織斑一夏とセシリア・オルコットとの第一戦は大番狂わせをおこし、織斑一夏の勝利となった。
事前に識っていた通りの展開に、内心安心しつつ(賭けに大勝ちした悦びは隠して)眼前に浮かぶ対戦相手に意識を向けた。
相対して、会場の中央に浮かぶ彼女。《蒼い涙》を体現した眩いまで蒼は、空の青にも、会場の彼方に見える海の碧にも、滲むことなく浮かんでいる。
エネルギーは充填され、第一戦で負傷したビット兵器とスナイパーライフルは換装されている。
ISの補給中・退場整備の最中が休憩時間になったことを考えると、対戦相手、セシリア・オルコットは、万全の状態といっても差し支えないだろう。
「連戦のところ悪いがつきあってもらうぞ」
「先ほどの失態、この一戦で挽回させてみせますわ」
むしろ、織斑一夏に敗北したせいか、やる気というか闘志というか、気力は充実しているらしい。
IS学園、1-Aのクラス代表を決める決闘。
代表候補生ということもあり、セシリア・オルコットは初戦かつ連戦をすることになった。
この第二試合の後に、俺と織斑一夏の第三試合が行われる。
そう考えると、第二試合を丸々休める織斑一夏が一番得していることになる。
これが主人公補正というものなのだろうか。もしくは、試合順を決めた織斑教諭の身内贔屓か。
益体のないことを考えていたら、試合開始前のカウントが始まった。
《カウント5》
「セシリア・オルコット。先に謝っておく」
《4》
「何を、ですの?」
《3》
「この試合、お前はある意味で失態、もしくは醜態をさらすことになる」
《2》
「……その言葉、宣戦布告と受け取とります!!」
《1》
銃口が向けられ、スナイパーライフルにロックされた警告音が鳴る。
《Ready Fight!!》
試合開始の合図と共に、セシリアが引き金を引くより前に、俺は無言でISの固有能力を発動した。
そもそも、俺には積極的な防衛手段はこれ一つしか無いし、しかも完全な初見殺し。
右腕から放たれた赤い閃光が直撃して粉塵が巻き起こり、セシリアの姿は見えなくなった。
ところで、俺のISの固有能力は、実はISの能力ではない。
俺自身に備わった能力だ。
そもそも、俺のISには攻撃機能そのものが搭載されていない。
テンプレ丸出しの神様転生をするときに、特典を一つもらえることになった。
平和な日常、争いとは無縁の人生を過ごしたかった俺は、争いを回避することができる(強すぎず、かつ人道的な)能力を希望した。
そこで思いついたのが、世界的ベストセラーになった、魔法少年(某H.P.氏)が主人公のファンタジー小説に登場していた、呪文の一つだ。
武装解除の呪文。
この呪文は優秀で、敵対者の武器を取り上げるだけでなく、吹き飛ばして距離を稼いだり、状況によっては失神させることも可能である。しかも、原則非殺傷。
王の財宝とか、無限の剣製とか、殺傷能力高すぎる能力はいりません!! ということで、この呪文にしたのだが……どうも、神様には上手く伝わらなかったらしい。
閃光の直撃時に生じた煙が晴れ、現れたセシリア・オルコットは……上半身裸になっていた。
『……は』
観客は呆然となり、会場が沈黙に包まれる。
具体的にいうと大型のスナイパーライフルとビット兵器6機、および上半身の機器とISスーツが消失しており、下半身のフロートユニットを使い浮いているだけの状態だ。
「……! キャャャャーーーーー!!」
自身の状態に気がついたセシリア・オルコットも、文字通り絹を裂いたような悲鳴を上げた。
両腕では隠しきれない、たわわな果実がむゅり、とか、ぷるん、とかそんな感じで形を変える。
武装解除の呪文でも、出典が違ったのだ。
確かに、敵対者の武器を取り上げたり、吹き飛ばして距離を稼いだり、状況によっては失神させることも可能で、原則非殺傷。ということは変わりない。
……直撃した相手の衣服まで粉砕する以外は。
これ、『ネギま!』の方やん!!
つまり、俺の能力は、武装解除(強制脱衣付き)ということになるのだが、
『試合は中止だ。両方とも格納庫に戻れ。……あと、新名。貴様に話がある。直ぐに出頭しろ』
そんな能力を、女の園で使えばどうなるのか。
織斑教諭の悪魔のような声が全てを物語っていた。
俺は明日の朝日を拝めるのか。今から真剣で心配だ。
ISの世界で脱がし呪文が使える主人公がいたらどうなるのか。
なんとく思い付きで書きたくなった。反省はしていない。