「戻ったか」
「あぁ、なんとかな」
家に戻ると先生が待っててくれた。
「嫁と息子は寝かせといた。刈谷がリビングにいる。じっくりと話そうか」
「…そうだな」
じっくりと話そうか。つまり何が起こっているのかこいつにも凡そしか分かっていないという事だ。
ここで立ち話もあれだ。早速リビングへと向かった。
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「隼人…!」
「おう、心配させて悪かったな」
リビングではシナが座って待ってくれていた。目が少し赤くなっていて、申し訳ないことをしたと思った。
そしてそこにはもう1人、俺が知っている女性がいた。
「やっほー隼人君、元気にしてた?」
白髪セミロングの女性、先程も言った通り俺の知っている人物だった。
「…何故八島先生が?」
そう。現代の俺の通っていた学校の教師、八島楓花先生がこの過去の家に来ていた。
理由なんてわかるわけがない。そして何故理由がわからないのか、なんて考えるまでもない。わからないから。
「…?八島先生?何を言っているのですか?この人は…」
「おーっとコスモスちゃんそこでストップね?まだ舞台役者が一人いないから」
「…俺の事か」
後ろから水原先生が八島先生に聞く。
「そうですそうです。ささっ、座ってください。『じっくり』話しましょうね」
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「…さて、八島先生とやら。この話の全貌を聞きたいのだが」
「またまたぁ。水原先生は分かってらっしゃるんでしょ?」
「……………」
「…ほんとに分かってるのか?」
「……ある程度はな」
「コスモスちゃんはその一部が分かってそうだけどね〜」
「その前に聞きたいのですが。貴方はどちら様で?」
「あぁ私ね、大丈夫。そのことも含めて全て話すから安心して支那美ちゃん」
「…始めてください先生」
八島先生は手を口の前に当てオホン、と言い話を始める。
「まず私の事から。八島楓花、現代、2016年の白石高校の教師にして因果の理の48回目を体験した者」
…は?
「そして今は」
「ちょいちょい待て待てストップ」
のっけから止めざるを得ない言葉が現れたのだが。
「因果の理って何?」
ナイスシナ。それに関して聞きたくて今止めた。
「…あぁ、そうか。この時期じゃまだ知り得ないことだもんね」
ごめん、と一言いい、シナの問いに答え始める。
「因果の理って言うのは私達が囚われた無限ループのようなもの。具体的には違うけどこれに囚われ続けている私達は永遠とこの地獄の未来が変わることは無いの」
ポカン、としていた。開いた口が塞がらないとはこの事である。
「そして私は48回目を旅した者。支那美ちゃんは49回目の旅人って事になるね」
「私が…49回目?」
「おいおい待ってくれまるで意味がわからんぞ」
仮に八島先生が因果の理の48回目だとしよう。まぁよく理解は出来ないが。
だったら何故シナが49回目なのか。普通に考えればもう1人…いや正確には49人目の八島先生が49回目の旅人ということになるのだろうか。
もしかしてこれはバトンタッチ形式なのか?いやそうだとしても八島先生がこの時代に来れたのが納得いかない。そもそも彼女が何故ここに来れた理由すらわからない。どんな超次元理論にたどり着ければここまで来れるのか。
「…いや、待てよ?」
そもそも前提が違ったってのか?ならむしろ逆から考えよう。
『来れた』ではない。『来なければなかった』を考えろ。
彼女は48回目だと言った。シナの事は49回目だと言った。
彼女はシナの事を知らない筈なのに名前を的確に答えた。確かに待っている時に聞いた可能性もあるがそれならその時にシナは彼女に名前を聞いたはずだ。なのに分かっていなかった。
それだけじゃない。コスモスや、水原の事もしっかりと認識できていた。
それならばこの3人に一方的に関わりを持ったことのある人物…?
そんなやつなんているわけが…
「…いた」
今、わかった。
彼女が何者であるか。何故皆の事を知っていたのかを。
「…なんで言ってくれなかったんだよ。『シナ』」
彼女、白髪セミロングの彼女に向かってそう言った。
「…やっと気付いてくれた?」