勿論トップは見ず知らずの変態技術者に喜々迫る勢いでSMプレイしないかって聞かれた事。あれは忘れられない、身の危険を感じたし。その人の知り合いが連れて行ってくれなかったらホントにされそうだった。
まぁ何が言いたいかと言うと・・・。
《チームラビッツ、及びクサナギ・ショウ。至急、ゲート0131に集合せよ。繰り返す。至急、ゲート0131に集合せよ》
唯一の楽しみである食事中に緊急のアラームが鳴ったと思ったら自分が呼び出されたでござる。
いや、自分で言うのもなんだけど優等生とまではいかなくても、問題を起こした事は一切ないと自負している。それなのにいきなり緊急での呼び出し、集合するゲート0131っていえば外宇宙用のゲートで生徒はおろか、普段利用する事自体が皆無に等しい場所・・・・・はっ!まさか宇宙流しの刑!?やっぱりなにかやらかしちゃった!?何も覚えがありませんけど!・・・って今の言い方犯人っぽい?
『イツカ ヤルト オモッテ マシタ』
うぉい相棒さん!なに取材に答える知人発言!?
自分の横をぴょんぴょんと跳ねるバレーボール位の大きさの小型コミュニケーションロボット、通称ハロにツッコミを入れるもこいつは楽しそうにパタパタと耳?を動かしている。
『ハロハロ~、ジョウダンジョウダン』
タイミングが悪いわ!ホントに焦ってるんだかんね!?
『ショウ!ソンナコトヨリ ハヤクハヤク!』
無視?ねぇ無視なの?しかもそんな事って言った?
『Let's Go!』
ちょっ、落ち着きなさいっ。あんま暴れなさんな!目立つでしょうがっ。
『スデニ テオクレ』
Oh・・・マジか。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
突き刺さる周りの視線を受けながら進む事数分、次第に人影も少なくなっていきやがて無人の通路の突き当り、0131ゲートの前にやって来ると既に他の面々はいた。あれ、もしかして自分遅刻?
「遅いわよ」
片目が隠れた金髪の女性、スズカゼ・リン教官に怒られてしまった。
あっ、やっぱり遅刻でした。いや、でも自分だけのせいじゃなくって、まだご飯が食べ終わってなくって、いつも美味しいから残すのは勿体ないし・・・って、あれ?やっぱり自分のせいじゃない?
ここは素直に頭を下げて謝罪すべし。すみませんでしたー。
『ゴメンチャイ!』
『・・・・・・』
・・・おい相棒、喋れない自分の代弁者はあなたしかいないんだからちゃんと謝んなさいな、誤解されちゃうでしょ。ほら、チームラビッツの皆さんも微妙な顔でこっちを見てるよ!
『ノゾムトコロ』
こっちは全然望んでないんですけど!?それともなに?自分をイジメてるんですか?ドSなんですかッ?
『・・・ハロハロ~』
おい、顔と話を逸らすんじゃありません。しかもその間はなんだ。やっぱSなのか?Sなのか!
「・・・はぁ、まぁいいわ。それより早く乗りなさい」
呆れた様に嘆息したスズカゼ教官に急かされ、論争は一時中断。ゲートの奥にあるモノレールに乗り込む。けどこの件については後でじっくりと話し合わなければなるまい。でないと誤解で自分が死ぬ。社会的に。
両サイドの窓際に自分とスズカゼ教官、向かい側にチームラビッツの面々が並んで座るとモノレールは発進した。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
『・・・・・・』
「・・・・・・」
いやー、なんというか・・・気まずい
何この微妙に重たい空気は。誰も言葉を発さないから余計にそう感じる。いや、自分はほぼ喋れないんだけどね
にしても目の前のチームラビッツの五人、いや正確には四人の視線が痛い。何でそんなにジッと見てくるの? ───はっ!もしや食べカスが付いているのか!?
『ゼンゼン チガーウ』
あっ、付いてないんだ。実は結構慌てて来たから心配だったんだよねぇ。
自分にしか聞こえない程度の声でそう答えた相棒の言葉にほっと胸を撫で下ろす。
ならば相棒よ、なぜ彼等はこちらを穴が開くほど見てくるのかね?3行で纏め給え。
『ショウノ
ふむふむ・・・・・・全く意味が分からんぞ?そしてなぜラップ風?
『だめだこいつ、早くなんとかしないと』
おい、何で自分はダメ出しされたんだ。そして今、これまで聞いた事がないくらいメッチャ流暢に喋ってなかった?
というかなんとなくスルーしてたけど呼ばれた自分達以外に意外な人がいらっしゃるんだけど。もしかしてもしかしなくてもシモン指令ですよね?
