「だけど、こいつがここにいるってことはもしかしてあいつは…」
「…それ以上はやめろ」
捨てただけではない。
どうせあいつの事だ。あいつにとっての余計な部分を消去してまた新しい「物」として蘇らせるのだろう。
「流石に可哀想だろ…あんなに言いつけを守ったってのに」
「…だがそいつは…」
「もういい。こいつはあの外道の為に健気に言いつけを守ったんだ。こいつはなんにも悪くない…」
口ではそう言っても何処かでは怒りの感情が湧く。
わかってる。コスモスは悪くない。
すべて悪いのはあのクソ野郎のせいだ。
「クソが…」
「…」
先生は黙っている。
行き場のない俺の感情を抑えるのに自分は不必要だと判断した結果だろう。
限りなくいい判断ではあった。が。
「なぁ先生よぉ…俺は一体…どうしたらいいんだよ…」
俺の今の支えは先生だけとなってしまっている。
今、隣に支那美はいないのだから。
「…知らんよ」
先生はこう一言だけ言った。
俺の感情は制御出来ない。
抑えたはずなのに。止まらない。
「っ!じゃあ考えてくれよ!俺はもう…!何を信じればいい…」
「そんなに葛藤するならとりあえず生きれば?」
俺は驚いた。
「別段難しい話じゃない。そいつを味方にするか敵にするかはお前次第だしそんなんで悩んでるならとりあえず生きてみて試せばいいだけだろ?人生は失敗の繰り返し。寧ろ成功例なんてほぼほぼない。要は考えるぐらいなら行動しろってな」
これ、俺の教訓。
先生はハハハッと笑いながら再び作業に戻る。
「…お前誰?」
「失礼だなおめー」
いや、俺はこいつを見たことがない。多分クローンだろう。
「今相当失礼な事考えたな?」
「相当失礼な事考えましたよ?」
「よしお前は殺す」
「馬鹿だなおめーここで殺したら支那美生き返らねーだろうが」
「そうだな。生き返ってから殺すか」
「流石偽善クソ教師やな」
「嘘なんかつかなきゃこの世はやってけねーんだよ」
いつもの会話になる。
やっぱり俺は辛気臭いのはダメみたいだな。
この環境が心地よい。
普段クソとは言ってもやっぱり俺は先生も大好きかもしれんな。
そんな事を思いながら探すこと5分。
「一向に見つかんねー…」
「ほんとにここにあるん…」
あるはず、とは思っていたがもしかしてもうあいつは持ち出してしまったか…?
「いや、んなはずはない。あいつは何よりもあれを大事にしていたんだ。不用意に持ち出すはずが…」
「いやーやっぱり僕の事をわかってるなんて流石だね」
入口扉の前には例のアイツが立っていた。