艦これif  ~ポンタローバージョン~   作:ポンタロー

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第十六章 覚醒

 みんなが去ってからどれくらい経っただろう。

 その時間までは分からないが、唯一分かっていることは、もうみんなが戦っているということ。

 ゴーグルを通して戦況がはっきりと分かる。みんなが危ない。

 敵の数は圧倒的だ。「蟻と象」という比喩がほんとに生易しく感じるくらいに圧倒的。

 一対億とかいうレベルの戦力差だった。

 そう。やっぱり最初から勝てるはずがなかったんだ。

 最初から勝てる可能性なんて皆無……

 でも、あの子達は行った。その負けると分かってる戦いに。

 逃げる場所なんて最初からないと分かっているから。

 虚無に、せめて一撃でも浴びせるためと言って。胸を張って死にたいと言って。

 そして最後に瑞鶴は言った。

 私を生き延びさせるためにと。

 でも、結果は敗北。まだ確定はしていないが、間違いなく敗北。

 圧倒的なまでの敗北。そして、あの子達は沈む。

 沈んだ後に、新たな深海棲艦となる。

 敵なんかもう残っていないこの世界で。無機質で無感情で無味乾燥な存在である深海棲艦となる。

 ゲームにありがちなチートなんてここには存在しない。

 起死回生の一手なんてここには存在しない。

 だって、私はただの提督。

 艦娘がいなければ何もできないちっぽけな存在。

 このままあの子達が沈んでいくのを、指を咥えて見ていることしかできないちっぽけな……ドクン!

 こんな場面に遭遇した時、きっと私はホッとするんだと思ってた。

 きっとこれで帰れる。

 これでゲームオーバーになって私の負け。それでおしまい。それで終了。

 よし。さっさと負けてしまおう。

 ……なんて思うと思っていた。

 ……ドクン! けど、違った。

 ……ドクン! いざその場面になっても、とてもそんな風には思えない。

 ……ドクン! 私の中で、最後に見たみんなの笑顔が蘇ってくる。

 負けると分かっているのに、沈むと分かっているのに、それでもあの子達は前を向いていた。最期の最後まで前を向いていた。

 ドクンドクンドクン。その子達が消えてしまう。

 あの笑顔が。あの共に過ごした日々がみんな消えてしまう。

 ドクンドクンドクン。なんだ。何を考えているんだ私。

 落ち着け。これはゲームだ。そうこれはただのブラウザーゲーム。

 あの子達はそのプログラムの一つにすぎない。

 あの笑顔も共に過ごした日々も、全ては決められたプログラムの一つにすぎない。

 そのプログラムがただ消えるだけ。そう。ただそれだけのこと……

 ドクンドクンドクン。

『本当に?』

「えっ?」

 私の中で、誰かがそう言葉を投げた。顔はぼやけててよくわからない。

『本当にこれでいいの?』

「…………」

 その問いに、私はイエスと即答することができなかった。

 ここに来た頃の私なら、即座にイエスと答えていた。

 はずなのに……

『アンタは何のためにここに来たの?』

「な、なんでって……」

 そんなのこっちが知りたい。私はただ、気が付いたらこの変なゲームの世界に引き込まれていて、ただそれだけで……

『本当にそう?』

 何を言っているんだこいつは?

 ていうか、こいつ誰なの?

『ねえ、思い出して。何故アンタはこの世界に来ることができたの?』

 そんなの私の方が聞きたいっての。

 何でただの一般人である私がこんなゲームの中に入れたのかなんて、私に分かるわけないじゃん!

