平凡な男と白髪の少女   作:ふれあすたー

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前回のは間違いだけど間違いじゃないってことにしといてください


Re:1話

「あ、先生さよなら」

「おう、早く帰れよ」

まだ教室に居残ってた生徒がいた為、早く帰るように促した。

もう6時をまわっていた…ってのもあるが理由はもう1つある。

1人の生徒が行方不明。これが一番の原因であるとも言える。

「…はぁ。あれからもう3ヶ月か…」

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基本的に巡回は俺がやっている。

まぁ周りに比べて若い、ってのもそうだが俺自身がやらねばならないことだと思っているからだ。

消えた生徒は、俺が担任を受け持っていたクラスの男子生徒。

いつも皮肉を叩き、教師に対して尊敬の念など存在すらしてないような態度ではあるがあいつは俺の大切な生徒だ。心配してないわけが無い。

とはいえ行方不明からもう3ヶ月。最早忘れている人間が大半だし教職員からも「もうやめた方がいいのでは?」と言われる始末だ。同じクラスの連中も「誰だっけ?」と忘れ去られている。

俺は無力だ。1人の生徒を守ることすら出来ない、無能な教師。失敗を踏み台に、とはよく聞くが生徒を踏み台にする気は毛頭ない。それは倫理的概念を無視した最低の野郎だ。だからこそ、俺は諦めない。

「が、なぁ…」

そう。情報が1ミリも見つからないのである。警察にも捜索届を出そうともしたが校長は「うーん…たかだか生徒1人でうちの悪い噂が流れるのもねぇ…」と意味不明な言葉を発した。

ここの校長は毎回人格に当たり外れが多いと亡き父親が言っていたが、今代はハズレのようだ。1人の若き命よりも自分の名声のようだ。ゴミめが。

しかし、俺はこの学校を離れることが出来ない。

昔からの夢、この仕事に就き、そのまま殉職して行った父親の跡を継ぎ、必ず父親が成し得ることが出来なかったことを俺が代わりに成し遂げるため。

ってのは表立ったものだ。実際、あいつのためならいくらでもこんな仕事をやめてやる。自由も効くし調査も捗ることだろう。

だが、この学校にいなければ詳しい生徒情報を知ることが出来なくなってしまう。数少なく捗らない今の現状をさらに酷くしてしまうからだ。闇雲に探して解決出来るならとっくのとうにもうしている。

しかし、この学校の縛りがあるのもまた事実だ。即ち八方塞がり、というやつだ。

「…どうすれば…」

「おや、まだ巡回中でしたか」

うんうん悩んでいると若い女性の声が聞こえた。

「八島先生」

「まだあの子のことについて悩んでいらしたのですか?」

「えぇ…なんとか見つけられないものか、と…」

八島 楓花先生。俺の3つ上、と聞いたことあるのだが見た目は完全に20代後半の方である。1年の差ではあるが彼女の方が教師生活は長いらしい。

そう。全ては噂である。実際の年齢や教員歴、生活環境や学歴なども全てが謎のミステリアスな女性である。

白髪のセミロングで日本人では珍しい碧眼であり黒めの四角い眼鏡をかけている。身長は約150cmと言った所か。どことは言わないがB位の物をお持ちである。

とてもふわふわしていて可愛らしい女性であるが、何を考えているのか底が知れぬ人でもある。

あまり八島先生とは話したことがなかったが故、話しかけられたことに少し驚いていた。

「ふふっ、いきなり話しかけてごめんなさいね」

「いえ、ちょっとびっくりしただけですのでお気になさらず」

くすくすと柔らかい笑顔でこちらを見ている。

「そういえば自分に何か御用で…?」

「あぁ、そうだった。これ、水原先生がお探しの代物かと思いまして」

彼女のポケットから取り出されたものは1つの手紙。

「…?こちらには何が…」

「確かに今どき珍しいものですけど、ここに書いてある文字、よくご覧下さい」

手渡され、洋封筒をよく見てみる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには『中村隼人君へ』と、記されていた。

「これは…!?」

「生徒昇降口の隼人君の下駄箱に入っていました。何かのヒントになると思いまして」

喜んでいただけたのなら何よりです、と微笑みながら目の前の女性が言った。

そうだ。今はこれが唯一のヒントだ。1秒でも早く情報を得るためすぐさま封を開け、便箋を読む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには恐ろしい事が書かれていた。

中村はタイムスリップをしてしまったのだ。

そして、これはきっと嘘ではない。

その字は、俺が知っている人間の字であったから。

「刈谷…さん…?」

その便箋に書かれていた字は紛れもなく刈谷支那美さんの文字であった。あの事件の前に書いていた字だ。忘れるはずもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どういう事だ。

何故支那美さんの字の手紙がこんな所にあるんだ。

支那美さんはあの後…

それに中村は、中村は一体誰なんだ?

何故支那美さんからこんな手紙が送られる?

「クソっ…どういう事だ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…そっか、あの時のこと、少し記憶のズレがあるのかな」

小声で呟かれたこの声が彼の耳に入ることは無かった。

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