DDG-191ふぶきの物語   作:シン・アルビレオ

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あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。


2026年新春ライブで吹雪改三のコンバート改装が発表されたようですね。(すみぺ吹雪はいいぞ最高だ)
どうやらIF戦後仕様みたいらしくこの小説を書いている身として新しいアイデアが湧き出してきたので5年ぶりに再開しました。






21話 歓迎会

 提督による乾杯の挨拶から幕を開けた歓迎会。

料理は和洋中の色とりどりな料理がバイキング形式で並べられていた。

しかしその中でも圧倒的に目を引いたのは、海鮮料理の山脈であった。

山盛りのいくらやサーモンとホタテ、ウニ、ニシン、秋刀魚・昆布料理などこれでもかとある。

またカムチャッカ半島と目と鼻の先なので、ロシア料理で有名なボルシチやビーフストロガノフ、ピロシキなどもたくさん並べてある。

お盆とお皿を手に取ったメニューはシーフードカレー、わかめのみそ汁、お寿司や惣菜を選んだ。

ふぶきのグループは提督と秘書艦の吹雪、空いてる席がある。

ちなみに提督曰く同伴できる席は人気すぎるため、毎回様々な抽選で決められるそうだ。

公平を期すため前回当選した艦娘は抽選から除いたり、各艦種に分かれ抽選を行う。

今回熾烈な抽選会を勝ち取った豪運の艦娘はアイオワ、蒼龍、古鷹、夕張、響もといヴェールヌイ。

偶然かこの席の殆どが護衛艦の先輩にあたる名が集っていてふぶきは緊張してくる。

 

 全員が料理を取りお互い乾杯し頂きますをすると、まずはカレーを口にする。

魚介類の旨み、野菜の甘み、スパイスの辛みが複雑に絡み合いとても美味しい。

下手すれば海自のカレーコンテストでも優勝レベルかもしれない。

味噌汁は昆布と煮干しの出汁が効いており、わかめも肉厚で旨い。

お次は寿司。どれもネタが大きく新鮮だ。

ミズダコキムチとミズダコのから揚げも頂く。

まさに地産地消の典型例であり素晴らしいことだと思う。

だがそれよりも気になるのはアイオワと蒼龍の前にそびえ立つデカ盛りの料理だ。

ものの数分で平らげておかわりし、またデカ盛りで口に運ぶ様子に口が塞がらなかった。

さらに蒼龍は日本酒をまるでジュースを飲むかのようにボトルが半分になっている。

ヴェールヌイはロシア料理オンリーでしかもウオッカをチビチビと飲んでいる。

小声で隣の提督に話しかける。

「あの……ヴェールヌイさん、ウオッカを飲んで大丈夫なんですか?」

「艦艇基準だとほとんどは70年を越えているから大丈夫だよ。でも一部の方が何度も電話やFAXでクレームしたり、鎮守府前で抗議活動を行ったりで業務が滞った例が各地にあったから今では見た目が幼めの艦娘は風営法等様々な法律に則って活動している。例えばゲーセンでの立ち入り時間とかね」

「なるほど……でも見た目で判断するなら18歳未満の年少者が深海棲艦と戦うことって労働基準法どころか国際法で禁じられているはずでは?」

「あー、その件については講義でやる内容だ」

そういやお風呂場で吹雪さんから講義がある、と言われたことを思い出した。

 