『ただの一般人? アンタ、ただの一般人がゲームの中に入り込めると思うの?』

 はあ? ほんと何言ってんの、こいつ。現にこうして入り込んでるじゃない。

『ねえ、思い出して。何故アンタは、普通の人間がとても食べることなんてできない艦娘の資材を平然と食べることができたの?』

 とても食べることができないって、あんなのただのお菓子じゃん。食べられない方が変でしょ。

『……そう。じゃあ、もしアンタがただの一般人だったとして、仮にこのゲームから出ることができたとする。そこでアンタは何をするの?』

 何をするのって……元の暮らしに決まってるじゃん。

『元の暮らしって何?』

 も、元の暮らしは元の暮らしよ。普通に……

 そこで私はハッとする。

 普通に……普通に何だ? 私は、普通にどうやって暮らすんだ?

 普通に学校に行く? 普通に会社に行く? 普通にダラダラ生きる?

 いや待て。それ以前に私は誰だ?

 名前は有希乃。それは分かる。

 誕生日は一月一日。それも分かる。

 では、職業は? 年齢は? 血液型は?

 ……分からない。

 何故? 何故分からない? 自分の年齢を、血液型を、職業を分からない人間がこの世にいるか? …………。

『ねえ、まだ思い出せないの?』

 だから何をよ! 年齢? 血液型? 職業? 何を思い出せっての?

『……そう。じゃあ、最後の質問。アンタ、本当にこのままでいいの?』

 い、いいのって、何が?

『このままあの子達を見捨てるの?』

 み、見捨てるって、こんなのただのゲームじゃん!

『…………じゃあ、アンタにとって、あの子達は何?』

 な、何ってただの……ただ……の……

『最後よ。本当にこれでいいの?』

 そこで、再び私の脳裏にみんなの笑顔が蘇る。

 あの子達は私の……私の……

 ……友達。

『えっ?』

 あ、あの子達は私の大切な友達。

『……そう』

 声音が少し柔らかくなったような気がした。

『それが分かっているならいいわ』

 はあ? ふざけないでよ!

 確かにあの子達は友達。私の大事な友達。

 でも、もうすぐ消える! もうすぐいなくなっちゃうの! 沈んで、新たな深海棲艦になっちゃうの!

 ただの無機質で、無感情で、無味乾燥な深海棲艦になっちゃうの!

 助けたい! 助けたいよ!

 でも、私にはどうすることもできない!

 だって、私はただの一般人だもの!

 このゲームを作った人間でもないんだもの!

 チートなんて使えないもの!

 奇跡なんて起こせないもの!

 気持ちだけじゃ、想いだけじゃ何もできないんだもの!

『クスッ』

 声の主が笑ったような気がした。

『いいえ。できるわ』

 えっ?

『アンタにはできる。いいえ。アンタだからできる。否、アンタにしかできない』

 な、何言ってんの……

『クスッ。ほんとはもう分かってるんでしょ? アンタはただの一般人なんかじゃない。そう、アンタは……』

 そこで私の脳裏が、心が、視界が、強烈な閃光で満たされる。

 そう。そうだ。そうなんだ。

 資材を食べても平気だったのも……

 入渠ドックのお湯に浸かって平気だったのも……

 妖精ちゃん達が見えるのも……

 翔鶴達が知らない前進基地の場所を知っていたのも……

 今なら分かる。

 そうだ。あの子達がいくらがんばっても奴に勝てるわけがないんだ。

 だって、奴は……

 そう。だから私は……

 何で気付かなかったんだろ?

 今になってようやく気付いた。

 私はゴーグルを取った。離れていても、妖精ちゃん達を通してあの子達の戦闘状況が分かる超便利ご都合主義だと思っていたゴーグルを取った。

 でも、それでも見える。視界を完全に覆うゴーグルだったから気付かなかった。

けど、妖精ちゃんを通して、あの子達の戦況が、ゴーグルを外した今でもはっきり私の視界に映る。

 そうか。そうだったんだ。

 翔鶴が最後に言ってたあの言葉。あれが、私に明確な答えをくれた。

 人間がゲームの中に入れるわけないじゃない。フィクションじゃないんだから。

 そう、人間が入れるわけない。

 でも、私はいる。この世界にいる。

 つまり私は……

 真実に気付いた私は、ゆっくりと立ち上がって部屋を出る。

 私に迷いはなかった。

そう、この世界にくる前の私が持っていた迷いは、今は微塵もなかった。

迷いを断ち切った私に呼応するかのように、私の周りにいた妖精ちゃん達が姿を変える。

そう。本来あるべき姿へと。

 私は行く。

 大切な仲間を守るために。

 

