平凡な男と白髪の少女   作:ふれあすたー

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全て

「そ。因果の理の48人目にして2016年にて高校の教師、八島楓花であり1世代前の『刈谷支那美』だよ」

にこやかにこちらを見ながら彼女は自分の事を説明する。

「…だからか」

コスモスが何を言おうとしたか分かった。彼女の事をきっとシナだと伝えようとしたのだろう。確かにどれだけ見た目や喋り口調を誤魔化せても中までは誤魔化せない。それが『人間』であるから。

「だが…何故水原まで知っている?」

「あっちゃ。先生言ってなかったんですか?」

「…そりゃな。分かってて言ってるだろ」

「まぁそうですけど。ふわっとしてても説明くらいはしといた方がよかったんじゃないですかね?」

「もう遅いだろこの状況…」

「何の話をして…」

はぁ…と溜息を吐き水原は頭を掻き始める。

「…お前らには黙ってたけどな、俺は元々組織の人間だった」

「…!?お前、それって…!」

「心配するな。今はもうそんなことに手は染めちゃいない」

心配するな、だと?

違う、俺の言いたいことはそうじゃない。

俺は思わず水原の胸倉を掴む。

「何故っ…何故俺らに黙ってた!?」

「隼人っ!」

「…伝える必要性がなかったからだよ。お前らに余計なこと、知ってて欲しくなかったしな」

「だからって…」

「元々な。お前が組織にいた事すら知ってなかった。あの時、忍び込むって話をされた時に初めてお前が組織と関係してるって知ったし」

俺は手を緩める。

「…大体な。俺が例えあんな状況で組織に関わってました、なんて話したって状況が進展したと思うか?それどころかその情報はお前の判断能力を鈍らせる原因となっていたかもしれない。大事な時にそんな事言えるかよ」

「…俺達を信用していないのか?」

「逆。寧ろ信用してたから俺自身の事についてあまり巻き込みたくなかった。お前や刈谷は必ず首を突っ込んでくると思ったからな」

「…当たり前ですよ。先生なんですから」

こいつは…俺らを気遣ってくれていたのか。余計な一言や俺に対する罵詈雑言は全て、距離感を保つため。

…やっぱあんたはあんただな。

「…大体事情は分かった?」

「あぁ」

確かに水原が組織に居たのならこうなることは予め予見されていたのかもしれない。だが確実性はない。だからある程度か。

「そして私が今ここにいる理由。それはこの因果を断ち切るため」

「…ループから抜け出し新たなる未来を迎えるってことか」

「そう。そのために私はここに来た。そしてこれは前回までのループでは起こらなかった事」

「それは…どうしてなの?」

「簡単だよ。皆死んでるから」

「なっ…!」

「私達は歪んだ未来を変えようとした。だけど結果はいつも同じ。必ず『隼人君』、『私』、そして『先生』のいずれかが死ぬ。因果の理は必ずこうなる運命であり、この運命を変えられない限りここから抜け出すことは出来ない」

「…なら前回の生き残りはシナだけって解釈でいいか」

「合ってる。隼人も先生も私を残して死んじゃったから」

彼女からは少しばかり瞳から涙が覗いていた。残されるものの気持ちというのは確かに辛い。それは俺もよくわかっている。

「どうして過去の私はこの世界に来られたの?流石に時を超えるというのは不可能だと思うんだけど…」

「…!いや…出来る…!」

「えっ?」

「…時空間干渉装置。刈谷を生き返す時に使った、過去の世界では2つしかない装置だ。あれは確か校長の元にあるはず」

魂の時を戻すのならやり方次第では人1人過去に戻すことも訳ないはずだ。

「半分正解かな。だけどもう半分はハズレ、と言うよりかは答えが足りないって言った方が正しいかな?」

目を閉じていた過去のシナはこちらに視線を変える。

「ヒントはもう持ってるはずだよ。何せもう2回も会ってる筈だからね?」

…!まさか…

「…オメガ」

「…オメガ?」

「当たり」

にひっと笑うと彼女は立ち上がる。

そして突然、彼女から光が放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ま、これで意味は理解出来たでしょ?」

目を開けると彼女の隣には、見知ったようで少しばかり雰囲気の違う少女が立っていた。

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