金属製のバイザーと杖を持ってるラスボスオーラが滲み出ている御方。レアキャラ並みに遭遇率が低い、自分達が所属してるMJPのトップのシモン・ガトウ司令ですよね?確か事故かなにかが原因って聞いた事がある様な・・・って今はそんな事はいいんだって。
滅多に姿を見せないシモン指令までいるって事は・・・もしかしなくてもかなりの厄介事のフラグ?うわー、そんなフラグへし折って欲しいー。
『フラグ ハ カイシュウスル モノダ』
おい馬鹿やめろ。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ふぁー・・・いやぁ、感嘆ですわー。
モノレールの終着、見た事無い(多分)最新式の赤と黄色を基調とした母艦見せられ、その近くにあるドックにシモン指令とスズカゼ教官に続いて入ると、そこに存在していたのがこれまた見た事のないそれぞれタイプの違う5機のロボットだった。
赤・青・黄色・薄紫・ピンクとカラーリングも形状も違うそれらは、普段訓練で使っている練習機のMF-86TともMF-86Aライノス機とも明らかに違う。感想、なんか強そう。うーん、語彙力欲しいわー。
「あの~・・・なんか5機あるんですけど」
「わ、分かってるわよ」
チームラビッツの眼鏡をかけた男子が若干顔を引き攣らせ、長髪の女子もどもりながらもすぐさま返す。まぁ、いきなりこんな所に連れて来られてこんなもん見せられたらそうなるよね。かくいう自分も表情には出てないだろうけど嫌な予感ビンビンに感じて今にも逃げ出したい気持ちです。
他の3人は・・・1人はキラキラ、1人は?、1人は胃の辺りを押えながら機体を見てる。最後大丈夫か。俺は大丈夫じゃないです。
「チームラビッツ、及びクサナギ・ショウ」
名前を呼ばれ、自分達6人はシモン指令の前に整列する。あっ、なんかやばい事言われそうな予感。
「これから諸君等はウンディーナ方面へ出撃する」
・・・・・・ふぁ?
え、えぇっと、今とんでもない事言われた気がするけど・・・HAHAHA…ま、まさかねぇ?
同じような心境だったのか、さっき胃を押えてた男子が挙手して恐る恐るシモン指令に質問する。
「あ、あの、ウンディーナというと現在ウルガルに現在攻撃されている・・・?」
「作戦はゴディニオンに搭乗してから説明する」
違う、そうじゃない。なんか微妙に話が噛み合ってないシモン指令に心の中でツッコミを入れる。勿論届かないけど。
《アッシュ各機をピット艦へ移動せよ。繰り返すアッシュ各機をピット艦へ移動せよ》
あっ、なんか放送が掛かった。それに従って機体周りにいた整備の人達がなにか準備を始めてる。ということはあの機体の名前はアッシュなのかー、へー(現実逃避
・・・はっ!いかんいかん、色々急展開過ぎて脳が考えるのを止めようとしてる。考えるのを止めた人間はただの藻だ。どっかの偉人の言葉でそんなんがあった気がする。いや、多分違うだろうけど。
ん、んと、ともかく今言われた事を整理するぞ?
ウンディーナ→現在ウルガルに攻撃されてる最前線基地。
ウルガル→正体がよく分かってない敵。メッチャっぉぃ。
出撃→自分等が。
うん、まず5,6か所ツッコませろ。え、という事はなに?あのアッシュ(?)に乗るのは自分達なんですか?マジで?でも集まった人数に対して機体の数が足りてませんよ?
「あの、僕達あの機体に乗るのは初めてなんですけど・・・」
「練習機と基本操作は変わりない。寧ろ操作はし易いはずだ。【JURIA-SYSTEM】が組み込まれている」
「ジュリアさんってだれなのら?」
「システムの設計者だ。このシステムは操縦者のDNAを組み込む事で、アッシュの操作精度を上げるものだ。君達のDNAデータは既にアッシュに入力済みだ」
ま、待って、もうこれ以上新しい情報を持ち込まないでください。理解が追いつきません。
というかなんか自分達のDNAが組み込まれてるとか言ってるけどせめてそういうのって事前に言ってくれるものじゃないの?多分他の皆も同じような事思ってるよ、だって微妙な顔になってるもん。報告・連絡・相談、ホウレンソウ大事、いいね?