 

 

▲▲▲

 

「ハア……ハア……クッ!」

 肩で息をしながらも、アタシは弓を引き絞って艦載機を放つ。

 放たれた艦載機は、その力を持って、アタシに迫ろうとしていた重巡五隻を撃沈した。

 戦いが始まってから一刻と持たずして、アタシ達はすでに劣勢に立たされていた。

 倒しても次から次へと現われる深海棲艦。姫、鬼クラスも目白押し。

 そして、その後方には虚無に呑まれた元艦娘達が控え、そのさらに後方に虚無がいる。

 せめて虚無に一撃でもと思い、矢を放つが、それもあっさりと迎撃され、届かない。

 それでも善戦している方だ。これだけ圧倒的な戦力差にも関わらず、未だに誰一人轟沈せず、耐えているのだから。

「ハア……ハア……」

 アタシはすぐに次の矢を放つべく……

「チッ! もう矢が……」

 矢筒の中にもう矢が残っていない。弾切れだ。

 いくら善戦していても、弾切れだけはどうにもできない。

 数隻の軽巡がアタシに向かって突っ込んでくる。

「瑞鶴さん!」

 しかし、寸でのところで瑞鳳の放った艦載機によって撃沈した。

「サンキュ、瑞鳳。助かったわ」

「いえ。でも……」

 瑞鳳の表情は暗い。

 それも当然だった。圧倒的な数の敵に包囲されている上に、アタシ達の残弾はすでに風前の灯。弾が切れた瞬間に一気に押し込まれるのは明らかだった。

「島風ちゃん!」

「おっおおぉーー! 行っくよ~!」

 島風と睦月が、互いに手を取り合い、回転しながら魚雷を放つ。

 あれは、大井と北上の……

 放たれた魚雷は、全弾敵に命中し、二人の周辺にいた深海棲艦を一撃で爆散させた。

 しかし、喜びも束の間、すぐさま新たな深海棲艦が襲い掛かってくる。

 クッ、これじゃキリがない。

「金剛! 榛名! 包囲の薄いところに火線を集中して一点突破するわ! 一時体勢を――」

 そこでアタシはハッとする。

立て直す? どうやって?

どこを突破するの? 周囲は完全に敵に包囲され、薄いところなんてない。

まるでこの海域をまるごと埋め尽くさんばかりの敵が、アタシ達に迫っている。

それなのにどうやってここを突破するの?

万が一、突破できたとしてももうアタシ達には資材もない。

つまり、アタシ達に体勢を立て直すことなんてできない。

 みんなの怒号が砲撃音で掻き消される。

 駄目だ……もう、ほんとに駄目……

「瑞鶴! しっかりして! 瑞鶴!」

 翔鶴姉の声が聞こえる。もう無理だよ翔鶴姉。

 ジリジリと包囲網を狭める敵に、アタシ達は徐々にだが確実に追い詰められていく。

 どうやらほんと……もう無理みたい。

 ああ、ここまでか……最後にもう一度、会いたかったなぁ……

 でも、もう無理か。さよなら、有希――

「あら? どうしたの瑞鶴? 随分と弱気じゃない」

 聞き覚えのある声がする。

 そして、その声と共に……

 アタシ達の周囲に光の雨が降り注いだ。

 

▲▲▲

 

 

 

