平凡な男と白髪の少女   作:ふれあすたー

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オメガ

「宿主、再三言うようだけどあまり過度な顕現はよして欲しい」

「あはは、ごめんごめん。今回は必要だと思ったからさ」

「既に知ってる人がいるんだからその人に話してもらえばいいのに…」

「実物見てもらった方が早いでしょ?」

「物扱いしないで」

オメガは出てきて早々過去のシナと口喧嘩を始めたが一方は軽く流したように話している。

「…という事で。隼人君は知ってると思うけどこの子はオメガ。私の中に宿ってた…なんて言えばいいんだろう」

「まぁ守り神みたいな感じかな。具体的には全く違うけど」

「守り神ね…こんな子供っぽいやつがね…」

「今君私の事若干馬鹿にしたよね?私は君のこと知ってるんだけど?」

「そりゃ前のループがあったからだろ」

「いいや、それよりもっと前。そうだな、君が直属の配下だった時、とでも言えばいいかな?」

「…へぇ」

水原は小馬鹿にするような態度から一変して急激に真面目な態度をとる。それは誰も見たことのない顔であった。

「じゃあお前は俺の当時のこともわかってるってことだな?」

「流石にそこまでは。ただ君が組織という所にいた時、誰の元で命令を受けてたのかは分かるよ」

それに、とオメガは続ける。

「彼女はまだ生きてる」

彼女、とは一体誰なのか。分かるはずもないのだがその人物を知りたいという知的好奇心は止まらなかった。

そして、聞いてしまう。

「誰なんだ?その彼女ってのは」

聞くことではないのは空気感で分かる。それに組織にいたと言っても誰の元で、というのをこんな状況でも話さなかったということはあまり他人に喋りたいことでもないのだろう。

だが今は別だ。得られていない情報を集めないと全てが解決しない。

「時の観測者だよ」

…なに?

「俺が組織にいた時についていたのは時の観測者…灘 芙佳」

灘 芙佳だと…?そいつは組織のトップでは…

…いや、そうか。

組織のトップだからこそ、あまり人と干渉しないし正体を隠すにはぴったりってことだな。

しかし、そもそも驚いた所は全く持って別のところ。

「お前、今時の観測者って…」

「あぁ、俺は時の観測者の横にいたよ。向こうにいた時はずっとな」

━━この話、コスモスには話したんだがな。

「コスモス…!お前知って…」

「…考えがまとまらなかったんです。時の観測者が何故この時代の観測をしているのか」

そりゃまぁ観測が仕事だからな。過去の観測も重要だろうに。

「私が言いたいのはそうではありません。何故この時代に固執するのか、って事なんです。過去に起こりえた現象を観測し、記録し、そしてそれを組織全体に提出すればいい。それだけで過去の観測ははい終了次に行きましょうってなるはずです。なのに異様にこの時代だけ観ているってのが不思議で仕方が無いんですよ」

━━それに。

「私だけではないはずです。皆さんは誰かに見られている、って事、薄々勘づいてますよね?」

「「!」」

その言葉に反応したのは俺とシナだった。

「…あぁ」

「…うん」

シナもだったのか。だったら水原とかも分かってそうだな。

「…ずっと誰かに見られているような…しかも1人2人じゃなく、すごく沢山の人に…」

「それはきっと観測者が直に流している、言うなれば生放送みたいなもんです。きっと今、この会話も見られているのでしょうが」

やはり俺が感じたものは間違っていなかったようだ。何かを期待するような、薄汚れた欲望の何かがこちらを覗いていることを。

「…なら、だからって私達はどうすれば…」

「変えればいいんだよ」

発したのはオメガだった。

「何かに期待されているのなら、君達の未来そのものをひっくり返せばいい。ループするとはいえど君たち自身の命は1度きりでしょ?その命を使って、起こりえない未来を起こしてしまえばいい」

「そんな無茶苦茶な…」

「無茶苦茶で結構。ただし君達はそのまま果てることになるよ?だってこれが生放送、と言えば聞こえはいいがかもしれないけど同じことが何回も繰り替えされてるならそれはビデオを何回も再生しているのと変わらない。ならば君達の生き様を、これを見てるヤツらに教えてやればいいじゃない。自分達は、ただの『物語のキャラ』じゃないって所をね」

なぜ、ここまで湧いてきたのかは分からない。

だが、今目の前の少女に確実に俺達の生きる意味を与えてくれた。

そうだ。俺達は操り人形じゃない。

皆が死ぬってのが起こり得る未来なら。

「…なら誰も死なせはしない。もう、二度と」

「隼人…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今お前らはこれを見ているか?

こういう展開もよくあるだろ?

だからこそ、必ずお前らが思うような終わり方にはさせない。

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