りんぱなの卒業式です

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第1話

中央にそびえ立つ木を囲むようにして造られた、そのベンチに。

音ノ木坂の制服を纏った少女が2人。

 

……しばしの沈黙。

 

普通なら話題を展開しなきゃ、と。大なり小なり焦燥感や不安感に駆られるものかもしれないが…。

 

______そこには対極の安堵感と安心感。

 

……ずっと今まで隣にいたから。

言葉にしなくても…いや。

言葉にしないからこそ伝わるものがある。

 

冷たい風は日を重ねるごとに暖を増し、その風は咲き始めの桜の花びらをふわりと宙に舞わせる。

 

「はぁ〜。何で卒業なんてあるのかにゃ〜…」

足をぱたつかせながら凛ちゃんがそう呟く。

「あはは…しょうがないよ。確かに卒業はちょっぴり……ううん。ものすごく悲しい…。けど、私は今までも。そして、この先もずっと凛ちゃんと一緒だよ」

「けど毎日は会えなくなるにゃ」

頬をぷくーっと膨らませ、ふと、何かを思いついたかのように続ける。

「……にこちゃんや穂乃果ちゃんもこんな気持ちだったのかな」

「うん。きっとそうだと思う」

別れは辛い。今までずっと一緒だったから、尚更。

「凛ちゃんはやり残したことはない?」

私の急な質問に「うん」と短く答えて「かよちんは?」と逆に返してきた。

「私は……。凛ちゃんは運動が得意で、それに対して私は何もできなくて…。いつも遠くから凛ちゃんのことを応援してるだけだったけど、1年間μ'sとして凛ちゃんと同じステージに立てて。……すごく嬉しかった。大好きなアイドルを、大好きな凛ちゃんとできて。最高のメンバーとできて。それだけでもう、十分すぎた。すごく幸せな時間だった。だけど……」

一息ついて。

「だけど、もう一回だけ……あの9人でやりたいな。スクールアイドル」

真剣な表情で私の話を聞いてくれる凛ちゃん。

空いていた距離を詰めてピタッと密着してきた。

そして、ゆっくりと。

「凛も…やりたいな。えへへ、2年前にちゃんと割り切ったはずだけどなぁ…」

その目からは涙が溢れ出していた。自然と私の頬にも涙がつたう。

 

________少しずつ。

 

少しずつだけど、色々なことが変化を繰り返して新しくなっている。

世の移りとして、それは当然で必然なことだと思う。だけど。

 

変わってほしくないものもある。

 

未来永劫、私たちの中で生き続けるであろうこと。

……これが青春なのかな?

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

「本当にこれで最後だね」

校門を前に、手には黒い筒をもって。

「あの時はかよちんが急に部室に帰っちゃって」

遠くを見つめて凛ちゃんが言葉を紡ぐ。

「それからアメリカに行っちゃって、μ'sがすーっごく有名になって。……あれから2年かぁ」

不思議と笑みが溢れる。

「またメールが入ったりして?」

「そ、そんな事あるわけないよぉ…」

そう言う私をよそに、ふふん♪と楽しげな凛ちゃん。

「また9人で…かよちんと一緒にやりたいなと思うけど、今が最高だもんね!」

 

一歩、また一歩。私に詰め寄ってくる。

「かよちん、これからはもっと。もっと、もぉーっと!よろしくにゃ!」

 

……また泣きそうになっちゃうよ。

けど、最後はちゃんと笑顔で終わろう。

 

「うん!よろしくね!凛ちゃん!!」

 

そして2人の少女は校門を出た。

 

 

 

 

 

________2年前に始まった2人でひとつの青春は、静かに幕を閉じた......。


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