研究室の中へ入りじっくりとあたりを見渡す。
「パッと見はなんもなさそーだけど…」
だが何も無い訳では無いとは思う。あれだけ校長を野放しにしておいたくせにいきなり殺害するのには何かしらの理由があったはずだ。それか、何かを掴んだからそれを消しに来たか。
それにこいつがやられっぱなし、というのもないだろう。何かと食えないやつだ。その『何か』をどこかに隠すということもやる可能性は充分に有り得る。
「まぁそれがどこなんだっつー話なんですがね」
今からじっくり探す時間もない。悩む時間もない。かと言ってこのまま手ぶらで帰る訳にも行かない。
ここは1つ、直感でいってみようか。
「大机か、時計か…」
大机には引き出しもある。何かを入れるなら安定はここだろう。
時計、まぁアニメとかでよくありそうな展開だ。時計や絵画の裏に何かがあるってのはお決まりだったりする。
さて、これのどっちかだと踏むとしてどっちが正解なんだろうな…?
「ふむ…」
そもそもの話こいつが入られたら開け放題の机なんかに入れるか?何とか最後の力でここの扉は守ったみたいだがそれでも入られた時のことを考えると机に入れるのは安直過ぎる。
かと言って時計なんかベッタベタだ。むしろこちらの方がバレそうな気もするが。
「あいつならどこに隠すかな」
…いや?あいつなら、ではないなこれは。
『俺なら』どこに隠すと思っているのか?
「…多分これが正解か」
俺が選んだのは時計。
かけられていたアナログ時計をゆっくり外す。
「…やっぱりな」
案の定時計の裏には四つ折りにされた紙が仕込まれていた。
簡単な話だ。あいつは『俺がここに来た時且つ自分の生命活動が停止していた場合俺自身がヒントを見つけ出すにはどこが一番最適解か』と考えていたのだ。
俺自身、こいつに合わせる必要などない。本能で考えれば勝手にあいつと勝手に思考が合うように考慮されていたのだ。
そして俺の思考はというと単純だ。この世界は言わばアニメや漫画のようなもの。ならばこういうのは大抵時計と相場は決まっている。とな。
「…ここまで考えて仕込んだのか…いやむしろ考えてない?」
まぁいずれにせよ紙は手に入った。中身はわからんけど。それも今から確認すればわかる事だ。
時計を元に戻し紙を開く。その紙には丁寧な文字でたった一文が書かれていた。
『白石第二工場跡地に全てがある』
「…その言葉、信じるからな」
紙を力強く握り潰し、ただ一言呟いた。
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所変わって水原家にて。
「…それ」
「…ちょっと黙ってて欲しい」
教師は機械に沈黙を頼んだ。
機械はそれに頷くしかなかった。
…どうやら白髪の女性の他にも被害者は居たようだ。
それは教師の前に転がっている黒髪の女性の死体がその他の被害者のようだ。
子供の方は何にも気付かずにぐっすりと眠っている。
「…ふざけんなよ」
「……」
怒りを隠しきれない教師とただ黙って見ているしか出来ない機械がそこにはいた。
「…俺を殺すならいい。だが、紗枝が巻き込まれる理由にはならないはず、なのに…!」
「…関係ありませんよ。あの人なら、やりかねない」
機械は相手の恐ろしさをわかっている。だからこそ、確信を持って言える。
「…どうやら…相手を甘く見ていたようだ…」
教師は人間であったものを抱き抱え、決意を示す。
「俺はあいつを必ず殺す。何があろうと、必ずだ」
機械はただ、答えた。
「…いいと思いますよ、その決断もね」