 すると料理を取り終えた2人の空母艦娘がふぶきに話しかけてきた。

「ふぶきさん、改めて先ほどの演習は見事でした。翔鶴型航空母艦一番艦、翔鶴改二甲と申します。先ほどの演習は見事でした。まさか妹の航空攻撃を完封するとは」

「改めて翔鶴型二番艦、妹の瑞鶴改二甲です。いやぁ翔鶴姉、あれはチートよ」

「あの、改二甲とは一体……?」

「一定の練度になると艦娘は改装というパワーアップができるの。私は改から改二になったけどこのように変わるんだよ」

隣の席にいる古鷹がスマホを取り出し写真を見せる。

改と比べ服装が変わり黒インナーを着用している。

ぴっちりとした黒インナーのせいでおへそが見えているように見えるのはエッチだと思います。

身長が1頭身ほど伸びてかなり大人びた姿になっているだけでなく、オッドアイのような片目からはまるで電撃のような線もある。

「べ、別人じゃないですか……!?」

あまりの変わり具合に写真と本人を二度見する。

「ちなみに妹の加古も改二はこんな感じだよ」

古鷹のスマホには加古の写真フォルダがありそれも見せてもらうと、へそチラしており黒サラシインナーは黒インナーとはまた違うえちえちな服だ。

古鷹改二は黄色の電撃だったが加古改二のほうは蒼い電撃が片目から出ているし、なによりイケメンである。

「子供っぽい見た目からこのイケメンって振れ幅どうなっているんですか!?」

「さすがに私もびっくりしたけどね。けど性格は変わらずで安心した」

「めっちゃイケメンな性格なんですかね」

ふぶきの想像はピンチの時に颯爽と現れて救うクール系だけど、心優しく誰からでも好かれる騎士だ。

「それがね、事あるごとに寝ちゃうぐうたらな子なの」

「へ……?」

予想外すぎる答えに絶句してしまう。

「例えばお昼ご飯の途中でうたた寝してカレーに顔を突っ込みかけてたり、作戦会議中にうっかり寝落ちしちゃったりとか」

「うそですよね……?」

「本当よ」と言いながらそこには様々な場所で寝る加古改二の寝顔専用フォルダがあった。

最初の加古改二の表情は絶対寝ないぞ、と覚悟を決めた凛々しい顔だったが次の写真は布団に丸まる猫のようにこてんと寝ていた。

「このギャップがたまらなくてつい『かわいい〜』って言っちゃうんだよね」

古鷹が頬に手を当て幸せそうな顔を浮かべる。

「よかったら加古を呼んでこようか?」

席を立った数分後、古鷹に連れてこられた加古改二がやってくる。

「古鷹型重巡2番艦加古ってんだ。よっろしく!」

思ったよりも腹筋が割れており細マッチョな上に黒サラシがエロティックな加古改二に驚きながらも、どうにか自己紹介をする。

「は、初めまして。ふぶき型護衛艦ふぶきと言います。改二になる前と違いすぎて驚いてます……」

「あぁ、よく言われるけど……お姉ちゃん、もしかしてあの写真を見せたの!?」

「うん。いいでしょ、減るもんじゃないし」

「私が恥ずかしいんだよぉ……」

赤面する加古さんを目にしてふぶきは初めて理解する。

これがギャップ萌えかと。

そして脳内と心が焼かれバキバキと壊れる音が聞こえた気がした。

 

 「見た目が変わる艦娘は結構いるよ。私たちの場合はさらに練度を上げることで改二とは異なる性能を持つコンバート改装ができるんだ」

「な、なるほど。具体的には改二と甲でどのように違うんですか?」

瑞鶴のおかげで我に返ったふぶきが質問する。

「翔鶴型の場合正規空母が改二で、改二甲が装甲空母になります。主なメリットは装甲化で防御力の向上、ジェット機の運用可能といったところでしょうか」

翔鶴がメリットをあげると、瑞鶴がデメリットをあげる。

「デメリットは燃費の悪化かな。燃費が戦艦並みになるから消費する資源が馬鹿にならないし、エンゲル係数も上がってやりくりが大変になったね」

「大食いになってしまったと?」

「そうよ。さすがに大和型や一航戦の先輩方には敵わないけど。明石さんから大いなる力には代償が伴うであろう、と言われたけどね」

「ちなみに私も結構見た目が変わったんだよ。写真見るかい?」

ヴェールヌイが近くにやってきてスマホを操作し、ふぶきに見せる。

確かに身長が伸びて服装も白を強調したものとなっている。

それよりもウオッカを飲んで酔ってしまったのか、ヴェールヌイはふぶきの太ももにちょこんと座ってしまう。

アルコールのせいで体温が高いヴェールヌイを抱きしめたい衝動に駆られるふぶきだが、頭をなでなで我慢する。

「これはいいな……СласиБо(ありがとう)」

 