 みんなの目前に迫っていた敵を一瞬にして消滅させた私は、ゆっくりと瑞鶴達の元へ降下した。

「有希……乃?」

 瑞鶴や他のみんなが、ポカンとした表情でこちらを見ている。まあ、無理もないけど。

「アンタ……こんなところで何してんの?」

「何って、見れば分かるでしょ? アンタ達を助けに来たのよ」

「助けにって……ひょっとしてアンタ、空飛んでる?」

「えっ! ああ、いや、これは……」

 参ったな。なんと説明したらいいものか。言っても理解できないだろうし。

「おねえちゃーん!」

「ふええぇぇん!」

 説明に困っていた私に、雷と電が飛びついてきた。

「二人とも、大丈夫?」

「ぐすっ……うん」

「ひっく……なのです」

「そう。よかった」

 私は、泣きながらすがりつく二人をギュッと抱きしめた。

「有希乃……」

 そこに目を赤くした瑞鳳が声をかけてくる。

「づほ。ずっと見てたわ。よく頑張ったわね」

「……うん」

 私の言葉を聞いた瑞鳳が、そっと目元を拭った。

「提督……」

 金剛と榛名もやってくる。

「お疲れ様。二人とも、無事で何よりだわ」

 その言葉に、金剛はピースで、榛名は笑顔で答えた。

「提督、何故ここに……というか、そのお姿は……」

 驚愕の表情で尋ねてきたのは翔鶴だ。

「え~と、まあ、細かい説明は省くけど……どうやら私も艦娘だったみたい。てへぺロ♡」

『えぇぇぇぇぇぇぇ!』

 こんな状況下にも関わらず、みんなが素っ頓狂な声で叫んだ。

「か、か、艦娘って……アンタ、提督じゃなかったの?」

「いや~、そうなんだけどさ~。どうやら提督でもあり、艦娘でもある……みたいな?」

「何よ、それ? どうしてそんな大事なこと、雷達に黙ってたの!」

「なのです!」

「いや、黙ってたっていうか、こっちの時代に来た影響で一時的に記憶が飛んでたっていうか……」

「有希乃……言ってること、変」

「でしょうね。私もアンタ達の立場だったら首を捻ってたとこだわ。だからとりあえず――」

「提督、後ろです!」

 榛名が叫ぶ。

 ああ、どうやら後ろにいた連中が艦載機を放ってきたみたいね。

 私は血相を変えて慌てる榛名にパタパタと手を振った。

「ああ、だいじょぶだいじょぶ。どうせ当たんないから」

「えっ?」

 そう言った刹那、私に迫っていた艦載機の大群が、見えない壁にでもぶつかったかのように何かに阻まれ、大きな音を立てて爆散した。

「何……あれ?」

「別に大したものじゃないわ。ただの防護フィールドよ」

 瑞鶴が目を丸くする。

「ぼうご……フィールド?」

「そっ。これがあるから、もうアイツらの弾はアンタ達には当たらないわ。でも……」

 私は、抱きついたままの雷達を下ろして、少しその場で上昇し、両腕に装備した大口径メガビームバスターを敵に構える。

「ちょっとウザいから、数を減らしときましょうか」

 そして発射。

 そのままクルッとその場を回転すると、私達の周辺にいた敵は、音もなく一瞬にして消滅した。

「て、提督、その武器は……」

 翔鶴が信じられないといった顔で尋ねる。

「これ? これは大口径メガビームバスター。まっ、私の主砲ってところかしら」

「びーむ……ですか?」

「そっ。まあ、これも今のアンタ達に説明しても分かりっこないから言わないけど。要は、もう心配ないってとこよ」

「えっ?」

「妖精ちゃん、みんなをお願いね」

 私の言葉に反応したかのように、みんなの首にさげられたお守りが淡く発光し、みんなの周囲に私と同じ防護フィールドを展開した。

「これは……」

「実は、アンタ達に渡したお守りにも、ちょっと細工がしてあってね。まあもっとも、この力は、私が艦娘だと自覚して初めて発動できるんだけど」

