平凡な男と白髪の少女   作:ふれあすたー

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時の観測者

「…時の観測者を知ってるんですか」

「勿論。俺はあいつの横にいたことがあるからな」

「面白い冗談ですね」

「んにゃ冗談じゃないね。信じる気がねぇならいいけど」

「…たとえその話が信じられたとしてもおかしな話ですよ。時の観測者は何故こちら側に干渉しないんです?」

「うーん…それに関してはお前を通して話を聞いてたと思ったんだがなぁ」

「私が聞いた…というか受け取った情報は大してありませんよ」

「じゃあまだ話す時じゃねぇや」

「ちょっ」

中年のおっさんはリビングに戻ろうとする。

話はまだ終わってないのだから逃がす気は無いのだが。

「なんで話してくれないんですか。別に減るものでもないでしょうに」

「減るものではないけどアイツの許可無く話すのはちげぇと思うし。その時が来たら嫌でも分かるだろ」

「それまで待てと?」

「考えるってのも手だがな」

「無理ですね。ヒントが少なすぎます」

「だろうなぁ」

リビングの扉の前で彼は振り向く。

「ならヒントをやろう。時の観測者は傍観を決め込んでいる。これから先もずっと。

そして時の観測者に戦闘力は無い。あくまで二つ名の通り、観測するのが仕事だ」

はい、これがヒント、と話し終えるとサッサとリビングに入ってしまった。

「傍観を決め込む、観測だけ…?」

私の思考回路はショート寸前だ。

そのままの意味なら戦闘力は皆無なのだから私達に干渉は不可能。

ここまでなら誰でもわかるのだが、本当にそれだけなのだろうか。

そもそも観測、とはどういうことなのだろう。

監視、とかなら分かる。歴史が間違った方向に進まないように調整をしたり…等だ。

だが観測は意味がわからない。

観測の意味がわからないのではない。

観測する意味がわからないのだ。

既にあの組織は様々な時代に点在している。

時の観測者はその全ての時代を統括している、という噂もあるくらいだ。

ならば何故、観測しているのが過去なのだ。

運命、なんてものは人によってすぐにひっくり返ってしまうものなのは分かるがそれでも大きな運命には抗えない。

それ程までに脆弱な人間達の決まりきった未来の過去を観測する、という思考が理解できないのだ。

「…何か特別な、それこそ未来を大きく変えかねないような事象がこの時代で発生する…?」

…ダメだ。私の頭ではここまでが限界だ。そもそも私はポンコツの類なのだから演算機能がまともに動いているわけがない。

ただ一つ理解出来たことはある。

「ならば時の観測者はそもそも人間ではない…?」

________________

この時期は大忙しだ。特にこんな古臭い時代なもんだから機器とかも揃いにくいのが現状だ。

「…ったく…あいつらの邪魔さえなければこんなことには…」

全てはあの異分子たちのせいだ。

隼人が僕を裏切らなければ計画は全て上手くいった。

あの女さえ死んでしまえばこんなに苦労する必要はなかった。

無駄な感情を持ち合わせたポンコツを作らなければリカバリーも効いた。

「どうしてだ…」

何故僕はこんなにも上手くいかない。

僕は天才なのに。

周りは雑魚で、僕が神に等しき存在なのに。

何故僕は成功しない。

いつだってそうだ。

僕の周りには不安定な異分子が存在して。

それだからこそ自分にまで影響を及ぼし。

そうして僕を貶めていく。

「…くそっ!」

僕は何も悪くないのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…そうか。

使えない周りの雑魚が悪いのか。

そうかそうか。

「それならば」

全員、僕自身が有効活用してやればいいのか。

僕の言う通りに動けば僕は必ず成功する。

なんて画期的な方法なのだろう。

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