 ヴェールヌイがウトウトしつつあるとその光景を羨ましがる蒼龍がふぶきに絡む。

「私は改二で芋芋しくなってしまったなー。大本営の予想図からバズーカ蒼龍なんて呼ばれたり、飛龍はイケメンになったのにぃ」

お猪口にあるお酒をぐいっと飲み干すと日本酒のボトルをまた開ける。

空になったボトルが2本あるのでこれで3本目だが一向に酔う様子はない。

「バズーカ蒼龍って……?」

「改二の予想図が大本営からチラ見せ公開されることがあるの。提督たちが大喜利で予想するのがインターネットで流行っていて、その時のイラストがこれよ」

蒼龍がスマホで検索してふぶきに見せると、まさかのガチムチで矢筒をバズーカとして肩に担いで向こう向きに照準を合わせる蒼龍のイラストに噴き出してしまう。

「直後の有明で行われたとある夏の祭典でバズーカ蒼龍の男性コスプレイヤーさんが出現してバズったのよ。あれはクオリティーが高かったわね」

細かいところまで再現しており、しかもニュース番組でコスプレ特集が組まれたとき蒼龍として紹介されている。

「確か秋雲が詳しかったわね。あ、いたいた。秋雲こっちおいでー」

蒼龍が近くを通りかかった秋雲を呼ぶとバスーカ蒼龍の件を話す。

「そのコスプレイヤーさんは有名ですよ。他にもバズーカ飛龍やHOPPO(北方棲姫)ちゃんのコスプレしてましたね」

「秋雲さんはこういったイベントにはよく参加を?」

「うむ。オータムクラウド連合艦隊というサークルに所属していて、各鎮守府の秋雲が薄い本や合同誌を出しているんだ。ちなみに私のペンネームは占守島で戦った戦車第11連隊からとって秋士魂雲(あきしけいうん)で活動しているよ。そうだ、今度護衛艦ふぶきを題材とした薄い本を出したいんだけどいいかなぁ?」

秋雲がふぶきと提督に許可を貰おうとする。

「私は構いませんが、機密情報があるのでそこだけは……」

「そもそも彼女は全くもって新しい艦娘だ。演習結果等の報告書はこれから大本営に提出しなければいけないし、情報の取り扱いは特に慎重を期する特定機密に該当するから今はダメだ」

「今は、ということは……」

秋雲が期待の眼差しを提督に向ける。

「上から公式に認められ特定機密が解除されたらいいだろう。ただし、内容についてはふぶきと検閲する方法をとる」

「うげぇ……まぁそればかりは仕方ないか」

あんなことやこんなことをする薄い本を描きたかったがおじゃんになったことに肩を落とす。

 

 今度はアメリカンな艦娘が話しかけてきた。

説明不要なアメリカンサイズの胸部装甲に瑞鶴は心の中で威嚇する。

「Hi。アイオワ級戦艦ネームシップ、改めて私がアイオワよ。あなたがイージス・システムを搭載した艦娘ネ。計画は知っていたけど時代を経て進化しここで会えたことは光栄よ」

ふぶきもヴェールヌイを太ももに乗せたまま握手で挨拶を交わす。

「アイオワさんが艦の時代にはそのような計画があったんですか?」

翔鶴が尋ねるとアイオワは頷き肯定する。

「そうネ。1944年末期に艦対空ミサイルの計画が立ち上がった。終戦には間に合わなかったけど開発は続けられてジェット機の台頭もあって3つの艦対空ミサイル、通称3Tが完成したの」

「しかし、技術の進歩は凄まじく3Tはあっという間に陳腐化。さらに冷戦もありソ連の対艦ミサイルも脅威であったため1958年からタイフォン・システムを着手し、それを経てイージス・システムが出来上がったのよ。タイコンデロガ級とアーレイバーク級と呼ばれ、除籍したのが1995年3月くらいだから17番艦のDDG-67コールまでは知っているわ」

