「担ぐって…お前…」
「何?君の刈谷に対する愛なんてそんなもんなんですか!?やっぱりデキ婚的なやつだったんですか!?先生泣いちゃうぞ!?」
「んな訳…!!」
「なら早く行ってこい!ここでお前らが本当に別れたくないなら!」
無茶苦茶だ。
やはりこいつは頭おかしい。
だけど、今は俺を突き動かしてくれるとても重要であり頼りになるやつだ。
「…分かってんよ!俺らは離れ離れになんかなるもんか!」
「ならさっさと行け!お前の足は飾りか!?」
「飾りじゃねぇ!走るための足だ!」
無我夢中で支那美の倒れる場所へと向かう。
距離が短いのに長く感じる。
だけど止まれない。
「支那美っ!」
呼ぶ。
声は帰ってくるはずもない。
たどり着く。
支那美は斜めに身体を二分割にされている。
血の池。
外からでも見える裂かれた肉。
だが、それでも笑って、だけど、目を閉じている白髪の少女がいた。
「…絶対お前を捨てはしない!」
身体が二分割にされているため担ぐのが大変だった。
下半身は背中におんぶをして上半身はお姫様抱っこで運ぶ。
「水原!こっちはOKだ!退くぞ!」
「わかってる!外に車を用意してるからさっさと逃げるぞ!」
戻ってきた俺は水原と一緒に玄関から外に出て車へと走る。
そして乗る。
______________
「…」
「…」
沈黙が車内で流れる。
俺の腕には彼女がいる。
血はもう止まっているけど。
俺の手は血で真っ赤であった。
「…何でこんなことになった…!」
水原は怒りを露わにしている。
当然であろう。唯一の教え子であり、可愛がってた友達の娘が死んだのだ。
しかも、自分より若くして。
「…俺がコスモスに対処できなかったから…俺のせいだ…」
俺は沈んでいる。
支那美が死んだ怒りよりも。
絶望の深淵へと叩き落とされたような感覚の方が強い…
それならば俺はこれから何を糧にすればいい?
支那美が死んだ今、俺はこの世に生きる価値があるのだろうか…
俺のスマホの着信音が車内に鳴り響く。
俺はスマホに目をやる。不在着信だ。
馬鹿らしかった。だが、切る気にもなれなかった。
出ることにした。
「はい、もしもし…」
「あ、もしもし中村君かい?
ちょっと話があるから校長室に今から来てね」
声が聞こえた。
声の主は校長。
なんだとは思った。だが、あいつの事だ。きっとまた大きな話なんだろう。
「誰が行くか」
だからこそ、俺は断る事にした。
あんなやっとまともに話し合う気もない。
というかなんで俺の電話番号知ってんだ…?
「あらそう残念。
折角刈谷支那美を生き返してあげようと思ったのになー」