そんな自分達の思いを知ってか知らずかシモン指令は説明を続ける。
「ではフォーメーションを発表する。
フォアード・アサギ
コントロール・ケイ
ブースター・タマキ
ガンナー・スルガ
リベロ・クサナギ ショウ
そしてリーダー・ヒタチ イズル。お前が本作戦のチームリーダーだ」
ごめんなさい、いきなりフォーメーションとか言われてもなにがなんだか状態ですが。ていうか自分もやっぱり出撃なのね。一回帰ってもいいですか?ダメ?デスヨネー(自己完結
「リーダー?」
「リーダー・・・?」
「なのら?」
「マジで?」
「・・・?」
? なんだろう、チームラビッツの4人が微妙というか不可解な表情でリーダーに指名されたヒタチ・イズル君の事を見てる。そんなに不思議な事なのかね?あっ、本人は溜息吐いてる。
─────ッ!?こ、この気配は・・・上か!?
視線を上に向けるとそこには大の字になって降って来る人影が。やっぱりか!
「ぅーけーとーめーてぇえええッ!!」
『っ!?』
『オヤカタァ!ソラカラ オンナノコガ!』
ふざけてる場合じゃないでしょ!あの人もあの人だけど!?くっ、いけるか・・・!?
「っ・・・!」
「わっぷ!?」
両手を広げ、手が触れた瞬間に腕力と膝を曲げて落下の勢いを殺し、無事受け止める事に成功する。
ふぃー、一発勝負だったから焦ったけど上手くいって良かったぜぃ。
「ひゅぅ~、ナイスキャッチだねんクーちゃん」
「・・・・・・」
いや、何がひゅぅ~ですか。前と変わらず全然口笛吹けてないし。それと背中から落ちて来るなんて正気の沙汰じゃないよ。というかどこから落ちて来たんだこの人?
そんな思いを込めたジト目を向けるとなんだか得意げに胸を張った。
「ずっと天井で張り付いてスタンバってました!」
「・・・・・・」
どうだ、と言わんばかりのどや顔でそんな事を
「笑えば、いいと思うよ」
「!」
お、おぉ、まさかこのネタが通じるとは思わなかった。これって100年以上前のらしいのに。あと全く声に出してないのに。
「君に関する事なら全部分かるのさ☆」
なんだろう、あなたがそれを言うととても危ない気がします。
「酷い!?」
『ハロハロ~』
「・・・では作戦宙域に到着するまでの間にブリーフィングをする。各自、パイロットスーツに着替えた後、ブリーフィングルームに集合せよ。以上だ」
『(あ、触れない気だ!?)』
突然の乱入者よりも、シモン指令の発言に驚きを隠せないチームラビッツとスズカゼ達だった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
突然だが少し昔話をしよう。あれは今から1年位前、授業が終わり訓練もない日、なんとなく放課後の校舎をただぶらぶらしていた時、偶々寄った屋上で自分は
初めて彼女を見た時の印象は「あっ、この人やばい」だった。何を思ってそう感じたか分からないけど、悲しい事にそれは正しかった事がその後に証明された。
その時の彼女はこちらに気づいた様子は全くなく、ただひたすら難しい顔をして眼前のモニターと睨めっこをしていた。
普通なら知り合いでもないし、なんかウサ耳とか付けてるから邪魔をしない様にそのまま通り過ぎる所。いや、
けど一体何をトチ狂ったのか、妙に気になった自分は彼女の背後に近寄って覗いてみた。
まぁ、自分はそれを理解する事は出来なかったんだけど。だって物凄い勢いでスクロールしてたから。目が全く追いつかなかったよ。こいつ・・・速過ぎる!
『うーん、なんかイマイチなのしかいないなぁ。はぁ・・・うん!やっぱりこの私のお眼鏡に適うのはこの子だけだね!』
そんな事を言って、ようやくスクロールが終わったと思ったらそこには複数のデータと自分の顔写真が。ビックリして思わずたたらを踏んでしまい、流石に至近距離だったので彼女に気づかれてしまった。
そして目と目が合う2人・・・・・なんてドラマの様な展開ではなく、鋭く飛んで来たグーパン。いや、いきなりグーパンってどうよ。無駄にスッペクの高い身体のお蔭で反射的に受け止めちゃったけどさ。
そしたらそこからなぜかインファイトに。といっても自分からは攻撃しなかったからひたすら相手のを躱すか受け止めるって感じだったんだけど。あと普通に回し蹴りとか踵落としとかもしてくるから大変だった。主に躱すのじゃなくって、スカートの中を見ない様にするのに。
屋上で格闘ってなんかドラマチック?いや、どっちかっていうと王道少年漫画的展開か。しかもその向かってくる人は笑顔というね。何それ怖い。
まぁ、5分くらいそんな事を続けてたらいきなり攻撃の手が止んで、なんか子供の様なキラキラした目、息が上がって僅かに上気した頬。彼女にガッチリ両手を掴まれ───
『キミ!私に乗ってみないッ!?』
愛の告白じゃなくって変態の告白でした。自分のデータ見てて、さっきまでバトッてた人にそんな事言われた自分は困惑。
勿論首を横に振って断って、その後すぐにお仲間っぽい人に連れて行かれてその話は無しになったはずなんだけど、それ以来何故か滅茶苦茶懐かれてしまってちょくちょく交流を持ってという経緯を経て現在に至るり
そしてその変態で変人こそが、現在進行形で目の前でニコニコしている自称天才ことタバネさんなのだ。
その無邪気な笑顔の仮面の裏で何を考えているか、それは誰にも分からない────
「ちょっと!?変なナレーション付けないでよ!」
また考えてる事を読まれてしまった。ホントどうして?・・・まさか、この人は───
「おや?おやおや?もしやここでラブコメ的急展開!?そうだよ、タバネさんは君の事を・・・」
──生粋の変態?