「コール……まさかあの?」

「あら、彼女と知り合い?」

「知り合いというか2000年頃、アデン湾で補給中に国際テロ組織による小型ボート自爆テロで大破した艦で語り草になっているので……」

「No way!(うそでしょ!) 空からのカミカゼアタックに対抗するため作り上げたイージス艦がまさか小型ボートのカミカゼアタックで大破なんて……信じられないワ」

「イージス艦は装甲がないって本当だったのね……でもさ、戦艦並みまでとは言わなくてもある程度の装甲とミサイルがあれば最強だと思うのになんでしないの?」

瑞鶴がごもっともな疑問点をぶつける。

「そうですね……まず戦争のコンセプトが変わったことがあげられます。アイオワさんが先程おっしゃったようにミサイルというものが今の主力兵装です。砲弾よりも射程が長く威力も高い。そのため装甲化して耐えるよりはデータリンクで各艦と共有しミサイルなどによるハードキルと、電子戦によるソフトキルで対処したほうが効率がいい、と各国の軍は判断しました。あとは国のお財布事情もありますし、少子高齢化社会のため大和型のように数千人を超えるほどの乗組員が集めにくくなっています」

ふぶきのわかりやすい解説に周りの艦娘達は納得する。

「なるほど。様々な事情が絡み合ってあなたの艦がそちらの世界での最適解か。航空機もレシプロ機が主流ではないの?」

蒼龍が問うとジェット戦闘機が主流になっていることを伝える。

「我が国にはF-4(ファントム)、F-2A/B(ヴァイパーゼロ)、F-15J/DJ(イーグル)のジェット戦闘機があります。F-2は空対艦誘導弾(ASM)を4発もお届けできる化け物。正直戦いたくない相手です。F-15J/DJですが今日でも最強の戦闘機の一角として名が上がるほど強いんですよ。F-4は退役間近なので、F-35と呼ばれるステルス戦闘機が後継機として決定しています」

ステルスという単語が出てピンと来なかった彼女たちだが、ビスマルクと着任したばかりのウォースパイトがたまたま近くにいたので話に割り込む。

「簡単に言えばレーダー等のセンサー類から探知されにくい機体ですね。イギリスではデ・ハビランド社が1930年代から木材を使用した航空機を開発し、10年後にはモスキートと呼ばれる木製の爆撃機が誕生したわ」

「ドイツのホルテンHo229も忘れてはいけないわ。なんといっても全翼型のステルス爆撃機よ。まぁ遠くまで速く大量の爆弾をお届けするためにあの形が最適解で、ステルスは副産物という見方があるわね」

全翼機と聞いてアイオワがとある機体を思い出す。

「それならアメリカにもYB-35と49があったわね。計画機を経てB-2爆撃機が作られたそうだけどすでに除籍してたから風の噂でしか知らないわ」

「B-2爆撃機なら現役バリバリですよ。ステルス性は世界最高峰ですがその分世界一お高い爆撃機で、金塊よりも高いだの空飛ぶ国家予算とも比喩されていますが……」

「Oh、あんな形が本当に飛んだのはすごいわね。どれくらいするの?」

「確か1機で20億ドル以上だったかな。維持費も含めればもっとしますが」

20億ドルと聞いてアイオワが驚愕するも、日本艦娘はピンとこない様子だった。

「円相場だと16年9月は1ドル102円みたいだ。なんと2,040億円以上……!」

提督がスマホで計算するとふぶきの周りで悲鳴が上がる。

「話を戻して……ウォースパイトさんの言う通りで素材でレーダー波を吸収したり、機体の形状で乱反射させることで発信源にはほとんど跳ね返りません」

「センター類に全く映らなくすることはできるのかしら?」

翔鶴が質問するもふぶきは完全なステルスはまだできないと否定する。

「もちろん私の船体にもステルス技術が使われていて船体の大きさはそちらで言えば阿賀野型、排水量は古鷹型並みですがレーダー上だとおそらく駆逐艦以下の大きさに映るでしょう」