 そう。今、私がしている艤装は、実は私にしか見えない妖精ちゃん達が変化した姿だった。

 いや、違うか。そもそもこの妖精ちゃん達自体が、私の艤装そのものだったのだ。

 みんなには見えなくて当然だったのだ。

 だって、この妖精ちゃん達は、この時代で作られたものではないのだから。

 私と視界や声を共有できて当然だったのだ。

 だって、この妖精ちゃん達は、私の一部と言っても過言ではないのだから。

 だからこそ、妖精ちゃんは私が薬状の資材を食べると元気になったのだ。

 だって、その資材こそが妖精ちゃんの栄養源なのだから。

 私は内心で唇を噛み締める。

 この防護フィールドを展開できるようになったのは、私が覚醒した後。

 もっと早く気付いていれば、翔鶴に怪我をさせることも、大井を失うこともなかったのに。

 私は、悔しさを胸に押し込んで、笑みを作る。

「アンタ達の戦いはこれで終わり。ご苦労様。あとは私に任せて」

 私はそう言って、上昇を開始する。

「待って!」

 瑞鶴が大声で私を呼び止めた。

「終わりって何よ! まだあんなに敵がいるのに!」

「クスッ。大丈夫よ。私がみんな倒すから」

「ア、 アタシも一緒に行く!」

「もう弾切れでしょ?」

「うっ! でも……」

 私は、まだ食い下がる瑞鶴を優しく抱きしめた。

「その気持ちだけで十分よ。ありがと、瑞鶴」

「で、でも……でもぉ……」

「アンタの気持ちはほんとに嬉しいわ。けどね、ここから先の戦いは、アンタ達が来ても意味がないの。アンタ達を馬鹿にしてるんじゃない。ただ、アンタ達じゃどうしようもできない戦いなの。だからここは私に任せて。私はそのためにここに来たんだから」

「グスッ……分かった」

「よろしい。いい子ね」

 私は、しょんぼりと俯く瑞鶴の頭を優しく撫でる。

「それじゃ行くわ」

 そして私は再び上昇する。

「雷、電、元気でね」

「うん……」

「なのです」

「川内、あんまり神通を困らせちゃダメよ」

「ぐすっ、うん」

「神通、川内のことお願いね」

「……はい」

「高雄、愛宕、今までありがとね」

「そんな……」

「お礼を言うのはわたし達の方です~」

「利根、筑摩と仲良くね」

「うむ」

「はい」

「睦月、島風。これからもお手伝いしっかりね」

「……はい」

「うん。頑張る」

「羽黒、これからもみんなの背中はアンタが守ってあげてね」

「ひっく……はい」

「づほ。アンタの作る卵焼き、ほんとにおいしかったわ」

「……うん。また作る」

「大和、陸奥、ほんとに今まで苦労をかけたわね」

「とんでもない」

「苦労をかけたのはわたし達の方よ~」

「金剛、榛名。みんなをお願いね」

「イエース! ワタシ達にお任せデスネー」

「……はい」

「ゆーちゃん、まるゆ、短い間だったけど楽しかったわ。元気でね」

「……ん。ゆーもです」

「……はいです」

「翔鶴……」

「はい。何でしょう?」

「ようやく記憶が戻ったから、最後に一つだけ言っておくわ。アンタ、以前言ってたわよね。自分達は見捨てられた存在だって」

「……ええ」

「それは違うわ。アンタ達は誰一人として見捨てられてなんかいない。少なくともアタシを作った人達からはね」

「えっ?」

「私に言えるのはここまでよ。それじゃあね」

 そう言って、私は最後に一度だけみんなの顔を見る。

 ここで過ごした時間はとても辛かったけど、楽しかった。

 たくさんの仲間ができた。たくさんの絆ができた。たくさんの思い出ができた。

 それを全部ギュッと胸にしまいこんで、私は口を開く。

「バイバイ、みんな。今まで、ありがとね」

 

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