「ギャグ展開の方だった!?」
スベチャーッ!と地面に倒れこむタバネさん。うん、やっぱり読まれてる。
ここまで自分と意思疎通が出来る人なんて今までいなかったから、こういう風に話せるなんてやっぱりすごい新鮮。最近相棒はおふざけが過ぎるから会話をなるべく控えてたんだよね。じゃないと変な人として見られちゃうし。
まぁ、元々会話する相手が少なかったからそんなに変わらなかったかもだけど。自分、ボッチ候補生だから(泣
ってあれ?なんか他の皆がいつの間にかいなくなってる?
はっ!さては皆自分を置いて逃げたな!酷いよ!タバネさんの対応って幼い子供相手にするより疲れるんだかんね!
「さりげなくタバネさんにダメージィ・・・!」
うん、タバネさんが地面と同化しそうだからそろそろお遊びも終わりにしよう。
タバネさんタバネさん、どうしてあなたがここにいるんですか?
「よくぞ聞いてくれました!クーちゃんに聞かれたら答えるのが世の情けならぬタバネさんのLOVE!」
一瞬で復活したタバネさんは元気いっぱいに胸を張る。なんとなく視線を外してしまう。あれは目に毒だ。立派過ぎる果実だもん。ぷるんって揺れたよ。自分にはチラ見もガン見もする度胸はありません。ヘタレと罵るがいい。
『ヤーイ、ヘタレヘタレ!ショウノヘタレチキンー!』
ガシッ!
相棒を遠くへシュゥゥゥウウウウッッ!
『ハローッ!?』
超、エキサイティンッ!
生意気な相棒を星にしてちょっとした達成感に浸る。さて、タバネさん続きをどうぞ(ニッコリ
「(滅多に見られない微笑みでテンション上がるはずだけど、なんだか逆らえないオーラが・・・こ、これはスルーした方が良さそうだね。じゃないと私までぽいされちゃいそうだよ)じゃ、じゃぁ、何気に時間も押してるし、説明は母艦に移動しながらにしようか」
そう言うタバネさんに従って、自分はさっきの母艦に彼女と一緒に向かう事に。あっ、相棒はその途中で戻って来ました。
『コノウラミ ハラサデ オクベキカ』
おい馬鹿やめろ。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
タバネさんと一緒に母艦(ゴディニオン)に乗り込むと、すぐに発進した。そして自分は艦内を移動している途中に、掻い摘んで簡単に説明を受けた。
なんでも、タバネさんは自分の乗る機体の整備士──専属のピットクルーとしているんだとか。妙に気に入られてるのがここでも関わってくるとは。まぁ、腕は確からしいし、大丈夫・・・なのかな?