「確かに演習で電波障害が消えた時、Aスコープ上ではとても小さい波形で映っていたので妖精さんが見つけるのに苦労していたわ。ただの駆逐艦かと思ったら神の盾を持つ艦娘でした、と敵を欺くことができるわけね」

瑞鶴はおかげで彼女の位置がなんとか分かり、12.7㎝高角砲で砲撃を行うことができた。

なお結果はふぶきが驚異的な回避を見せたため、全弾命中はせず対艦ミサイルでやられてしまった。

 

 更にセーラー服を着た艦娘がわらわらとやってくる。

「第11駆逐艦をご紹介しますね。私が吹雪の改二でこちらが白雪ちゃん、深雪ちゃん、初雪ちゃん、叢雲ちゃん」

それぞれが互いに挨拶を交わす。

すごく気になるのは叢雲の頭に浮かんでいる謎の物体だ。

「あの、それは一体……?」

「あぁ、これ? 初めてきた子からよく聞かれるけど皆からはミミノアーレと呼ばれているわ。私も詳しくは分かっていないけど……色んなことができる一種の兵装と思えばいいわ。ちなみに私以外にも天龍さんや龍田さん、初春と子日にも形が違えど頭の上に浮かんでいるわ。ほら、あそこよ」

叢雲改二が指を刺した方向に目をやると、天使の輪っかやミミノアーレとそっくりなもの等と千差万別だ。

「そういえばお姉ちゃんに向けてヘリから放たれた噴進弾ってなんですか?」

吹雪改二が手を挙げて質問する。

「AGM-114MヘルファイヤⅡと呼ばれる空対艦ミサイルです。もともとは対戦車ミサイルですが、船舶相手でも使えるよう爆破粉砕・焼夷弾へ改修したものです」

「まるで三式弾みたいですね。対地用だけじゃなくPT小鬼にも使えそう」

「PT小鬼……?」

白雪から出た初めて聞く名前にふぶきの頭にはてなマークが浮かぶ。

「2015年秋ごろに初めて確認された新型の深海棲艦ですね」

「ちなみにPTは日本語で哨戒魚雷艇、という意味ヨ」

ブッキーの説明にアイオワが補足する。

「ということは魚雷がメインウェポンの深海棲艦なんですね」

「そうよ。あいつら小さくて回避力も高い。おまけに魚雷の威力も高いからとても煩わしいわ」

叢雲改二が忌々しそうに吐き捨てる。

周りにいる艦娘たちがうんうんと頷いたことから、かなり辛酸を舐めた深海棲艦のようだ

「対策としては小口径主砲や機銃、見張り員を装備することなんだぜ。あとは叢雲みたいな武器持ちならそれでもいけるぜ」

深雪が親指を立てながらどや顔で言う。

「えっ、叢雲さんは武器を持っているんですか?」

「まぁね。長い得物で敵を突いたり叩いたり、斬ることもできるわ。ちなみに天竜さんは刀、龍田さんは薙刀よ。今度私のを見せてあげる」

「楽しみにしています。でも私は武器を持っていないから、127㎜砲と20㎜高性能機関砲で大丈夫ですかね」

「護衛艦の装備なら完封できると思うぞ。確か工廠にPT小鬼の標的があるはずだ」

いつの間にかトイレから戻ってきた提督がPT小鬼の件を耳にして話に加わると、秘書艦の吹雪が事務モードになる。

「PT小鬼を模した高速小型標的ならまず使用許可申請書を作成し私と大淀さんがチェック等の事務手続きをしてから、工廠担当の夕張さんへ提出ですね」

「それならちょうどメンテナンスが終わったばかりですし、私が書類にハンコ押したらすぐに貸し出せますよ」

夕張がグーサインで返答すると提督はさすが夕張だな、とお礼を言う。

「でもその前にふぶきは講義を受けなければならない。鎮守府での規範や法律関係、戦闘海域、深海棲艦に関すること等が多々ある。時間割や場所は明日の早朝に掲示板で載せるから確認してくれ」

「了解しました」

 