その機体だけど既にあの母艦の方に運ばれてたらしい。良かった、自分だけ訓練機かと思った。でも慣れ親しんだ機体の方がいいのかな?いや、考えてみれば訓練機で敵と戦うとかマジ無理だわ。
「タバネさんは君ならそれでもいけると思うけどね?」
やめて下さいホントに。いくらなんでもそれは買いかぶり過ぎですよ。いけるじゃなくって逝けるが正しいです。
タバネさんの冗談に真剣にそう返すも、彼女はカラカラと笑うだけだった。
それで乗る機体のスペックを見せられたけど・・・これまたホントに感想に困る。従来の機体より軒並みスペックがかなり高いなぁ、と感心してたらメイン装備が盾だったんだもの。
そういえばポジションはリベロでしたね。バレーボールだと攻撃は出来ないけど、だからってメイン盾にしないでいいと思うんだけどなぁ。ロマンだけど、縛りプレイだけれど!心を、魂を揺さぶられるけども!・・・まぁ今更何言っても後の祭りだね。だってもう出来ちゃってるし。うん、シカタナイネー(棒
「じゃぁはい、これ!まずはこのパイロットスーツに着替えて来てね!更衣室はここだよー」
「(コクリ)」
「・・・じゅるり」
「・・・!」
おいタバネさん、じゅるりってなんだじゅるりって。少なくともあなた女性でしょうが。そういうのってどちらかと言うと男子の本分。
「アマゾネスならぬタバゾネス的なあれなのさ!」
パタンッ。
「あぁーん!無言で扉閉めないでぇー!」
『コノトビラヲ ブチヤブル?』
おい馬鹿マジでやめろ。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
タバネさんの覗きを阻止しつつなんとかパイロットスーツに着替え終え、仕事があると言うタバネさんに連れていかれた相棒と別れ、急いでブリーフィングルームに向かうとなんかもう作戦の説明が始まってるっぽい。またまたやっちまったぜ・・・。
こういう時ってすごく入りずらいよね。だから自分はこのまま部屋の外で説明を受ける事にします。ちょっと聞きづらいけど取りあえず作戦概要は分かった。
・GDFの最前線基地が「ウルガル」から強襲を受け、戦力差から基地を放棄し、撤退する事に。
・敵の攻撃による基地陥落予測が約2時間半、味方の撤退完了が3時間。
・その差の30分を敵を引き付けて攪乱し、時間稼ぎをするのが自分達の仕事。
うん、説明は簡単だけど実際にやるとなるとそうもいかない。たった30分、されど30分。こっちは色々学んできたし訓練も受けて来た、最新鋭の機体がどれほど優れたスペックだとしても、自分達はまだ実戦経験もない学生だ。
しかも敵の相手をするのがチームワーク最悪って言われてるラビッツと、彼等とほぼ面識も無く会話も出来ない自分ときた。
戦場では常に緊張感を持ってお互いの事を把握する事が大切。じゃないと油断したところをやられたり、フレンドシップファイアの危険性が高まるって教わったし。
うん、なにこの過酷なミッションは。もしかしてもしかしなくても今日自分、死ぬんじゃないの?いやー・・・短い人生だったなぁ(遠い目
『お前達の夢はなんだ』
うん?おかしいな、今シモン指令の声でそんな言葉が聞こえて来たんだけど・・・いきなりどないしましたか?失礼ですけどそういうキャラではない気がするんですが・・・。
その問い掛けにチームラビッツの面々がそれぞれの夢を語っていく。
“夢は・・・叶いました。こうしてGDFのパイロットとして最新の機体に乗る事です”
胃を押えてた青髪の男子は胸を張ってそう答え。
“じ、自分も同じっすかね・・・?”
眼鏡を掛けた癖っ毛の男子は慌てて合わせた様に。
“夢なんて、考えた事もないです・・・”
長髪の女子はどこか顔に影を浮かばせ。
“わ、わたひはッ!そのあの!?”
子供っぽい感じの女子は慌て過ぎて言葉にならず。
“僕は、僕の夢は・・・ヒーローになる事です!”
最後にリーダーに指名された男子は覚悟を決めた表情でそう述べた。
ふざけて・・・っていう事はないだろう。すごいなぁ・・・この場面でそれを言うか。見た目にそぐわず、結構度胸のある人物なのかもしれない。もしくは天然。でもそういう所は物語の主人公っぽいなぁ。案外ホントにヒーローになっちゃったりして。
『・・・君はどうだ、クサナギ・ショウ』
What!?ばれてーら!流石シモン指令!そこに痺れる憧れるぅ!
と、そんな風に内心の変なテンションは内に留め、覚悟を決めて中に入る。皆の視線が突き刺さるけど気にしちゃダメだ。でないと速攻で逃げ出したくなる。
・・・・・・あっ、ハロいないから代弁出来ない。
・・・・・・動け動け動け動け動け動け!動け、動いてよ!ただでさえ一年365日の殆ど仕事してないんだからせめてこういう時に動けよ口ィ!
あ、やっぱり無理っぽいごめんなさい! 口の前に人差し指立てるので精一杯ー!
もうやだ!なんかもう穴があったら入りたいです!
誰かこの滅茶苦茶居づらい空気を換えて下さいッ!!
「・・・我々の夢は君達だ」
そう言って敬礼するシモン指令に、俺は後光が差している様な幻覚が見えた。
こうして、なんだかかんだで自分達は初の戦場に向かう事になったのだった。
To be Continued…?
続きは映画を見終わってから?