 嵐のような質問攻めがひと段落し解散したので、ヴェールヌイちゃんを太ももから降ろしておかわりする。

ちなみにヴェールヌイの頭をずっとなでなでしていたからか少し寝てしまったみたいだが、目が覚めて準備があると舞台袖へ消えていった。

気になっていたロシア料理のウハー(魚のスープ)とビーフストロガノフ丼を選び口に運ぶ。

濃厚な味付けのビーフストロガノフにご飯がとても進み、野菜の甘味と魚の出汁が複雑に絡み合ったウハーはホッとする味でお肉の油を流してくれる。

ちなみにお米は提督の地元である新潟県南魚沼市産地の最高級コシヒカリのようで、提督の友人の米農家が深海棲艦を倒してくれるお礼に寄付している。

相撲部屋の寄付をイメージしてもらえば分かりやすい。

幌筵島は気候がとても厳しく稲作に向いていない土地なので非常にありがたいそうだ。

そのお礼に艦娘たちが新潟県へ出向いて田植えや稲狩りを手伝ったり交流を深めている。

ふぶきの〆デザートは間宮特製アイスクリームと大和特製サイダーを選択した。

今まで食べたアイスクリームの中でほっぺたが落ちるかと思うほど一番おいしい。

デザートは別腹なのでもう一度お代わりしようと席を立ち上がったが、山のようにあったバイキング料理がすっからかんになったことに信じられず二度見する。

食事が終わった後は各艦娘による出し物が開かれるそうだが、準備のためしばらく時間が空くのでまだ話していない各艦娘と挨拶回りしていく。

 

 時間になり着席すると那珂ちゃんと加賀さん、第六駆逐隊が持ち歌を披露するそうだ。

まず第六駆逐隊は『鎮守府の朝』を歌ってくれた。

あとダンスも可愛いのでほっこりとした気分になる。

次は那珂ちゃんの番になり曲は『恋の2-4-11』。

図書館で見た内容通りでまるでアイドルのようでしかも川内さんと神通さん、第四水雷戦隊のバックダンサーもついているし、オタ芸もしている艦娘もいる。

海外艦娘は日本の伝統芸能を見られて興奮したのかブラボーを連発している。

第四水雷戦隊がはけると川内型の三人で『華の二水戦』を披露する。

ボーカルの力強い歌詞で、とくに後半の部分がとても刺さる。

“じんつう”と“せんだい”があぶくま型護衛艦として継承しているため目頭が熱くなった。

加賀さんの番になると赤城さんが前口上で場を盛り上げる。

赤城さんが舞台袖へはけるとデデン!と流れしっかりと着物を着こなす加賀さんに涙が奥に引っ込んで宇宙猫になりそうだった。

しっとりと『加賀岬』上手く歌い上げると会場は拍手喝采。

最後に皆で踊る『艦娘音頭』で歓迎会は〆る。

ペンライトが各自に配られると愉快な音楽が流れる。

ふぶきは踊りが分からずなんとかついていったが、めちゃくちゃな踊りになってしまう。

配布されたペンライトで会場は緑色に照らされ、一切乱れない音頭はたいそうカオスであった。

しかもあの緑色は瑞雲色と呼ばれ、艦娘音頭は必須項目らしい。

自衛隊もはっちゃけているところはある。

例えば基地航空祭で陸自の攻撃ヘリにイラストを描いて痛コブラにしたり、アニソンを演奏したりと色々なことをやってのけるが、これはなんなんだ。

艦娘音頭が終わり呆気にとられているとウォースパイトが肩を優しく叩いた。

「大丈夫よ。私も着任直後に秋刀魚祭りに呼ばれて法被を着て大根をすりおろしたから。貴女もすぐに慣れるわよ」

「さいですか……」

頭に叩きこんでいた自衛隊や軍の常識が崩れそうで頭がどうにかなりそうだ。

ギャップ萌えの件といい私は今後どう染まっていってしまうんでしょうか……。

 




異聞決号作戦とルリクライシスも更新していきますのでどうぞよろしくお願いいたします。

新しい小説における艦娘の選考

  • 吹雪ちゃんのみ
  • 吹雪×大和
  • 吹雪や坊ノ岬組
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